身につく角膜トポグラフィーの検査と読み方

臨床で必須の角膜形状解析装置の使い方を分かりやすく解説

著 者 湖崎 亮
定 価 7,480円
(6,800円+税)
発行日 2012/03/01
ISBN 978-4-307-35148-5

B5判・128頁・カラー図数:146枚

在庫状況 あり

角膜トポグラフィーは最先端の検査でありながら、LASIK後の白内障手術の戦略、コンタクトレンズの処方、早期の円錐角膜の診断に有用であり、一般のクリニックにも広く普及している。しかし診断プログラムと測定方法が難解であるため、完全に使い方を理解することは容易ではない。本書では基本的な装置の構造から各装置のプログラムの意味、エラーコードの解決策、そして測定結果の読み方に至るまで分かりやすく、詳しく解説した。

『序』より
筆者が研修医だった頃は、フォトケラトスコープが全盛期で円錐角膜の診断に役立っていたが、駆け出しの研修医では早期の円錐角膜を見分けることはできなかったことを覚えている。その後、EyeSysなどのプラチド型角膜トポグラファーが開発され、大学でも導入されたが、ちょうどエキシマレーザーの治験の時期と重なり、角膜トポグラファーは重宝され、その測定はもっぱら研修医の大事な仕事であった。しかし角膜トポグラファーを保有しているのは大学などごく一部の研究機関だけで、まだ一般的には普及していなかった。
現在では、角膜トポグラファーは角膜前面だけでなく、後面解析のできる装置が開発され、従来の方法とはまったく異なる前眼部OCTを応用した角膜形状解析装置も出現し、その発達はめざましい。一方、臨床の場ではLASIKなどの屈折矯正手術の精度は高くなり、付加価値のあるIOLも開発され白内障手術の質も向上したが、同時に患者の要求度も高くなり、LASIK後の白内障手術時におけるIOL度数計算など、苦慮する機会も増えてきている。このような場面で、角膜トポグラフィー測定はなくてはならない検査であり、現在は一般的なクリニックでも広く普及している。
本書では、角膜トポグラフィーを理解するため、前半では基本的な装置の構造や特徴を、中盤では各装置のプログラムの意味、そこに記載されている語句をできるだけわかりやすく解説し、最後の項では実際の測定結果を実例として載せた。その中には筆者も知らなかった内容や、プログラム開発者のポリシーなども知ることができ、逆に勉強になったことも多かった。
最後に、これから眼科医を志す研修医や、実際に測定するスタッフ、角膜トポグラフィーに興味をもたれた臨床医の方々にとって、本書が角膜トポグラフィーを理解する手助けになればと願っています。
I.角膜トポグラフィー(角膜形状解析)とは?
 1.角膜形状解析機器の発達
 2.角膜トポグラフィーを測定する目的は?
  A.白内障手術の戦略と評価
  B.コンタクトレンズのフィッテング
  C.LASIKやオルソケラトロジーなどの屈折矯正治療の適応や評価
  D.角膜不正乱視の検出
 3.角膜屈折力の測定─角膜換算屈折率(Keratometric Index)

II.角膜トポグラファーの種類と原理
 1.プラチド型解析装置
 2.角膜後面の形状解析装置
  A.スリットスキャンタイプ
  B.シャインプルークタイプ
  C.前眼部OCT

III.角膜トポグラファーの特徴と測定方法
 1.TMS(トーメー社)
  A.特徴
  B.アライメント(焦点位置合わせ)とデジタイゼーション(画像解析)
 2.Pentacam(Oculus社)
  A.特徴
  B.アライメント(焦点位置合わせ)

IV.角膜トポグラフィーの読み方(基本編)
 1.角膜前面曲率マップ
  A.パワー
  B.スケール
 2.エレベーションマップ
  A.エレベーションマップとは
  B.Reference Surfaceの設定
  C.エレベーションマップのパターン
 3.角膜厚マップ
 4.各機種のスケール表示

V.角膜トポグラフィーの読み方(応用編)
 1.TMSのマップと各プログラムの読み方
  A.角膜前面曲率マップ
  B.Keratoconus Screening System(円錐角膜スクリーニング)
  C.フーリエ解析
  D.マルチマップ
  E.IOL度数計算ソフトOKULIX
 2.Pentacamのマップと各プログラムの読み方
  A.マルチマップ
  B.Belin/Ambrosio Enhanced Ectasia Display
  C.円錐角膜自動診断プログラム(Topometric Display)
  D.Holladyレポート
  E.コンタクトレンズフィッティングプログラム
  F.Zernike解析

VI.角膜トポグラフィーの読み方(症例偏)
 1.正乱視
 2.白内障術後
  A.症例:63歳男性 上方5.5mm切開、無縫合のPEA施行
 3.翼状片
  A.症例:54歳男性 左眼翼状片 有茎弁移植術施行
 4.円錐角膜症例
  A.症例1:軽度円錐角膜(Lazy 8 Figureパターン、Pentacam HR)
  B.症例2:中等度円錐角膜(Inferior Steepeningパターン、TMS─5)
  C.症例3:両眼円錐角膜(右Asymmetric Bow Tie 左Truncated Bow Tieパターン、TMS─4Advance)
 5.円錐角膜疑い
  A.症例1:
  B.症例2:
  C.症例3:
 6.ペルーシド角膜変性
  A.症例:51歳女性
 7.LASIK術後
  A.症例:44歳女性
 8.LASIK後Epithelial Ingrowth
  A.症例:56歳男性
 9.RK術後
  A.症例:66歳女性
 10.Keratectasia
  A.症例:42歳男性
 11.全層角膜移植術後
  A.症例:51歳男性 鉗子分娩 デスメ膜破裂 球状角膜
 12.DSAEK後
  A.症例:84歳女性 右眼 水疱性角膜症 白内障
 13.Warpage
  A.症例:39歳女性

索引