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テーブル回診LIVE@神戸大学感染症内科 問題の本質を探究するカンファレンス
Dr.岩田のライブ本 第2弾! 正真正銘の感染症リアルカンファ!
神戸大学感染症内科で日々行われている「テ−ブル回診」を書籍化。前作「神戸大学感染症内科版TBL」と同様、ライブとして収録。刻々と変化していく医療現場で、プロはどのようにdecision makingしていくのか。学生・研修医・フェロ−はなにを学ぶのか。診断のプロセス、議論のポイント、展開されていくロジック―「感染症診療とはなにか」を追体験できる。さらに付録として研修医へのレクチャ−、「病棟で困ったらシリーズ」も同時収載。
はじめに
登場人物紹介
■1日目 5月19日 (月)
嘔吐の原因と起因菌
治療期間の考え方
肺炎のフォロ−にCTは不要!
グラム染色の見方
肺に空洞を伴う疾患の鑑別
ニュ−モシスチス肺炎のワ−クアップと予防投与の考え方
BSLで何を学ぶか
■2日目 5月21日 (水)
アセスメントの行い方
「発熱+低酸素血症+胸水貯留」の原因は?
BSLで「勉強する」ということ
CRPはなぜ上がったのか?
可能性の高いものから考える
BLNARってなに?
検査デ−タの見方
数字は「クオリア」でみる
見た目がよくなっても
グレ−ゾ−ンの扱い方
「形式」と「仕組み」で方法を決めない
■3日目 5月22日 (木)
胆管炎の治療法
レタ−を書こう!
小児の骨髄炎の治療
ケ−スレポ−トを書こう!
患者をみるポイント
BLNARってなに?
「Look」ではなく「Observe」する
■4日目 5月23日 (金)
ESBL産生菌への抗菌薬選択
BLNARってなに?
「本質」を理解し、説明する
構造主義とはなにか?
胆管炎の治療法
AmpC産生菌と抗菌薬
■5日目 5月26日 (月)
「移植患者と感染症」のポイント
EBMとはなにか?
Best available evidenceとは
グラム染色を読むコツ
アナトミ−が大事!
スワブの培養は当てにならない!
■6日目 5月28日 (水)
なぜ抗菌薬を投与するのか?
人工呼吸器が抜管できる条件
その発熱の原因は感染症か?
血小板減少へのアプロ−チ
透析のたびに発熱?
3世代経口セフェムを使ってはいけない!
RAで胸水は溜まるのか?
「ケ−スレポ−トがある」ということが示唆すること
■7日目 5月29日 (木)
結核を疑ったら
すぐにCTを撮るべきとき
フィジカルのトレ−ニング法
3世代経口セフェムを使ってはいけない!
透析のたびに発熱?
臨床診断の重要性
血小板減少へのアプロ−チ
「良い質問」と「悪い質問」
■8日目 5月30日 (金)
化膿性脊椎炎と結核性脊椎炎
感染性動脈瘤と側頭動脈炎へのアプロ−チ
術前抗菌薬の選び方
エビデンスに階層はない
治療効果の評価基準を考える
血小板減少へのアプロ−チ
Special contents
■研修医ランチレクチャ−「病棟の〇〇で呼ばれたら」シリ−ズ
1日目 病棟の「発熱」で呼ばれたら
2日目 病棟の「発熱+腹痛」で呼ばれたら
3日目 病棟の「咳、呼吸苦、低酸素血症、喀血」で呼ばれたら
4日目 病棟の「意識障害」で呼ばれたら
あとがき
カルテNo.一覧表
日付別カルテ掲載目次
登場人物紹介
■1日目 5月19日 (月)
嘔吐の原因と起因菌
治療期間の考え方
肺炎のフォロ−にCTは不要!
グラム染色の見方
肺に空洞を伴う疾患の鑑別
ニュ−モシスチス肺炎のワ−クアップと予防投与の考え方
BSLで何を学ぶか
■2日目 5月21日 (水)
アセスメントの行い方
「発熱+低酸素血症+胸水貯留」の原因は?
BSLで「勉強する」ということ
CRPはなぜ上がったのか?
可能性の高いものから考える
BLNARってなに?
検査デ−タの見方
数字は「クオリア」でみる
見た目がよくなっても
グレ−ゾ−ンの扱い方
「形式」と「仕組み」で方法を決めない
■3日目 5月22日 (木)
胆管炎の治療法
レタ−を書こう!
小児の骨髄炎の治療
ケ−スレポ−トを書こう!
患者をみるポイント
BLNARってなに?
「Look」ではなく「Observe」する
■4日目 5月23日 (金)
ESBL産生菌への抗菌薬選択
BLNARってなに?
「本質」を理解し、説明する
構造主義とはなにか?
胆管炎の治療法
AmpC産生菌と抗菌薬
■5日目 5月26日 (月)
「移植患者と感染症」のポイント
EBMとはなにか?
Best available evidenceとは
グラム染色を読むコツ
アナトミ−が大事!
スワブの培養は当てにならない!
■6日目 5月28日 (水)
なぜ抗菌薬を投与するのか?
人工呼吸器が抜管できる条件
その発熱の原因は感染症か?
血小板減少へのアプロ−チ
透析のたびに発熱?
3世代経口セフェムを使ってはいけない!
RAで胸水は溜まるのか?
「ケ−スレポ−トがある」ということが示唆すること
■7日目 5月29日 (木)
結核を疑ったら
すぐにCTを撮るべきとき
フィジカルのトレ−ニング法
3世代経口セフェムを使ってはいけない!
透析のたびに発熱?
臨床診断の重要性
血小板減少へのアプロ−チ
「良い質問」と「悪い質問」
■8日目 5月30日 (金)
化膿性脊椎炎と結核性脊椎炎
感染性動脈瘤と側頭動脈炎へのアプロ−チ
術前抗菌薬の選び方
エビデンスに階層はない
治療効果の評価基準を考える
血小板減少へのアプロ−チ
Special contents
■研修医ランチレクチャ−「病棟の〇〇で呼ばれたら」シリ−ズ
1日目 病棟の「発熱」で呼ばれたら
2日目 病棟の「発熱+腹痛」で呼ばれたら
3日目 病棟の「咳、呼吸苦、低酸素血症、喀血」で呼ばれたら
4日目 病棟の「意識障害」で呼ばれたら
あとがき
カルテNo.一覧表
日付別カルテ掲載目次
はじめに
本書は神戸大学医学部附属病院感染症内科のテーブル回診をライブ録音し,それを元に書籍化したものです。録音は2014年5月に行われました。
感染症科,感染症内科の回診のやり方はいろいろあると思います。たぶん,日本では見たことがない,という人が圧倒的に大多数でしょう。日本には感染症科や感染症専門医がいない病院は多いですし,仮に感染症科があっても感染制御のほうがメインだったりしますから。
神戸大の感染症内科は2008 年4 月に創設されました。それ以来,感染症診療をずっとやってきました。基本的には(岩田が訓練を受けた)アメリカ型の感染症診療スタイルで,他科からのコンサルトが中心ですが,エイズなど感染症プロパーの患者の場合は自らベッドを持って入院させたりしています。本書をご覧になればおわかりいただけるように,いろいろな科からコンサルトの相談を受けたり,血液培養陽性をモニターして,こちらかコンサルトを提案したりしています。午前中にローテート中の初期研修医や感染症内科後期研修医(フェロー)が患者を診に行って,午後に指導医たちとテーブル回診をし,その後ベッドサイドに新患や問題のある患者を診に行く,というのを基本スタイルにしています。もっとも,患者は生き物なので,この原則が崩れることも多々ありますが。本書はその毎
日行っているテーブル回診の様子をライブ録音したものなのです。
指導医は現在パートタイムも含めて5 名いますが,録音当時は4 名でした(岩田,大路剛講師,松尾裕央医師,西村翔医師)。岩田は火曜日に外病院にいくため回診には参加できず,今回は2 週間分,計8 日間の回診の様子が紹介されています。
この回診はなかなか大変なものです。回診は診療の質を担保する目的と,教育の目的があります。教育はベッドサイド実習中の5,6年生,ローテートしている初期研修医,フェロー全てに行われなければならず,それぞれ医学知識も興味・関心も,求められるレベルも異なっています。それぞれ異なるニーズを同時に満たし,易しすぎにも難しすぎにもならないような回診にするのは大変です。
フェローたちは回診のあと,各科の主治医と協議したり患者のマネジメントをしたりせねばならず,延々,長々と回診すれば良いというわけにはいきません。端折るところは端折り,細かくチェックするところはチェックして,メリハリをつける必要があります。うちの科は徒に夜遅くまで仕事をするという通俗的な勤務医の労務スタイルからの脱却を目指しており,仕事を終えたらスタッフはすぐに帰宅するよう励行しています。ぼく自身,子育て中で家事・育児に従事せねばならず,夜遅くまで回診しているわけにはいきません。そういう時間的制約の中で,診療の質を落とさず,教育の質も落とさないためにはどうしたらよいか,回診は毎日工夫と努力の連続です。
教科書や講演などで感染症について情報発信している岩田ですが,実際のところ,どんな感じなの? とよく訊かれます。見学に来られるのが一番ですが(歓迎します),そうもいかない方も多いでしょう。「実際のところ」を是非本書でご覧頂きたいと思います。診断に至るまでのプロセス,議論のポイント,展開されていくロジックなど,「感染症の診療とはどのようなものか」を,追体験できるものと思います。
本書をお読みいただいた読者の皆さんは,感染症の回診なのにあまりCRPとかを使っていないことにお気づきになるでしょう。プロカルシトニンはほとんど使われていません。かといって,CRPを全然使っていないわけでもないことにも気づいていただけるでしょう。CTやMRIなどの画像検査も「必要」「不要」といった二元論で議論していないことにもお気づきいただけるでしょう。どうもときどき,「岩田は抗菌薬不要論を唱えている」とか「CRPを敵視している」といったデマをお流しになる方がおいでのようですが,「そういう話」ではないことは本書をお読みになれば,御理解いただけると思います。
ゲラを2014 年の12 月に読み直していたのですが,「今だったらこうは教えない」「こうは言わない」というところが多々ありました。5 月は研修医もフェローも不慣れなので,基本的なところができていません。なので,この時点では基本的なしつけ教育みたいなところが長々と繰り返されています。今だったら,フェローたちも感染症診療やコンサルタント業務に慣れてきたので,もうすこしサクサクと教えることができます。冬になるとコンサルトの患者も激増しますから,長々と教える余裕もありませんし。また,ぼくのほうも日々教育方法,教育観が変わってきています。半年も経つと,「もっとましな言い方」や「もっとしっくりした考え方」というものが出てくるものです。
というわけで,「うーん,こういう言い方は今ならしないなあ」というところも多々あったのですが,そこはそのまま残しました。なんといっても本書は「ライブ」なので,あとから編集を加えてしまうと,ライブ感が損なわれてしまうのです。
とはいえ,結局筆はたくさん入れました。コメントの背後にある文献的記載はできるだけ紹介しました。また,冗長な繰り返しはシンプルに読みづらいので避けました。岩田は実は無口な性格で,普段あまりしゃべりません(ホント)。宴席などでもたいくつな存在です。回診の時は,地でぺらぺら喋っているのではなく,訓練して練習したトークをエンジン全開にして喋っているのです。ネジ巻きに巻いたあと,一気呵成にしゃべっていますからすごいおしゃべり,すごいマシンガントークになります。あくまで,「演技」なんです。しかし,それはそれとして,ゲラでは繰り返しが多いのに我ながらうんざりしました。ぼくのおしゃべりは「演技」ですが,「くどくてしつこい性格」は本当だと思います。
それから,これはあくまでも内輪のトークですので,ブラックなジョークなど「外に出せない話」はわりとあります(みなさんも,あるでしょう)。あまりに誤解を生みそうなきわどいジョークは割愛し,比較的穏当なものだけ残すことにしました。ただ,あまりに「政治的に正しく」しすぎるとキレイ事になりすぎてしまうので,現代医療批判などは忌憚なく残しました。個人の医師名や医療機関名はさすがに伏せましたが。同様の理由で学生や研修医,フェローたちの名前も偽名にし,患者の個人情報に抵触するところは「非公開」にしています。
本書のコンテンツは,すでに決着のついている患者についての症例カンファレンスではなく,現在進行形の患者のマネジメントを刻々と記したものです。患者のアセスメントが途中で変わったものもありますし,岩田が露骨に間違えていたものもあります。自らの経験不足,知識不足,判断力欠如に呆然とし,苦痛に思いながらゲラを読ませていただきました。しかし,そういうのも含めて「ライブ」ですので,割愛したい衝動を抑えこんで,ここで吐露することにしました。
基本的に診療行為や診断に完璧はなく,失敗したりしくじったりしながらやるものだと思いますが,「しくじってもリスクを挽回できる」ような工夫はしているつもりです。読者の皆さんも,我々の見立てが当たった,外れた,という部分だけではなく,外れた場合にどのようにリスクヘッジしているのかにもご注目いただければ幸いです。
岩田 健太郎
本書は神戸大学医学部附属病院感染症内科のテーブル回診をライブ録音し,それを元に書籍化したものです。録音は2014年5月に行われました。
感染症科,感染症内科の回診のやり方はいろいろあると思います。たぶん,日本では見たことがない,という人が圧倒的に大多数でしょう。日本には感染症科や感染症専門医がいない病院は多いですし,仮に感染症科があっても感染制御のほうがメインだったりしますから。
神戸大の感染症内科は2008 年4 月に創設されました。それ以来,感染症診療をずっとやってきました。基本的には(岩田が訓練を受けた)アメリカ型の感染症診療スタイルで,他科からのコンサルトが中心ですが,エイズなど感染症プロパーの患者の場合は自らベッドを持って入院させたりしています。本書をご覧になればおわかりいただけるように,いろいろな科からコンサルトの相談を受けたり,血液培養陽性をモニターして,こちらかコンサルトを提案したりしています。午前中にローテート中の初期研修医や感染症内科後期研修医(フェロー)が患者を診に行って,午後に指導医たちとテーブル回診をし,その後ベッドサイドに新患や問題のある患者を診に行く,というのを基本スタイルにしています。もっとも,患者は生き物なので,この原則が崩れることも多々ありますが。本書はその毎
日行っているテーブル回診の様子をライブ録音したものなのです。
指導医は現在パートタイムも含めて5 名いますが,録音当時は4 名でした(岩田,大路剛講師,松尾裕央医師,西村翔医師)。岩田は火曜日に外病院にいくため回診には参加できず,今回は2 週間分,計8 日間の回診の様子が紹介されています。
この回診はなかなか大変なものです。回診は診療の質を担保する目的と,教育の目的があります。教育はベッドサイド実習中の5,6年生,ローテートしている初期研修医,フェロー全てに行われなければならず,それぞれ医学知識も興味・関心も,求められるレベルも異なっています。それぞれ異なるニーズを同時に満たし,易しすぎにも難しすぎにもならないような回診にするのは大変です。
フェローたちは回診のあと,各科の主治医と協議したり患者のマネジメントをしたりせねばならず,延々,長々と回診すれば良いというわけにはいきません。端折るところは端折り,細かくチェックするところはチェックして,メリハリをつける必要があります。うちの科は徒に夜遅くまで仕事をするという通俗的な勤務医の労務スタイルからの脱却を目指しており,仕事を終えたらスタッフはすぐに帰宅するよう励行しています。ぼく自身,子育て中で家事・育児に従事せねばならず,夜遅くまで回診しているわけにはいきません。そういう時間的制約の中で,診療の質を落とさず,教育の質も落とさないためにはどうしたらよいか,回診は毎日工夫と努力の連続です。
教科書や講演などで感染症について情報発信している岩田ですが,実際のところ,どんな感じなの? とよく訊かれます。見学に来られるのが一番ですが(歓迎します),そうもいかない方も多いでしょう。「実際のところ」を是非本書でご覧頂きたいと思います。診断に至るまでのプロセス,議論のポイント,展開されていくロジックなど,「感染症の診療とはどのようなものか」を,追体験できるものと思います。
本書をお読みいただいた読者の皆さんは,感染症の回診なのにあまりCRPとかを使っていないことにお気づきになるでしょう。プロカルシトニンはほとんど使われていません。かといって,CRPを全然使っていないわけでもないことにも気づいていただけるでしょう。CTやMRIなどの画像検査も「必要」「不要」といった二元論で議論していないことにもお気づきいただけるでしょう。どうもときどき,「岩田は抗菌薬不要論を唱えている」とか「CRPを敵視している」といったデマをお流しになる方がおいでのようですが,「そういう話」ではないことは本書をお読みになれば,御理解いただけると思います。
ゲラを2014 年の12 月に読み直していたのですが,「今だったらこうは教えない」「こうは言わない」というところが多々ありました。5 月は研修医もフェローも不慣れなので,基本的なところができていません。なので,この時点では基本的なしつけ教育みたいなところが長々と繰り返されています。今だったら,フェローたちも感染症診療やコンサルタント業務に慣れてきたので,もうすこしサクサクと教えることができます。冬になるとコンサルトの患者も激増しますから,長々と教える余裕もありませんし。また,ぼくのほうも日々教育方法,教育観が変わってきています。半年も経つと,「もっとましな言い方」や「もっとしっくりした考え方」というものが出てくるものです。
というわけで,「うーん,こういう言い方は今ならしないなあ」というところも多々あったのですが,そこはそのまま残しました。なんといっても本書は「ライブ」なので,あとから編集を加えてしまうと,ライブ感が損なわれてしまうのです。
とはいえ,結局筆はたくさん入れました。コメントの背後にある文献的記載はできるだけ紹介しました。また,冗長な繰り返しはシンプルに読みづらいので避けました。岩田は実は無口な性格で,普段あまりしゃべりません(ホント)。宴席などでもたいくつな存在です。回診の時は,地でぺらぺら喋っているのではなく,訓練して練習したトークをエンジン全開にして喋っているのです。ネジ巻きに巻いたあと,一気呵成にしゃべっていますからすごいおしゃべり,すごいマシンガントークになります。あくまで,「演技」なんです。しかし,それはそれとして,ゲラでは繰り返しが多いのに我ながらうんざりしました。ぼくのおしゃべりは「演技」ですが,「くどくてしつこい性格」は本当だと思います。
それから,これはあくまでも内輪のトークですので,ブラックなジョークなど「外に出せない話」はわりとあります(みなさんも,あるでしょう)。あまりに誤解を生みそうなきわどいジョークは割愛し,比較的穏当なものだけ残すことにしました。ただ,あまりに「政治的に正しく」しすぎるとキレイ事になりすぎてしまうので,現代医療批判などは忌憚なく残しました。個人の医師名や医療機関名はさすがに伏せましたが。同様の理由で学生や研修医,フェローたちの名前も偽名にし,患者の個人情報に抵触するところは「非公開」にしています。
本書のコンテンツは,すでに決着のついている患者についての症例カンファレンスではなく,現在進行形の患者のマネジメントを刻々と記したものです。患者のアセスメントが途中で変わったものもありますし,岩田が露骨に間違えていたものもあります。自らの経験不足,知識不足,判断力欠如に呆然とし,苦痛に思いながらゲラを読ませていただきました。しかし,そういうのも含めて「ライブ」ですので,割愛したい衝動を抑えこんで,ここで吐露することにしました。
基本的に診療行為や診断に完璧はなく,失敗したりしくじったりしながらやるものだと思いますが,「しくじってもリスクを挽回できる」ような工夫はしているつもりです。読者の皆さんも,我々の見立てが当たった,外れた,という部分だけではなく,外れた場合にどのようにリスクヘッジしているのかにもご注目いただければ幸いです。
岩田 健太郎
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