解決!医原性の皮膚トラブル
コンサルテーションで役に立つ!皮膚トラブルの虎の巻
著 者 |
辻 卓夫 |
定 価 |
7,150円 (6,500円+税) |
発行日 |
2022/09/25 |
ISBN |
978-4-307-40059-6 |
B6判・300頁
処置や手術・薬物療法などに伴う皮膚トラブルへの対応法をまとめたマニュアル書。皮膚科で行う医療行為のみならず、内科や外科などの診療の過程で生じたさまざまな医原性の皮膚症状に対して、どのように介入すればよいかを簡潔に解説した。調べやすいフォーマットに加え、症例写真も豊富に掲載!皮膚科医としてコンサルテーションを受けた際に、特に有用な指南書である。
1章 処置・手術に伴う皮膚トラブル
1.医原性皮膚疾患としての脱毛
2.頭部人工毛植毛膿皮症
3.美容皮膚治療関連疾患
4.ピアスによる皮膚障害
5.続発性(二次性)リンパ浮腫
6.医原性静脈炎、表在性/深在性静脈血栓症
7.Post-surgical pyoderma gangrenosum
8.気管切開と皮膚障害
9.透析と皮膚障害
10.造血幹細胞移植と皮膚障害
11.医原性皮膚疾患としての瘢痕・ケロイド
2章 薬物治療とケアに関係する皮膚トラブル
12.重症型薬疹とその類症
13.ステロイドによる皮膚障害
14.抗がん剤(分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬を含む)と皮膚障害
15.インスリンボール
16.医薬品による接触皮膚炎
17.BCG接種後の副反応
18.薬剤の血管外漏出による皮膚障害
19.医原性石灰沈着症(calciphylaxisを含む)
20.皮下深部解離性血腫とその類症
21.セレン欠乏による爪の白色変化
22.医原性疾患としての口腔粘膜病変
3章 光線療法に関係する皮膚トラブル
23.放射線による皮膚障害
24.PUVA療法にみられるPUVA黒子、発がんなど
4章 合併症による皮膚トラブル
25.Stewart-Treves症候群
26.コレステロール結晶塞栓症
27.後天性亜鉛欠乏症
28.腎性全身性線維症
5章 医療機器による皮膚トラブル
29.胃ろうに関連する皮膚障害
30.ストーマ周囲の皮膚障害
31.ペースメーカー関連皮膚障害
32.金属と医原性皮膚疾患
33.手術で使用する装置による熱傷・電撃傷(症)
はじめに
皮膚科関係の教科書、論文あるいは学会発表で医原性なる名称を使用している皮膚疾患を調べえた限りでは数少ないように思われる。医原という言葉の意味を知るべく『広辞苑』を調べると医原病の項目があり、これには「患者に新たに引き起こされる疾病および疾病状態、広義には医療に基づく種々の副作用・後遺症をも含む」と記載されている。したがってこの医原病の解釈から、これに該当する皮膚疾患あるいは疾患状態を一括して、医原性の皮膚疾患として論じることは何ら問題はないと考えられる。
さて、このような解釈から医原性の皮膚疾患を調べ直してみると、皮膚科で行う医療(行為)により生じるものはもちろんであるが、内科、外科を含む他科の医療から生じてくるものもあり、むしろ後者の方が多いようである。
今回、著者は 1)これら医原性の皮膚疾患に該当すると思われる症例の中から主たるもの33疾患または疾患群を選んで、その実態と対処法につきまとめた。2)本書の読者を医療に従事する医師(皮膚科医をはじめ、他科の医師を含む)や看護師の皆さんはもちろん、薬剤師や医系学生の皆さんをも想定し、理解可能な内容とするよう心がけた。3)ただ、このようなテーマでの執筆にあたり、皮膚科以外の科の専門知識を必要とすることも多々あった。もし誤った記載があればご指摘、ご教授いただければ幸いである。
なお、本書執筆にあたり数人の先生方に臨床写真を含む症例内容の提供または転載許可をいただいた(お名前等は当該症例のところに記載)。この場をお借りして心よりお礼申し上げたい。
最後に、本書の発刊にあたり金原出版株式会社の大塚めぐみ氏ならびに中立稔生氏に多大なるご尽力をいただいた。特に大塚氏は同社編集部での長期にわたる経験を活かし、原稿受付当初から助言を含む本書の編集全般に関与され、また中立氏は優れた編集センスの持ち主としてコロナ禍の途中から本書編集に参加・協力された。ここに両氏に心より深謝したい。
2022年8月
名古屋市立大学名誉教授
辻 卓夫