Copyright© KANEHARA & Co., LTD. All Rights Reserved.
乳がん検診を科学する
初学者にも経験者にも役立つ、正しい乳がん検診学!
著 者 | 角田 博子 / 島田 友幸 / 高橋 宏和 / 竹井 淳子 |
---|---|
定 価 | 3,850円 (3,500円+税) |
発行日 | 2023/11/24 |
ISBN | 978-4-307-20470-5 |
A5判・200頁・図数:4枚・カラー図数:61枚
在庫状況 | あり |
---|
乳がんは悪性新生物(がん)の中で最もかかりやすい病気であり、日本のがん対策で特に重要になっている。また、乳がんは子宮頸がんと同じように若い女性で発症しやすいことから、女性をがんから守るため、さらには未曾有の少子化に歯止めをかけるため、乳がん検診の推進が日本のがん対策の要(かなめ)になっているといえる。
その乳がん検診はどのように始まって、何故、今、マンモグラフィ検診なのか?
日本における乳がん検診は1987年の視触診から始まったが、科学的根拠があったわけではない。その当時、欧米先進国では既にマンモグラフィ検診に関する臨床試験が行われ、一部の国ではその結果に基づいてマンモグラフィ検診が導入されていた。本書の著者である角田氏は30 年前のフィンランド訪問でそのことを学び「検診は疫学である」ことに気づく。その経験が本書発刊に至る契機となっている。
その後、日本でも厚生省研究班などによる取組みがあり、2000年から視触診とマンモグラフィの併用検診、2016年からマンモグラフィを原則とする検診へと移行している。一方で、マンモグラフィ検診の高濃度乳房問題がクローズアップされ、その解決策の一つとして大規模臨床試験J-START により、マンモグラフィに乳房超音波検査を併用する新たな検診方法が注目されている。
評者は長い間、日本の乳がん検診、とくにマンモグラフィ検診の導入に深く関わり、がん検診を科学的に行うことを目指してきた。とはいいながら、科学的根拠を広く一般の方々に説明するには難しい壁があると感じていた。しかし、その壁を取り除いてくれる、あるいは壁を超えようとする人の背中を押してくれるのが本書であることが分かる。
がん検診の考え方、仕組みや統計データを理解し、マンモグラフィ検診には乳がんの死亡率を減少させる効果があること(国際的なレビュー)を知る。がん検診には利益と不利益があり、それらを整理し科学的に考えることによって理解を深める。不利益を最小限に抑えながら利益を最大化する。利益である死亡率減少効果を科学的に検証することの重要性を本書「乳がんを科学する」は系統的に分かりやすく説く。
マンモグラフィ検診の歴史を知ることで乳がん検診への理解を深め、さらには最新の高濃度乳房とブレスト・アウェアネス、遺伝学的解析の意義も知ることができる。異色の書ではあるが、時機を得た良書といえる。
評者 大内 憲明(東北大学名誉教授)
臨床放射線Vol. 69 No. 3 2024より
その乳がん検診はどのように始まって、何故、今、マンモグラフィ検診なのか?
日本における乳がん検診は1987年の視触診から始まったが、科学的根拠があったわけではない。その当時、欧米先進国では既にマンモグラフィ検診に関する臨床試験が行われ、一部の国ではその結果に基づいてマンモグラフィ検診が導入されていた。本書の著者である角田氏は30 年前のフィンランド訪問でそのことを学び「検診は疫学である」ことに気づく。その経験が本書発刊に至る契機となっている。
その後、日本でも厚生省研究班などによる取組みがあり、2000年から視触診とマンモグラフィの併用検診、2016年からマンモグラフィを原則とする検診へと移行している。一方で、マンモグラフィ検診の高濃度乳房問題がクローズアップされ、その解決策の一つとして大規模臨床試験J-START により、マンモグラフィに乳房超音波検査を併用する新たな検診方法が注目されている。
評者は長い間、日本の乳がん検診、とくにマンモグラフィ検診の導入に深く関わり、がん検診を科学的に行うことを目指してきた。とはいいながら、科学的根拠を広く一般の方々に説明するには難しい壁があると感じていた。しかし、その壁を取り除いてくれる、あるいは壁を超えようとする人の背中を押してくれるのが本書であることが分かる。
がん検診の考え方、仕組みや統計データを理解し、マンモグラフィ検診には乳がんの死亡率を減少させる効果があること(国際的なレビュー)を知る。がん検診には利益と不利益があり、それらを整理し科学的に考えることによって理解を深める。不利益を最小限に抑えながら利益を最大化する。利益である死亡率減少効果を科学的に検証することの重要性を本書「乳がんを科学する」は系統的に分かりやすく説く。
マンモグラフィ検診の歴史を知ることで乳がん検診への理解を深め、さらには最新の高濃度乳房とブレスト・アウェアネス、遺伝学的解析の意義も知ることができる。異色の書ではあるが、時機を得た良書といえる。
評者 大内 憲明(東北大学名誉教授)
臨床放射線Vol. 69 No. 3 2024より