創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン 2018 第2版
タイトルに「褥瘡」を追加した待望の改訂版!創傷治療の最先端を記載。
編 集 |
日本皮膚科学会 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン策定委員会 |
定 価 |
4,400円 (4,000円+税) |
発行日 |
2018/06/05 |
ISBN |
978-4-307-40057-2 |
B5判・352頁・図数:16枚・カラー図数:8枚
待望のガイドライン改訂版。今回、名称に「褥瘡」を追加し、最新の治療を中心として患者さんや医療者、社会への貢献をめざした。皮膚科診療において創傷は最も頻度が多い疾患である。「創傷一般」の章で治療の基本的考え方を示し、創傷が生じるものの治療法が異なる「褥瘡」「糖尿病性潰瘍・壊疽」「膠原病・血管炎に伴う皮膚潰瘍」「下腿潰瘍・下肢静脈瘤」「熱傷」に分けた疾患別診療ガイドラインを最先端のGRADEシステムを採用し委員会で完成した。
本ガイドラインについて
I.本ガイドラインの位置付け
II.資金提供者、利益相反
III.エビデンスの収集
IV.エビデンスレベルと推奨度決定基準
V.公表前のレビュー
VI.更新計画
第1章 創傷一般ガイドライン
I.「創傷一般」策定の背景
II.第2版での主な変更点
III.用語の定義
1.CQと回答
2.慢性創傷の痛みとその存在意義
3.創傷の痛み対策の実際
第2章 褥瘡診療ガイドライン
I.「褥瘡」診療ガイドライン策定の背景
II.第2版での主な変更点
III.用語の定義
IV.予防・ケア・治療のコンセプトと診療アルゴリズム
V.Clinical Question(CQ)のまとめ
1.褥瘡かどうか
2.予防、ケア、危険因子の評価、疼痛対策
3.急性期の褥瘡
4.浅い褥瘡
5.深い褥瘡
6.改善しているか
7.他の治療法の選択
第3章 糖尿病性潰瘍・壊疽診療ガイドライン
I.「糖尿病性潰瘍・壊疽」診療ガイドライン策定の背景
II.第2版での主な変更点
III.用語の定義
IV.疾患の定義
V.糖尿病における創傷治癒過程とその障害
VI.診断・治療に関する考え方と診療アルゴリズム
VII.Clinical Question(CQ)のまとめ
1.糖尿病性潰瘍・壊疽の診断
2.感染症合併のコントロール
3.重症虚血・PAD
4.神経障害・足変形
5.潰瘍治療
6.他の治療法の選択、再発予防
第4章 膠原病・血管炎に伴う皮膚潰瘍診療ガイドライン
I.膠原病・血管炎に伴う皮膚潰瘍診療ガイドライン策定の背景
II.第2版での主な変更点
III.用語の定義
IV.Clinical Question(CQ)のまとめ
1.全身性強皮症(強皮症)に伴う皮膚潰瘍
2.全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う皮膚潰瘍
3.皮膚筋炎に伴う皮膚潰瘍
4.血管炎に伴う皮膚潰瘍
5.関節リウマチに伴う皮膚潰瘍
6.抗リン脂質抗体症候群に伴う皮膚潰瘍
第5章 下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン
I.「下腿潰瘍・下肢静脈瘤」診療ガイドライン策定の背景
II.第2 版での主な変更点
III.用語の定義・説明
IV.Clinical Question(CQ)のまとめ
第6章 熱傷診療ガイドライン
I.「熱傷」診療ガイドライン策定の背景
II.第2 版での主な変更点
III.用語の定義
IV.診療アルゴリズム
V.Clinical Question(CQ)のまとめ
1.重症度判定
2.全身管理:輸液療法
3.全身管理:気道熱傷
4.感染管理
5. 破傷風について
6. 消毒について
7. 排便管理装置・システムについて
8.局所治療
9. 局所治療:外用薬
索引
改訂の辞
創傷治療に関するガイドライン策定を求める声が医療者や患者さんからあがり、日本皮膚科学会からの依頼を受け、創傷診療に関するガイドラインを策定し、「創傷・熱傷ガイドライン」と命名し、2012年に金原出版から発刊しました。その反響は予想を超えたものであり、皮膚科専門医のみならず他科の専門医、若手医師、医学生、その他、看護師、薬剤師などの医療従事者、患者さんやその家族にも目を通して頂き、さまざまな意見を頂きました。「患者さんや医療関係者に貢献する、すなわち社会に貢献するガイドラインを策定する」という当初の目的はある程度達成できたのではないかと感じております。
しかしながら、医療の進歩は非常に早く、6年経過した現在では2012年に発刊したガイドラインは創傷治療の最先端を反映していないのが現状でありますし、以前から約5年で改訂することを決定していました。今回の改訂に際しては、多くの方から名称に「褥瘡」を追加してほしいとの意見が多くありましたので、まず「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン」という名称に変更しました。今回の改訂におきましても「治療を中心としたガイドラインを」という基本的なコンセプトは守りつつ、世界で近年ガイドラインに採用されつつある、最先端のGRADEシステムを採用した点が画期的かと考えます。また、この6年間で新しく使用可能となった医薬品、医療機器についても可能な限り記載するようにしました。
委員には日本全国の創傷治療において著名な先生方50名に加わって頂き、従来通り、構成として「創傷一般」で創傷治療の基本的考え方を示し、「褥瘡」、「糖尿病性潰瘍・壊疽」、「膠原病・血管炎に伴う皮膚潰瘍」、「下腿潰瘍・下肢静脈瘤」、「熱傷」に分けて診療ガイドラインを策定・改訂し、策定・改訂されたガイドラインを委員長、副委員長、6名の代表委員の総勢8名で何度も検討、吟味し、この「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン」が完成いたしました。
日常診療でお忙しいにもかかわらず膨大な時間を割いて、このガイドラインを改訂頂いた委員の方々に深謝しております。また、この「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン」により、わが国における創傷治療一般のレベルが向上し、創傷で苦しむ多くの方々の治療にこの「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン」が役立ち、一人でも多くの方の創傷が治癒することを願っております。
2018年5月
創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン委員会委員長
熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学分野教授
尹 浩信