嚥下障害診療ガイドライン 2024年版 [Web動画付] 第4版

6年ぶり大改訂で解説もCQも大幅アップデートの最新版登場!

編 集 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
定 価 3,960円
(3,600円+税)
発行日 2024/09/25
ISBN 978-4-307-37137-7

B5判・108頁

在庫状況 あり

アルゴリズム、総論・CQなど、全編にわたって大改訂されました。総論には嚥下圧検査の解説が追加され、臨床実践のブラッシュアップが期待できます。CQは全13項目設定され、呼吸筋訓練、神経筋電気刺激療法、栄養管理などの近年の臨床課題にも対応しています。また、特設サイトで嚥下内視鏡検査・造影検査の動画を視聴でき、より実践に近い形で学ぶことができます。総合的かつ実践的なガイドラインとして進化し続けています。
CQ一覧
アルゴリズム

第1章 序論
1-1 ガイドライン作成の目的
1-2 作成の背景・沿革
1-3 作成者
1-4 資金提供・利益相反
1-5 利用者
1-6 対象
1-7 ガイドライン使用上の注意
1-8 エビデンスの収集
1-9 用語について
1-10 患者・市民参画
1-11 外部評価
1-12 改訂予定
 
第2章 総論
2-1 疫学
2-2 問診
2-3 意識・高次脳機能・身体機能の評価
2-4 口腔・咽頭・喉頭などの診察
2-5 口腔機能およびその評価
2-6 嚥下機能評価のための簡易検査
2-7 嚥下内視鏡検査
2-8 嚥下造影検査
2-9 嚥下圧検査(マノメトリー検査)
2-10 対応基準
2-11 経過観察を行う場合の注意点
2-12 嚥下指導を行う場合の注意点
2-13 保存的治療
2-14 外科的治療
 
第3章 Clinical Questions(CQ)
CQ1 嚥下機能評価に簡易検査は有用か?
CQ2 嚥下内視鏡検査は治療法の選択に有用か?
CQ3 舌圧測定は嚥下機能の評価に有効か?
CQ4 嚥下圧検査は治療方針決定にとって有用か?
CQ5 義歯や口腔内装置は嚥下機能改善に有効か?
CQ6 嚥下障害患者に対する姿勢調整は誤嚥防止に有用か?
CQ7 呼吸筋訓練は嚥下機能の維持・改善に有効か?
CQ8 嚥下障害患者に対する神経筋電気刺激療法は、嚥下機能改善に有用か?
CQ9 嚥下障害患者に対する嚥下機能改善術は嚥下機能改善に有用か?
CQ10 サルコペニアの嚥下障害において栄養管理は嚥下機能の改善に有効か?
CQ11 脳卒中急性期患者に対する嚥下訓練は、嚥下機能の改善に有効か?
CQ12 嚥下障害患者に対する胃瘻造設術は誤嚥性肺炎の発症の予防に有効か?
CQ13 重症嚥下障害患者に対する誤嚥防止手術は、生活の質(QOL)の改善に有用か?

索引
Web動画の視聴方法
Web動画の内容と説明
2024年版(第4版)刊行にあたって

 わが国にはすでに超高齢社会が到来しており、高齢の嚥下障害患者は急速に増加している。嚥下機能はQOLに直結し生命維持にも関わる重要な機能であり、嚥下機能の障害は、食事摂取不良によるフレイルや誤嚥性肺炎、窒息など、多くの問題の原因となりうる。嚥下障害は、医療や介護の現場では大きな課題となっているが、その原因や病態は多岐にわたり患者の状態もさまざまであることから、適切な対応は難しいのが現状である。これに対しては多職種連携やチーム医療が重要であり、その際には標準的な評価や診断の手順、適切な治療やリハビリテーションの方法を広く共有する必要がある。
 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(以下、日耳鼻)は、2008 年に耳鼻咽喉科医を対象として『嚥下障害診療ガイドライン』(以下、本ガイドライン)を作成した。2012 年の第2 版では嚥下造影検査など新たな情報も取り入れながら改訂を加えた。初版および第2版では、ガイドラインの利用者を主に耳鼻咽喉科医として初期対応に重きを置いていたが、2018 年の第3 版では嚥下障害診療に関わる全ての医療者を対象とし、評価や治療についても具体的な内容が盛り込まれた。
 今回の第4版では、「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3」に準拠し、改訂委員およびシステマティックレビュー委員を関連する診療科および言語聴覚士から選定して作成した。利用者としては、嚥下障害患者の診療に関わる医療者(医師、歯科医師、言語聴覚士、看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士等)を想定しているが、嚥下障害における意思決定支援を目的としていることから、対象となる患者およびその家族も利用者に含まれることとした。
Clinical Questionにおける推奨については、改訂委員会委員の投票によって決定した。
 人材育成として、日耳鼻の関連する学会である日本嚥下医学会では、嚥下診療の質の向上と円滑な医療連携を図る目的で、所属専門領域学会の認定専門医への“嚥下相談医”、および認定言語聴覚士や認定看護師への“嚥下相談員”の制度を構築し、運用している。
 以上のように、標準化、多職種連携、人材育成が進むことで、嚥下障害患者に対して適切な対応が進んでいくものと考えられる。
 最後に、本ガイドライン改訂の最中、委員の部坂弘彦先生(部坂耳鼻咽喉科医院)および津田豪太先生(聖隷佐倉市民病院)が急逝された。部坂先生は開業医の立場から、医師会と協力して地域での嚥下障害診療連携体制の確立に尽力された。津田先生は嚥下障害診療に関わるメディカルスタッフと協働し、リハビリテーションや外科的治療を駆使して多くの患者さんの経口摂取を回復させた。そしてお二人は、本ガイドライン改訂においても多大な貢献をしていただいた。両先生を含め、本ガイドラインの改訂に携わった全ての先生方のご努力に深く感謝する。

令和6 年8 月16 日
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
理事長 大森 孝一