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ABC78近位尺側や三角骨近位橈側の関節軟骨の変性・損傷,軟骨下骨の浮腫や嚢胞形成,硬化を認める。キーンベック病ではMRIにて骨髄信号異常が月状骨近位橈側もしくは全体にみられ,尺骨突き上げ症候群との鑑別点となる(図6)。 TFCCは手関節尺側の重要な支持機構であり,損傷により遠位橈尺関節に不安定性をきたすことがある。TFCC損傷の分類として知られているPalmer分類ではClass Ⅰの外傷性損傷とClass Ⅱの変性断裂に分けられ,このうちClass ⅠはClass ⅠA:関節円板の中心性穿孔,ⅠB:尺側剝離,ⅠC: 遠位(手根骨付着部)剝離,ⅠD:橈側剝離とされる。Palmer分類に当てはまらない損傷もある8)。手関節尺側部痛の精査目的としてMRIが行われLichtman分類が知られている。stage Ⅰでは単純X線は正常,MRI T1強調像にて月状骨全体もしくは局所的信号低下を認める。stage Ⅱでは月状骨に硬化性変化がみられ,T1強調像にて低信号域がみられる。stage Ⅲでは月状骨に圧潰がみられ骨の高さが減少するが,さらに手根骨アライメントに異常のないstage ⅢAと,近位手根列のアライメント異常(舟状骨の掌屈)を認めるstage ⅢB, 月状骨の冠状断方向の骨折もしくは分節化を認めるstage ⅢCに分けられる7)(図5)。 月状骨にMRIにて異常信号域を認めることのある疾患である。TFCCの関節円板が尺骨頭と尺側手根骨に慢性的に圧迫されることで関節円板が摩耗し発生する。関節円板の変性,穿孔,月状骨上腕二頭筋橈骨滑液包炎(80代,女性)図4MRI T2強調横断像(A),T2強調矢状断像(B)にて上腕二頭筋腱が橈骨粗面に停止する部分で腱周囲に液体貯留を認める(A,B)。上腕二頭筋腱の連続性は認められる(B▷)。MRI CT—like bone imageのFRACTURE volume rendering像では上腕二頭筋腱(C▷)を取り囲む腫脹した滑液包を認める(C)。臨床放射線 Vol. 68 No. 12 20231370尺骨突き上げ症候群TFCC損傷

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