コーチとプレーヤーのための サッカー医学テキスト 第2版

JFA監修! サッカーの現場で役立つ最新スポーツ医学!

編 集 公益財団法人日本サッカー協会医学委員会
定 価 4,180円
(3,800円+税)
発行日 2019/02/15
ISBN 978-4-307-25164-8

B5判・408頁・図数:380枚・カラー図数:2枚

在庫状況 あり

公益財団法人日本サッカー協会による医学テキストの改訂版。初版発行より7年の歳月を経て、最新のスポーツ医学情報を収録した。また、熱中症への対応や現場での救命処置など、時代の変化、現場のニーズを反映した改訂となった。外傷・障害のみならず、サッカー選手のコンディショニング、栄養、心理面のサポートまで幅広い内容を網羅した、まさに、サッカーに関わるすべての「コーチとプレーヤーのための」テキストである。
1章 サッカー医学とは
 日本でのサッカー医学の歴史と現状
 サッカーヘルスメイト
2章 サッカーのバイオメカニクス
3章 サッカーの運動生理学
4章 サッカーに必要な体力・コンディションの評価法
5章 シーズンによるコンディショニング
6章 サッカー選手のメディカルチェック
 内科領域
 運動器
7章 現場での処置・ケガからの復帰
 現場での治療
 サッカーによくみられるケガの初期治療
 プレー中の出血に対する止血
 復帰までの道のり(概論)
 アスレティックリハビリテーションの基礎
 予防プログラム
 アスレティックトレーナーの役割
8章 サッカー選手の外傷・障害
 頭部外傷・脳振とう
 顔面外傷
 頚部・体幹(1) 解剖とバイオメカニクス
 頚部・体幹(2) 頚部、胸部、腰部外傷
 頚部・体幹(3) 腰部障害
 肩関節
 肘関節
 前腕・手関節・手指
 骨盤・股関節(1) 解剖とバイオメカニクス
 骨盤・股関節(2) 骨盤・股関節周囲の外傷
 骨盤・股関節(3) 骨盤・股関節周囲の障害
 骨盤・股関節(4) 鼡径部痛症候群
 大腿・下腿の筋損傷
 膝関節(1) 解剖とバイオメカニクス
 膝関節(2) 成長期の障害
 膝関節(3) 膝の外傷
 膝関節(4) 膝の障害
 下腿・足関節・足部(1) 解剖とバイオメカニクス
 下腿・足関節・足部(2) 下腿の外傷・障害
 下腿・足関節・足部(3) 足関節および足部の外傷・障害
9章 テーピング・シューズ・インソールの知識
 日本におけるテーピング
 シューズ・インソールの知識
10章 サッカー選手の内科的疾患
 消化器
 呼吸器・感染症
 循環器
 代謝・内分泌
11章 女子サッカー選手の健康管理
12章 障がい者サッカー
 障がい者サッカーの概要
 視覚障がい者サッカー
 聴覚障がい者サッカー
 知的障がい者サッカー
 精神障がい者サッカー(フットサル)
13章 特殊環境対策
 暑熱対策
 高地対策
 時差対策
 衛生環境対策
14章 サッカー選手の歯
15章 サッカー選手の栄養
16章 サッカー選手の心理
 メンタル面のチェック
 サッカーにおけるメンタルトレーニング
 オーバートレーニング症候群
 バーンアウト
17章 アンチ・ドーピング
18章 大会の医事について
 国内大会での医事
 国際大会での医事

禁止薬剤一覧
索引
はじめに

 サッカー選手が怪我なくプレーをするため、そして競技力を向上させるためには、様々な知識を習得する必要があります。アンチ・ドーピングを含めた医学的知識はもちろん、運動生理学、栄養学、心理学など、その範囲は多岐に渡ります。選手自身が自ら学ぶことも大切ですが、特に育成年代を指導するコーチには、選手に教育し得る十分な知識が必要となります。
 2005年7月、日本サッカー協会(JFA)医学委員会は、その一助となるための「選手と指導者のためのサッカー医学」を出版しました。しかし、スポーツ医学は日進月歩で、「治療戦略」が中心となっていた学会のメインテーマには必ずと言っていいほど「予防戦略」が組み込まれるようになり、2008年には国際サッカー連盟(FIFA)がスポーツ外傷の予防プログラム「The11+」を全世界に発信して、その効果についても言及しています。また、ドーピングに関するレギュレーションも毎年変更されるなど、時代の変遷に沿うように、2011年7月、タイトルも新たに「コーチとプレーヤーのためのサッカー医学テキスト」を出版しました。
 それからさらに7年が経過し、2015年にカナダで開催されたFIFA女子ワールドカップでは人工芝のピッチが使用されるなど、サッカーを取り巻く環境も刻一刻と変化しています。人工芝には多くのメリットがある一方で、気温が高くなると表面温度が天然芝より高くなることは広く知られています。近年では、遮熱効果を持つ人工芝の開発も進んでいますが、夏場になると毎年のように熱中症の問題が指摘されています。
 JFAは、1997年6月に「サッカーの暑さ対策ガイドブック」を策定して、熱中症に対する注意喚起を行ってきましたが、地球温暖化の影響もあって熱中症による事故は後を絶ちませんでした。また、地球温暖化は選手ばかりか試合に訪れる観客の健康まで蝕み、Jリーグの公式戦では多くの観客が熱中症により医務室に駆け込む事態となりました。
 そこで2016年3月、JFAは、選手、スタッフ、レフェリー、そして観客を守るため「熱中症対策ガイドライン」を策定し、ピッチサイドに「医師、看護師、BLS(一次救命処置)資格保持者のいずれかを常駐させる」ことを義務化しました。そして同年7月には、BLS資格保持者の育成を目的に「スポーツ救命プロジェクト」を立ち上げました。
 今回、7年の歳月を経て「コーチとプレーヤーのためのサッカー医学テキスト第2版」を出版することとなりましたが、最新のスポーツ医学情報に加えて、新たに「救命処置」の項目を加えるなど、より現場を重視したテキストとなりましたので、明日からのサッカーライフにお役立ていただけましたら幸いです。
 最後になりましたが、本誌にご執筆いただきましたサッカー愛に溢れる諸先生方、そして本誌の出版にご賛同いただきました金原出版株式会社には心から感謝申し上げます。

2018年12月
日本サッカー協会医学委員会
委員長 池田 浩