鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版 第10版 通年性鼻炎と花粉症

アレルギー性鼻炎診療をアップデート!4年ぶりの新装改訂版!

編 集 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
定 価 3,850円
(3,500円+税)
発行日 2024/03/31
ISBN 978-4-307-37140-7

B5判・156頁・カラー図数:19枚

在庫状況 あり

花粉症を含む鼻アレルギーの有病率は5割に迫り、国家レベルの課題となっています。一方、アレルギー診療の進歩は目覚ましく、頻繁な知識のアップデートが欠かせません。そんな鼻アレルギー診療における必読・必携書『鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版』が、装いも新たに出来しました。従来の診療全体の丁寧な解説や、実地臨床に即したCQ&Aがさらにブラッシュアップされ、有効な診療をマスターするための一助となります。
第1章 定義・分類
I 定義と病名
II 鼻炎の分類

第2章 疫学

第3章 発症のメカニズム
  1.くしゃみ
  2.鼻漏
  3.鼻閉

第4章 検査・診断
I 検査
II 診断
III 分類
  1.原因抗原侵入経路と抗原
  2.好発時期
  3.病型
  4.重症度
  5.QOLによる評価(患者満足度を含む)
  <参考> ARIAについて

第5章 治療
I 目標
II 治療法
  1.患者とのコミュニケション
  2.抗原除去と回避
  3.薬物療法
    1)ケミカルメディエーター遊離抑制薬(マスト細胞安定薬)
    2)ケミカルメディエーター受容体拮抗薬
      (1)ヒスタミンH1受容体拮抗薬
      (2)ロイコトリエン受容体拮抗薬
      (3)プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬
    3)Th2サイトカイン阻害薬
    4)ステロイド薬
      (1)鼻噴霧用ステロイド薬
      (2)全身ステロイド薬
    5)生物学的製剤
    6)点鼻用血管収縮薬・α交感神経刺激薬
    7)その他
      (1)非特異的変調療法薬
      (2)生物抽出製剤
      (3)漢方薬
    8)アレルギー性鼻炎治療薬の副作用・相互作用
      (1)抗ヒスタミン薬
      (2)その他のアレルギー性鼻炎治療薬
  4.アレルゲン免疫療法
    1)アレルゲン免疫療法の作用機序
    2)適応
    3)皮下免疫療法(SCIT)の実施法
    4)舌下免疫療法(SLIT)の実施法
  5.手術
III 治療法の選択
  1.通年性アレルギー性鼻炎
  2.花粉症

Clinical Question & Answer
Clinical Question & Answer 1
 重症季節性アレルギー性鼻炎の症状改善に抗IgE抗体製剤は有効か
Clinical Question & Answer 2
 アレルギー性鼻炎患者に点鼻用血管収縮薬は鼻噴霧用ステロイド薬と併用すると有効か
Clinical Question & Answer 3
 抗ヒスタミン薬はアレルギー性鼻炎のくしゃみ・鼻漏・鼻閉の症状に有効か
Clinical Question & Answer 4
 抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD(2 PGD2)・トロンボキサンA(2 TXA2薬はアレルギー性鼻炎の鼻閉に有効か
Clinical Question & Answer 5
 漢方薬はアレルギー性鼻炎に有効か
Clinical Question & Answer 6
 アレルギー性鼻炎に対する複数の治療薬の併用は有効か
Clinical Question & Answer 7
 スギ花粉症に対して花粉飛散前からの治療は有効か
Clinical Question & Answer 8
 アレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法の効果は持続するか
Clinical Question & Answer 9
 小児アレルギー性鼻炎に対するSLITは有効か
Clinical Question & Answer 10
 妊婦におけるアレルゲン免疫療法は安全か
Clinical Question & Answer 11
 職業性アレルギー性鼻炎の診断に血清特異的IgE検査は有用か
Clinical Question & Answer 12
 アレルギー性鼻炎の症状改善にプロバイオティクスは有効か

第6章 その他
I 合併症
  1.慢性副鼻腔炎
    1)アレルギー性副鼻腔炎
    2)アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎
    3)好酸球性副鼻腔炎
  2.気管支喘息
  3.アレルギー性結膜炎
II 妊婦および授乳婦
  <患者への説明文書の1例>
III 小児
  1.臨床像
  2.原因抗原
  3.検査、診断
  4.治療
IV 高齢者
  1.疫学
  2.加齢による鼻機能の変化
  3.診断と治療
V 口腔アレルギー症候群
VI アナフィラキシー
  1.定義
  2.診断基準
  3.重症度
  4.鑑別のポイント
  5.アナフィラキシーの機序と誘因
    1)食物
    2)昆虫
    3)造影剤
    4)生物学的製剤
    5)アレルゲン免疫療法
  6.治療
    1)初期対応
    2)アドレナリンの適応
VII 耳鼻咽喉科専門医への紹介
  1.耳鼻咽喉科専門医への紹介のタイミング

付表 「鼻アレルギー診療ガイドライン」作成参加者の利益相反状況
索引
Web版エビデンス集ほかのご紹介
序 ─2024年版(改訂第10版)発行に際して─

 1993年、平成5年3月に開催された第5回日本アレルギー学会春季臨床大会(牧野荘平先生)の時に成人気管支喘息、小児気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の4疾患の治療ガイドラインを提案する特別シンポジウムが開催された。故奥田稔先生、故石川哮先生が1992年に『Clinical and Experimental Allergy 22(Suppl.1)』に発表された「International consensus report on the diagnosis and management of asthma」を参考に原文を作成し、この特別シンポジウムの中で「鼻アレルギー診療ガイドライン」の発表が行われた。執筆者に故大山勝先生、今野昭義先生、故馬場廣太郎先生、馬場駿吉先生、故茂木五郎先生らが加わり、1993年6月日本アレルギー学会の内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科の合本「アレルギー疾患治療ガイドライン」中で「鼻アレルギー(含花粉症)の診断と治療」として発表された。このアレルギー疾患治療ガイドラインの61ページから74ページとわずか14ページが、後の「鼻アレルギー診療ガイドライン」の始まりであった。編集主幹は恩師である故奥田稔先生、故馬場廣太郎先生、その後私に委ねられた。
 私が担当を始めた改訂第5版2005年版から海外より導入されたevidence based medicine(EBM)の影響を受け、最も新しいエビデンス集(改訂第4版より)が巻末のCD-ROMに追加され、現在でもこのエビデンスの追加作業を続けている。また2013年の改訂第7版からはClinical Question & Answer(CQ&A)を簡略化した実際の臨床での質問項目について、エビデンスを参考に記載している。しかし実際のCQ&Aを中心にしたガイドラインではないので、エビデンス、推奨度などを複数のレビューワーで評価をしたものではない。あくまでも治療の参考になるように本文との整合性を考慮し作成した。
 日本ではQOLの概念や、費用便益まで含まれたWHO作成のARIAのようなガイドラインは新しいものである。この2つはこれからの日本の医療には必要な因子であり、この部分においては日本も追随しなければならない。一方、国際的なガイドラインはそれぞれの国の医療事情によっていないため、不適切な部分も生じることは否めない。日本における鼻アレルギー診療の現状を考慮しつつ改訂を重ねている「鼻アレルギー診療ガイドライン」が、現状としてはわが国のガイドラインとして最も適していると考えられる。
 しかし時代の趨勢であるGRADE方式への変更を、次の改訂版から行っていくという学会方針も決まり、今後さらに新しいガイドラインが、臨床医の役に立つことを期待している。これまで改訂第10版まで出版をしていただいた(株)ライフ・サイエンスが2024年1月に残念であるが、廃業を決められた。改訂第11版からは「鼻アレルギー診療ガイドライン」が、全く新たな形をもってさらに進化することを期待して序文とさせていただく。

令和6年1月
作成委員一同
(文責:日本医科大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学分野教授 大久保 公裕)