Copyright© KANEHARA & Co., LTD. All Rights Reserved.
身につく涙道疾患の診断と治療
低侵襲の涙嚢鼻腔吻合術を中心に、涙器・涙道の日帰り手術を解説。
著 者 | 栗橋 克昭 |
---|---|
定 価 | 7,920円 (7,200円+税) |
発行日 | 2012/02/20 |
ISBN | 978-4-307-35144-7 |
B5判・180頁・図数:189枚・カラー図数:173枚
在庫状況 | あり |
---|
最近「涙目」を訴える患者が増加している。これには涙道疾患の関与が重要である。本書では鼻涙管閉塞や狭窄などの疾患について、広く世界で使われている筆者の発明品、ヌンチャク型シリコーンチューブの使い方を解説した。さらに解剖学的に涙道・涙器手術が成功していても流涙を訴える、代償期の腱膜性眼瞼下垂の治療も記載した。眼瞼下垂手術を行うと流涙が治ると同時に肩こりや頭痛、冷え性などの不定愁訴も改善することが多い。
『序文』より
最近の高齢化社会では「涙目」を訴える患者さんが増加してきたように思われる。これには涙道疾患の関与が重要であるが、松尾清教授の提唱した代償期の腱膜性眼瞼下垂症にも注目する必要がある。涙道疾患には、涙嚢の炎症および腫瘍と涙点、涙小管、鼻涙管などの疾患が含まれる。検査法にはフルオレセイン色素残留テスト試験、涙道通水試験、涙嚢造影および涙道ブジー検査などがあるが、最近では微細内視鏡による涙道内腔を可視化することも可能になってきた。また、涙道疾患では通常、流涙が起こり、Schirmer試験よりも綿糸法、濾紙法、tear meniscus height(TMH)、色素残留テスト からなる精密涙液分泌テストが優れているので、本書ではこの方法について具体的に解説した。鼻涙管閉塞や狭窄の治療では金属ブジーやヌンチャク型シリコーンチューブ(NST)を用いる。このNSTは筆者の発明であり、わが国の特許広報に掲載されたのは1992年である。その後間もなく米国の特許広報にも掲載されたが、18年たって欧米の眼科医がNSTの威力にようやく気づきはじめたようである。松尾清教授のミュラー筋を温存する眼瞼下垂症手術も同様でようやくわが国で広まりつつある。しかし海外では代償期の腱膜性眼瞼下垂症に対する認識はまだまだ希薄であり、ミュラー筋を温存することの重要性はほとんど無視されている。涙嚢鼻腔吻合dacryocystorhinostomy(DCR)には鼻外法と鼻内法とがある。鼻外法で行うと成功率はほぼ100%であるが、解剖学的に成功していても流涙を訴えることがある。そのようなときには必ずといってよいほど代償期の腱膜性眼瞼下垂を合併している。そして、眼瞼下垂手術を行うと流涙が治ることがある。
『序文』より
最近の高齢化社会では「涙目」を訴える患者さんが増加してきたように思われる。これには涙道疾患の関与が重要であるが、松尾清教授の提唱した代償期の腱膜性眼瞼下垂症にも注目する必要がある。涙道疾患には、涙嚢の炎症および腫瘍と涙点、涙小管、鼻涙管などの疾患が含まれる。検査法にはフルオレセイン色素残留テスト試験、涙道通水試験、涙嚢造影および涙道ブジー検査などがあるが、最近では微細内視鏡による涙道内腔を可視化することも可能になってきた。また、涙道疾患では通常、流涙が起こり、Schirmer試験よりも綿糸法、濾紙法、tear meniscus height(TMH)、色素残留テスト からなる精密涙液分泌テストが優れているので、本書ではこの方法について具体的に解説した。鼻涙管閉塞や狭窄の治療では金属ブジーやヌンチャク型シリコーンチューブ(NST)を用いる。このNSTは筆者の発明であり、わが国の特許広報に掲載されたのは1992年である。その後間もなく米国の特許広報にも掲載されたが、18年たって欧米の眼科医がNSTの威力にようやく気づきはじめたようである。松尾清教授のミュラー筋を温存する眼瞼下垂症手術も同様でようやくわが国で広まりつつある。しかし海外では代償期の腱膜性眼瞼下垂症に対する認識はまだまだ希薄であり、ミュラー筋を温存することの重要性はほとんど無視されている。涙嚢鼻腔吻合dacryocystorhinostomy(DCR)には鼻外法と鼻内法とがある。鼻外法で行うと成功率はほぼ100%であるが、解剖学的に成功していても流涙を訴えることがある。そのようなときには必ずといってよいほど代償期の腱膜性眼瞼下垂を合併している。そして、眼瞼下垂手術を行うと流涙が治ることがある。
I.眼瞼と涙道の解剖と生理
1.眼瞼の形態
1.眼輪筋
2.下位横走靭帯と開瞼を邪魔する抵抗組織
2.開瞼のメカニズム
1.固有知覚proprioception
2.随意開瞼と不随意開
3.ミュラー筋センサーの刺激サークル
4.歯根膜センサーの刺激サークル
3.涙道の形態
1.涙点(涙小管乳頭部+狭窄部)
2.涙小管垂直部(涙小管鉛直部)
3.涙小管水平部
4.総涙小管
5.涙嚢窩と涙嚢
4.涙嚢・鼻涙管は海綿体からなる
5.涙嚢・鼻涙管の腔面をつくる細胞の自由表面における線毛と微絨毛
6.導涙機構
7.腱膜分離症、代償期の腱膜性眼瞼下垂症(腱膜すべり症)、非代償期の腱膜性眼瞼下垂症
8.眼瞼挙筋ミュラー筋反射
9.精密涙液分泌テストと睫毛クリップ負荷テスト
10.涙道疾患の症状と涙道手術のいろいろ
11.代償期の腱膜性眼瞼下垂症と流涙症とドライアイ
12.綿糸法と正常涙液量
II.涙液
1.涙液とは
1.涙液中の形態的成分−涙液の表層だけを採取することは難しい
2.涙液の比重、浸透圧
3.涙液の表面張力
4.涙液のpH
5.涙液の化学的組成
2.涙液の役割
1.光学的役割
2.異物排除
3.潤滑剤
4.病原体に対する防御壁
5.酸素や栄養を運ぶ
6.眼表面の恒常性維持
7.角膜の傷に血球を運ぶ
8.排泄
9.ストレス軽減
3.涙液分泌機構
4.涙液分泌低下をきたす疾患
5.現在信じられている正常涙液量5〜10μL(涙液メニスカスとして3〜4μL)は多すぎる
6.精密涙液分泌テスト
1.綿糸法
2.7秒間測定で行う濾紙法(7秒間測定法)
3.涙液メニスカスの高さtear?meniscus?height(TMH)
4.色素残留テスト
5.その他の涙液検査
III.腱膜性眼瞼下垂症の検査
1.必要な検査
1.問診
2.視診
3.睫毛クリップ負荷テスト
4.粘着テープまぶた吊り上げテスト
5.フェニレフリンテストと上方視テスト
6.視力検査
7.涙液分泌テスト
2.睫毛クリップ負荷テスト
1.睫毛クリップ負荷テストの方法
2.睫毛クリップ負荷テストと同時に行うと有効な検査
3.重り負荷テストは眼瞼痙攣の存否の確認に役立つ
4.三白眼とギョロ眼は腱膜性眼瞼下垂症で、その診断に睫毛クリップ負荷テストが有用である
5.睫毛クリップ負荷テストが代償期の腱膜性眼瞼下垂症の診断に役立つ理由
6.睫毛クリップ負荷テストの限界
7.睫毛クリップ負荷テストの重要性
IV.涙道の検査
1.涙道造影
1.順行性涙道造影
2.逆行性涙道造影
3.その他の涙道造影
2.鼻内視鏡検査
3.涙道内視鏡検査
V.流涙
1.流涙の分類
1.分泌性流涙と導涙性流涙
2.眼痛の有無による分類
2.代償期の腱膜性眼瞼下垂症(腱膜すべり症)による流涙−眼瞼性流涙
VI.涙道疾患
1.先天性涙道疾患
1.先天性鼻涙管閉塞
2.先天性涙嚢瘻
3.先天性涙嚢ヘルニア
4.涙点形成不全、涙小管形成不全、先天性涙点閉鎖
5.副涙点(異所性涙点)、異所性涙小管
2.後天性涙道疾患−総論
1.原発性鼻涙管閉塞
2.続発性鼻涙管閉塞(Linbergらによる)
3.続発性後天性涙道閉塞
3.後天性涙道疾患−各論
1.涙小管炎
2.涙小管閉塞
3.鼻涙管閉塞と涙嚢炎
4.涙石
5.涙嚢腫瘍
VII.涙道手術
1.涙嚢洗浄
2.プロービング
1.プロービングとは
2.プロービングの合併症
3.シリコーンチューブ留置
1.涙道に挿入するチューブはある程度柔らかくなければならない
2.シリコーンチューブ留置法
3.シリコーンチューブ留置の合併症
4.涙嚢鼻腔吻合術
5.涙嚢鼻腔吻合術鼻外法(DCR鼻外法)
1.適応
2.手術用具
3.術前処置
4.麻酔
5.手術手技
6.DCR鼻内法(中鼻道法)
1.適応
2.手術器具
3.手術手技
4.術後合併症
7.DCR鼻内法(下鼻道法)
1.適応
2.手術器具
3.手術手技
4.術後処置
5.術後合併症
8.DCR涙小管法(中鼻道法)
1.DCR涙小管法(中鼻道法)
2.適応
3.手術用具
4.麻酔
5.手術手技
6.術後管理 110
7.DCR涙小管法(中鼻道法)の成功率 110
9.涙小管形成術
1.適応
2.手術用具
3.麻酔
4.手術手技
10.全涙道再建術
1.全涙道再建術とは
2.適応
3.手術用具
4.麻酔
5.術前処置
6.手術手技
7.術後管理と術後合併症
11.先天性鼻涙管閉塞の手術
1.適応
2.手術器具
3.手術手技
4.術後処置
5.術後合併症
12.ドライアイのための涙道手術
1.涙点プラグ
2.涙点閉鎖術
VIII.涙道疾患に腱膜性眼瞼下垂症を合併する2症例
1.はじめに
2.症例1:71歳女性
1.経過
2.症例1の考察
3.まとめ
3.症例2:76歳女性
1.経過
2.症例2の考察
3.まとめ
4.おわりに
索引
1.眼瞼の形態
1.眼輪筋
2.下位横走靭帯と開瞼を邪魔する抵抗組織
2.開瞼のメカニズム
1.固有知覚proprioception
2.随意開瞼と不随意開
3.ミュラー筋センサーの刺激サークル
4.歯根膜センサーの刺激サークル
3.涙道の形態
1.涙点(涙小管乳頭部+狭窄部)
2.涙小管垂直部(涙小管鉛直部)
3.涙小管水平部
4.総涙小管
5.涙嚢窩と涙嚢
4.涙嚢・鼻涙管は海綿体からなる
5.涙嚢・鼻涙管の腔面をつくる細胞の自由表面における線毛と微絨毛
6.導涙機構
7.腱膜分離症、代償期の腱膜性眼瞼下垂症(腱膜すべり症)、非代償期の腱膜性眼瞼下垂症
8.眼瞼挙筋ミュラー筋反射
9.精密涙液分泌テストと睫毛クリップ負荷テスト
10.涙道疾患の症状と涙道手術のいろいろ
11.代償期の腱膜性眼瞼下垂症と流涙症とドライアイ
12.綿糸法と正常涙液量
II.涙液
1.涙液とは
1.涙液中の形態的成分−涙液の表層だけを採取することは難しい
2.涙液の比重、浸透圧
3.涙液の表面張力
4.涙液のpH
5.涙液の化学的組成
2.涙液の役割
1.光学的役割
2.異物排除
3.潤滑剤
4.病原体に対する防御壁
5.酸素や栄養を運ぶ
6.眼表面の恒常性維持
7.角膜の傷に血球を運ぶ
8.排泄
9.ストレス軽減
3.涙液分泌機構
4.涙液分泌低下をきたす疾患
5.現在信じられている正常涙液量5〜10μL(涙液メニスカスとして3〜4μL)は多すぎる
6.精密涙液分泌テスト
1.綿糸法
2.7秒間測定で行う濾紙法(7秒間測定法)
3.涙液メニスカスの高さtear?meniscus?height(TMH)
4.色素残留テスト
5.その他の涙液検査
III.腱膜性眼瞼下垂症の検査
1.必要な検査
1.問診
2.視診
3.睫毛クリップ負荷テスト
4.粘着テープまぶた吊り上げテスト
5.フェニレフリンテストと上方視テスト
6.視力検査
7.涙液分泌テスト
2.睫毛クリップ負荷テスト
1.睫毛クリップ負荷テストの方法
2.睫毛クリップ負荷テストと同時に行うと有効な検査
3.重り負荷テストは眼瞼痙攣の存否の確認に役立つ
4.三白眼とギョロ眼は腱膜性眼瞼下垂症で、その診断に睫毛クリップ負荷テストが有用である
5.睫毛クリップ負荷テストが代償期の腱膜性眼瞼下垂症の診断に役立つ理由
6.睫毛クリップ負荷テストの限界
7.睫毛クリップ負荷テストの重要性
IV.涙道の検査
1.涙道造影
1.順行性涙道造影
2.逆行性涙道造影
3.その他の涙道造影
2.鼻内視鏡検査
3.涙道内視鏡検査
V.流涙
1.流涙の分類
1.分泌性流涙と導涙性流涙
2.眼痛の有無による分類
2.代償期の腱膜性眼瞼下垂症(腱膜すべり症)による流涙−眼瞼性流涙
VI.涙道疾患
1.先天性涙道疾患
1.先天性鼻涙管閉塞
2.先天性涙嚢瘻
3.先天性涙嚢ヘルニア
4.涙点形成不全、涙小管形成不全、先天性涙点閉鎖
5.副涙点(異所性涙点)、異所性涙小管
2.後天性涙道疾患−総論
1.原発性鼻涙管閉塞
2.続発性鼻涙管閉塞(Linbergらによる)
3.続発性後天性涙道閉塞
3.後天性涙道疾患−各論
1.涙小管炎
2.涙小管閉塞
3.鼻涙管閉塞と涙嚢炎
4.涙石
5.涙嚢腫瘍
VII.涙道手術
1.涙嚢洗浄
2.プロービング
1.プロービングとは
2.プロービングの合併症
3.シリコーンチューブ留置
1.涙道に挿入するチューブはある程度柔らかくなければならない
2.シリコーンチューブ留置法
3.シリコーンチューブ留置の合併症
4.涙嚢鼻腔吻合術
5.涙嚢鼻腔吻合術鼻外法(DCR鼻外法)
1.適応
2.手術用具
3.術前処置
4.麻酔
5.手術手技
6.DCR鼻内法(中鼻道法)
1.適応
2.手術器具
3.手術手技
4.術後合併症
7.DCR鼻内法(下鼻道法)
1.適応
2.手術器具
3.手術手技
4.術後処置
5.術後合併症
8.DCR涙小管法(中鼻道法)
1.DCR涙小管法(中鼻道法)
2.適応
3.手術用具
4.麻酔
5.手術手技
6.術後管理 110
7.DCR涙小管法(中鼻道法)の成功率 110
9.涙小管形成術
1.適応
2.手術用具
3.麻酔
4.手術手技
10.全涙道再建術
1.全涙道再建術とは
2.適応
3.手術用具
4.麻酔
5.術前処置
6.手術手技
7.術後管理と術後合併症
11.先天性鼻涙管閉塞の手術
1.適応
2.手術器具
3.手術手技
4.術後処置
5.術後合併症
12.ドライアイのための涙道手術
1.涙点プラグ
2.涙点閉鎖術
VIII.涙道疾患に腱膜性眼瞼下垂症を合併する2症例
1.はじめに
2.症例1:71歳女性
1.経過
2.症例1の考察
3.まとめ
3.症例2:76歳女性
1.経過
2.症例2の考察
3.まとめ
4.おわりに
索引