胃癌治療ガイドライン 医師用 2025年3月改訂 第7版

CQが全41項目と大幅増。臨床現場で役立つ胃癌治療の決定版!

編 集 日本胃癌学会
定 価 2,530円
(2,300円+税)
発行日 2025/03/15
ISBN 978-4-307-20487-3

B5判・224頁・図数:10枚・カラー図数:2枚

在庫状況 あり

臨床現場での使用を意識し、標準的な治療の教科書形式による解説と、臨床的に重要なクリニカルクエスチョン(CQ)の2部構成からなる胃癌治療ガイドライン。本改訂では、胃切除後長期障害への対応、切除不能・進行再発胃癌におけるバイオマーカー、悪液質や出血性進行胃癌に対する緩和的治療など新たな課題が加わったCQは全41項目となった。化学療法レジメン・アルゴリズムも更新。胃癌診療に携わる医療者必携の1冊。
日常診療で推奨される治療法選択のアルゴリズム/CQ・推奨一覧
 日常診療で推奨される治療法選択のアルゴリズム
 CQ・推奨一覧

I章 本ガイドラインについて
 1.胃癌治療ガイドラインの目的・対象・使用方法
 2.作成主体
 3.作成の基本方針
 4.本ガイドラインのエビデンスレベルと推奨の強さの表記
 5.文献検索法
 6.ガイドラインの公開
 7.利益相反
 8.資金

II章 治療法
A.手術
 1.手術の種類と定義
 2.胃の切除範囲
 3.リンパ節郭清
 4.食道胃接合部癌
 5.その他
 6.再建法

B.内視鏡的切除
 1.内視鏡的切除の種類
 2.内視鏡的切除における標本の取扱い
 3.内視鏡的切除の適応
 4.内視鏡的切除の根治性
 5.EMR/ESD後の治療方針

C.切除不能進行・再発例に対する化学療法
 1.切除不能進行・再発胃癌に対する化学療法の適応の原則
 2.化学療法レジメンの推奨度の定義と治療アルゴリズム
 3.切除不能進行・再発胃癌に対する一次化学療法
 4.切除不能進行・再発胃癌に対する二次治療
 5.切除不能進行・再発胃癌に対する三次治療以降

D.補助化学療法
 1.術後補助化学療法の意義
 2.術後補助化学療法の適応
 3.術前補助化学療法

E.支持・緩和医療

F.胃癌手術後のクリニカルパス

G.胃癌術後フォローアップ

文献

III章 資料
クリニカル・クエスチョン(CQ)
重要臨床課題1.低侵襲手術の適応
  CQ1-1:切除可能な胃癌に対して、腹腔鏡下手術は推奨されるか?
  CQ1-2:切除可能な胃癌に対して、ロボット支援手術は推奨されるか?
  CQ1-3:進行胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術は推奨されるか?
  CQ1-4:術前化学療法症例に対する低侵襲手術(腹腔鏡下手術/ロボット支援手術)は推奨されるか?
 
重要臨床課題2.機能温存手術の有用性
  CQ2-1:胃体部の早期胃癌に対して幽門保存胃切除術は推奨されるか?
  CQ2-2:胃癌に対する機能温存手術として噴門側胃切除術は推奨されるか?
  CQ2-3:胃上部の癌に対して噴門側の極小胃を温存した幽門側胃切除術は推奨されるか?

重要臨床課題3.合併切除・拡大手術の是非
  CQ3-1:進行胃癌に対する大網切除は推奨されるか?
  CQ3-2:上部進行胃癌に対する脾摘や脾門郭清は推奨されるか?
  CQ3-3:十二指腸浸潤・膵頭部浸潤を来した進行胃癌に対して膵頭十二指腸切除は推奨されるか?

重要臨床課題4.適切な進行度診断
  CQ4-1:胃癌の進行度診断にPET-CT検査は推奨されるか?
  CQ4-2:進行胃癌の治療方針決定に審査腹腔鏡は推奨されるか?

重要臨床課題5.cStageIV胃癌に対する治療
  CQ5-1:Oligo metastasisに対する外科治療は推奨されるか?
  CQ5-2:Conversion手術は推奨されるか?(術後化学療法も含む)
  CQ5-3:出血/狭窄への姑息切除やバイパス手術、ステント留置術は推奨されるか?
  CQ5-4:CY1に対する胃切除術は推奨されるか?(術後化学療法も含む)

重要臨床課題6.食道胃接合部癌に対する手術
  CQ6-1:食道胃接合部癌に対する手術において、縦隔リンパ節や大動脈周囲リンパ節の郭清は推奨されるか?
  CQ6-2:食道胃接合部癌に対する手術において、噴門側胃切除術は推奨されるか?
  CQ6-3:食道胃接合部癌に対する腹腔鏡下手術/ロボット支援手術は推奨されるか?

重要臨床課題7.残胃癌に対する治療
  CQ7-1:残胃癌に対して脾摘を伴うリンパ節郭清は推奨されるか?
  CQ7-2:残胃癌に対して腹腔鏡下手術/ロボット支援手術は推奨されるか?
  CQ7-3:残胃空腸吻合部の残胃癌に対して空腸間膜リンパ節郭清は推奨されるか?

重要臨床課題8.胃切除後再手術の適応
  CQ8:切除断端が永久標本で陽性と診断された場合に再手術は推奨されるか?

重要臨床課題9.胃切除後長期障害への対応
  CQ9-1:脾摘後の肺炎球菌ワクチンの接種は推奨されるか?
  CQ9-2:胃全摘術後のVitB12投与は推奨されるか?
  CQ9-3:胃切除後にヘリコバクター・ピロリ除菌は推奨されるか?

重要臨床課題10.高齢者
  CQ10-1:手術の術式を決める際に、年齢を考慮することは推奨されるか?
  CQ10-2:全身化学療法の適応を決める際に、年齢を考慮することは推奨されるか?
  CQ10-3:内視鏡的切除の適応を決める際に、年齢を考慮することは推奨されるか?
  CQ10-4:高齢者・サルコペニア患者に対する周術期の栄養/運動療法は推奨されるか?

重要臨床課題11.全身化学療法の適応
  CQ11-1:高度腹膜転移による経口摂取不能または大量腹水を伴う症例に対して化学療法は推奨されるか?
  CQ11-2:切除不能進行・再発胃癌に対してゲノム検査に基づいた個別化医療は推奨されるか?

重要臨床課題12.切除不能進行・再発胃癌に対する一次化学療法
  CQ12:HER2陰性の切除不能進行・再発胃癌の一次治療において免疫チェックポイント阻害剤は推奨されるか?

重要臨床課題13.切除不能進行・再発胃癌におけるバイオマーカー
  CQ13-1:バイオマーカーに基づいて一次治療を選択することは推奨されるか?
  CQ13-2:二次治療以降において、治療前再生検によるバイオマーカーに基づいた治療選択は推奨されるか?

重要臨床課題14.切除不能進行・再発胃癌の増悪後の薬剤の継続使用・再投与
  CQ14:切除不能進行・再発胃癌に対する薬物療法の増悪後に、前治療で使用していた薬剤の継続使用(Beyond PD)または再投与(Re-challenge)は推奨されるか?

重要臨床課題15.緩和的治療
  CQ15-1:悪液質の状態の症例に対してアナモレリンは推奨されるか?
  CQ15-2:出血性進行胃癌の緩和的治療として放射線照射は推奨されるか?

重要臨床課題16.周術期化学療法
  CQ16-1:根治切除可能な進行胃癌・食道胃接合部癌に対して術前化学療法は推奨されるか?
  CQ16-2:R0手術が施行されたStage IV胃癌に対して術後補助化学療法は推奨されるか?

重要臨床課題17.抗血栓薬服用者
  CQ17:抗血栓薬服用者に対して内視鏡的切除を行う場合、抗血栓薬の継続は、抗血栓薬の一時的休薬に比べ推奨できるか?

付録
Quality Indicatorによる胃がん医療の均てん化・実態に関する研究2021年症例解析結果

索引
 胃癌治療ガイドラインはこれまで、わが国に蓄積された胃癌治療に関する膨大なデータの詳細な解析と、国内外から報告された新たなエビデンスに基づき、適切な治療法を提示してきた。臨床現場での使用を意識し、第5版より標準的な治療についての教科書形式の解説(「治療法」)と、臨床的に重要なクリニカルクエスチョン(CQ)に対する推奨文・解説の両方を記載し、本版でもこの構成を踏襲している。
 今回の改訂では、初版の基本理念を維持しつつ、エビデンスに基づいた治療をさらに推し進めるために、「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver. 3.0」を参考とした作成方法を採用した。すなわち、最新の知見も踏まえてCQ を設定し、独立したシステマティックレビュー委員が文献を評価し、これに基づいてガイドライン作成委員が合議により推奨の強さを決定した。この結果、推奨される治療の根拠が明確に示されるとともに、確かな推奨治療を示すにはさらなる研究が必要な領域も明らかとなった。
 本版の主な改訂点を以下に列挙する。

1.外科治療、内視鏡治療、化学療法、緩和的治療に関するCQを41項目に増した。

2.周術期化学療法について外科系および内科系委員合同でCQを作成し推奨を示した。

3.胃切除後長期障害への対応に関する3つのCQを作成し推奨を示した。

4.高齢者における外科治療、内視鏡治療、化学療法についてCQを作成し推奨を示した。

5.切除不能進行・再発胃癌に対する化学療法のレジメンは、「推奨されるレジメン」条件付きで推奨されるレジメン」として、「治療法」の章のアルゴリズムに列記した。シスプラチン併用レジメンに対し、オキサリプラチン併用レジメンがより好ましいことをアルゴリズムへ記載した。

6.バイオマーカー(HER2、CLDN18、PD-L1、MSI/MMR)に基づく治療選択について「治療法」で解説し、またCQでは最新の研究結果を踏まえた推奨を示した。これらの内容は日本胃癌学会にて策定した「切除不能進行・再発胃癌バイオマーカー検査の手引き」第1.1版に対応するものである。

7.緩和的治療におけるアナモレリンおよび出血性進行胃癌に対する緩和的放射線照射に関するCQを作成し推奨を示した。

 わが国の胃癌診療において本ガイドラインの推奨治療がどのように行われているか、その実態を知るために、「Quality Indicatorによる胃がん医療の均てん化・実態に関する研究」が継続して行われている。2021年の院内がん登録とそのDPCデータの解析結果を巻末に収載した。

2025年3月