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形成外科診療ガイドライン 1 2021年版 第2版 皮膚疾患/頭頸部・顔面疾患/体幹・四肢疾患
旧1・6・7 巻を1巻にまとめて改訂! リンパ浮腫を新設しました(全3巻)
編 集 | 日本形成外科学会 / 日本創傷外科学会 / 日本頭蓋顎顔面外科学会 |
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定 価 | 9,350円 (8,500円+税) |
発行日 | 2021/08/20 |
ISBN | 978-4-307-25721-3 |
B5判・532頁・カラー図数:1枚
在庫状況 | あり |
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旧1巻「皮膚疾患:皮膚軟部腫瘍/母斑・色素性疾患(レーザー治療)」、旧6巻「頭頸部・顔面疾患:頭頸部再建/顔面神経麻痺/眼瞼下垂症」、旧7巻「体幹・四肢疾患:乳房再建/腋臭症/漏斗胸/臍ヘルニア・突出症/四肢先天異常/四肢再建/殿部・外陰部再建」を改訂し、「リンパ浮腫」を新設しました(全3巻)。推奨の強さはエビデンスの強さを参考にし、益と害のバランス、形成外科の治療では重要である患者の価値観や希望、コストや資源を考慮して決定しました。
【関連書籍】形成外科診療ガイドライン 2 2021年版 頭蓋顎顔面疾患(先天性・後天性)
【関連書籍】形成外科診療ガイドライン 3 2021年版 創傷疾患
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【関連書籍】形成外科診療ガイドライン 3 2021年版 創傷疾患
改訂第2版 序
形成外科診療ガイドライン改訂にあたって
第1版 序
第1版 ガイドライン作成にあたって
形成外科診療ガイドライン(第2版)について
第I編 皮膚軟部腫瘍診療ガイドライン
1章 上皮系良性腫瘍(色素性母斑を含む)
2章 非上皮系良性腫瘍
3章 メラノーマ(悪性黒色腫)
4章 有棘細胞癌
5章 基底細胞癌/基底細胞上皮腫
6章 乳房外Paget病
第II編 母斑・色素性疾患(レーザー治療)診療ガイドライン
1章 扁平母斑
2章 色素性母斑
3章 太田母斑
4章 蒙古斑・異所性蒙古斑
5章 外傷性色素沈着
6章 色素斑
第III編 頭頸部再建診療ガイドライン
1章 口腔再建
2章 中咽頭再建
3章 下咽頭頸部食道再建
4章 上顎再建
5章 下顎再建
6章 頭蓋底再建
7章 頭蓋再建
第IV編 顔面神経麻痺診療ガイドライン
1章 顔面神経麻痺
第V編 眼瞼下垂症診療ガイドライン
1章 先天性眼瞼下垂症
2章 後天性眼瞼下垂症
3章 眼瞼下垂症以外の開瞼障害
第VI編 乳房再建診療ガイドライン
1章 乳房再建
第VII編 腋臭症診療ガイドライン
1章 腋臭症
第VIII編 漏斗胸診療ガイドライン
1章 漏斗胸
第IX編 臍ヘルニア・臍突出症診療ガイドライン
1章 臍ヘルニア・臍突出症
第X編 四肢先天異常診療ガイドライン
1章 多合趾症
2章 母指多指症
3章 合指症
第XI編 四肢再建診療ガイドライン
1章 手指の再建
2章 下腿の再建
3章 足部の再建
第XII編 殿部・外陰部再建診療ガイドライン
1章 殿部・会陰部の皮膚欠損
2章 陰茎・陰嚢欠損
3章 腟・女性外性器欠損
4章 骨盤内死腔
第XIII編 リンパ浮腫診療ガイドライン
1章 リンパ浮腫
形成外科診療ガイドライン改訂にあたって
第1版 序
第1版 ガイドライン作成にあたって
形成外科診療ガイドライン(第2版)について
第I編 皮膚軟部腫瘍診療ガイドライン
1章 上皮系良性腫瘍(色素性母斑を含む)
2章 非上皮系良性腫瘍
3章 メラノーマ(悪性黒色腫)
4章 有棘細胞癌
5章 基底細胞癌/基底細胞上皮腫
6章 乳房外Paget病
第II編 母斑・色素性疾患(レーザー治療)診療ガイドライン
1章 扁平母斑
2章 色素性母斑
3章 太田母斑
4章 蒙古斑・異所性蒙古斑
5章 外傷性色素沈着
6章 色素斑
第III編 頭頸部再建診療ガイドライン
1章 口腔再建
2章 中咽頭再建
3章 下咽頭頸部食道再建
4章 上顎再建
5章 下顎再建
6章 頭蓋底再建
7章 頭蓋再建
第IV編 顔面神経麻痺診療ガイドライン
1章 顔面神経麻痺
第V編 眼瞼下垂症診療ガイドライン
1章 先天性眼瞼下垂症
2章 後天性眼瞼下垂症
3章 眼瞼下垂症以外の開瞼障害
第VI編 乳房再建診療ガイドライン
1章 乳房再建
第VII編 腋臭症診療ガイドライン
1章 腋臭症
第VIII編 漏斗胸診療ガイドライン
1章 漏斗胸
第IX編 臍ヘルニア・臍突出症診療ガイドライン
1章 臍ヘルニア・臍突出症
第X編 四肢先天異常診療ガイドライン
1章 多合趾症
2章 母指多指症
3章 合指症
第XI編 四肢再建診療ガイドライン
1章 手指の再建
2章 下腿の再建
3章 足部の再建
第XII編 殿部・外陰部再建診療ガイドライン
1章 殿部・会陰部の皮膚欠損
2章 陰茎・陰嚢欠損
3章 腟・女性外性器欠損
4章 骨盤内死腔
第XIII編 リンパ浮腫診療ガイドライン
1章 リンパ浮腫
改訂第2版 序
形成外科領域の臨床ガイドライン作成の歴史は、今から16年前に遡ります。2006年頃様々な専門領域でエビデンスに基づいた標準的診断や治療を示すために、「臨床ガイドライン」というものが作られ始めていました。また、ちょうどその頃、日本専門医認定制機構(現在の日本専門医機構)がその土台となる基本診療科の選別と認定を開始しているところでした。2009年当時の日本形成外科学会(日形会)の理事長は中西秀樹先生(徳島大)でしたが、理事会全体で形成外科を基本診療科として認定してもらうためにさまざまな努力を行っていました。その中で「(1)形成外科が創傷治療の専門家であることのアピール(日本創傷外科学会の設立や世界創傷治癒学会連合学術集会の開催など)、(2)データベースの構築(形成外科が年間でどのような疾患や外傷の治療をどのくらいの数を行っているか)、(3)創傷外科や皮膚腫瘍外科を含めた分野指導医制度の整備、(4)臨床ガイドラインの作成」の4つが大きな柱でした。当時、形成外科はマイナー中のマイナーと言われ、今よりもはるかに認知度の低い科でしたので、本来の目的であるエビデンスに基づいた標準的治療や診断を広く世に示すことに加え、他科特に内科系の先生方に形成外科の診療内容を知ってもらううえでも、(4)臨床ガイドラインの作成が必須であったわけです。
小林誠一郎先生(岩手医科大)と私(久留米大)が臨床ガイドライン作成の担当になり、作業を始めたわけですが、クリニカルクエスチョン(CQ)の作り方さえわからない状況でした。他科の臨床ガイドラインを全て購入して勉強するとともに、当時その方面に長けた他科の先生方にも教えを乞いました。手探りで作業を行いつつ、また日本創傷外科学会と日本頭蓋顎顔面外科学会の協力を得て、5年近くの歳月を要しましたが、2015年になんとか刊行にこぎ着けることができました。全7巻が完成した時には、本当に嬉しかったことを覚えています。
そしてその後3年(作成開始から8年)が過ぎ、その改訂が必要となりました。そこで、ガイドライン委員会の委員長を私から橋本一郎先生(徳島大)に代わっていただき、2018年からその改訂作業を本格的に開始しました。まさに橋本先生の恩師の中西先生が理事長であられた時に私が仰せつかった一大事業を、私が理事長の時にその改訂を橋本先生自身がやり遂げてくださったことには何か運命的なものを感じます。初版の折は作りあげることに必死でしたが、今回の改訂版ではその内容が大幅にブラッシュアップされ、さらにリンパ浮腫などの新しい分野も追加されたことで、より素晴らしいものになっていると思います。この場をお借りして橋本委員長をはじめ、この改訂作業に携わっていただいた委員の先生方諸兄姉に深く感謝申し上げます。今後もこのガイドラインが日形会の1つの柱としてさらに充実したものとなっていくことを切に願い、刊行のご挨拶とさせていただきます。
令和3年7月
日本形成外科学会
日本頭蓋顎顔面外科学会
理事長 清川 兼輔
2015年、日本形成外科学会と日本創傷外科学会、日本頭蓋顎顔面外科学会の三学会から『形成外科診療ガイドライン(初版)』が上梓されました。作成に関わった多くの形成外科医がガイドラインそのものをよく知らない中でのスタートでしたから、それぞれの会議では外科医としての自身の経験を主張してしまうことも多々ありました。その中で生まれた初めてのガイドラインは、日常診療に価値あるものとして会員世情に広まったようですし、何より日本形成外科学会内の作成委員全体に達成感が漂っていました。したがいまして、作成した時点から改訂版作業が始まったことで、達成感後の寂寥感に見舞われたのも私だけではなかったと思います。しかし、新しいエビデンスや新しい治療は5年の間に次々と輩出されますので、5年毎の改訂はガイドラインの宿命と考えなければなりません。
日本創傷外科学会に関しまして、この5年の大きな流れは、19基本診療科の1つとしての形成外科医の創傷診療の重要性を会員のみならず広く国民に啓発させていくことでした。キャンペーン「“キッズの日”は“キズケアの日”」やマスコットキャラクター「なおるん」などの地道な活動の一環の中で、しっかりとしたガイドラインが根底に存在することは有意義であると確信しています。
改訂版では、創傷に関わる小項目をできる限り踏襲しつつ、ガイドラインに適した形でのCQ、特にその文言の見直しが図られています。また、「はじめに」の中で、言葉の定義をしっかりと説明している点が、よりわかりやすい読み物に仕上がったことに寄与しています。5年経てば、「推奨する」が「推奨されない」に変わっている場合もあります。日本形成外科学会会員全員が新しい改訂版ガイドラインを手に取り外来診療机に置き、日々の創傷治療にあたっていただければと願うばかりです。
最後に、忙しい(まさに創傷治療中かもしれない)診療の合間に、改訂版作業に関わった多くの形成外科学会会員に心より感謝申し上げます。
令和3年7月
日本創傷外科学会
理事長 寺師 浩人
形成外科診療ガイドライン改訂にあたって
2015年に形成外科診療ガイドライン初版が発刊され6年が経過しました。初版では、日本形成外科学会とその2階建てにあたる日本創傷外科学会と日本頭蓋顎顔面外科学会が合同ガイドライン作成委員会を組織して、形成外科が診療を行う疾患と外傷に関して診療ガイドラインを作成しました。ただし、「血管腫・血管奇形」「褥瘡」「熱傷」に関しては、日本形成外科学会会員が属する他関連学会により診療ガイドラインが作成されていたため、初版の形成外科診療ガイドラインからは除外していました。今回の改訂でも、組織の枠組みと取り扱う疾患に関する方針は同様としましたが、形成外科医による手術が増加している「リンパ浮腫」を項目に加えています。
今回の改訂第2版では、Clinical Question(CQ)の見直しを行い、新たに文献検索を追加しました。エビデンス総体に関しては、新しい文献を加えて再検討を行い、さらにバイアスリスクや非直接性などを加味してその評価を行いました。推奨の強さについては、エビデンスの強さを参考にして、益と害のバランス、形成外科の治療では重要な要素である患者の価値観や希望、コストや資源を考慮して決定しています。これらの要素は、初版が発刊された後に重視されるようになった概念であり、今回の改訂に際してもっとも考慮した点です。エビデンスの強さと推奨の強さの記載方法は、Mindsの診療ガイドライン作成に関する2014年、2017年の手引きとマニュアルを参考にして新しいものとしました。
上記のように、本診療ガイドラインは文献的なエビデンスに加えて他の価値観も考慮されていますが、臨床の現場では、個々の患者においてさまざまな場面に遭遇します。エビデンスに基づいた医療(Evidence Based Medicine:EBM)を実践するということは本来、文献的なエビデンスに、それぞれの形成外科医の臨床的な経験や知識を加味し、さらには患者の希望やおかれた状況や状態を考慮しながら診療を行うことです。過去のエビデンスにとらわれていては、新しいエビデンスは出てきませんが、過去のエビデンスを知っていなければ、新しいエビデンスも出てきません。本診療ガイドラインを日常診療の参考として、それぞれの臨床の場面で活用していただければ幸いです。
本診療ガイドライン作成にあたり、ご尽力いただいた多数の学会員、学会事務局、金原出版編集部に深謝を申し上げます。
令和3年7月
日本形成外科学会、日本創傷外科学会、日本頭蓋顎顔面外科学会
三学会合同ガイドライン委員会 委員長 橋本 一郎
形成外科領域の臨床ガイドライン作成の歴史は、今から16年前に遡ります。2006年頃様々な専門領域でエビデンスに基づいた標準的診断や治療を示すために、「臨床ガイドライン」というものが作られ始めていました。また、ちょうどその頃、日本専門医認定制機構(現在の日本専門医機構)がその土台となる基本診療科の選別と認定を開始しているところでした。2009年当時の日本形成外科学会(日形会)の理事長は中西秀樹先生(徳島大)でしたが、理事会全体で形成外科を基本診療科として認定してもらうためにさまざまな努力を行っていました。その中で「(1)形成外科が創傷治療の専門家であることのアピール(日本創傷外科学会の設立や世界創傷治癒学会連合学術集会の開催など)、(2)データベースの構築(形成外科が年間でどのような疾患や外傷の治療をどのくらいの数を行っているか)、(3)創傷外科や皮膚腫瘍外科を含めた分野指導医制度の整備、(4)臨床ガイドラインの作成」の4つが大きな柱でした。当時、形成外科はマイナー中のマイナーと言われ、今よりもはるかに認知度の低い科でしたので、本来の目的であるエビデンスに基づいた標準的治療や診断を広く世に示すことに加え、他科特に内科系の先生方に形成外科の診療内容を知ってもらううえでも、(4)臨床ガイドラインの作成が必須であったわけです。
小林誠一郎先生(岩手医科大)と私(久留米大)が臨床ガイドライン作成の担当になり、作業を始めたわけですが、クリニカルクエスチョン(CQ)の作り方さえわからない状況でした。他科の臨床ガイドラインを全て購入して勉強するとともに、当時その方面に長けた他科の先生方にも教えを乞いました。手探りで作業を行いつつ、また日本創傷外科学会と日本頭蓋顎顔面外科学会の協力を得て、5年近くの歳月を要しましたが、2015年になんとか刊行にこぎ着けることができました。全7巻が完成した時には、本当に嬉しかったことを覚えています。
そしてその後3年(作成開始から8年)が過ぎ、その改訂が必要となりました。そこで、ガイドライン委員会の委員長を私から橋本一郎先生(徳島大)に代わっていただき、2018年からその改訂作業を本格的に開始しました。まさに橋本先生の恩師の中西先生が理事長であられた時に私が仰せつかった一大事業を、私が理事長の時にその改訂を橋本先生自身がやり遂げてくださったことには何か運命的なものを感じます。初版の折は作りあげることに必死でしたが、今回の改訂版ではその内容が大幅にブラッシュアップされ、さらにリンパ浮腫などの新しい分野も追加されたことで、より素晴らしいものになっていると思います。この場をお借りして橋本委員長をはじめ、この改訂作業に携わっていただいた委員の先生方諸兄姉に深く感謝申し上げます。今後もこのガイドラインが日形会の1つの柱としてさらに充実したものとなっていくことを切に願い、刊行のご挨拶とさせていただきます。
令和3年7月
日本形成外科学会
日本頭蓋顎顔面外科学会
理事長 清川 兼輔
2015年、日本形成外科学会と日本創傷外科学会、日本頭蓋顎顔面外科学会の三学会から『形成外科診療ガイドライン(初版)』が上梓されました。作成に関わった多くの形成外科医がガイドラインそのものをよく知らない中でのスタートでしたから、それぞれの会議では外科医としての自身の経験を主張してしまうことも多々ありました。その中で生まれた初めてのガイドラインは、日常診療に価値あるものとして会員世情に広まったようですし、何より日本形成外科学会内の作成委員全体に達成感が漂っていました。したがいまして、作成した時点から改訂版作業が始まったことで、達成感後の寂寥感に見舞われたのも私だけではなかったと思います。しかし、新しいエビデンスや新しい治療は5年の間に次々と輩出されますので、5年毎の改訂はガイドラインの宿命と考えなければなりません。
日本創傷外科学会に関しまして、この5年の大きな流れは、19基本診療科の1つとしての形成外科医の創傷診療の重要性を会員のみならず広く国民に啓発させていくことでした。キャンペーン「“キッズの日”は“キズケアの日”」やマスコットキャラクター「なおるん」などの地道な活動の一環の中で、しっかりとしたガイドラインが根底に存在することは有意義であると確信しています。
改訂版では、創傷に関わる小項目をできる限り踏襲しつつ、ガイドラインに適した形でのCQ、特にその文言の見直しが図られています。また、「はじめに」の中で、言葉の定義をしっかりと説明している点が、よりわかりやすい読み物に仕上がったことに寄与しています。5年経てば、「推奨する」が「推奨されない」に変わっている場合もあります。日本形成外科学会会員全員が新しい改訂版ガイドラインを手に取り外来診療机に置き、日々の創傷治療にあたっていただければと願うばかりです。
最後に、忙しい(まさに創傷治療中かもしれない)診療の合間に、改訂版作業に関わった多くの形成外科学会会員に心より感謝申し上げます。
令和3年7月
日本創傷外科学会
理事長 寺師 浩人
形成外科診療ガイドライン改訂にあたって
2015年に形成外科診療ガイドライン初版が発刊され6年が経過しました。初版では、日本形成外科学会とその2階建てにあたる日本創傷外科学会と日本頭蓋顎顔面外科学会が合同ガイドライン作成委員会を組織して、形成外科が診療を行う疾患と外傷に関して診療ガイドラインを作成しました。ただし、「血管腫・血管奇形」「褥瘡」「熱傷」に関しては、日本形成外科学会会員が属する他関連学会により診療ガイドラインが作成されていたため、初版の形成外科診療ガイドラインからは除外していました。今回の改訂でも、組織の枠組みと取り扱う疾患に関する方針は同様としましたが、形成外科医による手術が増加している「リンパ浮腫」を項目に加えています。
今回の改訂第2版では、Clinical Question(CQ)の見直しを行い、新たに文献検索を追加しました。エビデンス総体に関しては、新しい文献を加えて再検討を行い、さらにバイアスリスクや非直接性などを加味してその評価を行いました。推奨の強さについては、エビデンスの強さを参考にして、益と害のバランス、形成外科の治療では重要な要素である患者の価値観や希望、コストや資源を考慮して決定しています。これらの要素は、初版が発刊された後に重視されるようになった概念であり、今回の改訂に際してもっとも考慮した点です。エビデンスの強さと推奨の強さの記載方法は、Mindsの診療ガイドライン作成に関する2014年、2017年の手引きとマニュアルを参考にして新しいものとしました。
上記のように、本診療ガイドラインは文献的なエビデンスに加えて他の価値観も考慮されていますが、臨床の現場では、個々の患者においてさまざまな場面に遭遇します。エビデンスに基づいた医療(Evidence Based Medicine:EBM)を実践するということは本来、文献的なエビデンスに、それぞれの形成外科医の臨床的な経験や知識を加味し、さらには患者の希望やおかれた状況や状態を考慮しながら診療を行うことです。過去のエビデンスにとらわれていては、新しいエビデンスは出てきませんが、過去のエビデンスを知っていなければ、新しいエビデンスも出てきません。本診療ガイドラインを日常診療の参考として、それぞれの臨床の場面で活用していただければ幸いです。
本診療ガイドライン作成にあたり、ご尽力いただいた多数の学会員、学会事務局、金原出版編集部に深謝を申し上げます。
令和3年7月
日本形成外科学会、日本創傷外科学会、日本頭蓋顎顔面外科学会
三学会合同ガイドライン委員会 委員長 橋本 一郎
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