身につく蛍光眼底造影検査手技と所見の読み方
明日から活用できる! 臨床に直結する! 蛍光眼底造影検査テキスト
著 者 |
大野 京子 / 森 隆三郎 |
定 価 |
6,380円 (5,800円+税) |
発行日 |
2011/10/05 |
ISBN |
978-4-307-35143-0 |
B5判・83頁・図数:76枚・カラー図数:76枚
蛍光眼底造影検査は、様々な眼底疾患の病態解明や治療の判断に多大な貢献をもたらし、眼底疾患において、特徴的な眼底造影所見が得られる必須の検査法である。したがって、蛍光眼底造影の検査方法の取得とその読影は眼科医としてぜひ身につけておくべき知識である。本書は臨床研修医や非専門医の方々にとっても容易に理解でき、実際に明日から使えるように工夫した。すべての眼科医が臨床で活用できる、身につくテキスト。
『序』より
眼底は人体の組織の中で唯一血管を直視できる組織であり、眼底のより精密な検査方法として蛍光眼底造影は必須の検査方法である。近年、光干渉断層計の開発と臨床応用により、非侵襲的に網膜の情報を得ることができるようになったが、それでもなお、蛍光眼底造影によって得られる情報は眼底疾患の診断や治療方法の決定において、最も重要であるといっても過言ではない。
フルオレセイン蛍光眼底造影、インドシアニングリーン赤外蛍光眼底造影は、ともに非常に長い歴史のある検査法であり、両検査方法の開発はこれまでにも種々の眼底疾患の病態解明や治療の判断に多大な貢献をもたらしたが、さらに最近、HRA2をはじめとした蛍光眼底造影撮影装置の高解像度化は、蛍光眼底造影所見の、より微細な所見の動的な観察を可能にした。
さらに近年、非侵襲的な眼底検査である眼底自発蛍光の撮影を同時に行うことができる眼底検査装置も登場した。眼底自発蛍光は主として網膜色素上皮のリポフスチンに由来するものであるが、それだけではなく、さまざまな眼底疾患において特徴的な眼底自発蛍光の異常がみられる。したがって、蛍光眼底造影および眼底自発蛍光の検査方法の取得、およびその読影は眼科医としてぜひ身につけておくべき必須の検査方法である。
そこで本書では、眼科を志す臨床研修医や網膜以外のsubspecialityを有する眼科医にとっても容易に理解でき、明日からの眼科臨床に直結して役に立つ内容を簡潔にまとめた。本書が眼底造影検査の実践的な書として活用されることを希望している。
I.蛍光眼底造影および眼底自発蛍光を理解するための基礎知識
1.蛍光眼底造影に用いられる蛍光物質の基礎的特性
1.フルオレセイン・ナトリウム
2.インドシアニングリーン
2.眼底自発蛍光(FAF)の原理
3.FAF,FA,IAの撮影方法
1.全体を通じた撮影のコツ
2.撮影にあたって
3.撮影方法
4.FAFの撮影のポイント
5.FAの撮影のポイント
6.IAの撮影のポイント
4.自発蛍光の正常所見と代表的な異常所見
1.正常所見
2.代表的な異常所見
5.FAの正常所見と代表的な異常所見
1.正常所見
2.代表的な異常所見
6.IAの正常所見と代表的な異常所見
1.正常所見─時間的な変化
2.代表的な異常所見
II.代表症例
1.網膜血管疾患
1.糖尿病網膜症diabetic retinopathy(DR)
2.網膜動脈閉塞症retinal artery occlusion
3.網膜静脈閉塞症retinal vein occlusion
4.中心窩傍毛細血管拡張症macular teleangiectasia(MacTel)
2.網膜色素上皮,脈絡膜疾患
1.ベスト病Best disease(卵黄状黄斑ジストロフィ)
2.網膜色素線条angioid streak
3.強度近視性眼底病変
4.特発性脈絡膜新生血管(特発性CNV)
5.点状内層脈絡膜症punctuate inner choroidopathy(PIC)
6.中心性漿液性脈絡網膜症central serous chorioretinopathy(CSC)
7.加齢黄斑変性age─related macular degeneration(AMD)
3.眼内腫瘍
1.脈絡膜血管腫choroidal angioma
2.脈絡膜悪性黒色腫choroidal malignant melanoma
3.転移性脈絡膜腫瘍metastatic choroidal tumor
4.原発性眼内リンパ腫primary interocular lymphoma(PIOL)
5.星状細胞性網膜過誤腫
Column
フルオレセイン蛍光眼底造影の今昔
IAは日本から始まった
最も効率的な画像診断の修得方法は?
色素漏出か?はたまた強い組織染か?
索引