Copyright© KANEHARA & Co., LTD. All Rights Reserved.
乳癌患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療ガイドライン 2021年版 第3版
子どもを得たい…そのとき医療者はどう向き合うか
編 集 | 日本がん・生殖医療学会 |
---|---|
定 価 | 3,520円 (3,200円+税) |
発行日 | 2021/10/21 |
ISBN | 978-4-307-20435-4 |
B5判・228頁・カラー図数:9枚
在庫状況 | あり |
---|
乳癌患者の妊娠が再発や予後に与える影響、生殖補助医療による妊娠率や出産率への影響、さらには経済的負担やQOLなども加味し、複数のアウトカムの益と害を評価することで、患者の多様な価値観を反映できるよう臨床課題が検証された。妊娠・出産を希望する乳癌患者と医療者の協働意思決定支援に役立つガイドラインである。
CQ・推奨一覧
本ガイドラインについて(スコープ)
■がん・生殖医療の実践と課題―患者と医療者のジレンマと、対話による意思決定
1.がん・生殖医療の実践に向けて
2.がん患者の生殖医療における倫理的配慮の重要性
3.学際的チーム医療の必要性
■診療アルゴリズム
アルゴリズム1.挙児希望のある原発乳癌患者に対する生殖機能温存のアプローチ
アルゴリズム2.周術期に化学療法が推奨される原発乳癌患者に対する生殖機能温存のアプローチ
アルゴリズム3.術後内分泌療法・術後抗HER2療法が推奨される挙児希望の原発乳癌患者へのアプローチ
アルゴリズム4.乳癌治療終了後の妊娠・出産に対するアプローチ
アルゴリズム5.妊娠期乳癌に対するアプローチ
1章.挙児希望を有する乳癌患者に対する生殖医療について
総論 挙児希望を有する乳癌患者に対する生殖医療について
BQ1 挙児希望の乳癌患者に対し、生殖医療医の介入は必要か?
CQ1 挙児希望の乳癌患者に対し、胚凍結または未受精卵凍結を行うことを推奨するか?
CQ2 挙児希望の乳癌患者に対し、卵巣凍結は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の乳癌患者の採卵に際し、調節卵巣刺激を行うことは推奨されるか?
CQ4 挙児希望の乳癌患者に対し、ランダムスタート法での調節卵巣刺激は推奨されるか?
FQ1 挙児希望の乳癌患者が胚移植を行う場合に、女性ホルモンの補充は安全か?
FQ2 BRCA1/2病的バリアントの乳癌患者が生殖機能温存および妊娠・出産を希望する場合に配慮すべきことは?
2章.挙児希望を有する乳癌患者に対するがん治療について
総論 挙児希望を有する乳癌患者に対するがん治療について
BQ2 術後化学療法を予定している乳癌患者が採卵を行う場合、治療開始までどれくらい間をあけられるか?
BQ3 化学療法開始後の採卵は推奨されるか?
BQ4 術後内分泌療法による生殖機能への影響は?
CQ5 妊娠・出産率を高める目的で、化学療法施行時にGnRHアゴニストを使用することは推奨されるか?
CQ6 担がん状態の乳癌患者に対し、調整卵巣刺激を行って採卵することは推奨されるか?
CQ7 妊娠・出産のために術後内分泌療法を行わなかった乳癌患者が、一定期間後に内分泌療法を実施することは推奨されるか?
FQ3 生殖機能温存を希望する乳癌患者に対し、術前化学療法は術後化学療法より推奨されるか?
FQ4 術後放射線治療中の採卵は安全か?
FQ5 挙児希望のために術後内分泌療法を中断することは許容されるか?
3章.乳癌治療後の妊娠・周産期管理について
総論 乳癌治療後の妊娠と出産後の管理について
BQ5 乳癌治療が終了した乳癌患者が妊娠した場合、乳癌フォローアップ検査を行うことは勧められるか?
BQ6 乳癌経験者が妊娠した場合の周産期管理に、特別な配慮は必要か?
BQ7 乳癌治療後の母乳による授乳は安全か?
BQ8 妊娠中の画像検査、病理組織検査は推奨されるか?
CQ8 標準治療を終了した乳癌患者が自然妊娠を希望した場合、推奨されるか?
CQ9 乳癌治療を終了した乳癌患者が新たに生殖補助医療を受けることは推奨されるか?
4章.妊娠期の乳癌患者に対するがん治療について
総論 妊娠期乳癌に対するがん治療について
BQ9 妊娠中の乳癌患者に内分泌療法を行うことは安全か?
BQ10 妊娠中の乳癌患者に抗HER2療法は推奨されるか?
BQ11 妊娠中の乳癌患者に放射線治療は推奨されるか?
CQ10 妊娠中の乳癌患者に手術は推奨されるか?
CQ11 妊娠中の乳癌患者に乳房温存療法は推奨されるか?
CQ12 妊娠中の乳癌患者にセンチネルリンパ節生検は推奨されるか?
CQ13 妊娠中の乳癌患者に化学療法は推奨されるか?
FQ6 妊娠中の乳癌患者に乳房再建手術は推奨されるか?
FQ7 妊娠中の乳癌患者に化学療法を行う場合、支持療法は推奨されるか?
解説編
■がん・生殖医療の倫理的課題
1.乳癌治療と生殖に関する倫理的分析方法
2.国内における生殖医療の倫理規範と現状
3.がん治療と妊娠・出産に関する説明義務について
■乳癌患者の妊孕性温存に関する経済的負担
■がん・生殖医療における、各々の立場からの関わり
1.がん治療医の役割
2.看護師・助産師の役割
3.薬剤師の役割
4.生殖医療医の役割
5.生殖心理カウンセラーの役割
6.患者会・ピアサポートの役割
用語集(生殖医療用語/乳腺関連用語)
利益相反(COI)
本ガイドラインについて(スコープ)
■がん・生殖医療の実践と課題―患者と医療者のジレンマと、対話による意思決定
1.がん・生殖医療の実践に向けて
2.がん患者の生殖医療における倫理的配慮の重要性
3.学際的チーム医療の必要性
■診療アルゴリズム
アルゴリズム1.挙児希望のある原発乳癌患者に対する生殖機能温存のアプローチ
アルゴリズム2.周術期に化学療法が推奨される原発乳癌患者に対する生殖機能温存のアプローチ
アルゴリズム3.術後内分泌療法・術後抗HER2療法が推奨される挙児希望の原発乳癌患者へのアプローチ
アルゴリズム4.乳癌治療終了後の妊娠・出産に対するアプローチ
アルゴリズム5.妊娠期乳癌に対するアプローチ
1章.挙児希望を有する乳癌患者に対する生殖医療について
総論 挙児希望を有する乳癌患者に対する生殖医療について
BQ1 挙児希望の乳癌患者に対し、生殖医療医の介入は必要か?
CQ1 挙児希望の乳癌患者に対し、胚凍結または未受精卵凍結を行うことを推奨するか?
CQ2 挙児希望の乳癌患者に対し、卵巣凍結は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の乳癌患者の採卵に際し、調節卵巣刺激を行うことは推奨されるか?
CQ4 挙児希望の乳癌患者に対し、ランダムスタート法での調節卵巣刺激は推奨されるか?
FQ1 挙児希望の乳癌患者が胚移植を行う場合に、女性ホルモンの補充は安全か?
FQ2 BRCA1/2病的バリアントの乳癌患者が生殖機能温存および妊娠・出産を希望する場合に配慮すべきことは?
2章.挙児希望を有する乳癌患者に対するがん治療について
総論 挙児希望を有する乳癌患者に対するがん治療について
BQ2 術後化学療法を予定している乳癌患者が採卵を行う場合、治療開始までどれくらい間をあけられるか?
BQ3 化学療法開始後の採卵は推奨されるか?
BQ4 術後内分泌療法による生殖機能への影響は?
CQ5 妊娠・出産率を高める目的で、化学療法施行時にGnRHアゴニストを使用することは推奨されるか?
CQ6 担がん状態の乳癌患者に対し、調整卵巣刺激を行って採卵することは推奨されるか?
CQ7 妊娠・出産のために術後内分泌療法を行わなかった乳癌患者が、一定期間後に内分泌療法を実施することは推奨されるか?
FQ3 生殖機能温存を希望する乳癌患者に対し、術前化学療法は術後化学療法より推奨されるか?
FQ4 術後放射線治療中の採卵は安全か?
FQ5 挙児希望のために術後内分泌療法を中断することは許容されるか?
3章.乳癌治療後の妊娠・周産期管理について
総論 乳癌治療後の妊娠と出産後の管理について
BQ5 乳癌治療が終了した乳癌患者が妊娠した場合、乳癌フォローアップ検査を行うことは勧められるか?
BQ6 乳癌経験者が妊娠した場合の周産期管理に、特別な配慮は必要か?
BQ7 乳癌治療後の母乳による授乳は安全か?
BQ8 妊娠中の画像検査、病理組織検査は推奨されるか?
CQ8 標準治療を終了した乳癌患者が自然妊娠を希望した場合、推奨されるか?
CQ9 乳癌治療を終了した乳癌患者が新たに生殖補助医療を受けることは推奨されるか?
4章.妊娠期の乳癌患者に対するがん治療について
総論 妊娠期乳癌に対するがん治療について
BQ9 妊娠中の乳癌患者に内分泌療法を行うことは安全か?
BQ10 妊娠中の乳癌患者に抗HER2療法は推奨されるか?
BQ11 妊娠中の乳癌患者に放射線治療は推奨されるか?
CQ10 妊娠中の乳癌患者に手術は推奨されるか?
CQ11 妊娠中の乳癌患者に乳房温存療法は推奨されるか?
CQ12 妊娠中の乳癌患者にセンチネルリンパ節生検は推奨されるか?
CQ13 妊娠中の乳癌患者に化学療法は推奨されるか?
FQ6 妊娠中の乳癌患者に乳房再建手術は推奨されるか?
FQ7 妊娠中の乳癌患者に化学療法を行う場合、支持療法は推奨されるか?
解説編
■がん・生殖医療の倫理的課題
1.乳癌治療と生殖に関する倫理的分析方法
2.国内における生殖医療の倫理規範と現状
3.がん治療と妊娠・出産に関する説明義務について
■乳癌患者の妊孕性温存に関する経済的負担
■がん・生殖医療における、各々の立場からの関わり
1.がん治療医の役割
2.看護師・助産師の役割
3.薬剤師の役割
4.生殖医療医の役割
5.生殖心理カウンセラーの役割
6.患者会・ピアサポートの役割
用語集(生殖医療用語/乳腺関連用語)
利益相反(COI)
2021年版の序
2012年に厚労省の研究班で「乳がん患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療の手引き」の初版刊行の議論を始めてから、はや10年が経過しようとしています。この間に、国内のがん・生殖を取り巻く環境は大きく変わり、乳癌患者の妊孕性の問題は、乳癌医療に携わる医療者に広く認識されるようになってきました。
こうした環境の変化を踏まえ、今回の改訂版は、Mindsの推奨するGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)のシステムを採用し、本格的な「診療ガイドライン」として作成しました。GRADEの特徴は、エビデンスから推奨を導き出す過程で、単にエビデンスの質を評価するだけではなく、エビデンスを現場に還元する際に重要となる益と害のバランス、患者の価値観や選考の多様性、コストや資源を考慮したうえで推奨を導き出すところにあります。今回のガイドライン作成には、乳癌治療医、生殖医療医だけではなく、看護師、薬剤師、患者経験者、倫理専門家等、多様なメンバーが参加しました。ガイドライン作成の過程で、がん・生殖医療におけるそれぞれの立場や価値観の違いが明確となりましたが、この改訂における最大の成果は、患者経験者を含む背景の異なる専門家が、互いの違いを認め合ったうえで率直な意見を交わすことができたことにあると感じています。
しかし、いかに厳格に作成した診療ガイドラインがあっても、患者が、がんとがん治療の不確実性のうえに将来の挙児に関する意思決定をすることの難しさは変わりありません。また、がん・生殖医療が、がんの予後や挙児というアウトカムにおいて高いレベルのエビデンスを創出することが難しい領域であることにも変わりありません。本ガイドラインでは、医療者が、患者が自身にとって最善と考えられる選択をする支援ができるよう、多職種の協働による意思決定支援や心理支援のプロセス、倫理的な配慮や法的側面についても触れました。ガイドラインが現場で活用される際には、ガイドラインの推奨を参照するだけでなく、本文内容を踏まえて当事者どうしの真摯で前向きな議論がなされること、また難しい意思決定の後に揺れ動く患者の心情に医療チームが寄り添い続けることを期待しています。
最後に、タイトなスケジュールのなかこのガイドラインの作成に貢献下さった委員・協力者および外部評価委員の皆様、特に乳腺、生殖それぞれの領域のシステマティックレビューのリーダーシップをとってくださった小泉圭先生、高江正道先生、Mindsでの経験を本ガイドライン作りに活かしてくださった北野敦子先生、全体を見渡しながら進捗を管理し、粘り強くファシリテーションしてくださった田村宜子先生、そして遅々として進まぬ作業を我慢強く応援してくださった金原出版の宇野和代様に厚く御礼申し上げます。
2021年9月
「乳癌患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療ガイドライン」改訂委員会 委員長 清水 千佳子
一般社団法人日本がん・生殖医療学会 理事長 鈴木 直
2012年に厚労省の研究班で「乳がん患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療の手引き」の初版刊行の議論を始めてから、はや10年が経過しようとしています。この間に、国内のがん・生殖を取り巻く環境は大きく変わり、乳癌患者の妊孕性の問題は、乳癌医療に携わる医療者に広く認識されるようになってきました。
こうした環境の変化を踏まえ、今回の改訂版は、Mindsの推奨するGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)のシステムを採用し、本格的な「診療ガイドライン」として作成しました。GRADEの特徴は、エビデンスから推奨を導き出す過程で、単にエビデンスの質を評価するだけではなく、エビデンスを現場に還元する際に重要となる益と害のバランス、患者の価値観や選考の多様性、コストや資源を考慮したうえで推奨を導き出すところにあります。今回のガイドライン作成には、乳癌治療医、生殖医療医だけではなく、看護師、薬剤師、患者経験者、倫理専門家等、多様なメンバーが参加しました。ガイドライン作成の過程で、がん・生殖医療におけるそれぞれの立場や価値観の違いが明確となりましたが、この改訂における最大の成果は、患者経験者を含む背景の異なる専門家が、互いの違いを認め合ったうえで率直な意見を交わすことができたことにあると感じています。
しかし、いかに厳格に作成した診療ガイドラインがあっても、患者が、がんとがん治療の不確実性のうえに将来の挙児に関する意思決定をすることの難しさは変わりありません。また、がん・生殖医療が、がんの予後や挙児というアウトカムにおいて高いレベルのエビデンスを創出することが難しい領域であることにも変わりありません。本ガイドラインでは、医療者が、患者が自身にとって最善と考えられる選択をする支援ができるよう、多職種の協働による意思決定支援や心理支援のプロセス、倫理的な配慮や法的側面についても触れました。ガイドラインが現場で活用される際には、ガイドラインの推奨を参照するだけでなく、本文内容を踏まえて当事者どうしの真摯で前向きな議論がなされること、また難しい意思決定の後に揺れ動く患者の心情に医療チームが寄り添い続けることを期待しています。
最後に、タイトなスケジュールのなかこのガイドラインの作成に貢献下さった委員・協力者および外部評価委員の皆様、特に乳腺、生殖それぞれの領域のシステマティックレビューのリーダーシップをとってくださった小泉圭先生、高江正道先生、Mindsでの経験を本ガイドライン作りに活かしてくださった北野敦子先生、全体を見渡しながら進捗を管理し、粘り強くファシリテーションしてくださった田村宜子先生、そして遅々として進まぬ作業を我慢強く応援してくださった金原出版の宇野和代様に厚く御礼申し上げます。
2021年9月
「乳癌患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療ガイドライン」改訂委員会 委員長 清水 千佳子
一般社団法人日本がん・生殖医療学会 理事長 鈴木 直
- 医書.jpで購入される方は
こちらから (外部サイトに移動します) - M2PLUSで購入される方は
こちらから (外部サイトに移動します)