多発性内分泌腫瘍症診療ガイドブック

多発性内分泌腫瘍症(MEN)診療のための必携書籍!!

編 集 多発性内分泌腫瘍症診療ガイドブック編集委員会
定 価 3,960円
(3,600円+税)
発行日 2013/04/30
ISBN 978-4-307-20307-4

B5判・200頁

在庫状況 あり

遺伝性疾患である多発性内分泌腫瘍症(MEN)は、初発病変の診断の際に適切な全身検索が行われず、本症としての診断・治療に至らないケースも多い。本書では、どのような患者にMENを疑い、その診断、治療、サーベイランスを行うかなど、MEN診療に必要な知識を9のアルゴリズムと65のCQでまとめた。本症患者を診療する可能性のある内分泌内科・外科、脳神経外科、消化器内科・外科、泌尿器科領域の医療関係者にとって必読の一冊。

『序』より
 多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia;MEN)は複数の内分泌臓器に腫瘍や過形成を生じる常染色体優性遺伝性疾患であり、最初の報告は20世紀初頭にさかのぼる。しかし発症病変の組合せをもとにMEN1とMEN2に分類され、疾患概念が確立したのは1960年代後半のことである。両者は特定の、かつ複数の内分泌腫瘍が家族性に発症するという共通点はあるものの、本来は原因の異なる別個の疾患である。内分泌疾患に総じていえることであるが、いずれも特徴的な病変に乏しく、また多臓器にまたがる複数の病変の確認をもって臨床的に診断が可能となることから、初発病変の診断の際に適切な全身検索がなされないと本症の診断に至ることができない。これは専門化、細分化が進んだ現在の臨床にあっては診断の大きなハードルとなりうる。海外の疫学データ、あるいは国内の特定地域での疫学データからも示唆されるように、多くの日本人MEN患者がいまだ適切な診断に至っていない可能性が考えられる。またこのことは、患者本人のみならず、同様にMENを発症している血縁者、あるいは将来発症する可能性のある血縁者の診断や治療を遅らせることにもなる。
 本ガイドブックは、わが国のすべてのMEN患者が適切に診断され、かつ現時点で最良と思われる医療を受けることができることを願って作成された。本症患者を診療する可能性がある診療科は、内分泌内科・外科、脳神経外科、消化器内科・外科、泌尿器科をはじめとして極めて多領域にわたる。本ガイドブックが、こうした診療分野で活躍する医療関係者にとって有用なものになることを願っている。
総論

診断アルゴリズム

多発性内分泌腫瘍症1型
疾患概要
1.疫学
 CQ1 MEN1の頻度は?
 CQ2 MEN1における各病変の罹病率は?
 CQ3 個々の関連病変に占めるMEN1の頻度は?
2.診断
 a.副甲状腺機能亢進症
 CQ4 MEN1における原発性副甲状腺機能亢進症の発症時期と臨床症状、診断契機は?
 CQ5 MEN1における原発性副甲状腺機能亢進症の診断で推奨される検査は?
 CQ6 MEN1における原発性副甲状腺機能亢進症の自然歴は??
 CQ7 MEN1を積極的に疑う原発性副甲状腺機能亢進症は?
 b.膵・消化管神経内分泌腫瘍
 CQ8 MEN1における膵・消化管神経内分泌腫瘍の臨床症状と診断時期は?
 CQ9 MEN1における膵・消化管神経内分泌腫瘍の診断で推奨される検査は?
 CQ10 MEN1における膵・消化管神経内分泌腫瘍の自然歴は?
 CQ11 MEN1を積極的に疑う膵・消化管神経内分泌腫瘍は?
 c.下垂体腫瘍
 CQ12 MEN1における下垂体腫瘍の臨床症状と発症時期は?
 CQ13 MEN1における下垂体腫瘍の診断契機は?
 CQ14 MEN1における下垂体腫瘍の診断で推奨される検査は?
 CQ15 MEN1における下垂体腫瘍の自然歴は?
 CQ16 MEN1を積極的に疑う下垂体腫瘍は?
 d.その他の病変
 CQ17 MEN1における随伴病変の診断時期と診断契機は?
 CQ18 MEN1における随伴病変の診断で推奨される検査は?
 CQ19 その他MEN1を積極的に疑う病変は?
3.遺伝医療
 CQ20 家族歴の情報はどの程度重要か?
 CQ21 MEN1遺伝学的検査の対象と検査法は?
 CQ22 MEN1変異の検出率は?
 CQ23 MEN1変異・多型の解釈は?
 CQ24 変異未検出症例の解釈・特徴と医療対応は?
 CQ25 リスクのある血縁者に対するMEN1遺伝学的検査の施行時期は?
4.治療
 a.副甲状腺機能亢進症
 CQ26 MEN1における原発性副甲状腺機能亢進症に対する手術適応は?
 CQ27 MEN1における原発性副甲状腺機能亢進症に対する術式は?
 CQ28 MEN1における原発性副甲状腺機能亢進症に対する手術以外の治療は?
 CQ29 MEN1における原発性副甲状腺機能亢進症の予後は?
 b.膵・消化管神経内分泌腫瘍
 CQ30 MEN1における膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する手術適応は?
 CQ31 MEN1における膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する術式は?
 CQ32 MEN1における膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する手術以外の治療は?
 CQ33 MEN1における膵・消化管神経内分泌腫瘍の予後は?
 c.下垂体腫瘍
 CQ34 MEN1における下垂体腫瘍に対する手術適応は?
 CQ35 MEN1における下垂体腫瘍に対する術式は?
 CQ36 MEN1における下垂体腫瘍に対する手術以外の治療は?
 CQ37 MEN1における下垂体腫瘍の予後は?
 d.その他の病変
 CQ38 MEN1におけるその他の病変に対する手術適応と術式は?
 CQ39 MEN1におけるその他の病変に対する手術以外の治療は?
 CQ40 MEN1におけるその他の病変の予後は?
5.サーベイランス
 CQ41 まだ発症していないMEN1の腫瘍に対する定期検査の方法は?
 CQ42 MEN1における各腫瘍の術後定期検査は?

多発性内分泌腫瘍症2型
疾患概要
1.疫学
 CQ43 MEN2の頻度は?
 CQ44 MEN2における各病変の罹病率は?
 CQ45 個々の関連病変に占めるMEN2の頻度は?
2.診断
 a.甲状腺髄様癌
 CQ46 MEN2における甲状腺髄様癌の診断で推奨される検査は?
 CQ47 MEN2を積極的に疑う甲状腺髄様癌は?
 b.褐色細胞腫
 CQ48 MEN2における褐色細胞腫の臨床症状と発症時期,診断契機は?
 CQ49 MEN2における褐色細胞腫の診断で推奨される検査は?
 CQ50 MEN2における褐色細胞腫の自然歴は?
 CQ51 MEN2を積極的に疑う褐色細胞腫は?
 c.その他の病変
3.遺伝医療
 CQ52 家族歴の情報はどの程度重要か?
 CQ53 RET遺伝学的検査の対象と検査法は?
 CQ54 リスクのある血縁者に対するRET遺伝学的検査の施行時期は?
4.治療
 a.甲状腺髄様癌
 CQ55 MEN2における甲状腺髄様癌に対する手術適応は?
 CQ56 MEN2における甲状腺髄様癌に対する術式は?
 CQ57 MEN2における甲状腺髄様癌に対する手術以外の治療は? 
 CQ58 MEN2における甲状腺髄様癌の予後は?
 CQ59 未発症RET変異保有者に対する予防的甲状腺全摘術の適応は?
 b.褐色細胞腫
 CQ60 MEN2における褐色細胞腫に対する手術適応は?
 CQ61 MEN2における褐色細胞腫に対する術式は?
 CQ62 MEN2における褐色細胞腫に対する手術以外の治療は?
 CQ63 MEN2における褐色細胞腫の予後は?
 c.その他の病変
5.サーベイランス
 CQ64 まだ発症していないMEN2の腫瘍に対する定期検査の方法は?
 CQ65 MEN2における各腫瘍の術後定期検査は?

付.関連情報
 1.国内のMENデータベース
 2.開発中の新たな治療法:MEN1
 3.開発中の新たな治療法:MEN2
 4.患者・家族の会

Column
 1.測定可能な関連ホルモンについて
 2.CDK1について
 3.MEN1の遺伝カウンセリングにおける留意点
 4.MEN1遺伝学的検査実施施設、手続きについて
 5.MEN1 胸腺の予防的切除術について
 6.カルシトニン測定の現状について
 7.カテコールアミン測定の現状について
 8.その他の随伴病変の症状と診断について
 9.MEN2の遺伝カウンセリングにおける留意点
 10.RET遺伝学的検査実施施設,手続きについて
 11.予防的副腎摘出術、皮質機能温存手術について
 12.褐色細胞腫と妊娠について
 13.その他の髄伴病変の治療について

索引