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産婦人科の画像診断 第2版
症例写真2500枚。産婦人科画像診断の決定版が待望の大改訂!

著 者 | 田中 優美子 |
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定 価 | 19,800円 (18,000円+税) |
発行日 | 2025/10/20 |
ISBN | 978-4-307-07135-2 |
B5判・904頁・図数:2250枚・カラー図数:250枚
在庫状況 | なし |
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2014年に刊行し好評を博した初版から11年。婦人科腫瘍領域を中心に加筆し、症例写真は1800枚から2500枚へと大幅に追加した。900ページの圧倒的な症例数でさらなる充実を目指した著者渾身の一冊。最新の取扱い規約・ガイドラインにも準拠し、産婦人科領域の疾患が膨大な画像とカラー病理像の対比により分かりやすく解説されている。放射線科医、産婦人科医はもとより病理医にも広く読んでいただきたい画像診断書の決定版である。
第1章 婦人科画像診断の基本と実際
I MRIの適応と検査の実際
1.MRI実施上の注意点
2.MRIの適応と撮像法
3.婦人科疾患の診断に有用なMRIの技術
4.悪性腫瘍の転移検索としてのMRIの有用性
II CTの適応と検査の実際
1.CT検査実施上の注意点
2.CT検査の適応と撮像法
3.CTの進歩
III FDG-PETの適応と検査の実際
1.PET検査実施上の注意点
2.婦人科腫瘍におけるPET検査の適応
IV 妊娠中の画像検査
第2章 婦人科画像解剖
I 正常画像解剖
II 内分泌環境による変化
1.月経周期による変化
2.年齢による変化
3.内因性・外因性ホルモンによる変化
4.子宮の収縮と蠕動
5.妊娠・産褥期の変化
第3章 先天異常と遺伝性疾患
I 先天異常
1.外性器の奇形
2.ミュラー管分化異常による子宮奇形
3.卵巣の奇形
II 性分化疾患と原発性無月経
1.性分化疾患
2.性分化疾患や性器の奇形に起因しない原発性無月経
III 遺伝性腫瘍
1.遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)
2.HBOC以外の遺伝性婦人科腫瘍
第4章 子宮筋腫とその関連疾患
I 局在による分類と典型像および鑑別診断
II 変性と変異型
III 治療法の選択に際し留意すべき画像所見
第5章 子宮内膜症と子宮腺筋症
I 子宮内膜症とその関連疾患
1.臨床的事項
2.画像所見
II 子宮腺筋症
1.臨床的事項
2.画像所見
第6章 婦人科腫瘍(子宮)
I 子宮頸部の腫瘍
1.子宮頸癌の組織型、疫学、臨床的事項
2.子宮頸癌の画像所見
3.特殊な組織型の頸部腫瘍および腫瘍様病変
II 子宮体部の腫瘍および腫瘍様病変
1.主として内膜腔を占める疾患(上皮性および上皮性・間葉性混合腫瘍)
2.主として子宮筋層を占める疾患(間葉性腫瘍)
第7章 婦人科腫瘍(卵巣・卵管・腹膜)
I 「卵巣腫瘍」から「卵巣・卵管・腹膜腫瘍」へ
1.卵巣・卵管・腹膜癌の組織分類
2.骨盤内腫瘤性病変の画像診断の適応と進め方
3.卵巣・卵管・腹膜癌の疫学、臨床的事項
4.卵巣・卵管・腹膜癌のステージング
5.卵巣腫瘍の再発とその診断
II 卵巣腫瘍
1.上皮性腫瘍と上皮性・間葉性混合腫瘍
2.性索間質性腫瘍
3.胚細胞腫瘍
4.その他の腫瘍
5.腫瘍様病変
6.転移性腫瘍
III 卵管腫瘍
1.卵管腫瘍の組織型、疫学、臨床的事項
2.卵管腫瘍の画像所見
3.その他の卵管病変
IV 腹膜腫瘍
1.中皮腫瘍
2.腹膜に特有な間葉性腫瘍
3.ミュラー管型上皮性腫瘍
4.腫瘍様病変
5.転移性腫瘍
6.腹膜腫瘍と鑑別すべき病変
第8章 婦人科腫瘍(腟・外陰)
I 腟の腫瘍と腫瘍様病変
1.腟腫瘍の組織型、疫学、臨床的事項
2.腟腫瘍・腫瘍様病変(画像所見と各論)
II 外陰の腫瘍と腫瘍様病変
1.外陰腫瘍の組織型、疫学、臨床的事項
2.外陰腫瘍・腫瘍様病変(画像所見と各論)
第9章 絨毛性疾患
1.組織分類と画像所見
第10章 婦人科腫瘍に伴う合併症
I 子宮腫瘍に伴う合併症
1.子宮捻転
2.子宮内反
3.子宮動脈塞栓術に伴う子宮梗塞
II 卵巣腫瘍に伴う合併症
1.茎捻転
2.破裂
III 婦人科腫瘍の薬物療法に伴う合併症
1.細胞障害性化学療法に伴う合併症
2.分子標的薬投与に伴う合併症
3.免疫関連有害事象
4.ホルモン療法に伴う合併症
5.顆粒球コロニー刺激因子(G?CSF)投与に伴う合併症
第11章 炎症・血管障害・雑
I 炎症性疾患
1.骨盤内炎症性疾患(PID)7
2.特殊な病原体による女性性器感染症
3.他疾患の合併症・医原性疾患としての女性性器感染症
4.隣接臓器からの炎症の波及(PIDの鑑別診断)
II 血管障害
1.血栓塞栓症とTrousseau症候群
2.骨盤うっ血症候群
III 内分泌の異常
1.視床下部・下垂体の異常
2.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
3.ホルモン産生腫瘍
IV 骨盤臓器脱
第12章 妊娠に関連した母体の異常
I 異所性妊娠
1.臨床的事項
2.画像所見
II 産科合併症
1.妊娠中・周産期の産科合併症
2.産褥期の産科合併症
III 妊娠中の母体合併症
1.子宮付属器疾患
2.妊婦の急性腹症
3.妊娠中の循環動態の変化に起因する疾患
Column
1)Stewart-Trevis症候群
2)腺筋腫と腺筋症
3)Bridging vascular signのピットフォール
4)ACUMって奇形それとも腺筋症?
5)抗NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体脳炎
6)Meigs症候群とpseudo-Meigs症候群
7)頸部腺癌、それとも内膜癌の頸部浸潤?
8)Trousseau先生の数奇な生涯
9)Gossypiboma
I MRIの適応と検査の実際
1.MRI実施上の注意点
2.MRIの適応と撮像法
3.婦人科疾患の診断に有用なMRIの技術
4.悪性腫瘍の転移検索としてのMRIの有用性
II CTの適応と検査の実際
1.CT検査実施上の注意点
2.CT検査の適応と撮像法
3.CTの進歩
III FDG-PETの適応と検査の実際
1.PET検査実施上の注意点
2.婦人科腫瘍におけるPET検査の適応
IV 妊娠中の画像検査
第2章 婦人科画像解剖
I 正常画像解剖
II 内分泌環境による変化
1.月経周期による変化
2.年齢による変化
3.内因性・外因性ホルモンによる変化
4.子宮の収縮と蠕動
5.妊娠・産褥期の変化
第3章 先天異常と遺伝性疾患
I 先天異常
1.外性器の奇形
2.ミュラー管分化異常による子宮奇形
3.卵巣の奇形
II 性分化疾患と原発性無月経
1.性分化疾患
2.性分化疾患や性器の奇形に起因しない原発性無月経
III 遺伝性腫瘍
1.遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)
2.HBOC以外の遺伝性婦人科腫瘍
第4章 子宮筋腫とその関連疾患
I 局在による分類と典型像および鑑別診断
II 変性と変異型
III 治療法の選択に際し留意すべき画像所見
第5章 子宮内膜症と子宮腺筋症
I 子宮内膜症とその関連疾患
1.臨床的事項
2.画像所見
II 子宮腺筋症
1.臨床的事項
2.画像所見
第6章 婦人科腫瘍(子宮)
I 子宮頸部の腫瘍
1.子宮頸癌の組織型、疫学、臨床的事項
2.子宮頸癌の画像所見
3.特殊な組織型の頸部腫瘍および腫瘍様病変
II 子宮体部の腫瘍および腫瘍様病変
1.主として内膜腔を占める疾患(上皮性および上皮性・間葉性混合腫瘍)
2.主として子宮筋層を占める疾患(間葉性腫瘍)
第7章 婦人科腫瘍(卵巣・卵管・腹膜)
I 「卵巣腫瘍」から「卵巣・卵管・腹膜腫瘍」へ
1.卵巣・卵管・腹膜癌の組織分類
2.骨盤内腫瘤性病変の画像診断の適応と進め方
3.卵巣・卵管・腹膜癌の疫学、臨床的事項
4.卵巣・卵管・腹膜癌のステージング
5.卵巣腫瘍の再発とその診断
II 卵巣腫瘍
1.上皮性腫瘍と上皮性・間葉性混合腫瘍
2.性索間質性腫瘍
3.胚細胞腫瘍
4.その他の腫瘍
5.腫瘍様病変
6.転移性腫瘍
III 卵管腫瘍
1.卵管腫瘍の組織型、疫学、臨床的事項
2.卵管腫瘍の画像所見
3.その他の卵管病変
IV 腹膜腫瘍
1.中皮腫瘍
2.腹膜に特有な間葉性腫瘍
3.ミュラー管型上皮性腫瘍
4.腫瘍様病変
5.転移性腫瘍
6.腹膜腫瘍と鑑別すべき病変
第8章 婦人科腫瘍(腟・外陰)
I 腟の腫瘍と腫瘍様病変
1.腟腫瘍の組織型、疫学、臨床的事項
2.腟腫瘍・腫瘍様病変(画像所見と各論)
II 外陰の腫瘍と腫瘍様病変
1.外陰腫瘍の組織型、疫学、臨床的事項
2.外陰腫瘍・腫瘍様病変(画像所見と各論)
第9章 絨毛性疾患
1.組織分類と画像所見
第10章 婦人科腫瘍に伴う合併症
I 子宮腫瘍に伴う合併症
1.子宮捻転
2.子宮内反
3.子宮動脈塞栓術に伴う子宮梗塞
II 卵巣腫瘍に伴う合併症
1.茎捻転
2.破裂
III 婦人科腫瘍の薬物療法に伴う合併症
1.細胞障害性化学療法に伴う合併症
2.分子標的薬投与に伴う合併症
3.免疫関連有害事象
4.ホルモン療法に伴う合併症
5.顆粒球コロニー刺激因子(G?CSF)投与に伴う合併症
第11章 炎症・血管障害・雑
I 炎症性疾患
1.骨盤内炎症性疾患(PID)7
2.特殊な病原体による女性性器感染症
3.他疾患の合併症・医原性疾患としての女性性器感染症
4.隣接臓器からの炎症の波及(PIDの鑑別診断)
II 血管障害
1.血栓塞栓症とTrousseau症候群
2.骨盤うっ血症候群
III 内分泌の異常
1.視床下部・下垂体の異常
2.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
3.ホルモン産生腫瘍
IV 骨盤臓器脱
第12章 妊娠に関連した母体の異常
I 異所性妊娠
1.臨床的事項
2.画像所見
II 産科合併症
1.妊娠中・周産期の産科合併症
2.産褥期の産科合併症
III 妊娠中の母体合併症
1.子宮付属器疾患
2.妊婦の急性腹症
3.妊娠中の循環動態の変化に起因する疾患
Column
1)Stewart-Trevis症候群
2)腺筋腫と腺筋症
3)Bridging vascular signのピットフォール
4)ACUMって奇形それとも腺筋症?
5)抗NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体脳炎
6)Meigs症候群とpseudo-Meigs症候群
7)頸部腺癌、それとも内膜癌の頸部浸潤?
8)Trousseau先生の数奇な生涯
9)Gossypiboma
第二版の序
AI(artificial intelligence、人工知能)が世の中を席巻している。
ChatGPTに代表されるlarge language model(LLM)は人々の日々の暮らしに浸透し、毎日の献立から庭に咲き誇る花々の育て方まで様々な情報を瞬時に与えてくれる。その恩恵に浴するのは我々画像診断医も例外ではなく、「○○腫瘍のMRI所見は?」と問えば瞬時に答えが返ってくる。果たしてこのような時代に成書は必要なのであろうか? 初版の出版から5年が経過した頃から、金原出版の前担当である栗原良平氏より改訂の進捗状況をたずねられるたびに、そのようなことを逡巡しながら、1字も書けないまま数年が過ぎた。しかし、AIにhallucinationはつきものだし、特に、画像は典型例が示されるわけでもない。そして何より、がん研究会に移ってからというもの、自分自身に、特にoncologic imagingにおける学びがあった。やはりその成果をひとり占めにすることなく、放射線科や産婦人科の先生方にお伝えするのは私の責務ではないかと考え、2023年暮れから本格的に改訂に着手した。
初版から十年あまり。この間、evidence-based medicineが浸透し、各種ガイドラインが充実し、WHOの腫瘍組織型分類は遺伝子解析の成果を反映して二度改訂され、本邦の取扱い規約の改訂速度も速まった。そこで、今回はスピード感を重視するとともに最新の分類、取扱い規約、文献を反映させることに重きをおいて、集中的に執筆した。これにより読者は最新の知見を反映した画像を目にすることができるはずである。
紆余曲折はあったが、第二版の出版にあたり、日々、私の診療研究を支えてくださったすべての皆様に心から感謝申し上げたい。がん研究会有明病院画像診断部の診療放射線技師の皆様には、限られた時間内で私の無理難題に応え、すばらしい画像を撮像していただいた。竹島信宏前部長、金尾祐之現部長をはじめ婦人科の先生方の輝かしい診療実績により、全国津々浦々から多数の患者さまががん研究会に集い、また卓越した技術により腫瘍を摘除していただき、radiologic-pathologic correlationの基盤を整備していただいた。病理部の外岡暁子先生、高澤豊前部長、千葉知宏細胞診断部長には豊富な知識に裏打ちされた適切な病理診断をいただいたうえに、数々の病理組織写真をご提供いただいた。さらに、昭和医科大学名誉教授 後閑武彦先生のご厚意により、昭和医科大学江東豊洲病院では放射線診断科 長谷川真教授、産婦人科 大槻克文教授、東京医科大学茨城医療センターにおいては放射線科 菅原信二教授、産婦人科 藤村正樹前教授、二神真行教授、病理診断科 森下由紀雄教授のご指導のもと、がん研究会では経験することの少ない産科疾患や婦人科救急疾患についても研鑽することができた。そして一向に進まない改訂作業を温かく見守るとともに、初版原稿を整理していただいた金原出版の栗原良平氏、誤字・脱字も多い拙稿を成書にまとめあげてくださった吉田真美子氏、長谷川三男氏なくしては本書が世に出ることはなかったことを付記しておきたい。
猛暑に見舞われた2025年盛夏
がん研究会有明病院 画像診断部
田中 優美子
AI(artificial intelligence、人工知能)が世の中を席巻している。
ChatGPTに代表されるlarge language model(LLM)は人々の日々の暮らしに浸透し、毎日の献立から庭に咲き誇る花々の育て方まで様々な情報を瞬時に与えてくれる。その恩恵に浴するのは我々画像診断医も例外ではなく、「○○腫瘍のMRI所見は?」と問えば瞬時に答えが返ってくる。果たしてこのような時代に成書は必要なのであろうか? 初版の出版から5年が経過した頃から、金原出版の前担当である栗原良平氏より改訂の進捗状況をたずねられるたびに、そのようなことを逡巡しながら、1字も書けないまま数年が過ぎた。しかし、AIにhallucinationはつきものだし、特に、画像は典型例が示されるわけでもない。そして何より、がん研究会に移ってからというもの、自分自身に、特にoncologic imagingにおける学びがあった。やはりその成果をひとり占めにすることなく、放射線科や産婦人科の先生方にお伝えするのは私の責務ではないかと考え、2023年暮れから本格的に改訂に着手した。
初版から十年あまり。この間、evidence-based medicineが浸透し、各種ガイドラインが充実し、WHOの腫瘍組織型分類は遺伝子解析の成果を反映して二度改訂され、本邦の取扱い規約の改訂速度も速まった。そこで、今回はスピード感を重視するとともに最新の分類、取扱い規約、文献を反映させることに重きをおいて、集中的に執筆した。これにより読者は最新の知見を反映した画像を目にすることができるはずである。
紆余曲折はあったが、第二版の出版にあたり、日々、私の診療研究を支えてくださったすべての皆様に心から感謝申し上げたい。がん研究会有明病院画像診断部の診療放射線技師の皆様には、限られた時間内で私の無理難題に応え、すばらしい画像を撮像していただいた。竹島信宏前部長、金尾祐之現部長をはじめ婦人科の先生方の輝かしい診療実績により、全国津々浦々から多数の患者さまががん研究会に集い、また卓越した技術により腫瘍を摘除していただき、radiologic-pathologic correlationの基盤を整備していただいた。病理部の外岡暁子先生、高澤豊前部長、千葉知宏細胞診断部長には豊富な知識に裏打ちされた適切な病理診断をいただいたうえに、数々の病理組織写真をご提供いただいた。さらに、昭和医科大学名誉教授 後閑武彦先生のご厚意により、昭和医科大学江東豊洲病院では放射線診断科 長谷川真教授、産婦人科 大槻克文教授、東京医科大学茨城医療センターにおいては放射線科 菅原信二教授、産婦人科 藤村正樹前教授、二神真行教授、病理診断科 森下由紀雄教授のご指導のもと、がん研究会では経験することの少ない産科疾患や婦人科救急疾患についても研鑽することができた。そして一向に進まない改訂作業を温かく見守るとともに、初版原稿を整理していただいた金原出版の栗原良平氏、誤字・脱字も多い拙稿を成書にまとめあげてくださった吉田真美子氏、長谷川三男氏なくしては本書が世に出ることはなかったことを付記しておきたい。
猛暑に見舞われた2025年盛夏
がん研究会有明病院 画像診断部
田中 優美子