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412 間質性肺炎は大きく慢性間質性肺炎と急性~亜急性の間質性肺炎に分けられる。慢性間質性肺炎は乾性咳嗽,労作時呼吸困難など呼吸器症状で発症することもあれば,無症状で胸部異常陰影などとして偶発的に発見されることもある。一方,急性~亜急性の間質性肺炎は乾性咳嗽,呼吸困難などの呼吸器症状にて発症することが多い。定できない特発性と背景疾患に合併した二次性の間質性肺炎に分類される。 典型的なUIP patternでは下葉末梢優位,肺底部優位に分布し,胸膜直下,小葉辺縁主体の微細線状影,網状影が認められ,しばしば牽引性気管支拡張,蜂巣肺を伴う1)。牽引性気管支拡張は周囲の肺実質の傷害,線維化によって二次的に気管支が拡張する所見であり,間質性肺炎,肺の線維化が示唆される所見である2)。蜂巣肺は比較的壁の厚い嚢胞の集簇所見で,肺の末梢優位に分布し,嚢胞壁を共有する傾向がある2)3)。特発性のUIPは特発性肺線維症(idio-pathic pulmonary fibrosis:IPF)と呼ばれる(図1)。 NSIP patternは気管支血管束周囲,あるいは末梢優位に分布する傾向がある比較的均一なすりガラス影,網状影が認められ,牽引性気管支拡張を伴うことが多い(図2)。胸膜直下がspareされることもある。しばしば膠原病に合併することが知られている1)。 実際の読影ではUIP patternかNSIP patternか分類に悩むこともあり,両者が混在していることもある。そのような場合にはUIP patternかNSIP patternか無理に言及する必要はないと考えられる。日常診療では特発性のほかに膠呼吸器1)慢性期の間質性肺炎について 慢性間質性肺炎については,まずはその存在を臨床科に伝えることが重要である。慢性間質性肺炎の基本的なCT所見はすりガラス影,網状影であり,しばしば牽引性気管支拡張,蜂巣肺,肺葉の容積減少を伴う。大きくusual inter-stitial pneumonia(UIP)patternとnonspecific interstitial pneumonia(NSIP)patternに分けられる。急性~亜急性の間質性肺炎は大きくびまん性肺胞障害(diffuse alveolar damage:DAD)と器質化肺炎(organizing pneumonia:OP)に分けられる。それぞれの疾患について原因が特1271* 防衛医科大学校 放射線医学講座【索引用語】 慢性間質性肺炎,器質化肺炎,びまん性肺胞障害臨床放射線 Vol. 67 No. 11 2022杉浦弘明 *第  章3はじめに画像診断レポート作成のポイント間質性肺炎

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