悪性軟部腫瘍取扱い規約 第4版

21年ぶりの改訂! 悪性軟部腫瘍診療に関わる医師必携の1冊

編 集 日本整形外科学会 / 日本病理学会
定 価 7,480円
(6,800円+税)
発行日 2023/03/31
ISBN 978-4-307-25167-9

B5判・148頁・図数:22枚・カラー図数:63枚

在庫状況 あり

21年ぶりの改訂により最新の情報にアップデートされ、領域横断的がん取扱い規約にて記載すべきとされた内容も網羅している。また、組織型を含む病理診断の項目については特に充実した内容となっており、診断、治療、治療後のフォローアップの方法等については最新の情報も盛り込み教科書的な内容も掲載している。適切な診療、記載法標準化のために必携の1冊である。
I 臨床情報・診断
1.病歴・既往症・治療歴・患者の状態
 A 病歴
 B 家族歴
 C 既往歴
 D 患者の状態
2.血液検査・遺伝学的検査
 A 血液検査
 B 遺伝学的検査
3.画像検査
 A 各種画像診断法の特徴と役割
 B 軟部腫瘍診断の病理学的特徴と画像所見
 C 治療方針への情報提供: 悪性軟部腫瘍の診療方針決定におけるCT、MRI、核医学検査(PET)などの画像検査による評価
4.生検(針・切開・切除)
 A 方法

II 病理診断
1.病理標本の取り扱い方
 A 総論
 B 新鮮手術検体の取り扱い
 C ホルマリン固定
 D 肉眼観察
 E 標本作製
2.診断の流れ
 A 総論
 B 組織形態学的評価
 C 免疫染色
 D 遺伝子解析
3.組織型
 A 脂肪性腫瘍
 B 線維芽細胞・筋線維芽細胞性腫瘍
 C いわゆる線維組織球性腫瘍
 D 脈管性腫瘍
 E 平滑筋性腫瘍
 F 横紋筋性腫瘍
 G 軟骨・骨形成性腫瘍
 H 末梢神経鞘腫瘍
 I 分化方向の不明な腫瘍
 J 骨軟部発生未分化小円形細胞肉腫
4.FNCLCC グレーディング
5.病理学的切除断端評価
6.その他状況に応じて記載する事項
7.生検検体での病理診断
8.病理診断報告書の記載例
9.ICCR データセットについて

III 病期分類

IV 治療
1.手術療法
 A 原発巣の記載
 B 転移巣の記載
 C 手術の時期
 D 手術の種類
 E 合併切除と再建
 F 転移巣手術
 G 部位別手術記載
2.薬物療法
 A 薬物療法の対象
 B 薬物療法の分類と目的
 C 代表的レジメンとその成績
 D 妊孕性温存
3.放射線療法
 A 悪性軟部腫瘍に対する放射線療法の特徴と役割
 B 放射線療法に用いられる放射線とその利用方法
 C 温熱療法(ハイパーサーミア)
 D 対症療法、転移性腫瘍
4.免疫療法
5.治療効果判定(RECIST)
6.合併症の記載
 A 手術療法の合併症
 B 薬物療法の合併症
 C 放射線療法の合併症

V 治療後
1.フォローアップ
 A フォローアップ方法(期間、間隔、画像・血液検査)
 B 晩期障害
2.転帰の記載方法
 A 局所再発
 B 領域リンパ節転移
 C 遠隔転移
 D 生存状態および腫瘍死の区別とその定義
3. 患者のADL/QOL 評価(PS、ISOLS/MSTS、EQ-5D、SF-36)
 A Performance Status(PS)score
 B ISOLS/MSTS score
 C EuroQol 5 Dimension(EQ-5D)
 D MOS Short-Form 36-Item Health Survey(SF-36)

VI 全国骨軟部腫瘍登録
 A 概要
 B 登録の方法
 C 研究利用の方法
第4版 序

 悪性軟部腫瘍取扱い規約第3版が2002年に発刊され、今回実に21年ぶりに改訂第4版が発刊されることとなった。この間に軟部腫瘍診療ガイドラインが第1〜3版として次々に発刊されたため、座右に置く書として取扱い規約の存在意義が薄れていた印象があるのではないだろうか。しかし、悪性軟部腫瘍を診療する医師が記載すべき事項は取扱い規約を基準として標準化すべきである。
 折しも、2019年に15の学会が関与する22のがん取扱い規約について記載法を統一していくことを目的に領域横断的がん取扱い規約第1版が発刊された。悪性軟部腫瘍・骨腫瘍取扱い規約も22の中の2規約として含まれている。
 改訂第4版では、領域横断的がん取扱い規約で最低限記載すべき事項とされる内容を網羅することに留意した。また、本規約の歴史的な特徴、長所といえる組織型を含む病理診断の項目については、他のがん取扱い規約と比べて充実した内容となっている。一方、Common cancerと異なり、悪性軟部腫瘍は希少がんの集合体であるため、診療に携わる医師にとって基本的な診療方法で迷うことが多いと思われる。標準的記載法だけでなく、診断・治療・治療後のフォローアップの方法等について最新の情報を含めた教科書的な内容も盛り込んである。
 悪性軟部腫瘍に対する診療は、身体のあらゆる部位から発症することや、加速度的に高度化、複雑化しながら発展している化学療法、免疫療法、放射線診断・治療を考えるとmulti-disciplinary な対応が必須である。整形外科医、病理医だけでなく、放射線科、臨床腫瘍科、小児内科、頭頚部外科、腹部外科など多くの先生に作成に携わっていただいた。この場を借りてご尽力いただいた委員の先生方に厚く御礼を申し上げたい。
 本取扱い規約改訂第4版が、悪性軟部腫瘍を診療する多科の医師の座右にあり、適切な診療、記載法の標準化の助けになると確信している。また本書を通じて、興味深い腫瘍を多く含んだ希少がんである悪性軟部腫瘍診療に興味をもつ医師が増えることを切に願っている。

2023年3月
日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会 委員長
悪性軟部腫瘍取扱い規約改訂第4版作成委員会 委員長
西田 佳弘