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口腔癌取扱い規約 第2版
9年ぶり大改訂で新分類に完全対応! 口腔癌診療の必携書。
編 集 | 日本口腔腫瘍学会 |
---|---|
定 価 | 4,180円 (3,800円+税) |
発行日 | 2019/03/31 |
ISBN | 978-4-307-45013-3 |
B5判・180頁・カラー図数:162枚
在庫状況 | あり |
---|
日本口腔腫瘍学会編の癌取扱い規約が9年ぶりの大改訂。UICC TNM分類第8版に準拠し、病期分類など更新、薬物療法など治療の進歩にも対応している。深達度(DOI)などの概念についても詳細に解説。画像や病理の解説事項もより詳細となり、教科書的な性格も帯びた癌取扱い規約となっている。付録的な要素として、症例供覧やがん登録の方法の解説なども収載。口腔癌の診療に携わる全ての医療者に必携の1冊。
規約
I 総論
II 臨床所見の記載
1 原発腫瘍
1)解剖学的部位と亜部位
2)病巣の数および大きさ
3)深達度(DOI)
4)肉眼分類
5)T-原発腫瘍
2 領域リンパ節
1)部位
2)転移数
3)大きさ
4)節外浸潤
5)N-領域リンパ節
3 遠隔転移
4 病期(Stage)
5 口腔粘膜悪性黒色腫
1)T-原発腫瘍
2)N-領域リンパ節
3)M-遠隔転移
4)病期(Stage)
6 多発癌、重複癌
1)口腔内多発癌
2)重複癌
3)同時性癌、異時性癌
7 口腔潜在的悪性疾患
8 生活習慣
III 外科療法:手術所見および.切除標本肉眼所見の記載
1 手術方法
1)原発巣
2)頸部リンパ節
2 切除標本の肉眼所見
1)臨床情報
2)原発巣
3)領域リンパ節転移
IV 病理所見の記載事項
1)組織型
2)病理学的病期分類
3)断端・遺残腫瘍分類
4)組織学的記載事項
V 放射線療法
1 記載事項
1)照射方針
2)併用療法の有無
3)放射線治療完遂度
4)照射方法と治療評価
2 外部照射
1)線種、装置とエネルギー
2)臨床標的体積(CTV)
3)照射法
4)放射線治療計画
5)補償器具・固定具使用の有無
6)照射線量
7)リスク臓器への線量
8)線量体積ヒストグラム
3 小線源治療
1)線量の種類、形状
2)高線量率/低線量率の別
3)一時挿入/永久挿入の別
4)照射線量
5)線量評価点または面と、腫瘍・線源との関係
6)線量計算法
7)リスク臓器への線量
4 治療評価
1)照射効果
2)急性有害事象
3)遅発性有害事象
VI 薬物療法
1 治療開始前:治療計画の記載
1)投与量決定のための個々の症例におけるデータ
2)使用薬剤と投与方法
3)併用療法
4)全身状態
5)治療効果判定のための評価病変の選定
2 治療開始以降の記載
1)有害事象の評価
2)治療効果判定と治療継続の判断
3)次コース以降のレジメン内容
VII 治療成績の記載事項
1 患者数
2 多発癌、重複癌
3 主たる治療法と補助療法
4 治療態度
5 治療成績の解析
6 対象症例
1)一次例または未治療例
2)二次例または既治療例
3)確定症例
7 追跡
1)追跡基点
2)追跡日
3)他病死(他因死)
4)原病死
5)手術死
6)合併症死
7)追跡不能
8)死因不明例
8 生存率
1)粗生存率と相対生存率
2)生命表法による累積生存率
3)生存期間
4)生存率・生存期間の比較
5)統計解析上の留意点
VIII 機能・QOL評価
1 言語機能評価
2 摂食・嚥下機能評価
1)咬合・咀嚼
2)嚥下
3 QOL評価
T分類早見表
N分類早見表
pN分類早見表
病期早見表
解説
I 解剖学的事項
1 原発巣
1)舌
2)歯肉・歯槽粘膜(上顎・下顎)
3)頬粘膜
4)口腔底/口底
5)硬口蓋
6)口唇
7)小唾液腺
2 領域リンパ節
II 画像的事項
1 T-原発腫瘍の判定
1)口内法・パノラマX線画像等
2)MRI
3)CT、歯科用コーンビームCT(CBCT)
4)US(超音波検査)
5)PET(陽電子放射断層撮影法)
6)T-原発腫瘍の判定のための画像解剖
7)下歯肉/下顎歯肉癌における骨吸収様式の分類(パノラマX線画像での判定)
2 N-領域リンパ節の判定
1)MRI
2)CT
3)US
4)PET
5)転移リンパ節の画像所見
6)経過観察におけるリンパ節の経時的変化
7)血管浸潤
8)N-領域リンパ節の判定のための画像解剖
9)転移リンパ節の具体例
3 M-遠隔転移の判定
III 病理学的事項
1 臨床情報
1)手術方法
2)切除検体の大きさ
3)リンパ節転移
4)術前治療の有無
5)臨床病期分類
2 原発巣の記載事項
1)原発巣の部位
2)病巣の数および大きさ
3)深達度(DOI)
4)肉眼分類
3 病理所見の記載事項
1)組織型およびグレード(病理組織学的分化度)分類
2)上皮性腫瘍および病変
3)病理組織分類図譜
4 口腔上皮異形成(oral.epithelial.dysplasia:OED)およびTis癌(上皮内癌、carcinoma.in-situ:CIS)
1)口腔上皮性異形成
2)口腔における上皮内癌のvariant
3)上皮性異形成と上皮内癌の臨床病理学的な歴史的背景
5 病理学的病期分類
1)pT-原発腫瘍
2)pN-領域リンパ節:pN分類(リンパ節転移)
3)pM-遠隔転移:pM分類
4)病理学的病期(Stage)
6 口腔粘膜悪性黒色腫
1)概要
2)遺伝子変異
3)病期(Stage)
4)補足
7 断端・遺残腫瘍分類
1)断端
2)腫瘍の遺残(R)
8 組織学的記載事項
1)脈管侵襲
2)神経周囲浸潤
3)浸潤様式(YK分類)
4)リンパ節の記載
5)治療効果判定
9 口腔潜在的悪性疾患
10 ヨード生体染色
IV 放射線療法
1 強度変調放射線治療(IMRT)
2 陽子線治療
3 重粒子線治療
V 治療成績:術後経過
VI 治療評価:手術後咀嚼.(嚥下、発声)機能評価
1 言語機能評価法
1)単音節発語明瞭度検査
2)(広瀬の)会話明瞭度検査
2 摂食機能評価法
1)アンケート調査表
2)発色ガム検査
3)デンタルプレスケール検査
4)水飲み検査
3 QOL評価
参考資料
I 口腔内の状態
II 生検について
III 組織検体の取扱い
1 手術検体の固定方法
2 硬組織の取扱い、および脱灰法
3 切り出し方法
1)舌、頬粘膜および口腔底/口底の軟組織検体の切り出し方法
2)歯肉癌の切り出し方法
IV 顎骨浸潤、顎骨浸潤様式および.下顎管浸潤(MC)について
1 顎骨浸潤(BI)
2 顎骨浸潤様式
3 下顎管分類と顎骨浸潤度
V 顎骨中心性癌
VI 上皮内癌の免疫組織化学
1 健常な口腔粘膜上皮
1)Ki-67(MIB-1)
2)p53
3)CK13
4)CK17
5)CK19
2 上皮内癌
1)Ki-67(MIB-1)
2)p53
3)CK13
4)CK17
5)CK19
VII ウイルス関連扁平上皮癌
VIII 口腔癌における.癌関連遺伝子の異常
IX 口腔細胞診について
1 細胞診の報告様式
2 標本の適正評価
3 判定区分
4 日本臨床細胞学会口腔細胞診ワーキンググループ新報告様式
1)NILM
2)OLSIL
3)OHSIL
4)SCC
5)IFN
5 推定病変
6 判定後の臨床的対応
参考文献
付I 症例供覧
症例1 80代・男性 左側頬粘膜扁平上皮癌
症例2 50代・男性 左側口腔底/口底扁平上皮癌
症例3 50代・女性 左側舌扁平上皮癌
症例4 50代・男性 右側舌扁平上皮癌(外向性発育)
症例5 50代・女性 右側舌扁平上皮癌
症例6 70代・男性 右側下歯肉/下顎歯肉扁平上皮癌
症例7 50代・女性 右側下歯肉/下顎歯肉扁平上皮癌
症例8 70代・女性 右側下歯肉/下顎歯肉扁平上皮癌
症例9 60代・女性 左側頬粘膜扁平上皮癌
症例10 70代・女性 左側上歯肉/上顎歯肉扁平上皮癌
症例11 70代・女性 右側上歯肉/上顎歯肉扁平上皮癌
症例12 70代・女性 右側硬口蓋扁平上皮癌
付II がん登録について
1 全国がん登録
2 口腔がん登録
1)調査の背景
2)調査の目的
3)調査の対象者
4)調査の適格性の基準
5)調査の方法
6)観察項目とスケジュール
索引
I 総論
II 臨床所見の記載
1 原発腫瘍
1)解剖学的部位と亜部位
2)病巣の数および大きさ
3)深達度(DOI)
4)肉眼分類
5)T-原発腫瘍
2 領域リンパ節
1)部位
2)転移数
3)大きさ
4)節外浸潤
5)N-領域リンパ節
3 遠隔転移
4 病期(Stage)
5 口腔粘膜悪性黒色腫
1)T-原発腫瘍
2)N-領域リンパ節
3)M-遠隔転移
4)病期(Stage)
6 多発癌、重複癌
1)口腔内多発癌
2)重複癌
3)同時性癌、異時性癌
7 口腔潜在的悪性疾患
8 生活習慣
III 外科療法:手術所見および.切除標本肉眼所見の記載
1 手術方法
1)原発巣
2)頸部リンパ節
2 切除標本の肉眼所見
1)臨床情報
2)原発巣
3)領域リンパ節転移
IV 病理所見の記載事項
1)組織型
2)病理学的病期分類
3)断端・遺残腫瘍分類
4)組織学的記載事項
V 放射線療法
1 記載事項
1)照射方針
2)併用療法の有無
3)放射線治療完遂度
4)照射方法と治療評価
2 外部照射
1)線種、装置とエネルギー
2)臨床標的体積(CTV)
3)照射法
4)放射線治療計画
5)補償器具・固定具使用の有無
6)照射線量
7)リスク臓器への線量
8)線量体積ヒストグラム
3 小線源治療
1)線量の種類、形状
2)高線量率/低線量率の別
3)一時挿入/永久挿入の別
4)照射線量
5)線量評価点または面と、腫瘍・線源との関係
6)線量計算法
7)リスク臓器への線量
4 治療評価
1)照射効果
2)急性有害事象
3)遅発性有害事象
VI 薬物療法
1 治療開始前:治療計画の記載
1)投与量決定のための個々の症例におけるデータ
2)使用薬剤と投与方法
3)併用療法
4)全身状態
5)治療効果判定のための評価病変の選定
2 治療開始以降の記載
1)有害事象の評価
2)治療効果判定と治療継続の判断
3)次コース以降のレジメン内容
VII 治療成績の記載事項
1 患者数
2 多発癌、重複癌
3 主たる治療法と補助療法
4 治療態度
5 治療成績の解析
6 対象症例
1)一次例または未治療例
2)二次例または既治療例
3)確定症例
7 追跡
1)追跡基点
2)追跡日
3)他病死(他因死)
4)原病死
5)手術死
6)合併症死
7)追跡不能
8)死因不明例
8 生存率
1)粗生存率と相対生存率
2)生命表法による累積生存率
3)生存期間
4)生存率・生存期間の比較
5)統計解析上の留意点
VIII 機能・QOL評価
1 言語機能評価
2 摂食・嚥下機能評価
1)咬合・咀嚼
2)嚥下
3 QOL評価
T分類早見表
N分類早見表
pN分類早見表
病期早見表
解説
I 解剖学的事項
1 原発巣
1)舌
2)歯肉・歯槽粘膜(上顎・下顎)
3)頬粘膜
4)口腔底/口底
5)硬口蓋
6)口唇
7)小唾液腺
2 領域リンパ節
II 画像的事項
1 T-原発腫瘍の判定
1)口内法・パノラマX線画像等
2)MRI
3)CT、歯科用コーンビームCT(CBCT)
4)US(超音波検査)
5)PET(陽電子放射断層撮影法)
6)T-原発腫瘍の判定のための画像解剖
7)下歯肉/下顎歯肉癌における骨吸収様式の分類(パノラマX線画像での判定)
2 N-領域リンパ節の判定
1)MRI
2)CT
3)US
4)PET
5)転移リンパ節の画像所見
6)経過観察におけるリンパ節の経時的変化
7)血管浸潤
8)N-領域リンパ節の判定のための画像解剖
9)転移リンパ節の具体例
3 M-遠隔転移の判定
III 病理学的事項
1 臨床情報
1)手術方法
2)切除検体の大きさ
3)リンパ節転移
4)術前治療の有無
5)臨床病期分類
2 原発巣の記載事項
1)原発巣の部位
2)病巣の数および大きさ
3)深達度(DOI)
4)肉眼分類
3 病理所見の記載事項
1)組織型およびグレード(病理組織学的分化度)分類
2)上皮性腫瘍および病変
3)病理組織分類図譜
4 口腔上皮異形成(oral.epithelial.dysplasia:OED)およびTis癌(上皮内癌、carcinoma.in-situ:CIS)
1)口腔上皮性異形成
2)口腔における上皮内癌のvariant
3)上皮性異形成と上皮内癌の臨床病理学的な歴史的背景
5 病理学的病期分類
1)pT-原発腫瘍
2)pN-領域リンパ節:pN分類(リンパ節転移)
3)pM-遠隔転移:pM分類
4)病理学的病期(Stage)
6 口腔粘膜悪性黒色腫
1)概要
2)遺伝子変異
3)病期(Stage)
4)補足
7 断端・遺残腫瘍分類
1)断端
2)腫瘍の遺残(R)
8 組織学的記載事項
1)脈管侵襲
2)神経周囲浸潤
3)浸潤様式(YK分類)
4)リンパ節の記載
5)治療効果判定
9 口腔潜在的悪性疾患
10 ヨード生体染色
IV 放射線療法
1 強度変調放射線治療(IMRT)
2 陽子線治療
3 重粒子線治療
V 治療成績:術後経過
VI 治療評価:手術後咀嚼.(嚥下、発声)機能評価
1 言語機能評価法
1)単音節発語明瞭度検査
2)(広瀬の)会話明瞭度検査
2 摂食機能評価法
1)アンケート調査表
2)発色ガム検査
3)デンタルプレスケール検査
4)水飲み検査
3 QOL評価
参考資料
I 口腔内の状態
II 生検について
III 組織検体の取扱い
1 手術検体の固定方法
2 硬組織の取扱い、および脱灰法
3 切り出し方法
1)舌、頬粘膜および口腔底/口底の軟組織検体の切り出し方法
2)歯肉癌の切り出し方法
IV 顎骨浸潤、顎骨浸潤様式および.下顎管浸潤(MC)について
1 顎骨浸潤(BI)
2 顎骨浸潤様式
3 下顎管分類と顎骨浸潤度
V 顎骨中心性癌
VI 上皮内癌の免疫組織化学
1 健常な口腔粘膜上皮
1)Ki-67(MIB-1)
2)p53
3)CK13
4)CK17
5)CK19
2 上皮内癌
1)Ki-67(MIB-1)
2)p53
3)CK13
4)CK17
5)CK19
VII ウイルス関連扁平上皮癌
VIII 口腔癌における.癌関連遺伝子の異常
IX 口腔細胞診について
1 細胞診の報告様式
2 標本の適正評価
3 判定区分
4 日本臨床細胞学会口腔細胞診ワーキンググループ新報告様式
1)NILM
2)OLSIL
3)OHSIL
4)SCC
5)IFN
5 推定病変
6 判定後の臨床的対応
参考文献
付I 症例供覧
症例1 80代・男性 左側頬粘膜扁平上皮癌
症例2 50代・男性 左側口腔底/口底扁平上皮癌
症例3 50代・女性 左側舌扁平上皮癌
症例4 50代・男性 右側舌扁平上皮癌(外向性発育)
症例5 50代・女性 右側舌扁平上皮癌
症例6 70代・男性 右側下歯肉/下顎歯肉扁平上皮癌
症例7 50代・女性 右側下歯肉/下顎歯肉扁平上皮癌
症例8 70代・女性 右側下歯肉/下顎歯肉扁平上皮癌
症例9 60代・女性 左側頬粘膜扁平上皮癌
症例10 70代・女性 左側上歯肉/上顎歯肉扁平上皮癌
症例11 70代・女性 右側上歯肉/上顎歯肉扁平上皮癌
症例12 70代・女性 右側硬口蓋扁平上皮癌
付II がん登録について
1 全国がん登録
2 口腔がん登録
1)調査の背景
2)調査の目的
3)調査の対象者
4)調査の適格性の基準
5)調査の方法
6)観察項目とスケジュール
索引
<第2版 発刊にあたり>
一般社団法人日本口腔腫瘍学会による『口腔癌取扱い規約』の第1版が発刊されて早9年が経過した。その間に口腔癌治療は、新規抗悪性腫瘍薬や新しい放射線療法、革新的な免疫チェックポイント阻害薬の出現など目まぐるしく変化し、年々そのスピードが速まっているといえる。また、加えてUICCのTNM分類も新しく第8版になったことなどから、取扱い規約の改訂も当然必要となり、早い発刊が期待されていた。ようやく皆様の前に上梓できることになり日本口腔腫瘍学会理事長として大変うれしく思っている。
思えば第1版出版の際には、口腔癌の実臨床に即した取扱い規約をとにかく作成したいとの強い思いでワーキンググループが組織され、委員一同一致団結して文字通り必死に取り組み作成したことを記憶している。今回の第2版の委員の先生方もその熱意と意思を継承し、長時間の議論と検討、試行錯誤を加えながらようやくここに完成を見たものである。
口腔は、摂食、嚥下、構音、呼吸、整容などにおいて重要な役割を果たす器官である。その重要な器官である口腔と顎顔面領域をその専門家として日々捉え、診療に当たってきたひとりの医療者としても、口腔癌治療における礎となる第2版の本規約が出来上がったことは誠に大きな意義を持つものであると考える。
本作成にあたり、中心となり精力的に取り組んでいただいた口腔癌取扱い規約検討委員会の太田嘉英委員長と野口忠秀副委員長をはじめ、各専門分野の委員の先生方には、大変な労力を惜しみなく発揮していただいたことに敬意を表すとともに拝謝する。また、ご助言をいただいた公益社団法人日本口腔外科学会、特定非営利活動法人日本臨床口腔病理学会、特定非営利活動法人日本歯科放射線学会の関連3学会に謝意を表します。
本取扱い規約が口腔癌治療の専門医のみならず、外科系医師、病理専門医あるいは関連する医療職の方々に広く活用され、臨床および研究に大きく役立つことを切に願っている。
2019年1月
一般社団法人日本口腔腫瘍学会 理事長
奈良県立医科大学口腔外科学講座教授
桐田 忠昭
<第2版 序>
『口腔癌取扱い規約第1版』は2010年1月に発刊され約9年を経過し、このたび改訂に至った。この間に起きた重要なことは全国がん登録の開始、UICCによるTNM改訂、WHO分類の改訂である。
改訂第2版の作成にあたり最も重要視したことは、利用者にとって使い勝手がよいことである。2016年1月1日より開始された全国がん登録は、基本的にUICC分類を用いることになっているため、TNMに関してはUICC分類に忠実なものとした。今回のUICC第8版の改訂はT因子に深達度depth of invasion:DOI、N因子に節外浸潤extranodal extension:ENEの評価が加わった。さらに第8版刊行後に修正がなされたため臨床現場では混乱が見られている。そのため本委員会ではUICC本部に問い合わせを行い、修正の予定を予め把握し、第2版には修正後の最新のTNMを記載した。またわかりにくい表現に対しては委員会としての解釈を注釈として記載した。UICC分類はAJCC分類をもとに作成されている。なお、日本語訳にあたっては他領域との整合性をもって翻訳されるため、直訳とは異なる語彙がしばしば登場する。そこで委員会ではUICC本部への問い合わせ、AJCC分類、他領域の規約等を参考に、UICC-TNM作成者の意図を酌み、解釈の差が表れにくい注釈となるよう十分な議論を行った。一方、UICC分類は世界標準の分類であるため、世界各地域による診断のmodalityに差があることを前提に作成されている。今回新たに加わったDOIに関しても、評価法に関しては臨床的所見を除いて明確な規定はない。日本においてはTNM評価のために精密な画像診断が行われることが多いと思われるが、施設の事情やUICCの概念を考慮して、画像診断による評価法はあえて規定しなかった。
現在、日本癌治療学会では『領域横断的癌取扱い規約』(以下統括規約)の作成が行われているが、この策定も本委員会において口腔癌取扱い規約第2版と並行して行ってきた。統括規約は全領域同一の書式で記載されることを目標とされたため、規約の重要部分がサマライズされ一目でわかるように工夫した。第2版においては巻頭に統括規約を配置した。また第1版の重要部分は参考資料として巻末にまとめた。今後の改訂においてもより使い勝手の良いものになるよう、会員の先生方にはぜひご意見をお寄せいただきたいと考えている。
口腔癌取扱い規約は口腔癌を扱うすべての医療者にとって有用であることが求められることから、歯科医師だけでなく医科側から日本頭頸部癌学会理事長の林 隆一先生、放射線治療学の分野から不破信和先生、臨床腫瘍学の分野から本間義崇先生に委員にご就任いただき多大なるご協力を頂戴した。第2版は会員の先生方から頂戴した様々なご意見やご指導、そして委員の先生方、そして何よりも第1版の編集に携われた諸先輩の多大なご努力の賜物であり、ここに深甚なる謝意を表します。
日本口腔腫瘍学会 口腔癌取扱い規約検討委員長
太田 嘉英
一般社団法人日本口腔腫瘍学会による『口腔癌取扱い規約』の第1版が発刊されて早9年が経過した。その間に口腔癌治療は、新規抗悪性腫瘍薬や新しい放射線療法、革新的な免疫チェックポイント阻害薬の出現など目まぐるしく変化し、年々そのスピードが速まっているといえる。また、加えてUICCのTNM分類も新しく第8版になったことなどから、取扱い規約の改訂も当然必要となり、早い発刊が期待されていた。ようやく皆様の前に上梓できることになり日本口腔腫瘍学会理事長として大変うれしく思っている。
思えば第1版出版の際には、口腔癌の実臨床に即した取扱い規約をとにかく作成したいとの強い思いでワーキンググループが組織され、委員一同一致団結して文字通り必死に取り組み作成したことを記憶している。今回の第2版の委員の先生方もその熱意と意思を継承し、長時間の議論と検討、試行錯誤を加えながらようやくここに完成を見たものである。
口腔は、摂食、嚥下、構音、呼吸、整容などにおいて重要な役割を果たす器官である。その重要な器官である口腔と顎顔面領域をその専門家として日々捉え、診療に当たってきたひとりの医療者としても、口腔癌治療における礎となる第2版の本規約が出来上がったことは誠に大きな意義を持つものであると考える。
本作成にあたり、中心となり精力的に取り組んでいただいた口腔癌取扱い規約検討委員会の太田嘉英委員長と野口忠秀副委員長をはじめ、各専門分野の委員の先生方には、大変な労力を惜しみなく発揮していただいたことに敬意を表すとともに拝謝する。また、ご助言をいただいた公益社団法人日本口腔外科学会、特定非営利活動法人日本臨床口腔病理学会、特定非営利活動法人日本歯科放射線学会の関連3学会に謝意を表します。
本取扱い規約が口腔癌治療の専門医のみならず、外科系医師、病理専門医あるいは関連する医療職の方々に広く活用され、臨床および研究に大きく役立つことを切に願っている。
2019年1月
一般社団法人日本口腔腫瘍学会 理事長
奈良県立医科大学口腔外科学講座教授
桐田 忠昭
<第2版 序>
『口腔癌取扱い規約第1版』は2010年1月に発刊され約9年を経過し、このたび改訂に至った。この間に起きた重要なことは全国がん登録の開始、UICCによるTNM改訂、WHO分類の改訂である。
改訂第2版の作成にあたり最も重要視したことは、利用者にとって使い勝手がよいことである。2016年1月1日より開始された全国がん登録は、基本的にUICC分類を用いることになっているため、TNMに関してはUICC分類に忠実なものとした。今回のUICC第8版の改訂はT因子に深達度depth of invasion:DOI、N因子に節外浸潤extranodal extension:ENEの評価が加わった。さらに第8版刊行後に修正がなされたため臨床現場では混乱が見られている。そのため本委員会ではUICC本部に問い合わせを行い、修正の予定を予め把握し、第2版には修正後の最新のTNMを記載した。またわかりにくい表現に対しては委員会としての解釈を注釈として記載した。UICC分類はAJCC分類をもとに作成されている。なお、日本語訳にあたっては他領域との整合性をもって翻訳されるため、直訳とは異なる語彙がしばしば登場する。そこで委員会ではUICC本部への問い合わせ、AJCC分類、他領域の規約等を参考に、UICC-TNM作成者の意図を酌み、解釈の差が表れにくい注釈となるよう十分な議論を行った。一方、UICC分類は世界標準の分類であるため、世界各地域による診断のmodalityに差があることを前提に作成されている。今回新たに加わったDOIに関しても、評価法に関しては臨床的所見を除いて明確な規定はない。日本においてはTNM評価のために精密な画像診断が行われることが多いと思われるが、施設の事情やUICCの概念を考慮して、画像診断による評価法はあえて規定しなかった。
現在、日本癌治療学会では『領域横断的癌取扱い規約』(以下統括規約)の作成が行われているが、この策定も本委員会において口腔癌取扱い規約第2版と並行して行ってきた。統括規約は全領域同一の書式で記載されることを目標とされたため、規約の重要部分がサマライズされ一目でわかるように工夫した。第2版においては巻頭に統括規約を配置した。また第1版の重要部分は参考資料として巻末にまとめた。今後の改訂においてもより使い勝手の良いものになるよう、会員の先生方にはぜひご意見をお寄せいただきたいと考えている。
口腔癌取扱い規約は口腔癌を扱うすべての医療者にとって有用であることが求められることから、歯科医師だけでなく医科側から日本頭頸部癌学会理事長の林 隆一先生、放射線治療学の分野から不破信和先生、臨床腫瘍学の分野から本間義崇先生に委員にご就任いただき多大なるご協力を頂戴した。第2版は会員の先生方から頂戴した様々なご意見やご指導、そして委員の先生方、そして何よりも第1版の編集に携われた諸先輩の多大なご努力の賜物であり、ここに深甚なる謝意を表します。
日本口腔腫瘍学会 口腔癌取扱い規約検討委員長
太田 嘉英