患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版 第7版

患者さんが知りたい65の疑問をわかりやすく解説! 3年半ぶりの改訂版

編 集 日本乳癌学会
定 価 2,640円
(2,400円+税)
発行日 2023/01/30
ISBN 978-4-307-20448-4

B5判・272頁・図数:1枚・カラー図数:46枚

在庫状況 あり

納得のいく医療を受けるためには、患者さんが標準治療(=最善の治療)や診療方法について正しく理解したうえで、医師と相談し、ご自身に合った治療を選択すること(=Shared Decision Making)が重要です。本書では、乳がんの患者さんやそのご家族が、いま知りたいことについて、正しい情報をわかりやすく得られるよう、最新の情報をもとに、患者さんからの計65の質問(Q)に対する回答(A)と解説を掲載しています。
・『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』とは?
・ 本書の使い方
・ 一般的な乳がん治療の流れの例

乳がん検診と診断の進め方
Q1 乳がん検診について教えてください。
Q2 乳がんの診断はどのようにして行うのでしょうか。
Q3 細胞や組織の検査はどのようなときに行われますか。
Q4 乳房の症状、病気にはどのようなものがありますか。

乳がんと診断されたら
Q5 乳がんと診断されました。これから治療を受けるのに、どうしたらよいでしょうか。
Q6 治療を決めるときにはどのようなことに気をつければよいでしょうか。
Q7 標準治療とは何ですか。
Q8 臨床試験とは何ですか。
 コラム 「PPI( ピーピーアイ)」をご存じですか?
Q9 乳がんと診断されて不安です。どうしたらよいでしょうか。
Q10 家族とどう向き合えばよいのでしょうか。
Q11 仕事は続けられますか。
Q12 緩和ケアについて教えてください。
 コラム アドバンス・ケア・プランニングとは?
Q13 乳がん治療に際して受けられる経済面や生活面での支援制度はありますか。

治療を受けるにあたって
Q14 治療前に行われる検査について教えてください。
Q15 乳がんのステージとステージごとの治療の流れについて教えてください。
Q16 乳がん治療に使われる薬剤にはどのようなものがありますか。

初期治療について
Q17 初期治療の考え方について教えてください。
−手術
Q18 乳房に対する標準的な手術の方法は何ですか。
Q19 乳房温存療法は、どのような場合に適応となりますか。
Q20 センチネルリンパ節生検について教えてください。
Q21 どのような場合に腋窩リンパ節郭清が必要でしょうか。
Q22 乳房再建について教えてください。
Q23 乳がん手術後の合併症・後遺症について教えてください。
Q24 手術後の乳房がどうなるか不安です。どうしたらよいでしょうか。
Q25 手術後の生活では、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
Q26 手術後の下着やパッドは、どのように選んだらよいですか。
−病理
Q27 病理検査でどのようなことがわかりますか。
Q28 乳がんのなかには、通常の乳がんとは異なる特殊なタイプ(組織型)がありますか。
−初期治療としての薬物療法
Q29 再発予防のための術前もしくは術後の薬物療法はどのように決めるのでしょうか。
Q30 手術前の薬物療法について教えてください。
Q31 手術後の薬物療法について教えてください。
Q32 ホルモン療法(内分泌療法)は、どのくらいの期間続けたらよいのでしょうか。
−放射線療法
Q33 放射線療法について教えてください。
Q34 乳房手術後の放射線療法は何のために行うのでしょうか。
Q35 乳房部分切除術後の放射線療法はどのように行われるのでしょうか。
Q36 乳房全切除術後の放射線療法はどのように行われるのでしょうか。
Q37 乳房手術後の放射線療法の際にみられる副作用はどのようなものですか。
Q38 手術後の放射線療法は術後どのくらいまでに受けたほうがよいのでしょうか。

初期治療後の診察と検査
Q39 手術後の経過観察はどのように受けたらよいでしょうか。

転移・再発の治療について
Q40 転移・再発とは、どのような状態なのでしょうか。
Q41 転移・再発の治療について教えてください。
Q42 転移・再発の薬物療法について教えてください。
Q43 局所領域再発(温存乳房内再発、乳房全切除術後胸壁再発、周囲の皮膚やリンパ節再発)の治療について教えてください。
Q44 骨転移について教えてください。
Q45 脳転移について教えてください。
Q46 転移・再発していることがわかりました。どのように気持ちを整理したらよいですか。

薬物療法に関連することについて
Q47 ホルモン療法薬(内分泌療法薬)の副作用とその予防法・対処法について教えてください。
Q48 抗がん薬(化学療法薬)・分子標的治療薬の副作用とその予防法・対処法について教えてください。
Q49 抗がん薬治療による脱毛などの外見の変化に備えて、どのような準備をしたらよいですか。
Q50 CVポートとはどのようなものでしょうか。
Q51 乳がんの薬物療法を行う際、どのようなときに歯科受診したほうがよいのでしょうか。
Q52 乳がんの診断や治療に遺伝子検査はどのように使われるのでしょうか。

若年者の乳がん・男性乳がんについて
Q53 AYA世代の乳がんについて教えてください。
Q54 妊娠中に乳がんと診断されました。治療や妊娠・出産についてどのように考えればよいでしょうか。
Q55 乳がんの治療は将来の妊娠や出産にどのような影響があるでしょうか。
Q56 男性乳がんと診断されました。治療法について教えてください。

療養上の諸問題について
Q57 治療中や治療後の生活の注意点を教えてください。
Q58 薬の飲み方について教えてください。
Q59 痛み止めの種類と使い方を教えてください。
Q60 生活習慣と乳がん再発リスクとの関連について
 60-1 肥満は乳がん再発リスクと関連がありますか。
 60-2 脂肪の摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか。
 60-3 アルコール飲料の摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか。
 60-4 乳製品の摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか。
 60-5 食事によるイソフラボン摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか。
 60-6 喫煙は乳がん再発リスクを高めますか。
 60-7 運動は乳がん再発予防に有効ですか。
 60-8 不安や抑うつなどの心理社会的な要因は乳がん再発リスクと関連がありますか。
Q61 免疫療法、高濃度ビタミンC療法、健康食品などの補完代替医療は乳がんに対して効果がありますか。

乳がんの原因と予防について
Q62 食生活・生活習慣・持病と乳がん発症リスクについて:乳がん予防のために心がけたいこと
 62-1 肥満は乳がん発症リスクと関連がありますか。
 62-2 アルコール飲料の摂取は乳がん発症リスクを高めますか。
 62-3 大豆食品やイソフラボンの摂取は乳がん発症リスクと関連がありますか。
 62-4 乳がんの予防のために健康食品やサプリメントを摂取することは勧められますか。
 62-5 乳製品の摂取は乳がん発症リスクを高めますか。
 62-6 喫煙は乳がん発症リスクを高めますか。
 62-7 運動は乳がん発症予防に有効ですか。
 62-8 ストレスや性格は乳がん発症リスクと関連がありますか。
 62-9 糖尿病は乳がん発症リスクと関連がありますか。
Q63 ホルモン補充療法や経口避妊薬(ピル)、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬と乳がん発症リスクについて
 63-1 更年期障害の治療に用いられるホルモン補充療法は乳がん発症リスクと関連がありますか。
 63-2 経口避妊薬(ピル)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬は乳がん発症リスクと関連がありますか。
Q64 月経歴、妊娠・出産、および授乳歴は乳がん発症リスクと関連がありますか。
 64-1 月経歴は乳がん発症リスクと関連がありますか。
 64-2 妊娠・出産歴は乳がん発症リスクと関連がありますか。
 64-3 授乳歴は乳がん発症リスクと関連がありますか。
Q65 乳がんと遺伝について
 65-1 乳がんは遺伝しますか。
 65-2 遺伝性乳がんが疑われる場合、どのような遺伝学的検査が行われますか。
 65-3 BRCA1、BRCA2遺伝子に病的バリアントがみつかった場合には、どうしたらよいですか。

・付1.初期治療として使用される主な治療
・付2.転移・再発治療として使用される主な治療
・質問集
・あとがき
・索引
はじめに

 日本乳癌学会では『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』を作成してきました。このたび、2019年版を改訂し、2023年版を刊行いたしました。
 乳がんの診療は、日々進歩しています。世界的にも診療ガイドラインは数カ月ごとにアップデートされます。この『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』では、乳がんという病気を知り、お一人おひとりの患者さんが的確で最新の、また個々に応じた診療を受けていただけるように、必要な事柄を、項目ごとに、Q&Aの形式で記述しています。
 実地の診療に即する形で、診断の手順、手法や状況に応じた展開から、治療の考え方、治療の種類、治療の前の準備、心のケア、サポートなどについても、いろいろな状況を想定しながら、なるべくわかりやすく述べられています。
 最近の数年間で、相次いで新しい治療法や検査法、診断法が臨床に導入されましたので、それらの診療法に関する情報も含まれています。若年性の乳がんの治療、遺伝性乳がん、経済的支援制度や仕事とがん治療の両立などにつきましても、大項目の中であるいは小項目としてまとめられています。後半に乳がんの原因、予防を取り上げ、20項目ほどに分けて、平易な解説が行われています。
 執筆は、主に医師向けガイドラインの小委員会の委員が担当しましたが、心のケアや患者さんに直結する部分などは、患者、看護師、薬剤師、医師からなる患者向けガイドライン小委員会の委員全員が担当をしました。さまざまな実際的で率直な意見をもとに作成されています。同時に、患者向けガイドライン小委員会の委員は、医師向けガイドラインの作成にも参加しました。的確に情報共有をしながら本ガイドラインは構築されています。そして、ガイドライン評価委員会からの多くの意見も随所に反映されています。
 患者さんと医療者が十分に話し合い、相談し、個々の患者さんにとって最善の診療が行われることを主な目標にして、ぜひ、このガイドラインを利用していただきたいと思います。
 最後に、本書の改訂にあたりご尽力いただいた、徳永えり子委員長をはじめとする作成小委員会の方々と、山口倫委員長をはじめとする評価委員会の方々に深甚なる感謝を申し述べます。

2022年12月

日本乳癌学会 理事長
戸井 雅和