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小児感染症のトリセツ 2025 抗菌薬編
小児感染症を徹底攻略! 武器(抗菌薬)の使い方を完全マスター

監 修 | 笠井 正志 / 伊藤 健太 |
---|---|
著 者 | 大竹 正悟 |
定 価 | 4,400円 (4,000円+税) |
発行日 | 2025/04/20 |
ISBN | 978-4-307-17085-7 |
B6変判・352頁
在庫状況 | あり |
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あの『小児感染症のトリセツ』が帰ってきた! 前版の構成を一新し『抗菌薬編』と『疾患編』の2部作となってさらにバージョンアップ。『抗菌薬編』では、小児感染症における問診・診察の方法、微生物検査の使い方や各抗微生物薬別の解説まで、抗菌薬の切り口で小児感染症を理解できる。「薬剤」から小児感染症を学びたい方はまずはこちら。姉妹本の『疾患編』もあわせて読めばさらに盤石! 圧倒的な情報量と現場で何をすべきかを両立した小児感染症マニュアルの決定版。
【姉妹本】小児感染症のトリセツ 2025 疾患編

CONTENTS
Chapter 1 小児感染症診療の原則─ベーシック─
1 小児感染症診療のトリセツ
臨床感染症を学ぶ必要があるワケ
小児感染症診療の原則
原因微生物の疫学
患者背景にまつわる知識・経験
2 病歴・身体所見の取りかた
病歴・身体所見の診断における価値
病歴の取りかた
身体所見の取りかた
鑑別診断の考えかた
3 微生物検査の用いかた─迅速抗原検査、塗抹検査、培養検査─
なぜ微生物検査を行うか?
迅速抗原検査
塗抹検査│グラム染色
培養検査
4 感受性検査の用い方
なぜ感受性検査を行うか?
MICとMBC
感受性検査の種類と原理
感受性検査の実際:CLSI 基準とは?
感受性検査の解釈:感受性結果からどの抗菌薬を選択するか?
主な薬剤耐性の機序と種類
5 抗微生物薬の選びかた
Empirical therapyとDefinitive therapy
抗菌薬を選ぶ 4 つのステップと7つのポイント│Empirical therapy
Definitive therapy へ進む2 つのポイント
治療がうまくいかないときに考えること
Chapter 2 抗微生物薬のトリセツ
1 抗菌薬
知っておくべき細菌学的な知識
院内感染で問題となる菌種SPACE(+K)
抗菌薬の種類
抗菌薬の作用機序
時間依存性と濃度依存性
殺菌性と静菌性
小児で気をつけるべき抗菌薬の副作用・相互作用
ペニシリン系抗菌薬
セフェム系抗菌薬
カルバペネム系抗菌薬
マクロライド系抗菌薬
リンコマイシン系抗菌薬
スルホンアミド系抗菌薬
アミノグリコシド系抗菌薬
テトラサイクリン系抗菌薬
ニトロイミダゾール系抗菌薬
グリコペプチド系抗菌薬
オキサゾリジノン系抗菌薬
環状リポペプチド系抗菌薬
ニューキノロン系抗菌薬
ホスホマイシン系抗菌薬
その他│抗結核薬
2 抗真菌薬
真菌の分類と主な抗真菌薬の関係
酵母様真菌
糸状菌
二形性菌
リスク・臨床経過に沿った抗真菌薬の使い分け
アゾール系抗真菌薬
キャンディン系抗真菌薬
ポリエン系抗真菌薬
5- フルオロシトシン
3 抗ウイルス薬
抗インフルエンザ薬
抗ヘルペスウイルス薬
抗サイトメガロウイルス薬
新型コロナウイルス感染症治療薬
4 経口抗微生物薬の使い方
内服治療開始のタイミングと薬の選びかた
「飲みやすさ」を意識する―剤形・味・量・飲ませ方―
「剤形」を知る
「味」を知る
「量」を知る
「飲ませ方」を知る
5 局所抗微生物薬の使い方
外用抗微生物薬
小児に使用される主な外用抗微生物薬
点眼抗微生物薬・眼軟膏抗微生物薬
小児に使用される主な点眼抗微生物薬/眼軟膏抗微生物薬
点耳抗微生物薬
小児に使用される主な点耳微生物薬
6 抗微生物薬の予防投与
予防投与の基本的な考え方
予防投与の是非
抗微生物薬の選択
疾患別予防投与
基礎疾患別予防投与
周術期の抗菌薬予防投与
曝露後抗微生物薬予防投与
Chapter 3 小児感染症診療の原則─アドバンスト─
1 診断の考えかた─検査・疫学情報の活かしかた
なぜ診断するか?
なぜ問診・身体診察・検査をするのか? ?ベイズの定理
検査特性を表す指標
ベイズの定理を用いた事後確率の求めかた
どうやら事前確率が大事
2 微生物検査の用いかた─ 質量分析,核酸増幅検査,血清抗体価検査─
質量分析装置(MALDI TOF-MS) による同定検査
核酸増幅検査(nucleic acid amplification test:NAAT)
血清抗体価検査
3 PK/PD 理論と薬物血中モニタリングの使い方
PK/PD とは?
“ADME”と薬物動態(PK)を理解するためのキーワード
“分布”で特に気をつける要素:髄液移行性
感染症診療の PK/PD で考慮すべきパラメータ
TDM(薬物血中モニタリング)
定常状態とトラフ値
主な各抗微生物薬の TDM の実際
4 抗菌薬アレルギーへの対応
本当に抗菌薬アレルギーなのか??まずしっかり問診
どのタイミングでアレルギー専門医へ相談するか? ?疑わしきは罰する
抗菌薬アレルギーを疑うとき,どのように他の抗菌薬を選択するか?? 側鎖が頼りサ
巻末資料1 主な静注抗微生物薬の推奨投与量
巻末資料2 主な経口抗菌薬の推奨投与量
巻末資料3 新生児(生後28 日以下)に使用する主な抗微生物薬の投与量
巻末資料4 腎機能による投与量調節
Chapter 1 小児感染症診療の原則─ベーシック─
1 小児感染症診療のトリセツ
臨床感染症を学ぶ必要があるワケ
小児感染症診療の原則
原因微生物の疫学
患者背景にまつわる知識・経験
2 病歴・身体所見の取りかた
病歴・身体所見の診断における価値
病歴の取りかた
身体所見の取りかた
鑑別診断の考えかた
3 微生物検査の用いかた─迅速抗原検査、塗抹検査、培養検査─
なぜ微生物検査を行うか?
迅速抗原検査
塗抹検査│グラム染色
培養検査
4 感受性検査の用い方
なぜ感受性検査を行うか?
MICとMBC
感受性検査の種類と原理
感受性検査の実際:CLSI 基準とは?
感受性検査の解釈:感受性結果からどの抗菌薬を選択するか?
主な薬剤耐性の機序と種類
5 抗微生物薬の選びかた
Empirical therapyとDefinitive therapy
抗菌薬を選ぶ 4 つのステップと7つのポイント│Empirical therapy
Definitive therapy へ進む2 つのポイント
治療がうまくいかないときに考えること
Chapter 2 抗微生物薬のトリセツ
1 抗菌薬
知っておくべき細菌学的な知識
院内感染で問題となる菌種SPACE(+K)
抗菌薬の種類
抗菌薬の作用機序
時間依存性と濃度依存性
殺菌性と静菌性
小児で気をつけるべき抗菌薬の副作用・相互作用
ペニシリン系抗菌薬
セフェム系抗菌薬
カルバペネム系抗菌薬
マクロライド系抗菌薬
リンコマイシン系抗菌薬
スルホンアミド系抗菌薬
アミノグリコシド系抗菌薬
テトラサイクリン系抗菌薬
ニトロイミダゾール系抗菌薬
グリコペプチド系抗菌薬
オキサゾリジノン系抗菌薬
環状リポペプチド系抗菌薬
ニューキノロン系抗菌薬
ホスホマイシン系抗菌薬
その他│抗結核薬
2 抗真菌薬
真菌の分類と主な抗真菌薬の関係
酵母様真菌
糸状菌
二形性菌
リスク・臨床経過に沿った抗真菌薬の使い分け
アゾール系抗真菌薬
キャンディン系抗真菌薬
ポリエン系抗真菌薬
5- フルオロシトシン
3 抗ウイルス薬
抗インフルエンザ薬
抗ヘルペスウイルス薬
抗サイトメガロウイルス薬
新型コロナウイルス感染症治療薬
4 経口抗微生物薬の使い方
内服治療開始のタイミングと薬の選びかた
「飲みやすさ」を意識する―剤形・味・量・飲ませ方―
「剤形」を知る
「味」を知る
「量」を知る
「飲ませ方」を知る
5 局所抗微生物薬の使い方
外用抗微生物薬
小児に使用される主な外用抗微生物薬
点眼抗微生物薬・眼軟膏抗微生物薬
小児に使用される主な点眼抗微生物薬/眼軟膏抗微生物薬
点耳抗微生物薬
小児に使用される主な点耳微生物薬
6 抗微生物薬の予防投与
予防投与の基本的な考え方
予防投与の是非
抗微生物薬の選択
疾患別予防投与
基礎疾患別予防投与
周術期の抗菌薬予防投与
曝露後抗微生物薬予防投与
Chapter 3 小児感染症診療の原則─アドバンスト─
1 診断の考えかた─検査・疫学情報の活かしかた
なぜ診断するか?
なぜ問診・身体診察・検査をするのか? ?ベイズの定理
検査特性を表す指標
ベイズの定理を用いた事後確率の求めかた
どうやら事前確率が大事
2 微生物検査の用いかた─ 質量分析,核酸増幅検査,血清抗体価検査─
質量分析装置(MALDI TOF-MS) による同定検査
核酸増幅検査(nucleic acid amplification test:NAAT)
血清抗体価検査
3 PK/PD 理論と薬物血中モニタリングの使い方
PK/PD とは?
“ADME”と薬物動態(PK)を理解するためのキーワード
“分布”で特に気をつける要素:髄液移行性
感染症診療の PK/PD で考慮すべきパラメータ
TDM(薬物血中モニタリング)
定常状態とトラフ値
主な各抗微生物薬の TDM の実際
4 抗菌薬アレルギーへの対応
本当に抗菌薬アレルギーなのか??まずしっかり問診
どのタイミングでアレルギー専門医へ相談するか? ?疑わしきは罰する
抗菌薬アレルギーを疑うとき,どのように他の抗菌薬を選択するか?? 側鎖が頼りサ
巻末資料1 主な静注抗微生物薬の推奨投与量
巻末資料2 主な経口抗菌薬の推奨投与量
巻末資料3 新生児(生後28 日以下)に使用する主な抗微生物薬の投与量
巻末資料4 腎機能による投与量調節
新時代の『小児感染症のトリセツ』を目指して
「トリセツシリーズ」は、今や小児医療の現場で欠かせない書籍として、多くの読者に支持されています。
特に『小児感染症のトリセツ』は、笠井先生の初版がその明快さで評判となり、伊藤先生の第2 版(『REMAKE』)は圧倒的な情報量で多くのトリセツファンを魅了しました。その後継として、第3 版である本書を担当することになり、「この重責をどう果たすべきか?」と悩む日々が続きました。
そしてたどりついた答えは「時代に応じた新しいトリセツを作る」ということです。
今は、あらゆる分野で「タイムパフォーマンス(タイパ)」が求められる時代です。Google で検索すれば情報は瞬時に手に入り、生成AI も次々と答えを提示してくれます。たとえば、「小児のA 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の治療薬」をChatGPT に尋ねると、15 秒で治療薬はもちろん、推奨量や投与日数、アレルギー時の対応まで教えてくれます。
……でも、それだけで満足できる感染症診療って、どうなんでしょう?
生成AI は確かに便利なツールです。しかし、それを使いこなすには、私たち自身のリテラシー、つまり「診療の本質を捉える力」が必要です。本書は、感染症診療において、単なる情報の羅列ではなく、その奥深さや面白さを感じられる本を目指しました。
30 年ほど前、名作RPG『ドラゴンクエストVI』の攻略本を読んだときの興奮を、私は今でも覚えています。見たこともないモンスターの姿や、まだ手に入れていない装備品や呪文にワクワクしながら、次々とページをめくったあの感覚――それこそが学びの原点ではないでしょうか。感染症診療も同じで、まだ経験したことのない感染症や抗菌薬に興味を持ち、自ら知識を広げる姿勢が、診療力を高める鍵だと考えています。
そんな『トリセツ』を目指すため、本書では次の3 つのポイントを大切にしました。
1)網羅性: 抗菌薬を起点に微生物や疾患などの全体像が見渡せるよう工夫しました
2)関連性: 各章がリンクしており、ひとつの疑問が別の章への興味を引き出す構成です
3)現実性: AI では答えられない、実際の診療現場で直面する悩みやコツを盛り込みました
もちろん、新時代のニーズに応えて、投与量などの必要な情報に即座にアクセスできる迅速性や利便性も備えています。しかし、それだけではAIと変わりません。読者のみなさんには、ぜひ「この薬にはどんな背景があるのだろう?」と周辺知識にも目を向けてほしいと思います。その過程で、小児科医療の本質に気づいていただけるはずです。
最後になりますが、本書の執筆を通じて感じたのは「本の一番の読者は筆者自身である」ということです。何度も何度も見直し、読み返すなかで、新しい発見や気づきがありました。そんな“一番の読者”として、この本を私は自信を持って推薦します。小児に関わるすべての医療従事者が、本書を通じて診療の幅をさらに広げていただければ幸いです。
本書の完成にあたり、多大なご助力をいただきました編集担当の中立さんをはじめ金原出版のみなさま、監修してくださった笠井正志先生、伊藤健太先生にはこの場を借りて心より感謝申し上げます。そして、『疾患編』を担当し2 年間の苦楽を共にした山田健太先生へ――乾杯!!
2025年4月
神戸大学大学院医学研究科 内科系講座 小児科学分野
著者 大竹 正悟
「トリセツシリーズ」は、今や小児医療の現場で欠かせない書籍として、多くの読者に支持されています。
特に『小児感染症のトリセツ』は、笠井先生の初版がその明快さで評判となり、伊藤先生の第2 版(『REMAKE』)は圧倒的な情報量で多くのトリセツファンを魅了しました。その後継として、第3 版である本書を担当することになり、「この重責をどう果たすべきか?」と悩む日々が続きました。
そしてたどりついた答えは「時代に応じた新しいトリセツを作る」ということです。
今は、あらゆる分野で「タイムパフォーマンス(タイパ)」が求められる時代です。Google で検索すれば情報は瞬時に手に入り、生成AI も次々と答えを提示してくれます。たとえば、「小児のA 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の治療薬」をChatGPT に尋ねると、15 秒で治療薬はもちろん、推奨量や投与日数、アレルギー時の対応まで教えてくれます。
……でも、それだけで満足できる感染症診療って、どうなんでしょう?
生成AI は確かに便利なツールです。しかし、それを使いこなすには、私たち自身のリテラシー、つまり「診療の本質を捉える力」が必要です。本書は、感染症診療において、単なる情報の羅列ではなく、その奥深さや面白さを感じられる本を目指しました。
30 年ほど前、名作RPG『ドラゴンクエストVI』の攻略本を読んだときの興奮を、私は今でも覚えています。見たこともないモンスターの姿や、まだ手に入れていない装備品や呪文にワクワクしながら、次々とページをめくったあの感覚――それこそが学びの原点ではないでしょうか。感染症診療も同じで、まだ経験したことのない感染症や抗菌薬に興味を持ち、自ら知識を広げる姿勢が、診療力を高める鍵だと考えています。
そんな『トリセツ』を目指すため、本書では次の3 つのポイントを大切にしました。
1)網羅性: 抗菌薬を起点に微生物や疾患などの全体像が見渡せるよう工夫しました
2)関連性: 各章がリンクしており、ひとつの疑問が別の章への興味を引き出す構成です
3)現実性: AI では答えられない、実際の診療現場で直面する悩みやコツを盛り込みました
もちろん、新時代のニーズに応えて、投与量などの必要な情報に即座にアクセスできる迅速性や利便性も備えています。しかし、それだけではAIと変わりません。読者のみなさんには、ぜひ「この薬にはどんな背景があるのだろう?」と周辺知識にも目を向けてほしいと思います。その過程で、小児科医療の本質に気づいていただけるはずです。
最後になりますが、本書の執筆を通じて感じたのは「本の一番の読者は筆者自身である」ということです。何度も何度も見直し、読み返すなかで、新しい発見や気づきがありました。そんな“一番の読者”として、この本を私は自信を持って推薦します。小児に関わるすべての医療従事者が、本書を通じて診療の幅をさらに広げていただければ幸いです。
本書の完成にあたり、多大なご助力をいただきました編集担当の中立さんをはじめ金原出版のみなさま、監修してくださった笠井正志先生、伊藤健太先生にはこの場を借りて心より感謝申し上げます。そして、『疾患編』を担当し2 年間の苦楽を共にした山田健太先生へ――乾杯!!
2025年4月
神戸大学大学院医学研究科 内科系講座 小児科学分野
著者 大竹 正悟
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こちらから (外部サイトに移動します) - M2PLUSで購入される方は
こちらから (外部サイトに移動します)
抗菌薬は「剣」ではなく「刀」
本書の表紙には抗菌薬のアイコンとして「剣」が用いられています。バイ菌や感染症を敵に、抗菌薬を武器にたとえることは、よくあります。そして、剣は両刃であり、抗菌薬を「諸刃の剣」と表現することもあります。これは敵を倒すだけでなく、自身も傷つける可能性があることを示しています。
また、人は武器を持つと使いたくなるもので、人類が抗菌薬という武器を手にして100 年弱。その有効性から使用が拡大した結果、薬剤耐性(AMR)という大きな害も顕在化してきました。
「剣」は両側を研ぐ必要があるなど、生産に多大なコストがかかり、日常的な使用には不向きで、儀式以外ではほとんど使われないようです。抗菌薬使用も同様で、儀式的な使用も多く、まさに害と儀式性という諸刃のある「剣」といえます。
「刀」は片刃です。また反りがあることで鞘から引き抜きやすく、効率よく切断でき、衝撃も吸収できるなど実践的です。そして何よりも美しい。
私たちは小児科医侍として儀式的な剣より、実践的な刀を使いこなすべきです。抗菌薬使用は、有害事象を最小限にし、儀式的な使用(不必要処方)をなくす。使うときは「刀」のように鋭く美しい処方を心がけたいものですね。
私個人としては、「刀」はもう重く感じる年齢になりました。「竹光」もしくは「刀を抜かず」に、相手(バイ菌や感染症)を屈服させるような圧倒的な存在になりたいです。
まだまだ修練が必要です。それができたら新しいトリセツを書きます。
それまでは本書をご活用ください。
兵庫県立こども病院 感染症内科 部長
監修 笠井 正志
本書の表紙には抗菌薬のアイコンとして「剣」が用いられています。バイ菌や感染症を敵に、抗菌薬を武器にたとえることは、よくあります。そして、剣は両刃であり、抗菌薬を「諸刃の剣」と表現することもあります。これは敵を倒すだけでなく、自身も傷つける可能性があることを示しています。
また、人は武器を持つと使いたくなるもので、人類が抗菌薬という武器を手にして100 年弱。その有効性から使用が拡大した結果、薬剤耐性(AMR)という大きな害も顕在化してきました。
「剣」は両側を研ぐ必要があるなど、生産に多大なコストがかかり、日常的な使用には不向きで、儀式以外ではほとんど使われないようです。抗菌薬使用も同様で、儀式的な使用も多く、まさに害と儀式性という諸刃のある「剣」といえます。
「刀」は片刃です。また反りがあることで鞘から引き抜きやすく、効率よく切断でき、衝撃も吸収できるなど実践的です。そして何よりも美しい。
私たちは小児科医侍として儀式的な剣より、実践的な刀を使いこなすべきです。抗菌薬使用は、有害事象を最小限にし、儀式的な使用(不必要処方)をなくす。使うときは「刀」のように鋭く美しい処方を心がけたいものですね。
私個人としては、「刀」はもう重く感じる年齢になりました。「竹光」もしくは「刀を抜かず」に、相手(バイ菌や感染症)を屈服させるような圧倒的な存在になりたいです。
まだまだ修練が必要です。それができたら新しいトリセツを書きます。
それまでは本書をご活用ください。
兵庫県立こども病院 感染症内科 部長
監修 笠井 正志