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口腔癌診療ガイドライン 2023年版 第4版
4年ぶりの改訂で総説とCQを徹底的にブラッシュアップ!
編 集 | 口腔癌診療ガイドライン改訂合同委員会 |
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定 価 | 4,620円 (4,200円+税) |
発行日 | 2023/11/14 |
ISBN | 978-4-307-45015-7 |
B5判・252頁・図数:17枚
在庫状況 | あり |
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口腔癌診療に関わる医療者必携の診療ガイドライン、4年ぶりの改訂版出来。2019年版およびNCCN ガイドラインを骨格とした診療アルゴリズムに添う内容に総説をブラッシュアップし、全ての診療指針を詳細に解説する。また、新たなクリニカルクエスチョン(CQ)も、GRADEアプローチをはじめ各種の方法でエビデンスを精密に解析した。保険診療を基本とした口腔癌診療全体をカバーする、臨床でさらに使いやすくなった決定的最新版。
はじめに―本ガイドラインに関して―
第1章 総説
I 口腔癌(総論)
II 口腔癌の予防
III 口腔潜在的悪性疾患
IV 診査・診断
IV-A 画像検査
1 T- 原発巣
1) 舌癌
2) 口底癌
3) 頬粘膜癌
4) 下顎歯肉癌
5) 上顎歯肉癌
6) 硬口蓋癌
2 N-領域リンパ節
3 M-遠隔転移
4 その他の画像診断(含む重複癌)
IV-B 病理診断
1 細胞診
2 生検
V 治療
V-A 早期口腔癌(T1-2N0、ステージI、II)の治療
V-B 切除可能進行口腔癌(ステージIII、IV)の治療
V-C 切除不能、手術不耐/拒否 進行口腔癌(ステージIII、IV)の治療
V-D 初診時遠隔転移口腔癌(M1)の治療
V-E 再発・残存癌の治療
VI 経過観察
VII 外科療法
VII-A 原発巣の切除
1 舌癌
2 口底癌
3 頬粘膜癌
4 下顎歯肉癌
1) 下顎歯肉癌の切除方法
2) 切除範囲の選択基準
5 上顎歯肉癌・硬口蓋癌
付 気管切開術
VII-B 外科療法-再建術
1 軟組織の再建方法
2 顎骨の再建方法
VII-C 頸部郭清術
1 頸部リンパ節のレベル分類
2 頸部郭清術の基本術式
3 頸部郭清術の適応
1) 予防的頸部郭清術の適応
2) 術式の選択
4 頸部郭清術後の補助療法
VIII 放射線療法
1 小線源療法
1)低線量率の組織内照射
2)高線量率の組織内照射
2 外部照射
3 放射線療法の適応
1) 根治的放射線療法
2) 術後放射線療法
3) 緩和放射線療法、姑息的放射線療法
IX 薬物療法
1 術後化学放射線療法
2 切除不能、手術不耐/不応進行癌などに対する導入化学療法、および化学放射線療法
3 遠隔転移、放射線療法の適応がない切除不能な進行癌・再発癌など
X 支持療法(含むリハビリテーション)
1 栄養
2 リハビリテーション(摂食嚥下、頸部・上肢、ドナーサイト)
1) 摂食嚥下リハビリテーション
2) 頸部郭清後の障害
3 歯科口腔管理
1) 包括的口腔ケア
2) 口腔乾燥対策
3) 粘膜炎・口内炎対策
4) 放射線性骨髄炎の予防
5) その他機能障害への対策
6) 歯科治療
XI 緩和医療(緩和ケア)
1 疼痛管理
2 精神症状の緩和
XII BSC(Best supportive care)、終末期医療
1 栄養
2 輸液療法
3 鎮静
4 電解質異常
5 出血
6 上気道閉塞
第2章 Systematic review および Narrative reviewレポート
CQ 1 重複癌の好発部位と発生頻度は?
CQ 2 口腔癌の危険因子は何か?
CQ 3 喫煙は口腔癌の発症に影響するか?
CQ 4 飲酒は口腔癌の発症に影響するか?
CQ 5 口腔癌の前癌病変(口腔潜在的悪性疾患)である白板症の癌化率はどのくらいか?
CQ 6 病理組織学的に上皮性異形成が存在しない白板症は切除か経過観察か?
CQ 7 内向型の舌癌は表在型や外向型に比べて頸部リンパ節転移の可能性は高いか?
CQ 8 深達度(DOI)は予後と相関するか?
CQ 9 口腔癌の表面的な拡がりの診断に生体染色は有用か?
CQ10 舌癌のT- 原発巣の評価にはどのような画像検査が勧められるか?
CQ11 DOI の測定にMRI、CT、US は有効か?
CQ12 顎骨浸潤の評価にCT、PET、MRI は有用か?
CQ13 下顎歯肉癌原発巣の画像所見は臨床経過と関連するか?
CQ14 頸部リンパ節転移の診断の画像診断は何が有効か?(MRI、CT、US、PET)
CQ15 重複癌の術前評価として何が推奨されるか?
CQ16 生検(受診)から治療までの期間により予後(全生存率)は異なるか?
CQ17 口腔癌の浸潤様式は予後の判定に有用か?
CQ18 舌癌T1、T2 症例に対する組織内照射は外科療法と同等の原発巣制御率が得られるのか?
CQ19 口腔癌の原発巣切除における適切な安全域は?
CQ20 口腔癌切除手術で周囲異型上皮を切除することは、切除しないことに比べて局所制御率は良好か?
CQ21 口腔癌手術における生体染色の有用性は?
CQ22 口腔癌の外科療法において術中迅速病理診断を行うことは行わない場合より再発率を減少させるか?
CQ23 下顎歯肉癌の骨浸潤(骨吸収)が歯槽部にとどまっている症例における辺縁切除術の適応は?
CQ24 N0(舌口底)口腔癌患者に対して予防的頸部郭清術は有効か?
CQ25 N0 口腔癌でセンチネルリンパ節生検を行うことは、予防的RND より予後を改善するか?
CQ26 口腔癌術後の局所頸部再発のリスク症例に、追加治療を行うべきか?
CQ27 術後化学放射線療法(殺細胞性抗がん薬以外の薬物療法を含む)はどのような症例に施行すべきか?
CQ28 切除断端陽性の場合、放射線あるいは化学放射線療法を行うより追加切除を行うことが有効か?
CQ29 術後放射線補助療法の遅れ、中断は予後を左右するか?
CQ30 病理組織学的な予後マーカーは何が有用か?
CQ31 頸部郭清術標本の病理組織学的検索ではどのような転移様相の場合に予後不良となるか?
CQ32 切除可能進行口腔癌において、化学放射線療法(殺細胞性抗がん薬以外の薬物の併用も含む)の原発巣・頸部制御率および生存率は、放射線療法および外科療法と比較して高いか?
CQ33 術前化学療法は切除可能口腔癌患者に有用か?
CQ34 N1(Level1)に対して、選択的頸部郭清術は有効か?
CQ35 正中を越える症例で対側予防郭清は有効か?
CQ36 両側の全頸部郭清術に気管切開は有効か?
CQ37 舌癌切除術後欠損に対する再建方法で、遊離組織移植(血管柄付き組織移植)は有茎(筋)皮弁に比べて術後の機能は優れているか?
CQ38 下顎骨切除後の即時骨移植再建は待機再建に比べて有効か?
CQ39 血管柄付き骨移植による下顎再建は他の方法と比較して優れているか?
CQ40 上顎部分切除で軟組織移植は顎義歯より有効か?
CQ41 T4b は手術することにより予後を改善するか?
CQ42 N3 は手術することにより予後を改善するか?
CQ43 切除不能な初発局所進行口腔癌患者に対して、CRT(化学放射線療法)前に導入化学療法を加えることは有効か?
CQ44 導入化学療法が奏効した初発切除不能局所進行口腔癌症例に対して、手術を検討することは有効か?
CQ45 切除不能な初発局所進行口腔癌患者に対して、化学放射線療法は放射線療法単独より治療成績は良好か?
CQ46 初発局所進行口腔癌患者に対して、動注化学放射線療法を行うことは手術療法より有効か?
CQ47 遠隔転移に関する治療法は何がよいか?
CQ48 口腔癌の遠隔転移巣に対して行われる手術療法は有効か?
CQ49 局所再発に対する治療法は何がよいか?
CQ50 局所治療の適応がない口腔癌患者(遠隔転移の有無は問わない)に対して、全身化学療法は有効か?
CQ51 局所治療の適応がない口腔癌患者(遠隔転移の有無は問わない)に対して、免疫チェックポイント阻害薬は有効か?
CQ52 口腔癌一次治療後に必要な経過観察の間隔と期間は?
CQ53 治療後の経過観察でPET は有効か?
CQ54 術後経過観察で腫瘍マーカーは有用か?
CQ55 栄養状態は口腔癌治療成績と関連するか?
CQ56 免疫強化型栄養剤の周術期投与は有効か?
CQ57 放射線療法あるいは化学放射線療法を行う患者において胃瘻造設を行うことは有効か?
CQ58 舌接触補助床(PAP)は術後の機能改善に有用か?
CQ59 口腔癌患者の治療で口腔機能管理は有効か?
CQ60 放射線療法後の抜歯は可能か、可能だとしたらその条件は?
システマティックレビューグループ
索引
第1章 総説
I 口腔癌(総論)
II 口腔癌の予防
III 口腔潜在的悪性疾患
IV 診査・診断
IV-A 画像検査
1 T- 原発巣
1) 舌癌
2) 口底癌
3) 頬粘膜癌
4) 下顎歯肉癌
5) 上顎歯肉癌
6) 硬口蓋癌
2 N-領域リンパ節
3 M-遠隔転移
4 その他の画像診断(含む重複癌)
IV-B 病理診断
1 細胞診
2 生検
V 治療
V-A 早期口腔癌(T1-2N0、ステージI、II)の治療
V-B 切除可能進行口腔癌(ステージIII、IV)の治療
V-C 切除不能、手術不耐/拒否 進行口腔癌(ステージIII、IV)の治療
V-D 初診時遠隔転移口腔癌(M1)の治療
V-E 再発・残存癌の治療
VI 経過観察
VII 外科療法
VII-A 原発巣の切除
1 舌癌
2 口底癌
3 頬粘膜癌
4 下顎歯肉癌
1) 下顎歯肉癌の切除方法
2) 切除範囲の選択基準
5 上顎歯肉癌・硬口蓋癌
付 気管切開術
VII-B 外科療法-再建術
1 軟組織の再建方法
2 顎骨の再建方法
VII-C 頸部郭清術
1 頸部リンパ節のレベル分類
2 頸部郭清術の基本術式
3 頸部郭清術の適応
1) 予防的頸部郭清術の適応
2) 術式の選択
4 頸部郭清術後の補助療法
VIII 放射線療法
1 小線源療法
1)低線量率の組織内照射
2)高線量率の組織内照射
2 外部照射
3 放射線療法の適応
1) 根治的放射線療法
2) 術後放射線療法
3) 緩和放射線療法、姑息的放射線療法
IX 薬物療法
1 術後化学放射線療法
2 切除不能、手術不耐/不応進行癌などに対する導入化学療法、および化学放射線療法
3 遠隔転移、放射線療法の適応がない切除不能な進行癌・再発癌など
X 支持療法(含むリハビリテーション)
1 栄養
2 リハビリテーション(摂食嚥下、頸部・上肢、ドナーサイト)
1) 摂食嚥下リハビリテーション
2) 頸部郭清後の障害
3 歯科口腔管理
1) 包括的口腔ケア
2) 口腔乾燥対策
3) 粘膜炎・口内炎対策
4) 放射線性骨髄炎の予防
5) その他機能障害への対策
6) 歯科治療
XI 緩和医療(緩和ケア)
1 疼痛管理
2 精神症状の緩和
XII BSC(Best supportive care)、終末期医療
1 栄養
2 輸液療法
3 鎮静
4 電解質異常
5 出血
6 上気道閉塞
第2章 Systematic review および Narrative reviewレポート
CQ 1 重複癌の好発部位と発生頻度は?
CQ 2 口腔癌の危険因子は何か?
CQ 3 喫煙は口腔癌の発症に影響するか?
CQ 4 飲酒は口腔癌の発症に影響するか?
CQ 5 口腔癌の前癌病変(口腔潜在的悪性疾患)である白板症の癌化率はどのくらいか?
CQ 6 病理組織学的に上皮性異形成が存在しない白板症は切除か経過観察か?
CQ 7 内向型の舌癌は表在型や外向型に比べて頸部リンパ節転移の可能性は高いか?
CQ 8 深達度(DOI)は予後と相関するか?
CQ 9 口腔癌の表面的な拡がりの診断に生体染色は有用か?
CQ10 舌癌のT- 原発巣の評価にはどのような画像検査が勧められるか?
CQ11 DOI の測定にMRI、CT、US は有効か?
CQ12 顎骨浸潤の評価にCT、PET、MRI は有用か?
CQ13 下顎歯肉癌原発巣の画像所見は臨床経過と関連するか?
CQ14 頸部リンパ節転移の診断の画像診断は何が有効か?(MRI、CT、US、PET)
CQ15 重複癌の術前評価として何が推奨されるか?
CQ16 生検(受診)から治療までの期間により予後(全生存率)は異なるか?
CQ17 口腔癌の浸潤様式は予後の判定に有用か?
CQ18 舌癌T1、T2 症例に対する組織内照射は外科療法と同等の原発巣制御率が得られるのか?
CQ19 口腔癌の原発巣切除における適切な安全域は?
CQ20 口腔癌切除手術で周囲異型上皮を切除することは、切除しないことに比べて局所制御率は良好か?
CQ21 口腔癌手術における生体染色の有用性は?
CQ22 口腔癌の外科療法において術中迅速病理診断を行うことは行わない場合より再発率を減少させるか?
CQ23 下顎歯肉癌の骨浸潤(骨吸収)が歯槽部にとどまっている症例における辺縁切除術の適応は?
CQ24 N0(舌口底)口腔癌患者に対して予防的頸部郭清術は有効か?
CQ25 N0 口腔癌でセンチネルリンパ節生検を行うことは、予防的RND より予後を改善するか?
CQ26 口腔癌術後の局所頸部再発のリスク症例に、追加治療を行うべきか?
CQ27 術後化学放射線療法(殺細胞性抗がん薬以外の薬物療法を含む)はどのような症例に施行すべきか?
CQ28 切除断端陽性の場合、放射線あるいは化学放射線療法を行うより追加切除を行うことが有効か?
CQ29 術後放射線補助療法の遅れ、中断は予後を左右するか?
CQ30 病理組織学的な予後マーカーは何が有用か?
CQ31 頸部郭清術標本の病理組織学的検索ではどのような転移様相の場合に予後不良となるか?
CQ32 切除可能進行口腔癌において、化学放射線療法(殺細胞性抗がん薬以外の薬物の併用も含む)の原発巣・頸部制御率および生存率は、放射線療法および外科療法と比較して高いか?
CQ33 術前化学療法は切除可能口腔癌患者に有用か?
CQ34 N1(Level1)に対して、選択的頸部郭清術は有効か?
CQ35 正中を越える症例で対側予防郭清は有効か?
CQ36 両側の全頸部郭清術に気管切開は有効か?
CQ37 舌癌切除術後欠損に対する再建方法で、遊離組織移植(血管柄付き組織移植)は有茎(筋)皮弁に比べて術後の機能は優れているか?
CQ38 下顎骨切除後の即時骨移植再建は待機再建に比べて有効か?
CQ39 血管柄付き骨移植による下顎再建は他の方法と比較して優れているか?
CQ40 上顎部分切除で軟組織移植は顎義歯より有効か?
CQ41 T4b は手術することにより予後を改善するか?
CQ42 N3 は手術することにより予後を改善するか?
CQ43 切除不能な初発局所進行口腔癌患者に対して、CRT(化学放射線療法)前に導入化学療法を加えることは有効か?
CQ44 導入化学療法が奏効した初発切除不能局所進行口腔癌症例に対して、手術を検討することは有効か?
CQ45 切除不能な初発局所進行口腔癌患者に対して、化学放射線療法は放射線療法単独より治療成績は良好か?
CQ46 初発局所進行口腔癌患者に対して、動注化学放射線療法を行うことは手術療法より有効か?
CQ47 遠隔転移に関する治療法は何がよいか?
CQ48 口腔癌の遠隔転移巣に対して行われる手術療法は有効か?
CQ49 局所再発に対する治療法は何がよいか?
CQ50 局所治療の適応がない口腔癌患者(遠隔転移の有無は問わない)に対して、全身化学療法は有効か?
CQ51 局所治療の適応がない口腔癌患者(遠隔転移の有無は問わない)に対して、免疫チェックポイント阻害薬は有効か?
CQ52 口腔癌一次治療後に必要な経過観察の間隔と期間は?
CQ53 治療後の経過観察でPET は有効か?
CQ54 術後経過観察で腫瘍マーカーは有用か?
CQ55 栄養状態は口腔癌治療成績と関連するか?
CQ56 免疫強化型栄養剤の周術期投与は有効か?
CQ57 放射線療法あるいは化学放射線療法を行う患者において胃瘻造設を行うことは有効か?
CQ58 舌接触補助床(PAP)は術後の機能改善に有用か?
CQ59 口腔癌患者の治療で口腔機能管理は有効か?
CQ60 放射線療法後の抜歯は可能か、可能だとしたらその条件は?
システマティックレビューグループ
索引
【『口腔癌診療ガイドライン 2023 年版』序】
本ガイドラインは、2009 年に『口腔癌診療ガイドライン2009 年度版』として最初に発刊された後、第2 版を2013 年に、第3 版を2019 年に刊行されました。今回は約4 年ぶり3 回目の改訂となります。前回と同様、GRADE ワーキンググループによって開発されたGRADE アプローチに従って作成され、59 個のCQ を設定し、根拠となる豊富な文献を提示しています。
継続は力なり、と言われますが、ことガイドラインに関しては“改訂は力なり”ではないでしょうか。医学や生命科学は日進月歩であり、最新の情報、データそしてエビデンスは日々新しくなり、一方で私たち医療人や患者の意識は保守的で古い知識にしがみつこうとします。そのジレンマの中で未来に進むためには、自分たちの古い知識を更新し、時にはリセットする勇気と決断が必要です。その際に2 つの意見が対立することもあるでしょう。つまり改訂作業を実行するためには意見を集約するエネルギーが必要です。つまり改訂は力なり、なのです。特にがん治療は生命科学の叡智が結集する集学的な治療であるがゆえにその進歩や変化は著しく、その最新の情報を提供することは国民に対する使命と言えるでしょう。その使命感こそ改訂の力の源泉だと思います。
また、改訂作業とは信頼できる最新のエビデンスの探索につきるでしょうが、何より重要なのは改訂のために仲間が同じ目的に向かって力を合わせて協力することだと思います。改訂の力とは協力の力でもあります。今回も日本口腔外科学会と日本口腔腫瘍学会との合同作業チームのもと専門家が団結して作成するとともに、その一方で両学会の評価委員会にAGREE II に基づき厳正に評価していただきました。その結果、両学会が誇れるガイドラインが出来上がったと思います。是非とも全国における口腔癌診療の平準化・標準化に役立てていただきたいと願っています。
最後に、2023 年版の発刊にあたり、お忙しい中大変なご尽力をいただいた日本口腔外科学会と日本口腔腫瘍学会の口腔癌診療ガイドライン改定統括委員会、同診療ガイドライン改定合同委員会、パネル会議メンバー、策定グループ、システマティックレビューグループ、ならびに貴重なご意見を頂戴した関連学会、パブリックコメントをいただいた諸先生方に心から御礼申し上げます。
2023年11月
一般社団法人日本口腔腫瘍学会 理事長
太田 嘉英
公益社団法人日本口腔外科学会 理事長
池邉 哲郎
【2023年版 ガイドライン改訂にあたって】
公益社団法人日本口腔外科学会と一般社団法人日本口腔腫瘍学会は合同で『口腔癌診療ガイドライン』の第1 版を2009 年に、第2 版を2013 年に、そして第3 版を2019年に公開しています。癌治療は驚くべき速さで進歩しています。それに対応すべく、今回『口腔癌診療ガイドライン』の改訂を行いました。今回の改訂は、新しい情報を加えたアップデートと、国際的に使用されているガイドラインを参考に、より使いやすいガイドラインを目指しています。
診療ガイドラインは何のためにあるのでしょうか?その目的とするものは、医療の標準化であり均てん化です。口腔癌は希少癌のひとつに数えられエビデンスが不足している分野であり、標準治療が確立しにくい状況にあります。しかしながら口腔癌においても医療の標準化は必須であり、今回の改訂では、日頃出くわす臨床疑問(CQ)に対して、可能な限りのエビデンスを集め、GRADEアプローチに準じてCQに対する推奨を提案しています。また、エビデンスが不足する分野に関しては、その分野のエキスパートが可能な限り収集した研究結果(論文)を引用して、現時点での見解を示しています。また、CQとCQの間には“隙間”が生じています。今回の改訂では、その隙間を埋めるように、広く引用されているNCCNガイドラインを骨格とした一連の診療アルゴリズムと文章を記載しました。もう一つの目的である均てん化に対しても、多くの臨床医が使いやすいものを目指し、日本の診療状況に合わせて、診断から治療全体をカバーしたガイドラインを作成しています。また、ガイドライン作成メンバーは一部公募で組織し、広く多くの意見が反映できる体制としました。
診療ガイドラインはわれわれ医療者が使用することが多いと思われますが、その内容は患者さんに大きな影響を及ぼします。われわれ医療者は今後もよりよいガイドラインを目指し改訂を進めていかなければなりません。皆様には本ガイドラインをお読み頂き、今後のために忌憚のないご意見を賜りたいと思っています。
最後になりますが、本診療ガイドラインの作成にあたって、並々ならぬご尽力を頂いた多くの先生方に心より感謝を申し上げます。また、作成にご協力を頂いた関連学会、および、貴重なご意見を頂きました患者様およびご家族の方々に深謝申し上げます。本診療ガイドラインが口腔癌診療の向上に寄与できることを願っています。
2023年11月
一般社団法人日本口腔腫瘍学会学術委員会 『口腔癌診療ガイドライン』改定委員会
委員長:栗田 浩
公益社団法人日本口腔外科学会学術委員会 口腔癌診療ガイドライン策定小委員会
委員長:鵜澤 成一
本ガイドラインは、2009 年に『口腔癌診療ガイドライン2009 年度版』として最初に発刊された後、第2 版を2013 年に、第3 版を2019 年に刊行されました。今回は約4 年ぶり3 回目の改訂となります。前回と同様、GRADE ワーキンググループによって開発されたGRADE アプローチに従って作成され、59 個のCQ を設定し、根拠となる豊富な文献を提示しています。
継続は力なり、と言われますが、ことガイドラインに関しては“改訂は力なり”ではないでしょうか。医学や生命科学は日進月歩であり、最新の情報、データそしてエビデンスは日々新しくなり、一方で私たち医療人や患者の意識は保守的で古い知識にしがみつこうとします。そのジレンマの中で未来に進むためには、自分たちの古い知識を更新し、時にはリセットする勇気と決断が必要です。その際に2 つの意見が対立することもあるでしょう。つまり改訂作業を実行するためには意見を集約するエネルギーが必要です。つまり改訂は力なり、なのです。特にがん治療は生命科学の叡智が結集する集学的な治療であるがゆえにその進歩や変化は著しく、その最新の情報を提供することは国民に対する使命と言えるでしょう。その使命感こそ改訂の力の源泉だと思います。
また、改訂作業とは信頼できる最新のエビデンスの探索につきるでしょうが、何より重要なのは改訂のために仲間が同じ目的に向かって力を合わせて協力することだと思います。改訂の力とは協力の力でもあります。今回も日本口腔外科学会と日本口腔腫瘍学会との合同作業チームのもと専門家が団結して作成するとともに、その一方で両学会の評価委員会にAGREE II に基づき厳正に評価していただきました。その結果、両学会が誇れるガイドラインが出来上がったと思います。是非とも全国における口腔癌診療の平準化・標準化に役立てていただきたいと願っています。
最後に、2023 年版の発刊にあたり、お忙しい中大変なご尽力をいただいた日本口腔外科学会と日本口腔腫瘍学会の口腔癌診療ガイドライン改定統括委員会、同診療ガイドライン改定合同委員会、パネル会議メンバー、策定グループ、システマティックレビューグループ、ならびに貴重なご意見を頂戴した関連学会、パブリックコメントをいただいた諸先生方に心から御礼申し上げます。
2023年11月
一般社団法人日本口腔腫瘍学会 理事長
太田 嘉英
公益社団法人日本口腔外科学会 理事長
池邉 哲郎
【2023年版 ガイドライン改訂にあたって】
公益社団法人日本口腔外科学会と一般社団法人日本口腔腫瘍学会は合同で『口腔癌診療ガイドライン』の第1 版を2009 年に、第2 版を2013 年に、そして第3 版を2019年に公開しています。癌治療は驚くべき速さで進歩しています。それに対応すべく、今回『口腔癌診療ガイドライン』の改訂を行いました。今回の改訂は、新しい情報を加えたアップデートと、国際的に使用されているガイドラインを参考に、より使いやすいガイドラインを目指しています。
診療ガイドラインは何のためにあるのでしょうか?その目的とするものは、医療の標準化であり均てん化です。口腔癌は希少癌のひとつに数えられエビデンスが不足している分野であり、標準治療が確立しにくい状況にあります。しかしながら口腔癌においても医療の標準化は必須であり、今回の改訂では、日頃出くわす臨床疑問(CQ)に対して、可能な限りのエビデンスを集め、GRADEアプローチに準じてCQに対する推奨を提案しています。また、エビデンスが不足する分野に関しては、その分野のエキスパートが可能な限り収集した研究結果(論文)を引用して、現時点での見解を示しています。また、CQとCQの間には“隙間”が生じています。今回の改訂では、その隙間を埋めるように、広く引用されているNCCNガイドラインを骨格とした一連の診療アルゴリズムと文章を記載しました。もう一つの目的である均てん化に対しても、多くの臨床医が使いやすいものを目指し、日本の診療状況に合わせて、診断から治療全体をカバーしたガイドラインを作成しています。また、ガイドライン作成メンバーは一部公募で組織し、広く多くの意見が反映できる体制としました。
診療ガイドラインはわれわれ医療者が使用することが多いと思われますが、その内容は患者さんに大きな影響を及ぼします。われわれ医療者は今後もよりよいガイドラインを目指し改訂を進めていかなければなりません。皆様には本ガイドラインをお読み頂き、今後のために忌憚のないご意見を賜りたいと思っています。
最後になりますが、本診療ガイドラインの作成にあたって、並々ならぬご尽力を頂いた多くの先生方に心より感謝を申し上げます。また、作成にご協力を頂いた関連学会、および、貴重なご意見を頂きました患者様およびご家族の方々に深謝申し上げます。本診療ガイドラインが口腔癌診療の向上に寄与できることを願っています。
2023年11月
一般社団法人日本口腔腫瘍学会学術委員会 『口腔癌診療ガイドライン』改定委員会
委員長:栗田 浩
公益社団法人日本口腔外科学会学術委員会 口腔癌診療ガイドライン策定小委員会
委員長:鵜澤 成一