職場結合性うつ病
今日求められている職場のメンタルヘルスの指南書!!
著 者 |
加藤 敏 |
定 価 |
3,080円 (2,800円+税) |
発行日 |
2013/04/01 |
ISBN |
978-4-307-15068-2 |
A5判・228頁・図数:20枚
昨今、仕事が過重となり心身の疲弊の末にうつ病を発症するケースが著しく増加してきており、そうしたうつ病を、職場の仕事に結合したうつ病という意味で「職場結合性うつ病」と名付けた。職場におけるうつ病、ないし気分障碍の病態がいかに生じるのかについて多角的に論じ、次いでいかに対応をするのが適切なのか、自殺予防にもふれている必読の書。
〔まえがき〕
1編 職場結合性気分障碍 職場結合性うつ病・双極障碍
第1章 職場結合性うつ病の病態と治療
I.職場結合性うつ病の病態
II.裂開相と内閉相
III.治療
第2章 職場関連の気分障碍の諸病態―双極性障碍、混合状態、社会恐怖、抑うつ神経症
I.最新の疫学知見
II.職場結合性双極障碍
III.職場での仕事の中で発症する若いサラリ−マンのうつ病、抑うつ神経症
第3章 職場における気分障碍(うつ病・双極性障碍)の統計知見
I.入院患者に占める職場関連のうつ病の頻度、発病契機、病型、病前性格
II.発病過程 転帰
III.グロ−バル化する職場結合性気分障碍
おわりに
第4章 うつ病の症状と寛解
I.寛解概念の精神医学史的検討
II.うつ病概念の再検討
III.うつ病の残遺症状、ないし遷延症状の本態をめぐる議論
IV.寛解(remission)、回復(recovery)を導くための指針
V.抗うつ剤の作用と自然寛解
おわりに
第5章 職場結合性気分障碍(うつ病、双極性障碍)における自殺予防
I.疫学的知見
II.職場結合性うつ病の人格特性、神経衰弱性の要素
III.不安・焦燥優位のうつ病
IV.DSM、ICDにおけるうつ病診断のためのクライテリアの問題
V.自殺(企図)の危険期の再検討
VI.クレイネス曲線の理解と気分障碍における自殺危険期
VII.治療指針、自殺予防
2編 神経衰弱とパニック障碍、うつ病
第6章 グロ−バル化のもとでの「パニック障碍」の出現―神経衰弱からパニック障碍へ
I.現代のパニック障碍、不安障碍
II.アメリカでの神経衰弱に引き続くパニック障碍の導出
III.パニック障碍の概念の前史
IV.ドイツ語圏における神経衰弱からの不安発作の主題化
第7章 現代日本におけるパニック障碍とうつ病―今日的な神経衰弱
I.神経衰弱の性格を帯びる現代のパニック障碍
II.神経衰弱の性格をもつ現代のうつ病
III.不安・焦燥型うつ病に好発するパニック(様)発作
VI.裂開相において出現するパニック障碍
V.日本の明治中期から大正期における神経衰弱
第8章 現代の仕事、社会の問題はどのように精神疾患に影響を与えているか
I.「職場結合性精神障碍」の登場
II.精神疾患促進的な現代の職場
III.円環的時間に代わる右肩上がりの直線的時間
IV.「第二の神経衰弱」のグロ−バル化
おわりに
3編 現代社会の病理
第9章 視線の過剰・身体の変質・医学的言説の優位
I.視線の過剰、父性の低落
II.医学的言説の優位
III.「欲動と精神の不調和」
第10章 現代社会における喪の作業と「正常な抑うつ」
I.正常な抑うつ、悲しみ
II.アウグスティヌスにおける抑うつと喪の作業
III.ミシェル・ドゥギ−の「尽き果てることなき」喪の作業
文献
〔あとがき〕
初出一覧
索引