乳管造影アトラス
乳頭異常分泌症例に適切に対処するために乳腺外科医必読の1冊!
監 修 |
岩田 広治 |
編 集 |
愛知県がんセンター乳腺科 |
定 価 |
3,080円 (2,800円+税) |
発行日 |
2021/07/01 |
ISBN |
978-4-307-07119-2 |
B5判・72頁・図数:74枚・カラー図数:51枚
乳頭異常分泌は早期乳癌の一症状でもあり、その適切な診断は大変重要である。本書では、乳頭異常分泌症例の診断に役立つ乳管造影の検査手順や読影のポイントを、多数の写真を用いてわかりやすく解説。適応症例では病変の根治的切除が期待できる乳管腺葉区域切除(microdochectomy)の実施手順や動画も収載。乳頭異常分泌症例手術時の乳頭温存可否の判断にも乳管造影は有用であり、乳腺外科医が習得すべき「乳管造影」が学べる1冊。
I 乳頭異常分泌症例の診断
1.乳頭異常分泌症例とは
2.乳頭異常分泌の原因
3.分泌細胞診、マンモテック、潜血検査
4.診断手順
II 乳管造影検査手順
1.用意する物品
2.乳管造影手順
III 乳管腺葉区域切除術(microdochectomy)の適応と手技
1.本術式の概要
2.適応
3.手術前の準備
4.体位、麻酔、消毒
5.手技
IV 乳管造影読影のポイント
1.読影のポイントと各所見
2.正常乳管
3.途絶(造影欠損)
4.嚢胞性病変
5.壁不整
6.隆起性病変(広基性)
7.隆起性病変(有茎性)
8.乳管拡張
9.空気(Air)
10.造影剤漏出
V 症例提示
1.乳管内乳頭腫(intraductal papilloma;IDP)
2.乳癌
3.乳管造影による乳頭と病変との位置関係の判断
VI 特殊症例
1.乳管造影併用ステレオガイド下マンモトーム生検
2.病理と乳管造影写真の対比
おわりに
索引
はじめに
乳癌診療の第一歩は正しい診断です。医療機関を受診されるきっかけは、無症状であるが検診で要精密検査になった場合から、自覚症状があり来院される場合までさまざまです。自覚症状には、腫瘤、痛み、左右差、発赤、違和感などとともに、乳頭からの分泌があります。
乳頭からの異常分泌症例には、マンモグラフィ(MMG)、超音波検査(US)の標準的な画像検査のほかに、乳管造影検査が適応になります。しかし近年、乳房造影MRI検査が一般化した状況で、乳管造影検査を実施する施設が減り、一度も実施したことがないという若い先生の声を耳にします。
そこで乳管造影検査の適応や手技、読影所見を改めて整理して一冊の本にまとめることにしました。これまで乳管造影検査の実施経験がない方でも本書を参考に実施できるように、検査の手順・画像などの写真を多く掲載いたしました。
当院(愛知県がんセンター)で経験した実際の症例からピックアップし、非常に稀なケースや、病理所見との対比、乳頭からの距離を判断するうえでの乳管造影検査の有用性などを記載しています。また、乳管造影の応用として乳管腺葉区域切除術(microdochectomy)の実際の動画も視聴できるようになっています。
愛知県がんセンターのレジデント・医員・スタッフが総力を挙げて作成いたしました。皆様方の日々の診療に、大きくお役に立てると信じています。
「乳管造影アトラス」監修
愛知県がんセンター 副院長・乳腺科部長
岩田 広治