7呼吸器胸部間質性肺炎32AB(図7)。こういった小葉辺縁構造直近の肺胞隔壁の線維化で,胸膜面,小葉間隔壁,気管支肺動脈の不整は生じる(図6)3)。細葉辺縁部のhall markとなるのは小葉内細静脈である。幅が50μm以下である小葉内細静脈は最高空間分解能が200~300μmである高分解能CTでは通常描出できないが,その静脈直下の肺胞領域の線維化(細葉辺縁性線維化)が生じると静脈自体と合わせ幅が50μmを超え,CTで描出される(図8)。具体的には細葉辺縁性線維化を示すUIPでは上葉腹側の胸膜から伸びる長短の不整線状影をみる(図9)。 鑑別診断として最も重要なものは線維化性非特異的間質性肺炎(FNSIP)であるが,以下に詳述する。また,UIPとFNSIPの鑑別診断は共通するので次項で述べる。 非特異的間質性肺炎(non—specific interstitial pneumonia:NSIP)はKatzensteinらにより提唱された疾患概念であり4),UIPに次いで特発性間質性肺炎では2番目の頻度を示す。病理組織学的には時相の均一な線維化ないし胞隔炎を特徴とし,純粋に胞隔炎からなるGroup 1:cellular,胞隔炎と線維化が混在するGroup 2:cellulo—fibros-ing,純粋に線維化からなるGroup 3:fibrosingの3型に分けられれる5)。ATS—ERS 2002年のコンセンサス分類では,“provisional”として単位疾患とするのは留保されたが5),後の検討で特発性間質性肺炎の一型と認知された6)7)。 Katzensteinらの原著では亜急性~慢性の疾患とされていたが,前述のコンセンサス分類の2013年改訂版では,NSIPは慢性線維化性(chronic fibrosing)IIPに位置づけられ,Group 1:cellularと亜急性の経過を示すことが多いGroup 2は原因不明のものでは除かれている。そこで本稿ではGroup 3のFNSIPのみを取り上げる。1.典型的画像 画像所見では両側下肺野対称性に広がる均一な牽引性気管支拡張および容積減少を伴うすりガラ不均一性を示すUIP症例不均一性を示すUIP症例臨床放射線 Vol. 68 No. 12 2023 B : 組織像(hematoxiline—eosin染色×3)。二次小葉内に正常から蜂巣肺までの多彩な所見がみられ,正常への移行は図4高分解能CT像。胸膜直下にすりガラス影,網状影を認めるが,著明な左右差を有する。図5 A : 高分解能CT。想定される二次小葉に正常,すりガラス影,網状影,嚢胞,牽引性気管支拡張と5種類の所見が不規則にみられ,病理組織上の“時間的・空間的な不均一性”を反映している。急峻である(abrupt change)。UIPの典型的組織像である。1195線維化性非特異的間質性肺炎(FNSIP)
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