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ACBD3腹部卵巣・卵管19女性生殖器よりも豊富な充実性成分を伴い,周囲臓器に浸潤傾向が強いことが特徴的である3)。 脂肪平滑筋腫:脂肪成分が豊富な子宮筋腫であり,漿膜下から突出するような形態をとると,成熟奇形腫との鑑別が必要な場合がある。正常の卵巣を同定し,子宮と腫瘤との連続性を注意深く観察すれば鑑別は可能である。 仙骨奇形腫:仙骨部から生じた奇形腫で,骨盤内に発育すると成熟奇形腫と紛らわしい場合がある。腹腔内に存在する卵巣腫瘤と異なり,仙骨奇形腫は腹腔外病変であり,周囲の解剖学的位置関係と発生部位に留意すれば鑑別診断は可能である。2.子宮内膜症 子宮内膜症は子宮以外に子宮内膜組織が増殖する病態で,月経周期に伴う出血による周囲の炎症・線維化が生じる。卵巣は子宮内膜症の好発部位であり出血を伴った嚢胞状腫瘤を呈し,新旧の血腫が混在した内容液の性状からチョコレート嚢胞とも呼ばれる。頻度は欧米よりアジアで多い傾向があり,生殖可能年齢の女性の約15.4%に認め典型例:Rokitansky protuberanceを伴う右卵巣成熟奇形腫(48歳)臨床放射線 Vol. 68 No. 12 2023 B : MRI T1強調像。嚢胞内容液は高信号を示す。 C : MRI脂肪抑制T1強調像。嚢胞内容液は信号が低下し,低信号を示す。 D : MRI造影脂肪抑制T1強調像。Rokitansky protuberanceは淡く造影されている。図2 A : MRI T2強調像。子宮の右側にT2強調像で高信号の腫瘤を認め,内部に椰子の木のような充実成分(Rokitansky protuberance)(扌)を認める。1297

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