4その他肩・肘・手関節ABC56慢性機械的刺激により滑液包炎を発症し,しばしば腱症や腱断裂を合併する。まれには結核などの感染症や関節リウマチなどの炎症性関節炎,滑膜軟骨腫症などで発生することもある。症状は肘関節前方の痛みや腫脹,腫瘤触知である。MRIでは上腕二頭筋腱周囲に滑液包の腫脹(液体貯留,滑膜肥厚)を認める(図4)。近傍を走行する橈骨神経を圧迫することがある6)。 原因不明の月状骨の骨壊死である。手をよく使う人に頻度が高く,微細反復性外傷や骨折などの外傷が関連すると考えられている。月状骨付近の痛み,可動域制限をきたす。病期分類として26骨軟部し断裂すると推察されている3)4)。単純X線では異常を認めない場合が多いが,時に橈骨粗面近傍に裂離骨片がみられる。診断には超音波およびMRIが有用である。MRIにおいて完全断裂では腱付着部での連続性消失と近位断端の変位,部分断裂では腱の肥厚や菲薄化がみられ,腱の信号強度が上昇する(図3)。部分断裂と腱症の鑑別は難しい5)。 上腕二頭筋橈骨滑液包は橈骨粗面と上腕二頭筋腱との間に存在し,摩擦をやわらげる働きを担っている。肘関節との交通はない。画像診断では正常ではみられず,腫脹したときのみ描出される4)。遠位上腕二頭筋腱断裂(50代,女性)臨床放射線 Vol. 68 No. 12 2023図3MRI T2強調横断像(A),T2強調矢状断像(B)にて上腕二頭筋腱は橈骨粗面近傍で連続性が消失している(A,B)。Bより尺側のT2強調矢状断像(C)では橈骨粗面に骨棘を認める(C)。1369上腕二頭筋橈骨滑液包炎キーンベック病
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