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IRCADに学ぶLSCテクニック(手術DVD付) 骨盤臓器脱・腹腔鏡下メッシュ手術の新スタンダード
日本初の腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)の教科書! DVD付き。
編 著 | 竹山 政美 / 野村 昌良 |
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定 価 | 16,500円 (15,000円+税) |
発行日 | 2016/01/30 |
ISBN | 978-4-307-43058-6 |
B5判・160頁・図数:5枚・カラー図数:246枚
在庫状況 | あり |
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『IRCADに学ぶLSCテクニック』
医学書院「臨床泌尿器科」掲載書評
東海大学医学部外科学系泌尿器科教授
寺地 敏郎
TVMと比較して、LSCの最も大きな利点は見える手術であることと思う。術野の解剖が全て見える。自分が行っている手技が全て見える。適応を間違えず、自分の行いたい手技を遂行する十分な技術があれば、全てが見えることは外科医にとって何より安心である。そして、特記すべき本書の特徴は、LSCの手術のとき見えるもの全てを、見なければならないもの全てを見ることができる点である。活字とわずかな写真と図だけでは、読む人の想像力の豊かさによって見えてくるものが限られる。ビデオだけでは、見る人の能力の範囲でしかものは見えない。本書は必要十分な写真を網羅し、その写真の術野を作る助手の手技まで言及し、かつ手術のDVDも付いている。LSCをこれから始める人も、始めてみたが分かったつもりの角でつい立ち止まってしまう人もその都度、本書を手にされることをお勧めする。
さあ、本書を手にとって開いてみよう。本書には筆者らの、フランス式ともアメリカ式とも異なる、より繊細で美しい“日本式”LSCを作り上げようとする熱い気持ちが詰まっている。
第1章の筆者二人のIRCADの経験は、IRCADにすぐにも行きたい気持ちにさせるが、同時にトレーニングへのモチベーションを高めてくれる。第2章のLSCの歴史とコンセプトではLSCの適応について触れている。手術の成否の鍵の第一は適応を間違えないことであり、手術の基本のキである。
第3章のタイトルは“LSCに必要な解剖”である。単なる局所解剖ではなく、それぞれの解剖学的構造がLSCのどのステップで、どの手技で絡んでくるか、何に注意すべきかを詳細に述べてある。写真だけでなく、要所要所のシェーマがキモを明確に示していて秀逸である。第4章の使用器具の選択にはそれぞれ筆者の選択理由も述べられている。自分の手技と器具を組み立てる参考になる。
第5章ではLSCの基本となる“子宮亜全摘を伴う術式に即して”、LSCの流れを解説してある。ところどころに置かれた“!Point”は、陥りやすい過ちとその回避のコツを述べている。これ即ち、筆者が過去に落ちた罠であり、これから始める人達への心底のメッセージである。
第6章は4つのパートからなり、難易度の高い、しかし避けて通れない手術である。まず、若年者に対する“子宮温存付属器温存術式”について、次に手術既往のある“膣断端脱に対する術式”について、続いてこれこそLSCの活躍の場といえる“直腸脱合併”例に対する術式が語られる。直腸脱合併症例はfresh caseと経肛門直腸脱手術の再発症例2例の3パターンについてそれぞれ解説してある。細部の処理に迷う時、ありがたいページである。4番目は“TVM術後の子宮脱”例に対する手術であるが、術式の選択については筆者らの並々ならぬ自信がうかがえる。また、この章にはColumn 1, 2として“LSCの安全装置?薄膜の理解”と“オクトパスとワンタッチ内視鏡固定器ロックアームの活用”がある。Column 1はLSCのみならず腹腔鏡手術の基本であり、Column 2は第2助手の代わりとなるばかりでなく、LSCに極めて有用な器具の紹介である。
第7章には本書のエビデンスともいうべき筆者ら先達のLSCの初期成績が述べられている。LSC術後のLUTSについても、TVMとの比較成績が記載され、患者さんへのinformed consentを得る際の参考となる。
最後の第8章に亀田総合病院ウロギネコロジーセンターでの研修プログラムがあり、これから始める人達のトレーニングによい指標となる。また、この章には腹腔鏡下の縫合結紮トレーニングについても簡単に記載がある。加えて、動画のDVDもある。筆者らのLSCに対する強い熱意がここにはある。利用しない手はない。
最後に一言。これからLSCを始める人は、是非とも日本泌尿器内視鏡学会あるいは日本内視鏡外科学会が主催する、縫合結紮トレーニング一日コースを受講していただきたい。縫合結紮のコツもその後のトレーニングの方法も身につく。
医学書院「臨床泌尿器科」掲載書評
東海大学医学部外科学系泌尿器科教授
寺地 敏郎
TVMと比較して、LSCの最も大きな利点は見える手術であることと思う。術野の解剖が全て見える。自分が行っている手技が全て見える。適応を間違えず、自分の行いたい手技を遂行する十分な技術があれば、全てが見えることは外科医にとって何より安心である。そして、特記すべき本書の特徴は、LSCの手術のとき見えるもの全てを、見なければならないもの全てを見ることができる点である。活字とわずかな写真と図だけでは、読む人の想像力の豊かさによって見えてくるものが限られる。ビデオだけでは、見る人の能力の範囲でしかものは見えない。本書は必要十分な写真を網羅し、その写真の術野を作る助手の手技まで言及し、かつ手術のDVDも付いている。LSCをこれから始める人も、始めてみたが分かったつもりの角でつい立ち止まってしまう人もその都度、本書を手にされることをお勧めする。
さあ、本書を手にとって開いてみよう。本書には筆者らの、フランス式ともアメリカ式とも異なる、より繊細で美しい“日本式”LSCを作り上げようとする熱い気持ちが詰まっている。
第1章の筆者二人のIRCADの経験は、IRCADにすぐにも行きたい気持ちにさせるが、同時にトレーニングへのモチベーションを高めてくれる。第2章のLSCの歴史とコンセプトではLSCの適応について触れている。手術の成否の鍵の第一は適応を間違えないことであり、手術の基本のキである。
第3章のタイトルは“LSCに必要な解剖”である。単なる局所解剖ではなく、それぞれの解剖学的構造がLSCのどのステップで、どの手技で絡んでくるか、何に注意すべきかを詳細に述べてある。写真だけでなく、要所要所のシェーマがキモを明確に示していて秀逸である。第4章の使用器具の選択にはそれぞれ筆者の選択理由も述べられている。自分の手技と器具を組み立てる参考になる。
第5章ではLSCの基本となる“子宮亜全摘を伴う術式に即して”、LSCの流れを解説してある。ところどころに置かれた“!Point”は、陥りやすい過ちとその回避のコツを述べている。これ即ち、筆者が過去に落ちた罠であり、これから始める人達への心底のメッセージである。
第6章は4つのパートからなり、難易度の高い、しかし避けて通れない手術である。まず、若年者に対する“子宮温存付属器温存術式”について、次に手術既往のある“膣断端脱に対する術式”について、続いてこれこそLSCの活躍の場といえる“直腸脱合併”例に対する術式が語られる。直腸脱合併症例はfresh caseと経肛門直腸脱手術の再発症例2例の3パターンについてそれぞれ解説してある。細部の処理に迷う時、ありがたいページである。4番目は“TVM術後の子宮脱”例に対する手術であるが、術式の選択については筆者らの並々ならぬ自信がうかがえる。また、この章にはColumn 1, 2として“LSCの安全装置?薄膜の理解”と“オクトパスとワンタッチ内視鏡固定器ロックアームの活用”がある。Column 1はLSCのみならず腹腔鏡手術の基本であり、Column 2は第2助手の代わりとなるばかりでなく、LSCに極めて有用な器具の紹介である。
第7章には本書のエビデンスともいうべき筆者ら先達のLSCの初期成績が述べられている。LSC術後のLUTSについても、TVMとの比較成績が記載され、患者さんへのinformed consentを得る際の参考となる。
最後の第8章に亀田総合病院ウロギネコロジーセンターでの研修プログラムがあり、これから始める人達のトレーニングによい指標となる。また、この章には腹腔鏡下の縫合結紮トレーニングについても簡単に記載がある。加えて、動画のDVDもある。筆者らのLSCに対する強い熱意がここにはある。利用しない手はない。
最後に一言。これからLSCを始める人は、是非とも日本泌尿器内視鏡学会あるいは日本内視鏡外科学会が主催する、縫合結紮トレーニング一日コースを受講していただきたい。縫合結紮のコツもその後のトレーニングの方法も身につく。