Copyright© KANEHARA & Co., LTD. All Rights Reserved.
子どものカゼのトリセツ
「小児トリセツ」のスピンオフ! 会話劇で学ぶカゼ診療のリアル
監 修 | 笠井 正志 |
---|---|
著 者 | 伊藤 健太 |
定 価 | 3,740円 (3,400円+税) |
発行日 | 2023/09/21 |
ISBN | 978-4-307-17080-2 |
B6変判・204頁
在庫状況 | あり |
---|
評者:永田 理希(希惺会ながたクリニック院長・感染症倶楽部シリーズ統括代表)
風邪の書籍といえば、2012〜2013 年に上梓された山本舜吾先生、岸田直樹先生による感染症内科/総合診療内科視点の風邪に紛れ込む重症疾患、稀な疾患、高齢者化社会の風邪診療を主軸にした2 大バイブル書があります.
2021 年には拙著『風邪を診るすべての医療従事者のためのPhase で見極める!小児と成人の風邪の診かた& 治しかた』(日本医事新報社)を上梓しました.プライマリケア/耳鼻咽喉科視点のおとなとこどもの風邪診療、細菌性気道感染症診療を主軸に、日常診療の大半を占める風邪/気道細菌感染症の診かた/薬/検査の「なんで? どうみる?」を突き詰めた書籍です.これを世に出した際に、笠井正志先生に「やられた〜!」という言葉をいただき、頑張った甲斐があったなあと喜んでいました.しかし、あれもこれもと伝えたいことを書籍化したら分厚くなってしまい、気軽に読みにくいかもしれないという反省点も…….
そんな中、2023 年9 月に笠井正志先生監修、伊藤健太先生著による小児科/小児感染症科視点の『子どものカゼのトリセツ』が笠井ブランドのトリセツシリーズのスピンオフとして、上梓されたのです! それを知ったときには、「やられ返された〜!」と.
著者の伊藤医師とキャラの立った男女の研修医の3 人が、現場の“あるある”な話題や疑問をうまく掛け合いながら、論文を引用しつつ、現場のリアル感を絶妙に出しつつ、読者の日々の疑問を導いてしまう寸劇風のわかりやすい書籍です! そして、ところどころに30〜50 歳台前半にドンピシャの小ネタが散りばめられています.
これを読んで、実はこの書籍のターゲットは、臨床現場に1 人立ちして風邪診療外来を始め、日々の診療の中、心の奥底で「本当にコレでいいのか?」と疑問に感じている6 年目〜20 年目層なのだろうと思いました.
あとがきに書いてあるようにこれからの小児を診る医師は、「アレルギー・発達障害・カゼ」に質の高い診療をするスキルを身に着ける必然性と必要性があり、この世代はその未来を担っていかねばならない層であると私も実感しています.
研修医やベテラン医師の先生方は散りばめられた小ネタには「??」の世代かもしれませんが、学びと気づきのためには必携な内容となっており、ぜひ、一読いただきたい書籍です!
一気に最後まで読み通せる読みやすさ、それでいて重要なポイントは抜けることなく、そして、研修医という登場人物を通した本音?などが投入されています.著者の伊藤健太先生の素晴らしい文才と構成力は素晴らしく、そして、それらをバックアップする監修の笠井正志先生に「倍返しだ!」と私に突きつけられた感と、また、ともに感染症教育に想いのある仲間としての熱いメッセージを受け止めました.
両先生とそのゆかいな仲間たちの企画力とバイタリティーがあれば、この書籍の内容でこのまま学会などで寸劇が出来るはず♪ いや、本当にやってしまいそう、○○ネットテレビあたりで企画もありかも^_^
その際には、ぜひ、混ぜてください(^^)
風邪診療は、1 人外来診療であるがゆえにブラックボックス.そして、基本は自然に治癒する感染症がゆえに、診れている/出来ている気になってしまいがち…….日本の医療費も限界にきており、やみくもに受診させ、検査、薬を出せばいい時代ではない.いまや外来耐性菌時代でもあり、根拠なく抗菌薬を処方する時代でもない.小児の一般外来診療や時間外救急診療のほとんどが発熱/風邪診療である事実をふまえ、本書はそのブラックボックスをさりげなく、ぶち壊し、明るみに出してくれちゃっています!
本書での最大のメッセージは「カゼ診療で患者・家族、幸せにしたい」という想い.本気で風邪を診るということは、人や社会を診るということにもつながる.本書を読めば、あなたの中にも必ずカゼコラミンが分泌してきます! みんなで出そうカゼコラミン!
<小児科 Vol.64 No.12、2023年12月号、金原出版より転載>
風邪の書籍といえば、2012〜2013 年に上梓された山本舜吾先生、岸田直樹先生による感染症内科/総合診療内科視点の風邪に紛れ込む重症疾患、稀な疾患、高齢者化社会の風邪診療を主軸にした2 大バイブル書があります.
2021 年には拙著『風邪を診るすべての医療従事者のためのPhase で見極める!小児と成人の風邪の診かた& 治しかた』(日本医事新報社)を上梓しました.プライマリケア/耳鼻咽喉科視点のおとなとこどもの風邪診療、細菌性気道感染症診療を主軸に、日常診療の大半を占める風邪/気道細菌感染症の診かた/薬/検査の「なんで? どうみる?」を突き詰めた書籍です.これを世に出した際に、笠井正志先生に「やられた〜!」という言葉をいただき、頑張った甲斐があったなあと喜んでいました.しかし、あれもこれもと伝えたいことを書籍化したら分厚くなってしまい、気軽に読みにくいかもしれないという反省点も…….
そんな中、2023 年9 月に笠井正志先生監修、伊藤健太先生著による小児科/小児感染症科視点の『子どものカゼのトリセツ』が笠井ブランドのトリセツシリーズのスピンオフとして、上梓されたのです! それを知ったときには、「やられ返された〜!」と.
著者の伊藤医師とキャラの立った男女の研修医の3 人が、現場の“あるある”な話題や疑問をうまく掛け合いながら、論文を引用しつつ、現場のリアル感を絶妙に出しつつ、読者の日々の疑問を導いてしまう寸劇風のわかりやすい書籍です! そして、ところどころに30〜50 歳台前半にドンピシャの小ネタが散りばめられています.
これを読んで、実はこの書籍のターゲットは、臨床現場に1 人立ちして風邪診療外来を始め、日々の診療の中、心の奥底で「本当にコレでいいのか?」と疑問に感じている6 年目〜20 年目層なのだろうと思いました.
あとがきに書いてあるようにこれからの小児を診る医師は、「アレルギー・発達障害・カゼ」に質の高い診療をするスキルを身に着ける必然性と必要性があり、この世代はその未来を担っていかねばならない層であると私も実感しています.
研修医やベテラン医師の先生方は散りばめられた小ネタには「??」の世代かもしれませんが、学びと気づきのためには必携な内容となっており、ぜひ、一読いただきたい書籍です!
一気に最後まで読み通せる読みやすさ、それでいて重要なポイントは抜けることなく、そして、研修医という登場人物を通した本音?などが投入されています.著者の伊藤健太先生の素晴らしい文才と構成力は素晴らしく、そして、それらをバックアップする監修の笠井正志先生に「倍返しだ!」と私に突きつけられた感と、また、ともに感染症教育に想いのある仲間としての熱いメッセージを受け止めました.
両先生とそのゆかいな仲間たちの企画力とバイタリティーがあれば、この書籍の内容でこのまま学会などで寸劇が出来るはず♪ いや、本当にやってしまいそう、○○ネットテレビあたりで企画もありかも^_^
その際には、ぜひ、混ぜてください(^^)
風邪診療は、1 人外来診療であるがゆえにブラックボックス.そして、基本は自然に治癒する感染症がゆえに、診れている/出来ている気になってしまいがち…….日本の医療費も限界にきており、やみくもに受診させ、検査、薬を出せばいい時代ではない.いまや外来耐性菌時代でもあり、根拠なく抗菌薬を処方する時代でもない.小児の一般外来診療や時間外救急診療のほとんどが発熱/風邪診療である事実をふまえ、本書はそのブラックボックスをさりげなく、ぶち壊し、明るみに出してくれちゃっています!
本書での最大のメッセージは「カゼ診療で患者・家族、幸せにしたい」という想い.本気で風邪を診るということは、人や社会を診るということにもつながる.本書を読めば、あなたの中にも必ずカゼコラミンが分泌してきます! みんなで出そうカゼコラミン!
<小児科 Vol.64 No.12、2023年12月号、金原出版より転載>