整形外科・病理
悪性骨腫瘍取扱い規約 第4版
WHO分類2013年版、TNM分類第7版に対応した15年ぶりの改訂版!
編 集 |
日本整形外科学会 / 日本病理学会 |
定 価 |
7,700円 (7,000円+税) |
発行日 |
2015/11/30 |
ISBN |
978-4-307-25159-4 |
B5判・240頁
第4版では、WHO分類の改訂に伴い病理画像所見と臨床画像所見を大幅に追加した。特に病理画像所見と臨床画像所見の連続性をもたせ、より使い勝手の良いレイアウトに刷新したことが大きな特徴である。骨腫瘍分類では、WHO分類には記載はないが、臨床病理学上の特徴があり診断上意味があると思われる病変も多数追加した。整形外科医、病理医の日常診療において、第一に参照される網羅的な手引き書である。
■骨腫瘍の分類
■骨腫瘍の頻度
発生頻度
国内での相対頻度
■骨腫瘍の診断
画像診断
臨床検査
遺伝子診断
生検法
骨腫瘍の病期分類
■インフォ−ムドコンセント
■骨腫瘍の治療
手術療法
化学療法
放射線療法
治療効果判定
■骨腫瘍の治療成績
用語の定義
生存率の解析
■骨腫瘍の登録
■骨腫瘍の病理
骨腫瘍病理総論
骨腫瘍病理各論
■付録 各種規約一覧
切除範囲の表現法(ISOLS)
同種骨移植(allograft)の評価法
腫瘍用人工関節のレントゲン評価法
患肢機能評価法(Enneking)
この度、悪性骨腫瘍取扱い規約第4 版が出版される運びとなった。第3 版の発刊
から15 年が経ち、この間、骨腫瘍については基礎と臨床の両面から多くの研究が
行われ、いくつかの腫瘍では細胞起源や病態が明らかとなり、治療面では集学的治
療の進歩により悪性骨腫瘍に対する患肢温存手術は標準的な術式となり、術後の患
肢機能やQOL も治療の重要な要素となっている。また、整形外科学医の骨・軟部
腫瘍に対する認識も高まり、初診時の適切な対応や治療の集約化は治療成績の向上
に寄与している。
骨原発悪性腫瘍の治療では、正確な診断と適正な治療計画が必要である。診断に
際しては、希少がんゆえ、骨腫瘍の存在を意識して日常診療にあたることが重要で
ある。今回の改訂では、これまでの骨・軟部腫瘍委員会の申し合わせ事項を継承し、
整形外科の第一線で診療される先生方にとって骨腫瘍の診断や治療の標準的な手引き
となるよう、修得すべき基本的な知識に新しい知見を加えた。病理各論では2013 年版
のWHO 分類に沿って、各項に画像所見と解説文を加え、病理組織所見を含めてひと
つの腫瘍を総合的に把握できるようにした。2013 年版WHO 分類の主な変更点は、悪
性度に関してIntermediate(locally aggressive、rarely metastasizing)の概念が導
入されたこと、細胞起源や病態の明らかとなった腫瘍の項目がIntermediate へ移動し
たことなどである。骨巨細胞腫、軟骨芽細胞腫、動脈瘤様骨嚢腫、Langerhans 細胞
組織球症などはIntermediate に分類された。また、動脈瘤様骨嚢腫はTumors of
undefined neoplastic nature の項目へ、骨未分化高悪性度多形肉腫(悪性線維性組織
球腫)はMiscellaneous tumors の項目に移動した。なお、WHO 分類はイギリス綴り
の英語表記であるが、読者がわかりやすいように第4 版では表1 の骨腫瘍分類を含め
その他の箇所はアメリカ綴りの英語表記で統一した。腫瘍の日本語表記については整
形外科の成書においても統一されていないものがあるが、腫瘍名は英語表記を基準と
し、日本語表記はあくまでも翻訳による表現であることをご理解いただきたいと思う。
骨腫瘍は多くの種類がありさまざまな病態を呈するため、診断と治療に際しては
専門的知識に加え、臨床と病理の密な連携が必要である。多くの整形外科や病理の
先生方が本書を活用されることを願っている。
最後に、第1 版の発刊から33 年の月日が経過しているが、この間、本規約の作
成にご尽力いただいた諸先輩方、そして、ご多忙の中、第4 版の改訂作業にご努力
いただきました骨・軟部腫瘍委員会の先生方に心より感謝の意を表します。
2015 年11 月
日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会
悪性骨腫瘍取扱い規約第4 版作成委員会
委員長 土谷 一晃