症例に学ぶ精神科診断・治療・対応
多数の症例報告を厳選し幅広くとりあげた臨床医必携の「生きた症例に学ぶ精神医学教科書」。
監 修 |
加藤 敏 |
定 価 |
9,900円 (9,000円+税) |
発行日 |
2015/03/10 |
ISBN |
978-4-307-15071-2 |
B5判・480頁
各セクションは「教科書」を意識して主要な精神疾患や時代病理を強く反映している臨床上のジャンルに分類した。 その内容は神経症、気分障碍、統合失調症、器質性・症状性精神障碍やコンサルテ−ション・リエゾン精神医学、また絵画療法、コラ−ジュ療法、音楽療法などの芸術療法、集団精神療法、社会生活技能訓練までをカバ−。本書は21世紀初頭に経験された症例デ−タベ−スとして、また患者さんの個別性を尊重した実りある治療に役立つ情報源として、精神科医の日々の診療に必携の書となっている。
序
第1部 序 説
1.治療同盟の確立、医師─患者関係
2.暗黙の裡に生じる陽性転移、陰性転移、逆陽性転移、逆陰性転移
3.遺伝子−言語複合体」としての人間主体をふまえた薬物療法・非薬物療法
第2部 神経症圏
1.児童思春期の摂食障碍に対する心理教育クリニカルパス
2.Refeeding syndromeを呈した神経性無食欲症
3.重篤な身体合併症を呈し、長期入院を余儀なくされた神経性食欲不振症
4.糖尿病治療中に発症する摂食障碍
5.外国訛症候群を呈した解離性障碍
6.修正型電気けいれん療法が著効した重症強迫性障碍妊婦
7.身体表現性障碍と虚偽性障碍の混在例の精神療法
8.知的障碍を持つ思春期症例に認めた偽発作
9.心因性非てんかん発作とてんかん発作の鑑別に役立つ臨床症状
第3部 気分障碍とその周辺
1.軽微双極性障碍(soft bipolar disorder)の鑑別と生活歴
2.躁うつ病化する非定型精神病
3.心筋梗塞を併発したうつ病
4.うつ病と腰痛
5.自己愛性パ−ソナリティ障碍との鑑別が問題となった内因性うつ病
6.自閉症スペクトラム障碍と気分障碍との関連
7.非定型精神病像を伴う気分障碍
8.緊張病性亜昏迷状態を呈し統合失調症が疑われた若年周期精神病
9.約13年にわたり増悪寛解を繰り返した口腔内寄生虫妄想
第4部 統合失調症
1.「発病期の核心点」の反復的想起
2.身近な仲間の中での「中心化(─局外化)」
3.統合失調症における虚偽主題
4.顔貌随伴幻聴
5.加害的自生視覚表象
第5部 老年精神医学
1.うつ病?認知症移行領域
2.レビ−小体型認知症における幻視と心理的緊張(Janet)の関係
3.一連の喪失体験ののち初老期に発症した強迫性障碍
4.緊張病様病像が挿間的に前景化するせん妄を繰り返した陳旧性脳塞栓
5.行為言表性幻聴を主徴とする老年期精神病
6.食べ物の色に関する妄想知覚を主症状とした高齢初発統合失調症
第6部 器質性・症状性精神障碍
1.全身性エリテマト−デス随伴精神症状の理解
2.パニック障碍との鑑別が問題となった脳脊髄液減少症
3.心因性の昏迷状態との鑑別に苦慮した神経梅毒
4.ひきこもりと精神症状のため統合失調症が疑われた急性散在性脳脊髄炎
5.一級症状を呈した抗NMDA受容体脳炎
6.「心の問題」として見逃されたナルコレプシ−
第7部 リエゾン精神医学
1.コンサルテ−ション・リエゾン精神医療における語りと聴取
2.昏迷における身体表出の諸相
3.うつ病再発と診分けるのが困難であった緑内障発作
4.脳炎に続発した二次性躁病
5.長期透析経過中に現れた妄想性障碍
6.その経過中血清creatine kinaseが正常範囲で推移した悪性症候群
7.高カルシウム血症による末期がん患者のせん妄
8.妊娠/産科入院を機にメンタル不調を呈した人への支援
第8部 芸術療法・集団精神療法
1.太陽体験を呈した統合失調症
2.統合失調症のコラ−ジュと描画との比較
3.幻想的語りをする末期がん患者に対する音楽療法
4.箱庭療法の導入により治癒に至った神経性無食欲症
5.病棟ミ−ティングにおける未熟型うつ病患者の攻撃性の表出とその対応
6.散歩療法が奏効した回復期うつ病
第9部 社会精神医学
1.母国同一性の混乱を背景にうつ病を発症した在日日系ラテンアメリカ人
2.不十分な異文化適応を背景として事例化した青年例
3.近親者との死別による憑依体験
4.「インタ−ネット体験」を呈した初老期幻覚妄想状態
5.東日本大震災を契機に発症した職場結合性気分障碍
6.統合失調症圏の病態における放浪
初出一覧
あとがき