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大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス 第6版 2026年7月
最新エビデンスで導く!大腸がん遺伝子関連検査の最前線
大腸がん診療における遺伝子関連検査の実施と治療への適切な反映を示す実践的ガイダンス。第6版では記載内容を全面的に見直し、最新の研究成果を反映。分子的残存病変(MRD)を包括的ゲノムプロファイリング検査とは独立した章として詳述した。新規検査技術の現状と今後の展望についての情報提供を目的とし、保険未収載ながら有用性が検証されている検査も含め推奨度を提示。最新エビデンスに基づく臨床判断に役立つ一冊。
略語表
はじめに
1 本ガイダンスにおける推奨内容と薬事承認・保険収載との関連性
2 総論
2.1 大腸がんの分子生物学的背景
2.2 大腸がんに認められる遺伝子異常の臨床的意義と遺伝子検査法の進歩
2.3 大腸がんの遺伝子関連検査に用いられる手法の現状とその位置付け
2.4 同一標的に対し複数の薬剤・検査法が存在する場合の対処について
3 RAS変異検査
3.1 背景
3.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、抗EGFR抗体薬およびKRAS阻害薬の適応判定を目的として、一次治療開始前にRAS変異検査を実施する。
3.3 RAS変異検査法
3.4 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、抗EGFR抗体薬再投与の適応判定を目的として、血液検体を用いたRAS変異検査を実施する。
3.5 切除可能大腸がん患者に対し、再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前にRAS変異検査を実施する。
4 BRAF変異検査
4.1 背景
4.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、予後予測および、BRAF阻害薬の適応判定を目的として、一次治療開始前にBRAF V600E変異検査を実施する。
4.3 切除可能大腸がん患者に対し、再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前にBRAF V600E変異検査を実施する。
4.4 ミスマッチ修復機能欠損大腸がん患者に対し、リンチ症候群の診断の補助を目的として、BRAF V600E変異検査を実施する。
4.5 BRAF変異検査法
5 HER2検査
5.1 背景
5.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、抗HER2療法の適応判定を目的として、抗HER2療法施行前にHER2検査を実施する。
5.3 HER2検査法
5.4 大腸がんにおけるHER2検査において、IHC検査を先行実施し2+と判定された症例に対してはISH検査を施行する。
6 ミスマッチ修復機能検査
6.1 背景
6.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、免疫チェックポイント阻害薬の適応判定を目的として、一次治療開始前にミスマッチ修復(MMR)機能検査を実施する。
6.3 切除可能大腸がん患者に対し、再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前にMMR機能検査を実施する。
6.4 切除可能大腸がん患者に対し、術前治療の選択を目的として、診断時にMMR機能検査を実施する。
6.5 大腸がん患者に対し、リンチ症候群のスクリーニングを目的として、MMR機能検査を実施する。
6.6 ミスマッチ修復(MMR)機能を判定する検査の種類
7 包括的ゲノムプロファイリング検査
7.1 背景
7.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、治療薬適応判定の補助として、一次治療開始後の適切なタイミングでCGP検査(組織または血漿)を実施する。
7.3 薬事承認されたCGP検査
7.4 大腸がんにおいてCGP 検査により保険診療下に治療に到達する可能性のある異常
8 リキッドバイオプシー:MRD
8.1 背景
8.2 MRD検査法
8.3 治癒切除が行われた大腸がん患者に対し、術後再発リスク評価を目的として、MRD検査を実施する。/治癒切除が行われた大腸がん患者に対し、再発サーベイランスを目的として、MRD検査を実施する。
9 検体に用いる試料
9.1 組織検体:体細胞遺伝子検査、免疫染色、およびFISHにはホルマリン固定パラフィン包埋組織を用いる。病変ブロックの選択、マクロダイセクションの要否とその範囲の決定、および腫瘍細胞含有割合の評価は原則として病理医が行う。
9.2 血液検体:血漿検体を用いた遺伝子検査では、各検査法が指定する採血管および処理方法に準じて実施する。
10 検査精度の確保
大腸がん診療における遺伝子関連検査は、精度の確保された検査室で実施されなければならない。
11 その他重要な検査
11.1 DNAメチル化解析検査
RAS野生型の切除不能進行再発大腸がん患者に対し、抗EGFR抗体薬の適応判定の補助として、DNAメチル化解析検査を実施する。
11.2 腫瘍微小環境
11.3 デジタル病理AIを用いたバイオマーカー診断
12 備考
日本臨床腫瘍学会におけるガイドライン、ガイダンスなどの定義
Appendix
索引
はじめに
1 本ガイダンスにおける推奨内容と薬事承認・保険収載との関連性
2 総論
2.1 大腸がんの分子生物学的背景
2.2 大腸がんに認められる遺伝子異常の臨床的意義と遺伝子検査法の進歩
2.3 大腸がんの遺伝子関連検査に用いられる手法の現状とその位置付け
2.4 同一標的に対し複数の薬剤・検査法が存在する場合の対処について
3 RAS変異検査
3.1 背景
3.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、抗EGFR抗体薬およびKRAS阻害薬の適応判定を目的として、一次治療開始前にRAS変異検査を実施する。
3.3 RAS変異検査法
3.4 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、抗EGFR抗体薬再投与の適応判定を目的として、血液検体を用いたRAS変異検査を実施する。
3.5 切除可能大腸がん患者に対し、再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前にRAS変異検査を実施する。
4 BRAF変異検査
4.1 背景
4.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、予後予測および、BRAF阻害薬の適応判定を目的として、一次治療開始前にBRAF V600E変異検査を実施する。
4.3 切除可能大腸がん患者に対し、再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前にBRAF V600E変異検査を実施する。
4.4 ミスマッチ修復機能欠損大腸がん患者に対し、リンチ症候群の診断の補助を目的として、BRAF V600E変異検査を実施する。
4.5 BRAF変異検査法
5 HER2検査
5.1 背景
5.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、抗HER2療法の適応判定を目的として、抗HER2療法施行前にHER2検査を実施する。
5.3 HER2検査法
5.4 大腸がんにおけるHER2検査において、IHC検査を先行実施し2+と判定された症例に対してはISH検査を施行する。
6 ミスマッチ修復機能検査
6.1 背景
6.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、免疫チェックポイント阻害薬の適応判定を目的として、一次治療開始前にミスマッチ修復(MMR)機能検査を実施する。
6.3 切除可能大腸がん患者に対し、再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前にMMR機能検査を実施する。
6.4 切除可能大腸がん患者に対し、術前治療の選択を目的として、診断時にMMR機能検査を実施する。
6.5 大腸がん患者に対し、リンチ症候群のスクリーニングを目的として、MMR機能検査を実施する。
6.6 ミスマッチ修復(MMR)機能を判定する検査の種類
7 包括的ゲノムプロファイリング検査
7.1 背景
7.2 切除不能進行再発大腸がん患者に対し、治療薬適応判定の補助として、一次治療開始後の適切なタイミングでCGP検査(組織または血漿)を実施する。
7.3 薬事承認されたCGP検査
7.4 大腸がんにおいてCGP 検査により保険診療下に治療に到達する可能性のある異常
8 リキッドバイオプシー:MRD
8.1 背景
8.2 MRD検査法
8.3 治癒切除が行われた大腸がん患者に対し、術後再発リスク評価を目的として、MRD検査を実施する。/治癒切除が行われた大腸がん患者に対し、再発サーベイランスを目的として、MRD検査を実施する。
9 検体に用いる試料
9.1 組織検体:体細胞遺伝子検査、免疫染色、およびFISHにはホルマリン固定パラフィン包埋組織を用いる。病変ブロックの選択、マクロダイセクションの要否とその範囲の決定、および腫瘍細胞含有割合の評価は原則として病理医が行う。
9.2 血液検体:血漿検体を用いた遺伝子検査では、各検査法が指定する採血管および処理方法に準じて実施する。
10 検査精度の確保
大腸がん診療における遺伝子関連検査は、精度の確保された検査室で実施されなければならない。
11 その他重要な検査
11.1 DNAメチル化解析検査
RAS野生型の切除不能進行再発大腸がん患者に対し、抗EGFR抗体薬の適応判定の補助として、DNAメチル化解析検査を実施する。
11.2 腫瘍微小環境
11.3 デジタル病理AIを用いたバイオマーカー診断
12 備考
日本臨床腫瘍学会におけるガイドライン、ガイダンスなどの定義
Appendix
索引
<発刊にあたり>
がんゲノム医療の黎明期から今日に至るまで、公益社団法人日本臨床腫瘍学会はつねに臨床の最前線に立ち、確固たるエビデンスを医療現場へ届ける社会的使命を果たしてまいりました。2008年11月の「大腸がん患者におけるKRAS遺伝子変異の測定に関するガイダンス第1版」の刊行から始まった本ガイダンスの歴史は、まさにわが国の大腸がん薬物療法における「最適化」と「精緻化」へのあくなき挑戦の軌跡でもあります。
2014年の第2版(RAS遺伝子)、2016年の第3版(BRAF変異/MMR機能欠損)、2019年の第4版(CGP検査/NTRK融合遺伝子)、そして2023年の第5版(HER2検査/MRD検査)へと、時代ごとの科学的エビデンスと保険診療の変遷に即した道標を提示し続けることで、私たちは治療の均点化と向上に大きく寄与してまいりました。
そしていま、大腸がん診療は単なる「固定された遺伝子異常の検索」の時代を過ぎ、リキッドバイオプシーを活用した「病態の動的(ダイナミック)な把握」へと、さらなる進化を遂げています。この歴史的な転換期において発刊される「改訂第6版」は、これまでの構成を全般的に見直し、次の時代を見据えた実践的指針として再定義いたしました。
総論部分では、複雑化する大腸がんの分子生物学的背景を整理し、日進月歩の包括的ゲノム解析やリキッドバイオプシー技術の臨床的意義を、専門外の医療従事者にも理解しやすいよう体系的に記述しております。
各論部分における最大のアップデートは、近年の治療革新との連動です。RAS、BRAF、MMR/MSI、HER2といった従来の重要バイオマーカーの深掘りはもとより、KRAS G12C阻害薬の登場に伴う新たな検査体制の構築や、BRAF V600E変異陽性大腸がんに対する最前線の治療戦略など、明日からの臨床に直結する知見を網羅しました。また、日常診療で導入が進む包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査について、組織検体と血漿検体の補完的・選択的活用のタイミング、およびその結果の解釈について、実臨床のリアルな障壁を解消するための具体的な指針を提示しています。
本改訂において特筆すべきは、ctDNAを用いた分子学的残存病変(MRD)検査を独立した章として独立・新設した点にあります。術後補助療法の必要性や期間の個別化、さらには再発サーベイランスの手法において、ctDNAの持つポテンシャルは計り知れません。現時点での科学的推奨度と未だ残る課題を冷静に評価し、過剰診療や過小診療を防ぐための客観的な基準を設けることは、本学会だからこそ果たすべき重要な役割です。さらに一歩進め、DNAメチル化解析や、デジタル病理・AI技術を用いた新規バイオマーカーの評価など、近未来の標準治療となり得る先端技術の動向についても章を割き、次世代へのインスピレーションを提供しています。
プレシジョンメディシンの本質は、科学の進歩を迅速に患者さんのベネフィットへと還元することにあります。本書が、日本全国の大腸がん診療に携わるすべての医療従事者の強固な盾となり、患者さん一人ひとりに対して最適、かつ安全な診断と治療が、一刻も早く届けられるための架け橋となることを確信しております。
最後に、多忙な日常診療の傍ら、高度な専門的知見を惜しみなく注ぎ込み、本改訂作業に多大なるご尽力を賜りました作成ワーキンググループ委員の先生方、ならびに査読委員、関係各位の熱意とご献身に、心より深謝申し上げます。
2026年5月
公益社団法人日本臨床腫瘍学会
理事長 吉野 孝之
<発刊によせて>
がん診療におけるゲノム医療の進展は、今や診断から治療選択、そして治療後のモニタリングに至るまで、診療の全過程にパラダイムシフトをもたらしています。日本臨床腫瘍学会では、2008年に「大腸がん患者におけるKRAS遺伝子変異の測定に関するガイダンス第1版」を世に送り出して以来、科学的エビデンスの蓄積と検査技術の進歩に合わせ、適宜改訂を重ねてまいりました。この度、臨床現場の切実な要望に応え、最新の知見を整理した「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス 第6 版」を刊行する運びとなりました。
前版である第5版の発刊から今日に至るまで、大腸がんを取り巻くバイオマーカー診療はさらなる深化を遂げています。新たな治療標的の同定や、リキッドバイオプシーを用いた微小残存腫瘍(MRD)評価の進展、そして包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査の実施タイミングの最適化など、エビデンスは日々更新され続けています。日常診療において、これら多彩な検査を「いつ」「どの患者さんに」「どのように」実施し、その結果をいかに治療戦略に結びつけるべきか。その判断指針となる学会としてのコンセンサスが、これまで以上に強く求められています。
本ガイダンス第6版は、学術的な妥当性と実臨床での利便性を両立させるべく、最新の文献報告や国内外の諸ガイドラインなど、多角的な視点から編纂されました。ガイダンスが提示する「基本的要件」が医療現場に浸透することで、地域や施設を問わず、すべての患者さんが最適かつ最新のゲノム医療の恩恵を享受できる一助となることを願って止みません。
最後になりましたが、本ガイダンスの作成にあたり、多大なご尽力をいただいた坂東英明委員長をはじめとするワーキンググループの諸先生方、評価委員の皆様、ならびに関係各位に深く感謝申し上げます。本ガイダンスが、大腸がん診療に携わるすべての医療従事者にとっての道標となり、一人でも多くの患者さんに質の高いゲノム医療が提供される一助となることを切に願っております。
2026年5月
公益社団法人日本臨床腫瘍学会 ガイドライン委員会
委員長 市原 英基
がんゲノム医療の黎明期から今日に至るまで、公益社団法人日本臨床腫瘍学会はつねに臨床の最前線に立ち、確固たるエビデンスを医療現場へ届ける社会的使命を果たしてまいりました。2008年11月の「大腸がん患者におけるKRAS遺伝子変異の測定に関するガイダンス第1版」の刊行から始まった本ガイダンスの歴史は、まさにわが国の大腸がん薬物療法における「最適化」と「精緻化」へのあくなき挑戦の軌跡でもあります。
2014年の第2版(RAS遺伝子)、2016年の第3版(BRAF変異/MMR機能欠損)、2019年の第4版(CGP検査/NTRK融合遺伝子)、そして2023年の第5版(HER2検査/MRD検査)へと、時代ごとの科学的エビデンスと保険診療の変遷に即した道標を提示し続けることで、私たちは治療の均点化と向上に大きく寄与してまいりました。
そしていま、大腸がん診療は単なる「固定された遺伝子異常の検索」の時代を過ぎ、リキッドバイオプシーを活用した「病態の動的(ダイナミック)な把握」へと、さらなる進化を遂げています。この歴史的な転換期において発刊される「改訂第6版」は、これまでの構成を全般的に見直し、次の時代を見据えた実践的指針として再定義いたしました。
総論部分では、複雑化する大腸がんの分子生物学的背景を整理し、日進月歩の包括的ゲノム解析やリキッドバイオプシー技術の臨床的意義を、専門外の医療従事者にも理解しやすいよう体系的に記述しております。
各論部分における最大のアップデートは、近年の治療革新との連動です。RAS、BRAF、MMR/MSI、HER2といった従来の重要バイオマーカーの深掘りはもとより、KRAS G12C阻害薬の登場に伴う新たな検査体制の構築や、BRAF V600E変異陽性大腸がんに対する最前線の治療戦略など、明日からの臨床に直結する知見を網羅しました。また、日常診療で導入が進む包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査について、組織検体と血漿検体の補完的・選択的活用のタイミング、およびその結果の解釈について、実臨床のリアルな障壁を解消するための具体的な指針を提示しています。
本改訂において特筆すべきは、ctDNAを用いた分子学的残存病変(MRD)検査を独立した章として独立・新設した点にあります。術後補助療法の必要性や期間の個別化、さらには再発サーベイランスの手法において、ctDNAの持つポテンシャルは計り知れません。現時点での科学的推奨度と未だ残る課題を冷静に評価し、過剰診療や過小診療を防ぐための客観的な基準を設けることは、本学会だからこそ果たすべき重要な役割です。さらに一歩進め、DNAメチル化解析や、デジタル病理・AI技術を用いた新規バイオマーカーの評価など、近未来の標準治療となり得る先端技術の動向についても章を割き、次世代へのインスピレーションを提供しています。
プレシジョンメディシンの本質は、科学の進歩を迅速に患者さんのベネフィットへと還元することにあります。本書が、日本全国の大腸がん診療に携わるすべての医療従事者の強固な盾となり、患者さん一人ひとりに対して最適、かつ安全な診断と治療が、一刻も早く届けられるための架け橋となることを確信しております。
最後に、多忙な日常診療の傍ら、高度な専門的知見を惜しみなく注ぎ込み、本改訂作業に多大なるご尽力を賜りました作成ワーキンググループ委員の先生方、ならびに査読委員、関係各位の熱意とご献身に、心より深謝申し上げます。
2026年5月
公益社団法人日本臨床腫瘍学会
理事長 吉野 孝之
<発刊によせて>
がん診療におけるゲノム医療の進展は、今や診断から治療選択、そして治療後のモニタリングに至るまで、診療の全過程にパラダイムシフトをもたらしています。日本臨床腫瘍学会では、2008年に「大腸がん患者におけるKRAS遺伝子変異の測定に関するガイダンス第1版」を世に送り出して以来、科学的エビデンスの蓄積と検査技術の進歩に合わせ、適宜改訂を重ねてまいりました。この度、臨床現場の切実な要望に応え、最新の知見を整理した「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス 第6 版」を刊行する運びとなりました。
前版である第5版の発刊から今日に至るまで、大腸がんを取り巻くバイオマーカー診療はさらなる深化を遂げています。新たな治療標的の同定や、リキッドバイオプシーを用いた微小残存腫瘍(MRD)評価の進展、そして包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査の実施タイミングの最適化など、エビデンスは日々更新され続けています。日常診療において、これら多彩な検査を「いつ」「どの患者さんに」「どのように」実施し、その結果をいかに治療戦略に結びつけるべきか。その判断指針となる学会としてのコンセンサスが、これまで以上に強く求められています。
本ガイダンス第6版は、学術的な妥当性と実臨床での利便性を両立させるべく、最新の文献報告や国内外の諸ガイドラインなど、多角的な視点から編纂されました。ガイダンスが提示する「基本的要件」が医療現場に浸透することで、地域や施設を問わず、すべての患者さんが最適かつ最新のゲノム医療の恩恵を享受できる一助となることを願って止みません。
最後になりましたが、本ガイダンスの作成にあたり、多大なご尽力をいただいた坂東英明委員長をはじめとするワーキンググループの諸先生方、評価委員の皆様、ならびに関係各位に深く感謝申し上げます。本ガイダンスが、大腸がん診療に携わるすべての医療従事者にとっての道標となり、一人でも多くの患者さんに質の高いゲノム医療が提供される一助となることを切に願っております。
2026年5月
公益社団法人日本臨床腫瘍学会 ガイドライン委員会
委員長 市原 英基
