精巣腫瘍取扱い規約 第4版

13年振りに病期分類、病理組織分類、治療効果判定を大改訂。

編 集 日本泌尿器科学会 / 日本病理学会 / 日本医学放射線学会 / 日本臨床腫瘍学会
定 価 4,400円
(4,000円+税)
発行日 2018/08/20
ISBN 978-4-307-43061-6

B5判・152頁・図数:25枚・カラー図数:95枚

在庫状況 あり

精巣腫瘍では信頼性の高い基準に基づいて適切かつ迅速な診断と治療を行い、データを蓄積することは重要である。転移を有する進行例でも、適切に診療することにより80%以上を治癒に導くが、誤った診療は予後を著しく損なう。第4版においては病期分類、病理組織分類、治療効果判定等を中心に全面的に改訂した。文言を新しくするのみならず、画像所見、顕微鏡写真などの付加的情報も、新しい知見および分類に即して刷新された。
総説
1 目的
2 対象

第1部 臨床的事項
A.病歴記載法
 1 個人識別に必要な事項の記載法
 2 臨床症状の記載法
B.臨床所見記載法
 1 身体所見
 2 受診時の一般全身状態
 3 血液、生化学的検査および精液検査
 4 画像診断
 5 高位精巣摘除術の取扱い
C.臨床(術前)診断の総合評価
 1 治療前臨床病期分類
 2 TNM分類(UICC)
 3 TNM臨床病期分類
 4 日本泌尿器科学会病期分類
 5 IGCCC(International germ cell consensus classification)
 6 サルベージ療法開始前の予後評価(IGCCC2)
 7 性腺外胚細胞腫の疫学と診断
D.治療方法の記載法
 1 手術療法
 2 化学療法
 3 放射線療法

第2部 病理学的事項
1 基本方針
2 検索材料の由来および施行された治療
3 検索材料の取扱いおよび検索方法
4 組織分類
5 組織分類の説明
6 pTNM病理組織学的分類
7 報告書記載例
8 病理組織写真

第3部 治療効果判定基準
A.治療効果の判定
 1 治療効果判定法
 2 ベースライン(治療前)での評価
 3 効果判定とその方法
 4 時点効果Time point responseの判定
 5 最良総合効果判定
 6 効果判定の頻度
 7 確定のための測定/奏功期間
 8 無増悪生存期間/無増悪生存割合
 9 最良総合効果に関する結果の報告
B.組織学的治療効果判定基準
 1 検索材料
 2 判定基準分類
C.QOL
D.Follow-up基準
E.転帰記載法
F.治療成績の集計方法

第4部 有害事象
A.有害事象記載法
B.早期有害事象
C.晩期有害事象

資料1 生活の質調査票 EORTC QLQ-C30
資料2 生活の質調査票 EORTC QLQ-TC26
資料3 化学療法有害事象(早期および晩期):有害事象共通用語V4.0 日本語訳JCOG版(CTCAE v4.0-JCOG)(抜粋)
資料4 放射線療法有害事象(早期および晩期):有害事象共通用語V4.0 日本語訳JCOG版(CTCAE v4.0-JCOG)(抜粋)
資料5 RTOG/EORTC 遅発性放射線反応評価基準(日本語訳JCOG版第2版)(抜粋)
 この度、13年振りに「精巣腫瘍取扱い規約」が改訂される運びとなった。1984年に初版、1997年に第2版、2005年に第3版が発刊されており、この間本取扱い規約は、精巣腫瘍診療に携わる医療者から必携の書として高く評価され、幅広く活用されてきたものと確信している。
 しかし、この13年間で精巣腫瘍診療は大きく進歩し、日常臨床においても様々な変化に直面している。特に精巣腫瘍の頻度はそれほど高い訳ではないため、統一された信頼性の高い基準に基づいて適切かつ迅速な診断と治療を行い、そのデータを蓄積することは極めて重要である。実際、精巣腫瘍は転移を有する進行例であっても、今日では適切に診療することにより80%以上を治癒に導くことが可能となっているが、一歩誤った診療を行うとその予後は著しく損なわれることは周知の事実である。
 今回発刊される第4版においては、病期分類、病理組織分類、治療効果判定等を中心とした精巣腫瘍診療の根幹に関わる事項が、泌尿器科以外の他科の先生方のご協力も得て全面的に改訂されている。また、単に文言を新しくするのみならず、画像所見、顕微鏡写真などの付加的情報も、新しい知見および分類に即して適切に刷新されている。したがって、本取扱い規約は、複雑化する精巣腫瘍の臨床現場において、適切な診療を提供するための礎たり得るものと大いに期待されるところである。
 最後になるが、河合弘二先生をはじめとする本取扱い規約の改訂作業にご尽力いただいた改訂委員会の諸先生方に心から御礼を申し上げ、そのご努力に対し敬意を表する次第である。今後、本取扱い規約が本邦における精巣腫瘍診療のさらなる進歩に貢献することを祈念して、私の序の言葉とさせていただく。

平成30年6月

日本泌尿器科学会理事長
藤澤 正人