身につくOCTの撮り方と所見の読み方
光干渉断層計検査のポイントを多彩な写真でわかりやすく解説!
著 者 |
大谷 倫裕 |
定 価 |
7,700円 (7,000円+税) |
発行日 |
2013/04/01 |
ISBN |
978-4-307-35154-6 |
B5判・212頁・図数:196枚
OCTは顕微鏡で組織切片をみるように鮮明で、数秒で眼底後局部の三次元画像を構築できるほどに素早く情報を得ることができる臨床に必要不可欠な検査である。本書ではOCT検査を十分に活用するための手技や知識を身につけることができるように、わかりやすくその使い方と所見を読むうえでのポイントを解説した。OCTの原理から各疾患に特有のパターンまで、診断へのヒントを凝縮した一冊。
『序』より
1997年に初代のOCTが日本に導入されてから今年で16年になります、当時のOCTの画質は荒く、視細胞内節外節接合部(IS/OS)などはわかりませんでしたが、生体網膜の断面を観察できたことの驚きは相当なものでした。その後OCTは改良を重ね、タイムドメイン方式からスペクトラルドメイン方式に進歩し、現在のOCTは、まさに顕微鏡で組織切片を見るかのような精細画像を描出します。またスキャンスピードも格段に速くなり、数秒で眼底後極部の三次元画像を構築することが可能です。分解能の向上や解析ソフトの改善によって、眼底疾患だけではなく緑内障の診断にもOCTが応用可能となり、OCTは眼科臨床に必要不可欠な検査装置となっています。このような現状をふまえ、OCTを臨床の場で十分に活用していただくことを目的に本書を執筆しました。
はじめにOCT検査に必要な基礎知識について解説しました。OCTは形態検査であり、OCT画像を読むには網膜や視神経の解剖と正常OCT断層像の理解が必須です。またOCTの原理を知り、アーチファクトによる誤った解釈を避けなければなりません。
次にOCT所見の読み方のポイントを網膜厚マップとOCT断層像とに分けて述べました。最近のOCTは簡単に網膜厚をマップとして表示できるので、病変の分布や範囲を網膜厚マップで認識し、断層像で網膜のどこの層に異常があるのかを調べることが大切です。OCTからその疾患に特有のパターンを見つけることが診断へのヒントになると思います。
疾患別OCT所見の読み方は、疾患についての記述は最小限にとどめ、眼底写真やOCT画像を多用しました。知識があっても実際に見たことがない疾患を診断することは容易ではありません。代表的な疾患、あるいはOCTが診断や評価に重要であるものについては取り上げることができたと考えています。
I.OCT検査に必要な基礎知識
1.黄斑部の解剖と機能
2.視神経の解剖と機能
3.OCTの基本原理
4.検査手技
5.OCTのア−チファクト
6.正常眼底のOCT断層像
7.網膜厚と視神経乳頭の解析
II.OCT所見の読み方のポイント
1.網膜厚マップによる評価
2.網膜断層像による評価
III.疾患別OCT所見の読み方:網膜血管病変
1.糖尿病黄斑浮腫
2.網膜静脈閉塞症
3.網膜動脈閉塞症
4.網膜細動脈瘤
5.特発性傍中心窩毛細血管拡張症
IV.疾患別OCT所見の読み方:網膜硝子体界面病変
1.特発性黄斑円孔
2.特発性黄斑前膜
3.黄斑偽円孔
4.硝子体黄斑牽引症候群
5.macularmicrohole
V.疾患別OCT所見の読み方:加齢黄斑変性
1.滲出型加齢黄斑変性
2.ポリ−プ状脈絡膜血管症
3.網膜内血管腫状増殖
VI.疾患別OCT所見の読み方:中心性漿液性脈絡網膜症
VII.疾患別OCT所見の読み方:病的近視と黄斑病変
1.近視性網脈絡膜萎縮
2.黄斑剥離・黄斑円孔・網膜分離
3.近視性脈絡膜新生血管
VIII.疾患別OCT所見の読み方:変性と先天異常
1.網膜色素変性
2.錐体ジストロフィ
3.Stargardt病
4.若年網膜分離症
5.卵黄様黄斑ジストロフィ
6.視神経乳頭ピット黄斑症候群
7.中心窩低形成
IX.疾患別OCT所見の読み方:炎症性疾患
1.AZOOR
2.MEWDS
3.原田病
X.疾患別OCT所見の読み方:緑内障
索引