患者さんと家族のための放射線治療Q&A 2025年版 第3版

治療から症状緩和、予後改善まで。放射線治療の現在がわかる!

編 集 日本放射線腫瘍学会
定 価 2,640円
(2,400円+税)
発行日 2025/04/14
ISBN 978-4-307-07133-8

B5判・236頁

在庫状況 なし

近年の放射線治療は、少ない治療回数で高い効果と副作用の大幅な低減だけではなく、症状緩和や再発・転移者の予後改善まで効果があります。手術や抗がん剤とともにがん治療の柱になった一方、目に見えない放射線ならではの不安や疑問を抱く方もいますので、エビデンスにもとづきつつ「患者視点(Q&A 形式)」で解説しました。粒子線や陽子線など最先端の治療法を知りたい方、セカンドオピニオンを求める方にもオススメです。
□放射線治療とはどのような治療ですか。
Q1 放射線治療は手術や薬物療法とは何が違うのですか。
Q2 放射線治療と放射線診断は何が違うのですか。
Q3 放射線治療やセカンドオピニオンはどこで受けることができ、誰が行うのですか。
  放射線治療についてのセカンドオピニオンはできますか。
  放射線治療はどのような病気によく使われていますか。
Q4 転移したがんにも放射線治療は有効ですか。

□放射線治療を受けるにあたってよく質問されることを教えてください。
Q5 放射線治療はからだに悪くないですか。
 1 放射線による悪影響(副作用)について教えてください。
 2 家族や周囲の人に影響はありませんか。
 3 妊娠や出産に影響はありませんか。
Q6 放射線治療の費用はどれくらいかかりますか。粒子線治療の費用や高額療養費制度、先進医療などについても教えてください。
Q7 放射線治療はどれくらいの日数がかかりますか。
Q8 放射線治療中も普通に生活できますか。

□放射線治療のしくみについて教えてください。
Q9 放射線治療は、なぜがんに有効なのですか。
 1 放射線治療でどのようにがんが治るのですか。
 2 放射線治療が効きにくいがん、効きやすいがんはあるのですか。
 3 正常な部分に影響はないのでしょうか。
 4 放射線治療はがん以外の病気にも効くのですか。
Q10 治療に使う放射線の種類と装置について教えてください。
 1 放射線とは何で、どんな種類や単位があるのですか。
 2 放射線治療にはどの放射線を使うのですか。
 3 放射線治療にはどのような装置を使うのですか。
Q11 放射線治療の方法について教えてください。
 1 外部照射について教えてください。
 2 定位放射線治療について教えてください。
 3 画像誘導放射線治療(IGRT)について教えてください。
 4 強度変調放射線治療(IMRT)について教えてください。
 5 粒子線治療について教えてください。
 6 照射中には息を止めなくてはなりませんか。
 7 小線源治療について教えてください。
 8 内用療法(標的アイソトープ治療)について教えてください。

□放射線治療を受けることにしましたがもう少し教えてください。
Q12 放射線治療の実際の手順について教えてください。
 1 放射線治療をするかどうかはどのように決めるのですか。
 2 放射線治療計画とは何ですか。
 3 どのように放射線治療が進むのか教えてください。
 4 照射法の変更をすることがあるのはなぜですか。
 5 放射線治療は外来通院と入院のどちらがよいのでしょうか。
 6 土日、祝日の照射を休みにすると、治療の効果は弱くなりますか。
 7 自分の都合で治療を休んでも、効果に影響はないですか?
 8 患者によって治療の回数が違うのはなぜですか。
 9 放射線治療を一度受けたら、繰り返し受けられないのですか。
Q13 放射線治療の併用療法について教えてください。
 1 薬物療法との併用はどのような場合に有効ですか。
 2 手術との併用はどのような場合に有効ですか。
 3 そのほかの治療方法との併用は有効か教えてください。
Q14 放射線治療の効果はどのように判定するのか教えてください。
 1 放射線治療の効果はいつわかるのですか。
 2 放射線治療の効果はどのような方法でわかるのですか。

□放射線治療中の生活や注意点について教えてください。
Q15 放射線治療中から直後の生活上の注意について教えてください。
 1 食事で気をつける点はありますか。
 2 入浴、温泉、サウナ、岩盤浴は大丈夫でしょうか。
 3 生活仕事や家事は今までどおり可能ですか。
 4 旅行やスポーツはどの程度できますか。
 5 飲み薬や塗り薬は今までどおり使ってよいですか。
 6 インフルエンザなどの予防接種を受けてよいですか。
 7 タバコを吸ったりお酒を飲んだりしてもよいですか。
 8 ムダ毛の処理は今までどおり行ってよいですか。
 9 あんま、マッサージ、針、灸、エステなどは大丈夫ですか。
Q16 放射線治療中に不安になりがちな点について教えてください。
 1 治療の悪影響がない時は、治療効果もないのでしょうか。
 2 悪影響がいつ出るか心配なのですが。
 3 治療箇所と違う場所に印が付いています。
 4 印が消えそうで心配です。
 5 治療中に咳やくしゃみが出そうになったらどうすればよいですか。また、痛みが強い場合はどうすればよいですか。
 6 仕事を続けながら治療を完遂することは可能でしょうか。

□放射線治療部位別の治療法を教えてください。
Q17 脳・脊髄への放射線治療について教えてください。
 1 脳に放射線を当てて大丈夫なのでしょうか。治療の悪影響と対処法について教えてください。
 2 脳腫瘍のタイプによって放射線治療法が違いますか。
 3 全脳照射、全中枢神経系照射(全脳全脊髄照射)とはどのような治療ですか。
 4 定位放射線治療はどのような時に有効ですか。
 5 脳転移に対する放射線治療について教えてください。
 6 脳腫瘍に粒子線治療は有効ですか。
 7 散髪、洗髪、白髪染め、パーマをしても大丈夫でしょうか。脱毛はいつ頃治りますか。
 8 良性の病気ではどのような時に有効ですか。
 9 脊髄腫瘍への放射線治療はどのような時に有効ですか。
 10 脊髄圧迫に対する放射線治療はどのような時に有効ですか。
Q18 頭頸部(顔からのど)への放射線治療について教えてください。
 1 手術より放射線治療のよい点は何ですか。
 2 喉頭がんは声への影響はありませんか。
 3 治療法を選ぶ時のポイントはどのような点ですか。
 4 口やのどの治療による悪影響と対処法について教えてください。いつ頃治りますか。
 5 治療中のひげ剃りや化粧品の使用は問題ありませんか。
 6 歯みがきや歯科治療は問題ありませんか。
 7 甲状腺がんへの放射線治療について教えてください。
 8 眼の腫瘍ですが視力への影響はありませんか。
Q19 胸部(乳房、肺、食道など)への放射線治療について教えてください。
 1 肺がんの治療法を選ぶ時のポイントはどのような点ですか。
 2 一般的な肺がんの放射線治療はどのように行うのでしょうか。
 3 肺気腫や間質性肺炎があっても治療できますか。
 4 肺がんに対する定位放射線治療とはどのような治療ですか。
 5 肺がんに対する粒子線治療はどのような時に有利ですか。
 6 肺がんで放射線治療に薬物療法を加える必要はありますか。
 7 肺がんに対する放射線治療の悪影響と対処法について教えてください。
 8 乳がん術後の放射線治療は必要なのでしょうか。
 9 乳房温存術後の放射線治療はどのようにするのでしょうか。
 10 乳房切除術後の放射線治療はどのようにするのでしょうか。
 11 乳がん術後の放射線治療の悪影響と対処法について教えてください。
 12 乳がんを手術せずに放射線治療で治せますか。
 13 放射線治療後に乳房再建はできますか。乳房再建後には放射線治療はできないのですか。
 14 食道がんの治療法を選ぶ時のポイントはどのような点ですか。
 15 一般的な食道がんの放射線治療はどのように行うのでしょうか。
 16 食道がんへの放射線治療の悪影響と対処法について教えてください。
Q20 上腹部(膵、肝など)への放射線治療について教えてください。
 1 膵がんの治療法を選ぶ時のポイントはどのような点ですか。
 2 一般的な局所進行膵がんの放射線治療について教えてください。
 3 肝臓がんへの放射線治療はどのような時に行いますか。
 4 肝臓がんへの定位放射線治療や粒子線治療はどのような時に有利ですか。
 5 肝臓がんの体幹部定位放射線治療はどのように行うのか教えてください。
 6 胆道がんへの放射線治療はどのような時に行いますか。
 7 腎がんでは放射線治療はどのような時に有利ですか。
 8 胃がんや大腸がんではどのような時に放射線治療を行いますか。
Q21 下腹部(前立腺、子宮、膀胱、直腸など) への放射線治療について教えてください。
 1 前立腺がんの治療法を選ぶ時のポイントはどのような点ですか。
 2 前立腺がんの外部照射はどのように行うか教えてください。
 3 前立腺がんに対する小線源治療はどのように行うか教えてください。
 4 前立腺がんに対する放射線治療の悪影響と対処法について教えてください。
 5 子宮頸がんの治療法を選ぶ時のポイントはどのような点ですか。
 6 子宮頸がんでは腔内照射は必要なのでしょうか。
 7 子宮頸がんの放射線治療はどのように行うか教えてください。
 8 子宮頸がんに対する放射線治療の悪影響と対処法について教えてください。
 9 子宮体がん、卵巣がん、腟がんや外陰がんでは放射線治療はどのような時に有用ですか。
 10 直腸がんへの放射線治療はどのような時に行いますか。
 11 肛門がんで放射線治療を行うメリットについて教えてください。
 12 膀胱がんで放射線治療を行うメリットについて教えてください。
 13 精巣(睾丸)腫瘍、陰茎がんではどのような時に放射線治療を行いますか。
Q22 骨軟部(骨、筋肉など)・皮膚への放射線治療について教えてください。
 1 骨転移に放射線治療は効きますか。
 2 骨転移に対する放射線治療の方法について教えてください。
 3 骨軟部肉腫に放射線治療は効きますか。
 4 骨軟部腫瘍への粒子線治療はどのような場合に有用ですか。
 5 骨軟部腫瘍への放射線治療の悪影響について教えてください。
 6 皮膚がんへの放射線治療はどのような時に行いますか。
 7 悪性黒色腫に放射線治療は効きますか。
Q23 リンパ・血液のがんへの放射線治療について教えてください。
 1 悪性リンパ腫の放射線治療はどのような場合に有用ですか。
 2 悪性リンパ腫への放射線治療の悪影響について教えてください。
 3 骨髄腫に放射線治療は効きますか。
 4 造血幹細胞移植(骨髄移植)のための全身照射とはどのような治療ですか。
 5 全身照射の悪影響について教えてください。
 6 がんのリンパ節転移に放射線治療は効きますか。
Q24 こどもへの放射線治療について教えてください。
 1 こどもに放射線治療をして大丈夫なのですか。
 2 こどもとおとなでは照射の仕方が違いますか。
 3 小児白血病に対する全脳照射はどのような時に行いますか。
 4 ウィルムス腫瘍ではどのような時に放射線治療を行いますか。
 5 神経芽腫ではどのような時に放射線治療を行いますか。
 6 こどもの肉腫ではどのような時に放射線治療を行いますか。
 7 こどもへの放射線治療の後遺症と対処法について教えてください。
Q25 がん以外の病気(良性疾患)での放射線治療について教えてください。
 1 がん以外ではどのような病気に放射線治療を行うのでしょうか。
 2 甲状腺眼症ではどのような時に放射線治療を行いますか。
 3 ケロイドではどのような場合に放射線治療を行いますか。
 4 血管腫ではどのような場合に放射線治療を行いますか。
 5 動静脈奇形ではどのような場合に放射線治療を行いますか。
 6 がんでなくても放射線治療の悪影響は問題ないのでしょうか。

□放射線治療後の生活について教えてください。
Q26 放射線治療後の生活について教えてください。
 1 食事など生活上で気をつける点はありますか。
 2 後遺症が心配なのですが。
 3 放射線腫瘍科(放射線治療科)にも通う必要があるのですか。
 4 胃腸の不快な症状の対処法について教えてください。
 5 直腸出血や膀胱出血が起こった時の対処法について教えてください。
 6 後遺症の可能性がある時は誰に相談すればよいですか。

付表1 代表的な外部放射線治療の照射方法
付表2 施設一覧(放射線治療実施施設)
<序文>

 『患者さんと家族のための放射線治療Q&A』(2025年版)を刊行することとなりました。日本放射線腫瘍学会では、患者さんに放射線治療を正しく理解して上手にがん治療に役立てていただくために、2015年に初版を発刊しました。その後、放射線治療の進歩や新たな技術の保険収載等に合わせて2020年に第1回の改訂を行い、本書が2回目の改訂版となります。執筆・校正に多くの時間と労力を注がれた日本放射線腫瘍学会の岡嶋馨広報委員長、唐澤久美子編集責任者をはじめ、広報委員諸氏に敬意を表します。

 放射線治療は、科学技術の進歩に支えられて飛躍的な進展を遂げています。放射線を可能な限り腫瘍だけに集中させることで、少ない治療回数で高い効果と副作用の大幅な低減が得られています。そのため、がんを治す目的から、がんによる症状の緩和、さらには再発や転移のある方の予後改善まで、さまざまな患者さんに幅広く役立つ治療法として、外科手術や薬物療法とともに、治療の選択肢として重要性を増しています。しかし一方で、治療を受ける患者さんの側からすると、「放射線治療」には何かわかりにくい、あるいは危険なイメージがあり、自分のがんに放射線は効くのか、副作用や後遺症は大丈夫なのかといった疑問や不安があることも事実です。

 本書では、患者さんや患者さんのご家族のために、さまざまなQ&Aを用いる形式で放射線治療についてその専門家がわかりやすく解説しています。放射線治療とはどのような治療なのか、その仕組みや原理、使用する装置から実際の治療の進め方、治療中にからだに起こる反応や治療後の注意点など、放射線治療について知っておきたいことを詳細に記載しました。必要な放射線治療を安心して受けることができるよう、本書が患者さんや患者さんのご家族のご理解に役立つことを祈念いたします。

公益社団法人 日本放射線腫瘍学会 理事長
宇野 隆


<2025年版の出版にあたって>

 放射線治療は、手術、薬物療法と並ぶ「がんの3大治療法」の1つで、日本でも多くの患者さんが受けている治療です。世界的にはがん患者さんの約3割が初回治療で放射線療法を選択しているとの統計があります。また、がん以外の病気の治療に使われることもあります。しかし、手術や薬の治療と比べると、「放射線」がもつイメージから、一般の方には縁遠い印象があり、その利用が他国並みには進んでいませんでした。

 そのような状況の中、日本放射線腫瘍学会では2015年に、放射線治療を理解して上手に利用し、病気と闘っていただくために、『患者さんと家族のための放射線治療Q&A』を刊行し多くの反響をいただきました。発行から5 年後の2020年に、放射線治療の進歩などを含め、第1回の改訂を行い、今回、現状に即して2回目の改訂を行いました。

 本書では、患者さんや患者さんのご家族のために、放射線治療の幅広い内容を「問いに答える形式(Q&A)」でわかりやすく解説しています。放射線治療の基本原理、放射線治療の種類、使用する装置、実際の治療の進め方、各がんに対して行われる放射線治療の実際、治療中と治療後の生活上の注意点、悪影響が生じた場合の対処方法までを記載しました。放射線治療のガイドライン(治療のための指針)としての役割とともに、闘病中の実生活におけるガイドブック(具体的なヒント)の役割をも果たすものと考えています。

 本書の編集と執筆は、日本放射線腫瘍学会の広報委員会が担当しました。わかりにくい表現や不十分な説明を改めるように心がけましたが、今後も読者の皆様のご意見をもとに内容を改訂していきたいと考えています。本書に対するご意見は、日本放射線腫瘍学会の広報委員会宛に日本放射線腫瘍学会のホームページ上の「ご意見・ご質問」にあるフォームからお寄せいただければ幸いです(https://www.jastro.or.jp/contact/)。

 本書が、多くの皆様のお役に立つことを願っています。

2025年4月吉日

日本放射線腫瘍学会広報委員会
2024年度委員長 岡嶋 馨
編集責任者 唐澤 久美子