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ワクチンと予防接種のすべて 第3版 見直されるその威力
ワクチン全体の最新の解説書。臨床分野を増強して待望の改訂!
編 著 | 尾内 一信 / 高橋 元秀 / 田中 慶司 / 三瀬 勝利 |
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定 価 | 4,950円 (4,500円+税) |
発行日 | 2019/10/15 |
ISBN | 978-4-307-17074-1 |
B5判・276頁・図数:97枚
在庫状況 | あり |
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本書は初版刊行から10年、好評裡に改訂を重ねてきた。今改訂では、臨床面とワクチンの現状に詳しい編著者を新たに迎え、臨床や新薬審査分野の記述の強化を図った。また日本のワクチン分野での激しい変化と新情報に対応し、最新の図表やデータ等を用いて内容を見直した。近年話題の新ワクチンの承認制度などにも正面から踏み込み、その解決案なども提案している。病原微生物学の紹介と医学生物学の啓蒙書も兼ねた、多くの人に必読の書!
巻頭付表 わが国で使用されている主なワクチンの種類
(2016年10月以降〜 2019年2月現在)
第1部 ワクチン概論─予防接種の昨日、今日、明日─ ワクチン分野は完全に新しい時代を迎えている
第1章 ワクチン開発の歴史と、安全面でも優れた多様なワクチン
第2章 ワクチンの効果と予防接種の役割
第3章 医薬品としてのワクチン─ワクチンの承認審査─
第4章 ワクチンの分類とワクチンに含まれる成分
第5章 予防接種の副作用で健康被害を受けた人たちに対してなすべきこと
第2部 ワクチン各論─種々多様なワクチン─
第1章 わが国で承認・使用されている主なワクチン完全ではない/高病原性H5N1 ウイルスも変異を起こしやすいヒト- ヒト感染を起こすH5N1 ウイルスは出現するだろうか?/別の新型トリインフルエンザウイルスH7N9 型が中国で発生、多数の犠牲者を出した
第2章 トラベラーズワクチン(海外渡航時に使うワクチン)
第3章 近く導入が期待されている新ワクチン
第4章 新興感染症用ワクチンとバイオテロ用ワクチン
第5章 これからのワクチン─多種混合ワクチンの開発と注射によらない接種法の考案─多種混合ワクチン/期待される接種ルート、経鼻と経皮/DNA ワクチン/食べるワクチン
第6章 抗毒素抗体と急増する抗体医薬
第7章 人獣共通感染症の予防対策と動物用ワクチン
第3部 予防接種時の注意とワクチン関連の法令
第1章 予防接種時の注意事項
第2章 予防接種関連の法規制
第4部 予防接種に関するQ&A
Q&A 1〜30
巻末(見返し)付表 日本の定期/任意予防接種スケジュール
Column
(2016年10月以降〜 2019年2月現在)
第1部 ワクチン概論─予防接種の昨日、今日、明日─ ワクチン分野は完全に新しい時代を迎えている
第1章 ワクチン開発の歴史と、安全面でも優れた多様なワクチン
第2章 ワクチンの効果と予防接種の役割
第3章 医薬品としてのワクチン─ワクチンの承認審査─
第4章 ワクチンの分類とワクチンに含まれる成分
第5章 予防接種の副作用で健康被害を受けた人たちに対してなすべきこと
第2部 ワクチン各論─種々多様なワクチン─
第1章 わが国で承認・使用されている主なワクチン完全ではない/高病原性H5N1 ウイルスも変異を起こしやすいヒト- ヒト感染を起こすH5N1 ウイルスは出現するだろうか?/別の新型トリインフルエンザウイルスH7N9 型が中国で発生、多数の犠牲者を出した
第2章 トラベラーズワクチン(海外渡航時に使うワクチン)
第3章 近く導入が期待されている新ワクチン
第4章 新興感染症用ワクチンとバイオテロ用ワクチン
第5章 これからのワクチン─多種混合ワクチンの開発と注射によらない接種法の考案─多種混合ワクチン/期待される接種ルート、経鼻と経皮/DNA ワクチン/食べるワクチン
第6章 抗毒素抗体と急増する抗体医薬
第7章 人獣共通感染症の予防対策と動物用ワクチン
第3部 予防接種時の注意とワクチン関連の法令
第1章 予防接種時の注意事項
第2章 予防接種関連の法規制
第4部 予防接種に関するQ&A
Q&A 1〜30
巻末(見返し)付表 日本の定期/任意予防接種スケジュール
Column
第3版・序
月並みな言葉ですが、月日が経つのは早いもので、『ワクチンと予防接種の全て』の初版が2009年7月に刊行されて早くも10年以上の月日が流れています。その間、2013年の夏には改訂第2版が刊行されています。この10年の間には、日本のワクチン分野では激しい変化がありました。中でも新しいワクチンが次々と承認され、多くの人に接種されるようになってきたことが眼を引きます。同時に、2013年以降、特に顕著になった傾向としては、任意接種ワクチンから、定期接種ワクチンに昇格したワクチンが増加してきたことが挙げられます。
こうした情勢の変化のために、記述が現状に適合しなくなっているという意見も頂くようになりました。今回新たに刊行した改訂第3版では、過去の記述を全面的に見直し書き直すとともに、新情報を収載しています。理解を容易にするために、新たに多数の図表を加えています。執筆陣にも尾内一信と高橋元秀が加わり、従来からの弱点であった臨床分野や新薬審査分野の記述の強化が図られました。
本書の刊行以降、起こったもう一つの顕著な変化としては、一般の人たちの間にあったワクチンに対する拒否反応が弱まったように思われることです。ワクチンは抗菌薬以上に医療分野に偉大な貢献をなしてきましたが、我が国では過去に重大な予防接種による副作用事件が出たこともあって、国民の間にワクチンに対する拒否反応が蔓延していました。こうした拒否反応に適正な処置が取られなかったために、日本は世界でもまれなワクチン後発国になり下がっていましたが、近年は徐々にワクチンラグも解消に向かいつつあります。国民の健康に資するという観点からは好ましい傾向です。さりながら、我が国では、新ワクチンの承認制度などに少なからぬ問題を残しています。それが端的に表れたのが、近年メディアの話題をさらった子宮頸がんワクチンの副作用裁判や、化血研などのGMP違反事件です。本書では、これらの事件についても正面から取り扱っており、その解決案なども提案しています。
初版の『序』でも書いたことですが、ワクチンは今後も医療分野で、ますます重要な役割を果たすことは確実です。近年は乱用によって、抗菌薬が効かない病原細菌が多くなっています。こうした手強い細菌どもを制御するためには、ワクチンが重要な役割を果たすはずです。また、死亡率が高いエボラ出血熱やマーズの国内侵入も懸念されています。危険なウイルス性疾患に効果のある治療薬はほとんど無く、ワクチン以外に有力な防止対策は存在しないというのが現状です。がんや心疾患をはじめとする循環器疾患や、リュウマチなどの自己免疫疾患なども、微生物感染が引き金を引くことがあるのです。がんの場合は、先に触れた子宮頸がんだけでなく、肝臓がんの大半も肝炎ウイルスの感染によって発症することが明らかになっています。心疾患や脳血管障害もある種の微生物が血管などに感染し、損傷を与えることが原因の一つではないかと言われ始めました。こうした様々な病気を起こす微生物をワクチンで制御できれば大変な朗報でしょう。今後は生活習慣病も、ある程度ワクチンで予防できる時代が来るはずです。
事態は改善されつつありますが、日本は依然としてワクチン後発国に留まっています。日本人は感染症が流行すると大騒ぎをするくせに、感染症の予防にはあまりお金をかけたがらない人種のようです。国民の一部に存在するワクチンに対する不信感が、こうした事態を招いてきたのです。不信感が生じている理由の一つは、完全に副作用のないワクチンができるはずだという誤解からも来ているようです。過去に起こったワクチンの副作用禍を、ジャーナリストが過大に取り上げたことも不信感を増幅しました。ワクチンのもつ大きな可能性を広く認識し、ワクチンの本質と限界を理解してもらうことを通じて、ワクチンに対する不信感を除く必要があります。それが本書の刊行を続けている最大の目的です。
本書は病原微生物学の紹介を兼ねたワクチン全体の解説書でもあります。感染症を専門にする医療関係者には常識的と思われるところも少なくありませんが、多くの人々にワクチンの重要性を認識して欲しいと考え、初歩から書き起こしています。その点はお許し願いたいのです。また、専門的と思われる箇所は「コラム」で説明しました。すでにワクチン関係の本は何冊も刊行されていますが、それらはワクチン接種を行う医療関係者向けの実用書か、子どもに予防接種を受けさせる保護者向けの説明書です。ワクチンに関する全体的な解説書がないことが、ワクチンに対する誤解を助長していると思います。本書を読まれることによって、多くの方々にワクチンに関する理解と関心が得られれば、それは我々にとって大きな喜びです。
改訂第2版と同様に本書の構成も4部に分かれており、予防接種全体に対する多様な内容を含んでいます。このため、項目の表題から、関心のあるところを拾い読みできるようにも工夫しています。また、巻末には索引をつけていますので、多忙な方は興味のある項目を索引から見つけて読まれても良いでしょう。索引では、主要な解説がされているページは太字で示してあります。本書の第1部では、ワクチンの全体像と予防接種の目的などについて、総論的な解説をしています。第2部では、個別のワクチンごとに、ワクチンの効果や副作用、使用目的などを紹介しています。この中には現在、使用されているワクチンだけでなく、これから登場すると思われるワクチンも含まれます。本書の中心をなす部分です。第3部では、予防接種における微生物学の立場からの具体的な注意事項と、ワクチン関係の法律などを取り扱っています。最後の第4部では、多くの人が持つワクチンに関する疑問を、一問一答形式で回答しています。なお、本書は医学生物学の啓蒙書を目指しており、科学者の人名はすべて敬称を略しています。
改訂第3版の刊行は、初版と改訂第2版の主著者であり、国立感染症研究所の所長でもあった故・大谷 明の存在を抜きにしては考えられません。本書の共著者4人はいずれも大谷 明の指導を受けた者であり、本書を、感謝の念をもって大谷にささげます。また、金原出版編集部の大塚めぐみさんには一方ならずお世話になり、立派な本を上梓していただいたことに対し、ここに謹んでお礼申し上げる次第です。
2019年8月
著者識
月並みな言葉ですが、月日が経つのは早いもので、『ワクチンと予防接種の全て』の初版が2009年7月に刊行されて早くも10年以上の月日が流れています。その間、2013年の夏には改訂第2版が刊行されています。この10年の間には、日本のワクチン分野では激しい変化がありました。中でも新しいワクチンが次々と承認され、多くの人に接種されるようになってきたことが眼を引きます。同時に、2013年以降、特に顕著になった傾向としては、任意接種ワクチンから、定期接種ワクチンに昇格したワクチンが増加してきたことが挙げられます。
こうした情勢の変化のために、記述が現状に適合しなくなっているという意見も頂くようになりました。今回新たに刊行した改訂第3版では、過去の記述を全面的に見直し書き直すとともに、新情報を収載しています。理解を容易にするために、新たに多数の図表を加えています。執筆陣にも尾内一信と高橋元秀が加わり、従来からの弱点であった臨床分野や新薬審査分野の記述の強化が図られました。
本書の刊行以降、起こったもう一つの顕著な変化としては、一般の人たちの間にあったワクチンに対する拒否反応が弱まったように思われることです。ワクチンは抗菌薬以上に医療分野に偉大な貢献をなしてきましたが、我が国では過去に重大な予防接種による副作用事件が出たこともあって、国民の間にワクチンに対する拒否反応が蔓延していました。こうした拒否反応に適正な処置が取られなかったために、日本は世界でもまれなワクチン後発国になり下がっていましたが、近年は徐々にワクチンラグも解消に向かいつつあります。国民の健康に資するという観点からは好ましい傾向です。さりながら、我が国では、新ワクチンの承認制度などに少なからぬ問題を残しています。それが端的に表れたのが、近年メディアの話題をさらった子宮頸がんワクチンの副作用裁判や、化血研などのGMP違反事件です。本書では、これらの事件についても正面から取り扱っており、その解決案なども提案しています。
初版の『序』でも書いたことですが、ワクチンは今後も医療分野で、ますます重要な役割を果たすことは確実です。近年は乱用によって、抗菌薬が効かない病原細菌が多くなっています。こうした手強い細菌どもを制御するためには、ワクチンが重要な役割を果たすはずです。また、死亡率が高いエボラ出血熱やマーズの国内侵入も懸念されています。危険なウイルス性疾患に効果のある治療薬はほとんど無く、ワクチン以外に有力な防止対策は存在しないというのが現状です。がんや心疾患をはじめとする循環器疾患や、リュウマチなどの自己免疫疾患なども、微生物感染が引き金を引くことがあるのです。がんの場合は、先に触れた子宮頸がんだけでなく、肝臓がんの大半も肝炎ウイルスの感染によって発症することが明らかになっています。心疾患や脳血管障害もある種の微生物が血管などに感染し、損傷を与えることが原因の一つではないかと言われ始めました。こうした様々な病気を起こす微生物をワクチンで制御できれば大変な朗報でしょう。今後は生活習慣病も、ある程度ワクチンで予防できる時代が来るはずです。
事態は改善されつつありますが、日本は依然としてワクチン後発国に留まっています。日本人は感染症が流行すると大騒ぎをするくせに、感染症の予防にはあまりお金をかけたがらない人種のようです。国民の一部に存在するワクチンに対する不信感が、こうした事態を招いてきたのです。不信感が生じている理由の一つは、完全に副作用のないワクチンができるはずだという誤解からも来ているようです。過去に起こったワクチンの副作用禍を、ジャーナリストが過大に取り上げたことも不信感を増幅しました。ワクチンのもつ大きな可能性を広く認識し、ワクチンの本質と限界を理解してもらうことを通じて、ワクチンに対する不信感を除く必要があります。それが本書の刊行を続けている最大の目的です。
本書は病原微生物学の紹介を兼ねたワクチン全体の解説書でもあります。感染症を専門にする医療関係者には常識的と思われるところも少なくありませんが、多くの人々にワクチンの重要性を認識して欲しいと考え、初歩から書き起こしています。その点はお許し願いたいのです。また、専門的と思われる箇所は「コラム」で説明しました。すでにワクチン関係の本は何冊も刊行されていますが、それらはワクチン接種を行う医療関係者向けの実用書か、子どもに予防接種を受けさせる保護者向けの説明書です。ワクチンに関する全体的な解説書がないことが、ワクチンに対する誤解を助長していると思います。本書を読まれることによって、多くの方々にワクチンに関する理解と関心が得られれば、それは我々にとって大きな喜びです。
改訂第2版と同様に本書の構成も4部に分かれており、予防接種全体に対する多様な内容を含んでいます。このため、項目の表題から、関心のあるところを拾い読みできるようにも工夫しています。また、巻末には索引をつけていますので、多忙な方は興味のある項目を索引から見つけて読まれても良いでしょう。索引では、主要な解説がされているページは太字で示してあります。本書の第1部では、ワクチンの全体像と予防接種の目的などについて、総論的な解説をしています。第2部では、個別のワクチンごとに、ワクチンの効果や副作用、使用目的などを紹介しています。この中には現在、使用されているワクチンだけでなく、これから登場すると思われるワクチンも含まれます。本書の中心をなす部分です。第3部では、予防接種における微生物学の立場からの具体的な注意事項と、ワクチン関係の法律などを取り扱っています。最後の第4部では、多くの人が持つワクチンに関する疑問を、一問一答形式で回答しています。なお、本書は医学生物学の啓蒙書を目指しており、科学者の人名はすべて敬称を略しています。
改訂第3版の刊行は、初版と改訂第2版の主著者であり、国立感染症研究所の所長でもあった故・大谷 明の存在を抜きにしては考えられません。本書の共著者4人はいずれも大谷 明の指導を受けた者であり、本書を、感謝の念をもって大谷にささげます。また、金原出版編集部の大塚めぐみさんには一方ならずお世話になり、立派な本を上梓していただいたことに対し、ここに謹んでお礼申し上げる次第です。
2019年8月
著者識
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ワクチン分野や感染症分野での新しい情報を随時追加いたします。下記よりご覧いただけます。
「ワクチンと予防接種のすべて」掲示板 その1(2019年11月14日)
「ワクチンと予防接種のすべて」掲示板 その2(2020年1月27日)
「ワクチンと予防接種のすべて」掲示板 その3(2020年4月10日)
「ワクチンと予防接種のすべて」掲示板 その4(2020年7月30日)
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