メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン 2025年版

イラストや動画を用いて治療の解説がさらに充実!

編 集 日本めまい平衡医学会
定 価 3,300円
(3,000円+税)
発行日 2025/06/30
ISBN 978-4-307-37142-1

B5判・148頁・図数:11枚・カラー図数:2枚

在庫状況 なし

メニエール病診療に携わる全ての医療者必携の診療ガイドラインが5年ぶりの改訂。診断基準やフローチャート、アルゴリズムを含む総説で、最新の知見を含めて詳細に解説した。特に治療の解説は、中耳加圧治療や内リンパ嚢開放術についてイラストや動画を用いて詳説。CQも従来の6から15に増え、システマティックレビューを経た新たなエビデンスに基づく治療方針が充実した。メニエール病の臨床実践の進化に対応する必読の1冊。
Clinical Question(CQ)・推奨一覧

第1章 作成の経緯・概要
1-1.要約
1-2.作成委員会
1-3.資金提供・スポンサー
1-4.作成の背景と沿革  
1-5.作成目的ならびに目標
1-6.利用者  
1-7.対象  
1-8.エビデンスの収集  
1-9.エビデンス総体の評価
1-10.推奨作成  
1-11.リリース前のレビュー 
 1)外部・内部評価者によるレビュー 
 2)外部・内部評価者による指摘点とガイドライン作成委員会の対応 
 3)パブリックコメント  
 4)パブリックコメントとガイドライン作成委員会の対応 
1-12.更新の計画  
1-13.推奨および理由説明
1-14.患者の希望  
1-15.実施における検討事項 

第2章 メニエール病の背景
2-1.メニエール病の疾患概念・病因・病態 
 1)メニエール病の疾患概念 
 2)メニエール病の病因・病態
2-2.メニエール病の疫学 

第3章 メニエール病の診断
3-1.メニエール病の診断基準 
 1)メニエール病(Meniere’s disease)診断基準2017年
 2)メニエール病非定型例(Atypical Meniere’s disease)診断基準 
 3)Barany Societyのメニエール病(Meniere’s disease)診断基準2015年
3-2.メニエール病の重症度分類 
 1)メニエール病重症度分類  
 2)AAO-HNSのメニエール病重症度分類1995年
3-3.メニエール病の鑑別診断 
 1)良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal positional vertigo、BPPV)
 2)前庭性発作症(Vestibular paroxysmia, VP)
 3)前庭性片頭痛(Vestibular Migraine、VM)
 4)持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness、PPPD)

第4章 メニエール病の検査
4-1.メニエール病の聴覚・平衡機能検査 
 1)聴覚機能検査  
 2)平衡機能検査  
4-2.内リンパ水腫推定検査 
 1)蝸電図検査  
 2)グリセロール検査
 3)フロセミド検査 
 4)利尿薬負荷cVEMP検査
 5)グリセロール負荷cVEMP検査
 6)フロセミド負荷cVEMP検査 
 7)cVEMPの周波数特性を指標とした内リンパ水腫推定検査(tuning property検査)
 8)メニエール病の内リンパ水腫推定検査の陽性率  
 9)内耳造影MRI検査との関連  
 10)遅発性内リンパ水腫に対する内リンパ水腫推定検査  
4-3.内リンパ水腫画像検査  
 1)内リンパ水腫画像検査の原理 
 2)内リンパ水腫画像検査の種類 
 3)内リンパ水腫の判定  
 4)内リンパ水腫画像検査の陽性率とその解釈 
 5)遅発性内リンパ水腫の内リンパ水腫画像検査

第5章 メニエール病の治療
5-1.メニエール病の治療
 1)メニエール病のめまい発作急性期の治療
 2)メニエール病のめまい発作に伴う急性感音難聴の治療
 3)メニエール病の発作予防の段階的治療
5-2.メニエール病の治療効果判定
 1)めまいの評価判定
 2)聴覚障害の評価判定 

第6章 遅発性内リンパ水腫について
6-1.遅発性内リンパ水腫の疾患概念・病因・病態
 1)遅発性内リンパ水腫の疾患概念 
 2)遅発性内リンパ水腫の病因・病態
6-2.遅発性内リンパ水腫の疫学 
6-3.遅発性内リンパ水腫の診断基準
6-4.遅発性内リンパ水腫の重症度分類
6-5.遅発性内リンパ水腫の治療 

第7章 クリニカルクエスチョンClinical Question(CQ)
CQ1 メニエール病に抗めまい薬を使用することは有効か?
CQ2 メ ニエール病のめまい・難聴に浸透圧利尿薬を使用することは有効か?
CQ3 メニエール病に抗不安薬・抗うつ薬を使用することは有効か? 
CQ4 メニエール病にビタミンB12を使用することは有効か?
CQ5 メニエール病に漢方薬を使用することは有効か?
CQ6 メニエール病に抗ウイルス薬を使用することは有効か?
CQ7 メニエール病に中耳加圧治療を行うことは有効か?
CQ8 メニエール病に対して内リンパ嚢開放術を行うことは有効か?
CQ9 メニエール病に選択的前庭機能破壊術を行うことは有効か?
CQ10 メニエール病の聴力低下に対するステロイド全身投与は有効か?
CQ11 メニエール病のめまい・難聴に対するステロイド鼓室内投与は有効か?
CQ12 メニエール病に生活指導を行うことは有効か?
CQ13 メニエール病に対して心理療法を行うことは有効か?
CQ14 メニエール病に対して前庭リハビリテーションを行うことは有効か?
CQ15 遅発性内リンパ水腫の治療のClinical Question

巻末資料
良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal positional vertigo、BPPV)の診断基準
 後半規管型良性発作性頭位めまい症(半規管結石症)
 外側半規管型良性発作性頭位めまい症(半規管結石症)  
 外側半規管型良性発作性頭位めまい症(クプラ結石症)
前庭性発作症の診断基準
前庭性片頭痛(Vestibular Migraine)の診断基準
持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness:PPPD)の診断基準

索引
診療ガイドライン2025 年版の発刊にあたって

 メニエール病および遅発性内リンパ水腫の診断と治療に関するガイドラインは、2008〜2010 年度の厚生労働省難治性疾患克服研究事業前庭機能異常に関する調査研究班により作成され、2011 年に『メニエール病診療ガイドライン2011 年版』として初登場した。その後、2015〜2017 年度の日本医療研究開発機構研究費難治性疾患実用化研究事業、2016〜2017 年度の厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業の研究活動により、2020 年に『メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020 年版』として改訂された。
 2025 年改訂版では、2020 年版以降に出版されたメニエール病と遅発性内リンパ水腫に関する論文を渉猟してエビデンスを追加した。メニエール病や遅発性内リンパ水腫と鑑別すべき疾患についても、2020 年版より多くの紙面を割いた。また、中耳加圧治療や内リンパ嚢開放術の動画も追加した。さらに2020 年版より多くの治療に関するCQ を取り上げ、臨床における疑問に答えるように努力した。
 本ガイドライン作成委員会では、基本的には2011 年版、2020 年版をもとに、「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3. 0」に準拠して、メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインの策定を行った。そして、『メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2025 年版』は、日本めまい平衡医学会の理事会の審議を経て完成した。
 本ガイドラインの作成に携わっていただいた委員の先生方に深甚なる敬意と謝意を表すとともに、本ガイドラインがメニエール病および遅発性内リンパ水腫の診断と治療の質向上と普及に役立ち、めまい・平衡障害に悩む患者の福音となれば幸いである。

2025 年6 月
メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2025 年版作成委員長
北原 糺