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小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン 2024年12月改訂 第2版
がん・生殖医療の普及等を受け、現状に即した新たな推奨を提示した改訂2版!
7年ぶりとなる改訂第2版はMinds 2020に準拠、また推奨作成にはエビデンスだけでなく、価値観や容認性、実行可能性など様々な視点における合意形成方法としてGRADEが提唱する「EtD frameworks」を用いた。2017年版で扱った8領域に、肺、耳鼻咽喉・頭頸部、膠原病を加えてパワーアップ。巻頭には各疾患領域の診療アルゴリズムが収載した。医師、看護師、薬剤師、心理士など多職種に向けた、がん・生殖医療の今を集結させた一冊。
◆本ガイドラインの概要
◆関係者名簿
◆アルゴリズム - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
1 がん患者等に対する不妊リスクのアセスメントと妊孕性温存方法
2-1 医原性不妊のある女性患者へのアプローチ
2-2 医原性不妊のある男性患者へのアプローチ
3-1(女性生殖器) 挙児希望のある子宮頸がん患者に対する妊孕性温存療法
3-2(女性生殖器) 挙児希望のある子宮体がん患者に対する妊孕性温存を目的とした黄体ホルモン療法
3-3(女性生殖器) 挙児希望のある上皮性卵巣がん患者に対する妊孕性温存療法
3-4(女性生殖器) 挙児希望のある上皮性境界悪性腫瘍患者に対する妊孕性温存療法
3-5(女性生殖器) 挙児希望のある悪性卵巣胚細胞腫瘍に対する妊孕性温存療法
4(乳腺) 挙児希望のある乳がん患者に対する妊孕性温存療法
5(泌尿器) 挙児希望のある泌尿器がん患者に対する妊孕性温存療法
6(小児) 挙児希望のある小児がん等患者に対する妊孕性温存療法
7-1(造血器) 挙児希望のある造血器悪性腫瘍患者に対する妊孕性温存療法
7-2(造血器・造血幹細胞移植) 挙児希望のある造血幹細胞移植を受ける患者に対する妊孕性温存療法
8(骨軟部) 挙児希望のある悪性骨軟部腫瘍患者に対する妊孕性温存療法
9(消化器) 挙児希望のある消化器がん患者に対する妊孕性温存療法
10(肺) 挙児希望のある肺がん患者に対する妊孕性温存療法
11(耳鼻咽喉・頭頸部) 挙児希望のある頭頸部がん患者に対する妊孕性温存療法
12(脳) 挙児希望のある脳腫瘍患者に対する妊孕性温存療法
13(膠原病) 挙児希望のある膠原病患者に対する妊孕性温存療法
◆Question・推奨一覧
◆総論 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
1.妊孕性温存に関する情報提供
1)挙児希望のあるがん患者に対する妊孕性に関する情報提供
2)挙児希望のある女性がん患者に対する妊孕性温存療法
3)挙児希望のある男性がん患者に対する妊孕性温存療法
4)遺伝性腫瘍患者に対する妊孕性に関する情報提供
2.性腺、性機能に影響する治療
1)性腺毒性を来す治療のリスク分類
2)外科的治療による主な影響
3)その他
◇コラム:エビデンスが乏しい新規抗がん薬に関する情報更新について(女性)
◇コラム:エビデンスが乏しい新規抗がん薬に関する情報更新について(男性)
3.がん治療後の妊娠に関する留意点
1)がん薬物療法終了後から妊娠までに必要な避妊期間
2)がんサバイバーの周産期管理について(放射線治療の影響、薬剤の影響)
3)がんサバイバーのヘルスケア管理について
4)里親・養子縁組について
◆女性生殖器 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような子宮頸がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 どのような子宮体がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ3 どのような卵巣がん・卵巣境界悪性腫瘍患者において、妊孕性温存が可能か?
CQ1 挙児希望のIA2期、IB期、IIA期の子宮頸がん患者に対して、広汎子宮頸部摘出術は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の子宮体がんおよび子宮内膜異型増殖症患者に対して、黄体ホルモン療法は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の上皮性卵巣がん患者に対して、卵巣および子宮を温存する妊孕性温存手術は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の卵巣上皮性境界悪性腫瘍患者に対して、卵巣および子宮を温存する妊孕性温存手術は推奨されるか?
CQ5 挙児希望の悪性卵巣胚細胞腫瘍患者に対して、卵巣および子宮を温存する妊孕性温存手術は推奨されるか?
FQ1 妊孕性温存療法後の子宮頸がん患者ががん治療後の妊娠・分娩を希望した場合、どのような点に留意すべきか?
FQ2 妊孕性温存療法後の子宮体がん患者に対して、調節卵巣刺激は推奨されるか?
FQ3 妊孕性温存療法後の卵巣がん・卵巣境界悪性腫瘍患者に対して、生殖補助医療は推奨されるか?
FQ4 挙児希望の遺伝性乳癌卵巣癌またはLynch症候群と診断された女性に対して、生殖補助医療等による早期の介入は推奨されるか?
FQ5 妊孕性温存療法後の女性生殖器がん患者に対して、挙児希望終了時点での残存臓器(子宮、卵巣)摘出は推奨されるか?
◆乳腺 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような乳がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 薬物療法を予定している乳がん患者が採卵を行う場合、治療開始までにどの程度の期間をあけられるか?
CQ1 標準治療を終了した乳がん患者が自然妊娠を希望した場合、これを容認することは推奨されるか?
CQ2 挙児希望の乳がん患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の乳がん患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の乳がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ5 挙児希望の乳がん患者に対して、調節卵巣刺激時のアロマターゼ阻害薬併用は推奨されるか?
CQ6 挙児希望の乳がん患者に対して、妊娠・分娩を目的とした内分泌療法の中断は許容されるか?
◇コラム:タモキシフェン休薬後の避妊期間(9カ月間)について
◆泌尿器 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような泌尿器がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 泌尿器がん患者が妊孕性温存療法を希望した場合に、治療開始の遅延は容認されるか?
BQ3 泌尿器がん患者が挙児を希望した場合、治療終了後いつから挙児または妊娠は可能となるか?
CQ1 挙児希望の泌尿器がん患者に対して、化学療法前の精子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の精巣がん患者に対して、精巣摘除前の精子凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の男性泌尿器がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ4 無精子症および射精困難な挙児希望の泌尿器がん患者に対して、がん治療開始前の精巣内精子採取術は推奨されるか?
CQ5 がん治療後に無精子症になった挙児希望の泌尿器がん患者に対して、精巣内精子採取術(精巣上体精子採取含む)は推奨されるか?
FQ1 勃起障害もしくは射精障害を生じる可能性のある治療を予定されている挙児希望の泌尿器がん患者に対して、治療開始前の精子凍結保存は推奨されるか?
◆小児 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような小児がん等の患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 小児がん等患者は、採卵または採精を行う場合、原疾患の治療をどれくらい調整できるか?
BQ3 小児がん等患者の治療後の妊娠・分娩について、どのような点に留意すべきか?
BQ4 小児がん等患者が挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
CQ1 思春期前の小児がん等患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ2 思春期以降の小児がん等患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ3 思春期以降の小児がん等患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ4 腹部骨盤手術や放射線治療が予定されている小児がん等患者に対して、卵巣移動術は推奨されるか?
CQ5 思春期以降の小児がん等患者に対して、精子凍結保存は推奨されるか?
CQ6 思春期以降の小児がん等患者に対して、精巣内精子採取術は推奨されるか?
FQ1 思春期前の小児がん等患者に対して、精巣組織凍結保存は推奨されるか?
◆造血器 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような造血器悪性腫瘍患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 造血幹細胞移植を予定している患者に対し妊孕性温存療法は勧められるか?
BQ3 化学療法を予定している血液悪性腫瘍患者が採卵または採精を行う場合、治療開始までにどの程度の期間をあけられるか?
BQ4 造血器悪性腫瘍患者の治療後の妊娠・分娩について、どのような点に留意すべきか?
CQ1 挙児希望の急性白血病患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の急性白血病患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の慢性骨髄性白血病患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の慢性骨髄性白血病患者に対して、妊娠・分娩を目的としたチロシンキナーゼ阻害薬の中断は許容されるか?
◇コラム:チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)休薬後の避妊期間について
CQ5 挙児希望の悪性リンパ腫患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ6 挙児希望の悪性リンパ腫患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ7 挙児希望の造血幹細胞移植患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ8 挙児希望の造血幹細胞移植患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ9 挙児希望の女性造血器悪性腫瘍患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ10 挙児希望の造血器悪性腫瘍患者に対して、精子凍結保存は推奨されるか?
FQ1 挙児希望の造血器悪性腫瘍患者に対して、精巣内精子採取術は推奨されるか?
FQ2 挙児希望の造血器悪性腫瘍患者に対して、未成熟卵子の体外成熟は推奨されるか?
FQ3 挙児希望の造血幹細胞移植患者に対して、移植前処置の全身放射線照射時に卵巣遮蔽・精巣遮蔽をすることは推奨されるか?
◆骨軟部 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような悪性骨軟部腫瘍患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 悪性骨軟部腫瘍の患者にはどのようなタイミングで妊孕性温存を提案できるか?
BQ3 悪性骨軟部腫瘍患者の治療後の妊娠・分娩について、どのような点に留意すべきか?
CQ1 挙児希望の悪性骨軟部腫瘍患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の悪性骨軟部腫瘍患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の女性悪性骨軟部腫瘍患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の悪性骨軟部腫瘍患者に対して、化学療法前(または治療前)の精子凍結保存は推奨されるか?
FQ1 挙児希望の悪性骨軟部腫瘍患者に対して、精巣内精子採取術は推奨されるか?
◆消化器 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような消化器がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 消化器がん患者が挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
BQ3 腹部手術による妊孕性への影響はあるか?
CQ1 挙児希望の消化器がん患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の消化器がん患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の女性消化器がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の消化器がん患者に対して、精子凍結保存は推奨されるか?
CQ5 挙児希望の男性消化器がん患者に対して、神経温存手術は推奨されるか?
CQ6 骨盤部に対する放射線治療が予定されている挙児希望の消化器がん患者に対して、卵巣移動等の妊孕性温存手術は推奨されるか?
◆肺 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような肺がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 肺がん患者の妊孕性温存に際し、どのような説明をすべきか?
BQ3 肺がん患者が挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
CQ1 挙児希望の肺がん患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の肺がん患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の女性肺がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の肺がん患者に対して、精子凍結保存は推奨されるか?
FQ1 挙児希望の肺がん患者に対して、妊娠・分娩を目的とした分子標的治療薬の中断は許容されるか?
FQ2 挙児希望の肺がん患者に対して、妊娠・分娩を目的とした免疫療法の中断は許容されるか?
◆耳鼻咽喉・頭頸部 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような頭頸部がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 頭頸部がん患者の妊孕性温存に際し、どのような説明をすべきか?
BQ3 挙児希望の頭頸部がん患者に対して、どのような妊孕性温存療法が推奨されるか?
BQ4 頭頸部がん患者が治療後に挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
CQ1 挙児希望の女性頭頸部がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
◆脳 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような脳腫瘍患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 脳腫瘍患者の治療後の妊娠・分娩について、どのような点に留意すべきか?
BQ3 脳腫瘍患者が挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
CQ1 挙児希望の脳腫瘍患者に対して、妊孕性保持目的にがん治療後の性ホルモン補充療法は推奨されるか?
FQ1 化学療法後、放射線治療後の女性脳腫瘍患者に対して、がん治療後の生殖医療は可能か?
◆膠原病 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような膠原病患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 挙児希望の膠原病患者に対して、どのような妊孕性温存療法が推奨されるか?
BQ3 膠原病患者が挙児を希望した場合、妊娠を許可できるのはどのような状況か?
CQ1 挙児希望の女性膠原病患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
◆付録 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
1.厚生労働省「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」
2.日本産科婦人科学会「妊孕性温存療法実施医療機関(検体保存機関)の施設認定要件」
3.日本泌尿器科学会「妊孕性温存療法実施医療機関(検体保存機関)の施設認定要件」
4.日本産科婦人科学会「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する見解」
5.日本産科婦人科学会「精子の凍結保存に関する見解」
6.日本泌尿器科学会「妊孕性温存を目的とした精子の凍結保存に関する見解」
略語一覧
レジメン一覧
索引
◆関係者名簿
◆アルゴリズム - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
1 がん患者等に対する不妊リスクのアセスメントと妊孕性温存方法
2-1 医原性不妊のある女性患者へのアプローチ
2-2 医原性不妊のある男性患者へのアプローチ
3-1(女性生殖器) 挙児希望のある子宮頸がん患者に対する妊孕性温存療法
3-2(女性生殖器) 挙児希望のある子宮体がん患者に対する妊孕性温存を目的とした黄体ホルモン療法
3-3(女性生殖器) 挙児希望のある上皮性卵巣がん患者に対する妊孕性温存療法
3-4(女性生殖器) 挙児希望のある上皮性境界悪性腫瘍患者に対する妊孕性温存療法
3-5(女性生殖器) 挙児希望のある悪性卵巣胚細胞腫瘍に対する妊孕性温存療法
4(乳腺) 挙児希望のある乳がん患者に対する妊孕性温存療法
5(泌尿器) 挙児希望のある泌尿器がん患者に対する妊孕性温存療法
6(小児) 挙児希望のある小児がん等患者に対する妊孕性温存療法
7-1(造血器) 挙児希望のある造血器悪性腫瘍患者に対する妊孕性温存療法
7-2(造血器・造血幹細胞移植) 挙児希望のある造血幹細胞移植を受ける患者に対する妊孕性温存療法
8(骨軟部) 挙児希望のある悪性骨軟部腫瘍患者に対する妊孕性温存療法
9(消化器) 挙児希望のある消化器がん患者に対する妊孕性温存療法
10(肺) 挙児希望のある肺がん患者に対する妊孕性温存療法
11(耳鼻咽喉・頭頸部) 挙児希望のある頭頸部がん患者に対する妊孕性温存療法
12(脳) 挙児希望のある脳腫瘍患者に対する妊孕性温存療法
13(膠原病) 挙児希望のある膠原病患者に対する妊孕性温存療法
◆Question・推奨一覧
◆総論 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
1.妊孕性温存に関する情報提供
1)挙児希望のあるがん患者に対する妊孕性に関する情報提供
2)挙児希望のある女性がん患者に対する妊孕性温存療法
3)挙児希望のある男性がん患者に対する妊孕性温存療法
4)遺伝性腫瘍患者に対する妊孕性に関する情報提供
2.性腺、性機能に影響する治療
1)性腺毒性を来す治療のリスク分類
2)外科的治療による主な影響
3)その他
◇コラム:エビデンスが乏しい新規抗がん薬に関する情報更新について(女性)
◇コラム:エビデンスが乏しい新規抗がん薬に関する情報更新について(男性)
3.がん治療後の妊娠に関する留意点
1)がん薬物療法終了後から妊娠までに必要な避妊期間
2)がんサバイバーの周産期管理について(放射線治療の影響、薬剤の影響)
3)がんサバイバーのヘルスケア管理について
4)里親・養子縁組について
◆女性生殖器 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような子宮頸がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 どのような子宮体がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ3 どのような卵巣がん・卵巣境界悪性腫瘍患者において、妊孕性温存が可能か?
CQ1 挙児希望のIA2期、IB期、IIA期の子宮頸がん患者に対して、広汎子宮頸部摘出術は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の子宮体がんおよび子宮内膜異型増殖症患者に対して、黄体ホルモン療法は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の上皮性卵巣がん患者に対して、卵巣および子宮を温存する妊孕性温存手術は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の卵巣上皮性境界悪性腫瘍患者に対して、卵巣および子宮を温存する妊孕性温存手術は推奨されるか?
CQ5 挙児希望の悪性卵巣胚細胞腫瘍患者に対して、卵巣および子宮を温存する妊孕性温存手術は推奨されるか?
FQ1 妊孕性温存療法後の子宮頸がん患者ががん治療後の妊娠・分娩を希望した場合、どのような点に留意すべきか?
FQ2 妊孕性温存療法後の子宮体がん患者に対して、調節卵巣刺激は推奨されるか?
FQ3 妊孕性温存療法後の卵巣がん・卵巣境界悪性腫瘍患者に対して、生殖補助医療は推奨されるか?
FQ4 挙児希望の遺伝性乳癌卵巣癌またはLynch症候群と診断された女性に対して、生殖補助医療等による早期の介入は推奨されるか?
FQ5 妊孕性温存療法後の女性生殖器がん患者に対して、挙児希望終了時点での残存臓器(子宮、卵巣)摘出は推奨されるか?
◆乳腺 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような乳がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 薬物療法を予定している乳がん患者が採卵を行う場合、治療開始までにどの程度の期間をあけられるか?
CQ1 標準治療を終了した乳がん患者が自然妊娠を希望した場合、これを容認することは推奨されるか?
CQ2 挙児希望の乳がん患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の乳がん患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の乳がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ5 挙児希望の乳がん患者に対して、調節卵巣刺激時のアロマターゼ阻害薬併用は推奨されるか?
CQ6 挙児希望の乳がん患者に対して、妊娠・分娩を目的とした内分泌療法の中断は許容されるか?
◇コラム:タモキシフェン休薬後の避妊期間(9カ月間)について
◆泌尿器 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような泌尿器がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 泌尿器がん患者が妊孕性温存療法を希望した場合に、治療開始の遅延は容認されるか?
BQ3 泌尿器がん患者が挙児を希望した場合、治療終了後いつから挙児または妊娠は可能となるか?
CQ1 挙児希望の泌尿器がん患者に対して、化学療法前の精子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の精巣がん患者に対して、精巣摘除前の精子凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の男性泌尿器がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ4 無精子症および射精困難な挙児希望の泌尿器がん患者に対して、がん治療開始前の精巣内精子採取術は推奨されるか?
CQ5 がん治療後に無精子症になった挙児希望の泌尿器がん患者に対して、精巣内精子採取術(精巣上体精子採取含む)は推奨されるか?
FQ1 勃起障害もしくは射精障害を生じる可能性のある治療を予定されている挙児希望の泌尿器がん患者に対して、治療開始前の精子凍結保存は推奨されるか?
◆小児 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような小児がん等の患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 小児がん等患者は、採卵または採精を行う場合、原疾患の治療をどれくらい調整できるか?
BQ3 小児がん等患者の治療後の妊娠・分娩について、どのような点に留意すべきか?
BQ4 小児がん等患者が挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
CQ1 思春期前の小児がん等患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ2 思春期以降の小児がん等患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ3 思春期以降の小児がん等患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ4 腹部骨盤手術や放射線治療が予定されている小児がん等患者に対して、卵巣移動術は推奨されるか?
CQ5 思春期以降の小児がん等患者に対して、精子凍結保存は推奨されるか?
CQ6 思春期以降の小児がん等患者に対して、精巣内精子採取術は推奨されるか?
FQ1 思春期前の小児がん等患者に対して、精巣組織凍結保存は推奨されるか?
◆造血器 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような造血器悪性腫瘍患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 造血幹細胞移植を予定している患者に対し妊孕性温存療法は勧められるか?
BQ3 化学療法を予定している血液悪性腫瘍患者が採卵または採精を行う場合、治療開始までにどの程度の期間をあけられるか?
BQ4 造血器悪性腫瘍患者の治療後の妊娠・分娩について、どのような点に留意すべきか?
CQ1 挙児希望の急性白血病患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の急性白血病患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の慢性骨髄性白血病患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の慢性骨髄性白血病患者に対して、妊娠・分娩を目的としたチロシンキナーゼ阻害薬の中断は許容されるか?
◇コラム:チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)休薬後の避妊期間について
CQ5 挙児希望の悪性リンパ腫患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ6 挙児希望の悪性リンパ腫患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ7 挙児希望の造血幹細胞移植患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ8 挙児希望の造血幹細胞移植患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ9 挙児希望の女性造血器悪性腫瘍患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ10 挙児希望の造血器悪性腫瘍患者に対して、精子凍結保存は推奨されるか?
FQ1 挙児希望の造血器悪性腫瘍患者に対して、精巣内精子採取術は推奨されるか?
FQ2 挙児希望の造血器悪性腫瘍患者に対して、未成熟卵子の体外成熟は推奨されるか?
FQ3 挙児希望の造血幹細胞移植患者に対して、移植前処置の全身放射線照射時に卵巣遮蔽・精巣遮蔽をすることは推奨されるか?
◆骨軟部 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような悪性骨軟部腫瘍患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 悪性骨軟部腫瘍の患者にはどのようなタイミングで妊孕性温存を提案できるか?
BQ3 悪性骨軟部腫瘍患者の治療後の妊娠・分娩について、どのような点に留意すべきか?
CQ1 挙児希望の悪性骨軟部腫瘍患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の悪性骨軟部腫瘍患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の女性悪性骨軟部腫瘍患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の悪性骨軟部腫瘍患者に対して、化学療法前(または治療前)の精子凍結保存は推奨されるか?
FQ1 挙児希望の悪性骨軟部腫瘍患者に対して、精巣内精子採取術は推奨されるか?
◆消化器 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような消化器がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 消化器がん患者が挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
BQ3 腹部手術による妊孕性への影響はあるか?
CQ1 挙児希望の消化器がん患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の消化器がん患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の女性消化器がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の消化器がん患者に対して、精子凍結保存は推奨されるか?
CQ5 挙児希望の男性消化器がん患者に対して、神経温存手術は推奨されるか?
CQ6 骨盤部に対する放射線治療が予定されている挙児希望の消化器がん患者に対して、卵巣移動等の妊孕性温存手術は推奨されるか?
◆肺 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような肺がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 肺がん患者の妊孕性温存に際し、どのような説明をすべきか?
BQ3 肺がん患者が挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
CQ1 挙児希望の肺がん患者に対して、受精胚または未受精卵子凍結保存は推奨されるか?
CQ2 挙児希望の肺がん患者に対して、卵巣組織凍結保存は推奨されるか?
CQ3 挙児希望の女性肺がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
CQ4 挙児希望の肺がん患者に対して、精子凍結保存は推奨されるか?
FQ1 挙児希望の肺がん患者に対して、妊娠・分娩を目的とした分子標的治療薬の中断は許容されるか?
FQ2 挙児希望の肺がん患者に対して、妊娠・分娩を目的とした免疫療法の中断は許容されるか?
◆耳鼻咽喉・頭頸部 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような頭頸部がん患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 頭頸部がん患者の妊孕性温存に際し、どのような説明をすべきか?
BQ3 挙児希望の頭頸部がん患者に対して、どのような妊孕性温存療法が推奨されるか?
BQ4 頭頸部がん患者が治療後に挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
CQ1 挙児希望の女性頭頸部がん患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
◆脳 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような脳腫瘍患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 脳腫瘍患者の治療後の妊娠・分娩について、どのような点に留意すべきか?
BQ3 脳腫瘍患者が挙児を希望した場合、妊娠を試みるまでにどの程度の期間をあけるべきか?
CQ1 挙児希望の脳腫瘍患者に対して、妊孕性保持目的にがん治療後の性ホルモン補充療法は推奨されるか?
FQ1 化学療法後、放射線治療後の女性脳腫瘍患者に対して、がん治療後の生殖医療は可能か?
◆膠原病 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
総説
BQ1 どのような膠原病患者が妊孕性温存療法の適応となるか?
BQ2 挙児希望の膠原病患者に対して、どのような妊孕性温存療法が推奨されるか?
BQ3 膠原病患者が挙児を希望した場合、妊娠を許可できるのはどのような状況か?
CQ1 挙児希望の女性膠原病患者に対して、化学療法施行時のGnRHアゴニスト投与は推奨されるか?
◆付録 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
1.厚生労働省「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」
2.日本産科婦人科学会「妊孕性温存療法実施医療機関(検体保存機関)の施設認定要件」
3.日本泌尿器科学会「妊孕性温存療法実施医療機関(検体保存機関)の施設認定要件」
4.日本産科婦人科学会「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する見解」
5.日本産科婦人科学会「精子の凍結保存に関する見解」
6.日本泌尿器科学会「妊孕性温存を目的とした精子の凍結保存に関する見解」
略語一覧
レジメン一覧
索引
◎発刊にあたって
この度、日本癌治療学会が主導する『小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2017年版』の改訂版である『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版(以下、本ガイドライン)』の発刊を迎えることになりました。今回は、改訂ワーキンググループ委員、システマティックレビュー委員、検索担当者、および評価ワーキンググループ委員の約190名によって、3年にわたる改訂作業を経ての発刊であり、委員長の鈴木 直先生をはじめ本ガイドライン改訂作業に関わったすべての関係者に心から感謝申し上げます。2023年3月発出の第4期がん対策推進基本計画の「2. がん医療(1)がん医療提供体制等」の中に、「<8>妊孕性温存療法について」が加えられ、本ガイドラインは臨床現場において珠玉の逸品となるものと信じています。
世界に目を向ければ、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新規薬物療法の性腺毒性に関する喫緊の課題として、米国臨床腫瘍学会(ASCO)は患者団体代表、ASCO研究委員会メンバー、成人・小児腫瘍医、婦人科腫瘍医、生殖内分泌学者、生殖生物学者、FDA規制機関代表、製薬会社代表等で構成されるOvarian Toxicity Taskforceを立ち上げ、がん領域の新たな臨床試験における卵巣毒性の評価の必要性に関する声明文を公表しています(Lancet Oncology 2023)。ASCOは、がん臨床試験における卵巣毒性の日常的な測定は患者にとって極めて重要であり見過ごすことはできないと認識するに至っています。我が国も、本ガイドラインを活用した学際的かつ多領域、並びに多職種にまたがるがん・生殖医療の社会への啓発活動を通じて社会認知度を上げるとともに、妊孕性温存療法の保険適用(受精胚凍結と精子凍結)などにつながることを期待しています。
最後に、鈴木 直委員長をはじめ本ガイドライン改訂作業に携わられたすべての関係者の皆様の多大なるご尽力に心より感謝いたします。
2024年10月
一般社団法人 日本癌治療学会
理事長 吉野 孝之
◎第2版 序
この度、『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版』(以下、2024年版)を、皆様にやっとお届けできることとなり、『小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2017年版』(以下、2017年版)の改訂に携わられたすべての関係者の皆様に衷心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
2004年の若年Hodgkin病患者に対する卵巣組織凍結・移植によるベルギーにおける世界初の生児獲得の報告がブレイクスルーとなり、世界各地で本領域に関する学術団体の設立や医療連携が急速に進みました。本邦では、2012年の日本がん・生殖医療研究会(現学会)の設立以後、がん領域ならびに生殖領域の学術団体において本領域が少しずつ取り上げられるようになり、本領域が一つの分野として確立しつつあります。厚生労働省は、がん患者の経済的な負担軽減を目指して、国と自治体による妊孕性温存療法に係る経済的支援を研究事業の一環として2021年4月に開始しました。全国にがん・生殖医療ネットワークが広まったことが、この経済的支援開始の一因となりましたが、日本癌治療学会による2017年版の発刊も重要なゲームチェンジャーになったと言っても過言ではありません。なお、妊孕性温存療法の経済的支援の適応を決める際には、2017年版が大きな役割を担っています。また、2023年3月に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画の「2. がん医療(1)がん医療提供体制等」の中に、「<8>妊孕性温存療法について」が施策の一つに加えられたことから、2024年版の役割はさらに重要なものになると予想されます。
さて、2024年版は、女性生殖器、乳腺、泌尿器、小児、造血器、骨軟部、消化器、脳の8つの領域に新たに肺、耳鼻咽喉・頭頸部、膠原病が加わり11領域をカバーしています。従来の性腺毒性分類表は、2003年のASCOの分類表以降の国際的な報告をもとに、最新のJSCO分類表として生まれ変わりました。現在、新たな分子標的治療薬等による性腺毒性が不明な点が解決すべき課題として残りますが、本学会HP上で新たな情報を公開していく予定にしています。なおMinds 2020に準拠して作成された2024年版は、総勢189名(改訂ワーキンググループ委員106名、SRチーム委員69名、検索担当者2名、評価ワーキンググループ委員12名)によって、約80時間に及ぶ推奨決定会議をはじめ、足掛け3年間にわたる膨大な改訂作業を経て発刊に至りました。重ね重ね、大須賀 穣先生をはじめとして、改訂作業に携わられたすべての関係者の皆様に心の底から感謝申し上げます。また、言葉では表すことができないほどの多大なるご尽力をいただきました日本癌治療学会事務局の福田奈津喜様に深甚なる謝意を表します。そして、すべての工程に丁寧かつ完璧な対応をしてくださった縁の下の力持ちのお二人、北野敦子先生、原田美由紀先生に深謝申し上げます。最後に、2017年版に続いて今回の編集作業に多大なるご尽力をいただいた金原出版株式会社の安達友里子様にこの場を借りて心より感謝申し上げます。
将来の不確実性の中で、不安と恐怖を抱える患者さんとその家族に対する意思決定支援を行う際に、本ガイドラインがお役に立つことを切に願っております。
2024年10月
がん診療ガイドライン委員会
小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン
改訂ワーキンググループ
委員長 鈴木 直
この度、日本癌治療学会が主導する『小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2017年版』の改訂版である『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版(以下、本ガイドライン)』の発刊を迎えることになりました。今回は、改訂ワーキンググループ委員、システマティックレビュー委員、検索担当者、および評価ワーキンググループ委員の約190名によって、3年にわたる改訂作業を経ての発刊であり、委員長の鈴木 直先生をはじめ本ガイドライン改訂作業に関わったすべての関係者に心から感謝申し上げます。2023年3月発出の第4期がん対策推進基本計画の「2. がん医療(1)がん医療提供体制等」の中に、「<8>妊孕性温存療法について」が加えられ、本ガイドラインは臨床現場において珠玉の逸品となるものと信じています。
世界に目を向ければ、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新規薬物療法の性腺毒性に関する喫緊の課題として、米国臨床腫瘍学会(ASCO)は患者団体代表、ASCO研究委員会メンバー、成人・小児腫瘍医、婦人科腫瘍医、生殖内分泌学者、生殖生物学者、FDA規制機関代表、製薬会社代表等で構成されるOvarian Toxicity Taskforceを立ち上げ、がん領域の新たな臨床試験における卵巣毒性の評価の必要性に関する声明文を公表しています(Lancet Oncology 2023)。ASCOは、がん臨床試験における卵巣毒性の日常的な測定は患者にとって極めて重要であり見過ごすことはできないと認識するに至っています。我が国も、本ガイドラインを活用した学際的かつ多領域、並びに多職種にまたがるがん・生殖医療の社会への啓発活動を通じて社会認知度を上げるとともに、妊孕性温存療法の保険適用(受精胚凍結と精子凍結)などにつながることを期待しています。
最後に、鈴木 直委員長をはじめ本ガイドライン改訂作業に携わられたすべての関係者の皆様の多大なるご尽力に心より感謝いたします。
2024年10月
一般社団法人 日本癌治療学会
理事長 吉野 孝之
◎第2版 序
この度、『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版』(以下、2024年版)を、皆様にやっとお届けできることとなり、『小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2017年版』(以下、2017年版)の改訂に携わられたすべての関係者の皆様に衷心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
2004年の若年Hodgkin病患者に対する卵巣組織凍結・移植によるベルギーにおける世界初の生児獲得の報告がブレイクスルーとなり、世界各地で本領域に関する学術団体の設立や医療連携が急速に進みました。本邦では、2012年の日本がん・生殖医療研究会(現学会)の設立以後、がん領域ならびに生殖領域の学術団体において本領域が少しずつ取り上げられるようになり、本領域が一つの分野として確立しつつあります。厚生労働省は、がん患者の経済的な負担軽減を目指して、国と自治体による妊孕性温存療法に係る経済的支援を研究事業の一環として2021年4月に開始しました。全国にがん・生殖医療ネットワークが広まったことが、この経済的支援開始の一因となりましたが、日本癌治療学会による2017年版の発刊も重要なゲームチェンジャーになったと言っても過言ではありません。なお、妊孕性温存療法の経済的支援の適応を決める際には、2017年版が大きな役割を担っています。また、2023年3月に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画の「2. がん医療(1)がん医療提供体制等」の中に、「<8>妊孕性温存療法について」が施策の一つに加えられたことから、2024年版の役割はさらに重要なものになると予想されます。
さて、2024年版は、女性生殖器、乳腺、泌尿器、小児、造血器、骨軟部、消化器、脳の8つの領域に新たに肺、耳鼻咽喉・頭頸部、膠原病が加わり11領域をカバーしています。従来の性腺毒性分類表は、2003年のASCOの分類表以降の国際的な報告をもとに、最新のJSCO分類表として生まれ変わりました。現在、新たな分子標的治療薬等による性腺毒性が不明な点が解決すべき課題として残りますが、本学会HP上で新たな情報を公開していく予定にしています。なおMinds 2020に準拠して作成された2024年版は、総勢189名(改訂ワーキンググループ委員106名、SRチーム委員69名、検索担当者2名、評価ワーキンググループ委員12名)によって、約80時間に及ぶ推奨決定会議をはじめ、足掛け3年間にわたる膨大な改訂作業を経て発刊に至りました。重ね重ね、大須賀 穣先生をはじめとして、改訂作業に携わられたすべての関係者の皆様に心の底から感謝申し上げます。また、言葉では表すことができないほどの多大なるご尽力をいただきました日本癌治療学会事務局の福田奈津喜様に深甚なる謝意を表します。そして、すべての工程に丁寧かつ完璧な対応をしてくださった縁の下の力持ちのお二人、北野敦子先生、原田美由紀先生に深謝申し上げます。最後に、2017年版に続いて今回の編集作業に多大なるご尽力をいただいた金原出版株式会社の安達友里子様にこの場を借りて心より感謝申し上げます。
将来の不確実性の中で、不安と恐怖を抱える患者さんとその家族に対する意思決定支援を行う際に、本ガイドラインがお役に立つことを切に願っております。
2024年10月
がん診療ガイドライン委員会
小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン
改訂ワーキンググループ
委員長 鈴木 直
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