プライマリ・ケア医のための女性頭痛患者の診療スキルアップ
女性の頭痛をどう診てどう治療するか、プライマリ・ケア医必読!
| 編 集 |
五十嵐 久佳 |
| 定 価 |
4,400円 (4,000円+税) |
| 発行日 |
2026/05/20 |
| ISBN |
978-4-307-10230-8 |
A5判・232頁・図数:28枚
頭痛、特に片頭痛は支障度の高い疾患であり、慢性に移行すれば難治性となる。近年、片頭痛治療は急速な進歩を遂げており、いかに早期から適切な治療を開始するかが重要である。本書は女性の片頭痛有病率が男性の約3.6倍であることに着目し、女性特有の問題点を掘り下げ、女性頭痛患者をどう診てどう治療するかに重点を置いた。
女性頭痛患者の多くが最初に受診するプライマリ・ケア医に求められる診療スキルを丁寧に解説した一冊。
1章 まずは頭痛診療の基本を学ぼう
1.一番の問題は頭痛があっても受診しないこと
2.頭痛による日常生活への支障度をチェックする
3.頭痛問診票を積極的に使おう
4.頭痛ダイアリーは頭痛診療の必須アイテム
5.危険な二次性頭痛を鑑別する
6.一次性頭痛を見分ける
2章 女性の痛みを知ろう─SexとGenderからみた頭痛の性差─
1.頭痛の病態に性差はあるか
2.一次性頭痛に性差はあるか
3.頭痛の支障度に性差はあるか
4.思春期女子の頭痛の診方
5.社会的側面からみた女性頭痛診療─仕事・子育て・介護と治療アクセス─
3章 女性の頭痛治療がうまくいくコツをつかもう
1.女性のライフステージと片頭痛─overview─
2.片頭痛の治療をどのように組み立てるか─Shared‥Decision‥Making(SDM)─
3.頭痛患者への生活指導─すべての誘発因子がすべての患者に当てはまるわけではない─
4.急性期薬物療法の実際
5.予防療法の実際
6.月経時片頭痛の特徴と治療
7.妊娠・授乳中の片頭痛治療
8.更年期・閉経後の片頭痛治療で気を付けること
9.女性に多い慢性片頭痛,薬剤の使用過多による頭痛の予防と治療
10.漢方薬という選択
11.チーム医療を考えよう
4章 こんなときは専門家に相談しよう
1.こんなときは頭痛専門医に相談しよう
2.こんなときは婦人科医に相談しよう
3.こんなときは麻酔科医に相談しよう
4.こんなときは心療内科医に相談しよう
5.こんなときは歯科・口腔外科医/口腔顔面痛専門医に相談しよう
◆私の頭痛歴・家族の頭痛歴
頭痛患者でもある頭痛専門医として(粟木悦子)
母方の家系はほぼ全員片頭痛持ち(五十嵐久佳)
片頭痛がつないだもの─私と娘の物語(稲垣美恵子)
頭痛のある私も,私(渡邉由佳)
◆コラム
性差医療 “男もつらいけど女もつらい”
産業医に何ができるか
頭痛の診療ガイドラインは本当におすすめ
頭痛専門医を目指そう
索引
はじめに
頭痛、特に片頭痛は生活への支障度の高い疾患であり、慢性化すれば難治性となることが明らかにされている。近年、片頭痛の治療は急速な進歩を遂げ、国際頭痛学会からは“片頭痛発作の予防”から“片頭痛という疾患の進行の予防”を目指す、との見解が示された。そのためにはいかに早期から適切な治療を開始するかが極めて重要である。しかし、実は片頭痛患者の70〜80%は医療機関を受診していない。そして、受診する
場合はプライマリ・ケア医のところが最も多いというデータがある。したがって、プライマリ・ケア医が治療向上のカギを握る、といっても過言ではない。
『頭痛の診療ガイドライン2021』のCQ1-4として「プライマリ・ケア医および歯科医は頭痛医療にどう取り組むか」という項目がある。そこには、プライマリ・ケア医はまずは一次性頭痛か二次性頭痛かを鑑別し、緊急性を要するものは速やかに専門医へ紹介すること、また一次性頭痛のなかでも片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛を診断し、各患者に合わせた治療計画を考えることが要求される、と記載されている。このCQを読むと、ハードルが高い、と頭痛診療に躊躇なさる先生方もいらっしゃることと思う。
一次性頭痛のなかで群発頭痛は男性に多いが、片頭痛と緊張型頭痛は女性での有病率が男性より高い。特に片頭痛は世界的にも女性は男性の2?3倍である。そして、外来を受診する患者の多くは片頭痛を抱えている。本書の特徴は、性差医療の視点から女性特有の問題点を掘り下げ、“女性頭痛患者をどう診てどう治療するか”に重点を置いた点である。1章では頭痛診療の基本、2章では性差からみた頭痛について社会的側面も含めて先生方にまとめていただいた。また、3章では頭痛の治療について、特に女性のライフステージに応じた片頭痛の治療につき記載していただき、4章ではどのような患者を他科に依頼すればよいか、またそれぞれの専門外来ではどのような治療が行われるかにつき述べていただいた。
本書をご覧いただき、お気付きになる読者の方もいらっしゃるかと思うが、執筆者はすべて女性医師である。企画をいただいた時点では単独での執筆依頼であったが、全国には頭痛医療に真摯に取り組んでいる多くの女性医師がいることを非専門医の先生方にもぜひ知っていただきたいとの思いがあり、各項目を気鋭の先生方にご担当いただいた。エビデンスに基づいた標準的な内容を基本としているが、原稿を通読すると、随所に日々の診療で役立つ実践的な工夫やコツも盛り込まれている。また、表紙は厄除け、魔除け、再生の意味を持ち、特に女性の身を守るといわれるうろこ模様とした。
本書がプライマリ・ケア医、頭痛専門医を目指す医師の日常診療の一助となり、一人でも多くの頭痛に悩む患者のQOL向上につながることを願っている。
2026年4月
富士通クリニック内科(頭痛外来)/北里大学医学部脳神経内科学 客員教授
五十嵐 久佳