レジリアンス・文化・創造
『レジリアンス─現代精神医学の新しいパラダイム』待望の姉妹編! 最高の執筆陣!
編 著 |
加藤 敏 |
定 価 |
3,080円 (2,800円+税) |
発行日 |
2012/05/25 |
ISBN |
978-4-307-15066-8 |
A5判・224頁
1)『レジリアンス─現代精神医学の新しいパラダイム』を補完する著作と位置づけることが可能な本書は、最初の著作に比べ、より、臨床心理や看護にかかわる方、人文科学系の勉強をしている方、また研究をされる方にも接近しやすいもので、レジリアンスについての入門書としても読むことができると思います。
2)本書では、オートポイエーシス理論で著名な哲学者河本英夫(東洋大学哲学科教授)、音楽療法のすぐれた理論家であり実践家である稲田雅美(同志社女子大学学芸学部教授)、またレジリアンスの概念を先取りしたネオヒポクラティズムの提唱者である八木剛平(翠星ヒーリングセンター)、広汎性発達障碍の研究を意欲的に進めている石川元(香川大学附属病院子どもと家族・こころの診療部教授)、多文化間精神医学の卓越した論客である下地明友(熊本学園大学大学院福祉環境学専攻教授)をはじめ第一線で活躍をしている方々が、それぞれの立場からレジリアンスについて独自の考えを展開しています。
3)レジリアンスはパーソナリティを成長させるしなやかな力動性をそなえています。最近、トラウマをかかえた人がこれを克服することにより人格的な成長を遂げる現象をふまえ、外傷後成長(posttraumatic grouth, PTG)という概念が提唱されています。レジリアンスから発展した類縁概念といえるPTGは、レジリアンスと同様に普及する機運にあるように思います。
第1部 文化・社会とレジリアンス
第1章 レジリアンス・病い・文化─レジリアンスの医療人類学
第2章 文化の諸相とレジリアンス
第3章 現代人のヒュブリス(思い上がり)と外傷後成長─三・一一に触発されて
第2部 トラウマとレジリアンス
第4章 家族・個人のレジリアンス(靭性)とナチスの健康医学―ハンブルガ−とアスペルガ−による教訓
第5章 高機能自閉症・アスペルガ−症候群におけるレジリアンス─テンプル・グランディンに学びながら
第6章 移民の子どものレジリアンス─その臨床的問題とフランスにおける治療システム
第3部 語りとレジリアンス
第7章 レジリアンスの視点からみた統合失調症の手記
第8章 戦争トラウマの語りとレジリアンス
第9章 経験の可能性の拡張とレジリアンス
第4部 音楽の創造性とレジリアンス
第10章 音楽と言語が紡ぎ出す創造空間─芸術療法にみるレジリアンスの萌芽
第11章 音楽創造の症候学、自己治癒、霊的体験─音楽創造の治療的側面
第12章 日常生活の創造性─チャールズ・アイヴズとジャチント・シェルシ