超音波の学校 vol.1 胆嚢・胆管

胆嚢・胆管超音波検査の「レシピ」が満載! 誰でもレベルアップ!!

著 者 関根 智紀
定 価 4,180円
(3,800円+税)
発行日 2018/11/01
ISBN 978-4-307-07109-3

A5判・204頁・カラー図数:364枚

在庫状況 あり

関根智紀の“超音波の学校”がいよいよ刊行スタート! “なんとなくわかりやすそう”なだけではない。
「胆嚢・胆管」超音波検査の進め方を知りたい、多数の症例をみたい、検査のコツを知りたい、見逃しを防ぎたい、他の本には載っていないetc、すべてを叶える一冊。
料理のレシピのように誰でも上手にできる、誰でもレベルアップにつながる待望のバイブルが遂に誕生!
【基礎編】
1 胆嚢の解剖と働き
1-1 胆嚢の位置と名称
1-2 胆嚢壁の層構造
1-3 胆嚢管の位置と走行
1-4 胆嚢・胆汁の働き
1-5 胆汁の成分
2 胆管の解剖
2-1 胆管の位置と名称
2-2 肝外胆管の区分
2-3 肝門部胆管の走行と区分
2-4 胆管の周囲臓器
3 胆嚢でみられるアーチファクト
3-1 胆嚢にみられる多重反射
3-2 胆嚢にみられるコメット様エコー
3-3 胆嚢にみられるサイドローブ
3-4 胆嚢にみられる音響陰影
3-5 胆嚢にみられるレンズ効果
3-6 胆嚢にみられる外側陰影
3-7 胆嚢にみられる超音波ビームの厚み
4 胆嚢描出に必要な知識と手技
4-1 ゲインとSTCの調整
4-2 Depthの調整
4-3 体型による胆嚢の形状と位置
4-4 胆嚢の呼吸性移動
4-5 胆嚢・胆管検査時の体位
4-6 胆嚢超音波検査の盲点
4-7 胆管超音波検査の盲点
5 胆嚢の基本走査
5-1 右肋骨弓下走査
5-2 右肋間走査
5-3 右季肋部斜〜縦走査
5-4 右季肋部横走査
5-5 胆嚢の基本走査と体位
6 胆管の基本走査
6-1 右肋骨弓下〜心窩部横走査
6-2 右肋間走査
6-3 右季肋部斜〜縦走査
6-4 右季肋部斜〜横走査
6-5 胆管の基本走査と体位
7 胆嚢・胆管の計測法とコツ
7-1 胆嚢の大きさ
7-2 胆嚢の形状
7-3 胆嚢の壁
7-4 胆嚢の内部
7-5 胆管の径・壁・内部

【症例編:胆嚢】
胆嚢病変の超音波診断ツリー
1 急性胆嚢炎
2 気腫性胆嚢炎
3 胆嚢コレステロールポリープ
4 胆嚢結石
5 胆嚢腺筋腫症
6 胆嚢癌
7 慢性胆嚢炎
8 黄色肉芽腫性胆嚢炎
9 陶器様胆嚢
10 コメット様エコー
11 胆泥
12 胆嚢の腫大
13 胆嚢壁の肥厚

【症例編:胆管】
胆管病変の超音波診断ツリー
1 肝内胆管結石
2 肝外胆管結石(総胆管結石)
3 先天性胆道拡張症
4 Caroli病
5 胆道内空気(胆道気腫)
6 胆道出血
7 胆道回虫迷入症
8 胆管癌
9 乳頭部癌
10 原発性硬化性胆管炎
11 IgG4関連硬化性胆管炎
12 閉塞性黄疸
はじめに

超音波検査によって得られる検査・診断情報は、多くの理論と技術によって構築されている。しかし、検者依存性の高い超音波検査を臨床に広く貢献させるには、誰でも行えて誰もが情報提供できるある一定の水準、すなわちISO 15189に代表されるような品質マネジメントと技術能力によって標準化された検査と判読法を設ける必要がある。これは職人芸ともいわれる超音波検査領域では至難の業といえる取り組みである。一転、料理名人に目を向けると、彼らのもつ究極の職人技は料理のレシピによって一定の水準が設けられ、保証された味や見た目とともに広く提供されている。どこに違いがあるのだろうかと考えたとき、私は超音波検査にも「超音波のレシピ」をつくることで一定の水準が設けられ、その結果、超音波検査がさらなる臨床貢献を果たすことになるのではないかと確信した。

料理のレシピは、材料、分量、時間が提示され、手順がルーチンとして定められている。このルーチンを守れば、名人とまったく同じとまではいかないまでも「一定の水準」「誰でも行えて誰もが広く提供できる」料理が完成する。本書はこの料理のレシピのしくみを取り入れた。症例編においては、まず超音波診断ツリーを提示し、それぞれの超音波像を順を追って観察するよう決まりを設けた。これを順守し、所見を積み上げていくことで、鑑別すべき疾患のチョイスを進め、最終的に診断へとつなげていくのである。もちろん結果は“名人と同じ診断” である。

また、これらの前段階として、基礎編において、検査を支える理論と技術法を漏れることなく解説した。さらに、本書の特徴の一つとしてワンポイントも多く載せた。これは、超音波検査のレシピ化に伴って割愛された細かい知識を補う必要があるため、個々の異なる症例に適宜対応できるよう配慮して設置したものである。

本書は、日々レベルアップを目指す検査士の皆さんにぜひ活用していただきたい。名人でなくてもよい、しかし「一定の水準」「誰でも行えて誰もが広く提供できる」超音波検査を目指したこの超音波レシピをもとに、個々人、ひいてはわが国の超音波検査の臨床貢献へとつながれば著者冥利に尽きる。

2018年10月
独立行政法人 総合病院国保旭中央病院 診療技術局
関根 智紀