臨床・病理
原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版
肝癌治療効果判定基準やT因子の定義をアップデートした最新版!
編 集 |
日本肝癌研究会 |
定 価 |
3,850円 (3,500円+税) |
発行日 |
2019/03/20 |
ISBN |
978-4-307-20394-4 |
B5判・116頁・図数:11枚・カラー図数:76枚
今改訂では第6版の内容に部分的な変更を加え、第6版補訂版として刊行した。第6版の刊行後、分子標的治療が大きく進歩したことに伴い、化学療法の項を薬物療法に変更してアップデートするとともに、肝癌治療効果判定基準の改訂を行った。また、肝細胞癌だけでなく肝内胆管癌の治療効果判定にも使用できるよう改訂している。さらに進行度分類では、UICCのTNM分類との整合性などをふまえ、T因子にTXとT0の定義を追加した。
略語表
総説
I.目的
II.対象
III.記載法の原則
第I部 臨床的事項
A.解剖学的事項
I.肝葉と肝区域
II.リンパ節
1.肝・胆道のリンパ節
2.リンパ節群分類
III.胆管
B.画像診断所見
I.占居部位(Image-Lo)
II.腫瘍個数(Image-Number)
III.大きさ(Image-Size)
IV.辺縁(Image-Border)
V.腫瘍内部(Image-Inside)
VI.血管侵襲(Image-V)・胆管侵襲(Image-B)
VII.遠隔臓器転移(Image-M)
C.臨床検査所見
I.肝障害度(liver damage)
II.食道・胃静脈瘤の内視鏡所見(EV)
III.針生検による肝線維化の組織所見(f)
D.肉眼分類
I.肝細胞癌
II.肝内胆管癌(胆管細胞癌)
III.粘液嚢胞腺癌
E.手術所見、切除標本肉眼所見
I.占居部位(Lo)
II.大きさ、個数、存在範囲(H)
III.肉眼所見
1.発育様式
2.被膜形成(Fc)
3.被膜浸潤(Fc-Inf)
4.隔壁形成(Sf)
5.漿膜浸潤(S)
6.リンパ節転移(N)
7.血管侵襲(V)
8.胆管侵襲(B)
9.腹膜播種性転移(P)
10.切除断端の浸潤(SM)
11.非癌部の所見
F.肝切除術
I.肝切除範囲(Hr)
II.リンパ節郭清(D)
III.癌の遺残(R)
G.局所療法
H.肝動脈カテーテル療法
I.薬物療法
J.進行度分類(Stage)
I.肝細胞癌
II.肝内胆管癌(胆管細胞癌)
参考:肝癌統合ステージング
K.肝切除術の治癒度
I.肝細胞癌
II.肝内胆管癌(胆管細胞癌)
L.肝癌治療効果判定基準
I.対象
II.記載法
III.標的結節の直接治療効果判定
IV.治療効果の総合評価
V.細則
VI.参考
M.再発肝癌
N.肝癌症例の統計的処理
第II部 病理組織学的事項
A.材料の取扱い
I.手術材料の取扱いおよび検索方法
II.剖検材料の取扱いおよび検索方法
B.肝癌の分類
I.分類の総則
II.肝細胞癌
1.概要
2.肉眼分類
3.組織分類
i.組織学的分化度
ii.組織構造
iii.細胞学的性状
4.特殊型
5.肝内転移と多中心性発生
i.肝内転移(im)
ii.多中心性発生
6.被膜浸潤、血管侵襲、胆管侵襲などの記載のしかた
7.早期肝細胞癌とその類似病変の診断基準
III.肝内胆管癌(胆管細胞癌)
1.概要
2.肉眼分類
3.組織分類
i.腺癌
ii.特殊型
付記.胆管上皮内腫瘍性病変
i.胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)
ii.胆管内上皮内腫瘍(BilIN)
IV.細胆管細胞癌
V. 粘液嚢胞腺腫・粘液嚢胞腺癌(粘液嚢胞性腫瘍:MCN)
1. 分類
i. 粘液嚢胞腺腫
ii. 粘液嚢胞腺癌
2. 付記
VI.混合型肝癌(肝細胞癌と肝内胆管癌の混合型)
VII.肝芽腫
VIII.その他
C.非癌部の組織学的所見(f)
病理写真
第6版補訂版 序
2015年7月に原発性肝癌取扱い規約第6版が刊行されてから3年半余りが経過した。この間に薬物療法の領域で大きな進歩があり、1st lineとしてレンバチニブが、2nd lineとしてレゴラフェニブが肝細胞癌に対して我が国で使用可能となった(本補訂版刊行時点)。この他にも有力な薬剤が免疫チェックポイント阻害薬を含めて開発されつつあり、近い将来5剤以上の肝細胞癌に有効な薬剤が我が国の臨床現場で投与されるものと予想される。今回は分子標的治療の効果判定基準をより充実させる目的で「肝癌治療効果判定基準」(Response Evaluation Criteria in Cancer of the Liver:RECICL)の改訂を行った。また、肝内胆管癌の治療効果判定にもこの基準が使えるように改訂された。
もう一つの最近の動きとして、日本癌治療学会が主導している領域横断的癌取扱い規約がある。世界で普及しているUICCのTNM分類を意識しながら各癌腫で多少食い違っていた表現の統一をはかるという作業で、本規約委員会としても協力してきた。このための若干の修正も今回の補訂版では加えられている。特にT因子についてはTX、T0の規定がこれまで設けられていなかったので定義して記載した。取扱い規約の存在する大半の癌腫をカバーした領域横断的癌取扱い規約は近日中に刊行される予定である。
上記のように今度の改訂では、大きな変更は行われなかったので、補訂版として出版するものである。本補訂版にご協力いただいた会員諸氏に心より感謝する次第である。
2019年1月
國土 典宏