眼科

知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防

2023年10月臨時増刊号(65巻 10号)

企 画
定 価 9,350円
(本体8,500円+税)
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特集 知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防
巻頭言
I 角結膜
1.角膜移植後早期の合併症(浅前房・高眼圧)
山田 直之
2.角膜移植後の遷延性角膜上皮障害
福戸 敦彦・近間 泰一郎
3.角膜移植後の眼圧上昇
愛知 高明・外園 千恵
4.強膜バックルの晩発性露出
岩西 宏樹
5.翼状片の再発
住岡 孝吉
6.涙点プラグ挿入後
内野 裕一
7.角膜移植後の拒絶反応
平山 雅敏
8.角膜内皮移植後の移植片脱落
福井 正樹
II 白内障・屈折矯正
1.角膜形状異常眼への白内障手術(円錐角膜・LASIK後)
神谷 和孝
2.有水晶体眼内レンズ挿入眼に対する白内障手術(前房型・後房型)
荒井 宏幸
3.後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)の摘出・交換
中村 友昭
4.術中虹彩緊張低下症候群
四倉 絵里沙
5.白内障術中合併症(後嚢破損・核落下)
松島 博之
6.白内障術後合併症
水野 雅春・厚東 隆志
7.強度近視の白内障手術
鳥居 秀成
III 緑内障
1.トラベクロトミー、MIGS
笠原 正行
2.トラベクレクトミー:術中、術後早期
飛田 悠太朗・白鳥 宙・中元 兼二
3.トラベクレクトミー:術後長期
原 岳
4.トラベクレクトミー:術後長期の感染症(濾過胞炎・眼内炎)
窪田 匡臣・澤田 明
5.緑内障インプラント(ロングチューブ)手術
松田 彰
6.原発閉塞隅角病(PACD)に対する手術治療
栗本 康夫
IV ぶどう膜
1.ぶどう膜炎併発白内障手術
鈴木 重成
2.ステロイドの眼周囲注射
眞下 永
3.前房水採取(ぶどう膜炎前房水スクリーニング検査)
中野 聡子
V 網膜硝子体
1.硝子体内ガス注入に伴う合併症
岩瀬 雄仁・馬場 隆之
2.黄斑手術後の視野障害
寺島 浩子
3.網膜剥離手術
石澤 聡子・坂口 裕和
4.硝子体手術機械の不具合
井上 真
5.網膜変性、脈絡膜新生血管へのレーザー治療
吉田 紀子
6.硝子体内注射
田中 公二
7.強度近視眼の硝子体手術
浦本 賢吾
8.糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症への光凝固
取出 藍・中尾 新太郎
9.黄斑上膜術後のゆがみを訴える症例
岡本 史樹
VI 眼瞼・眼窩
1.霰粒腫に対する切開・掻爬
三戸 秀哲
2.眼瞼内反症手術
森田 耕輔・今川 幸宏
3.眼瞼下垂手術
村上 正洋
4.経眼窩縁眼窩腫瘍摘出術(深在性)
田邉 美香
5.眼球摘出
後藤 浩
VII 涙道
1.涙点プラグ挿入術
重安 千花
2.成人の涙道再建術
鈴木 亨
3.小児の涙道再建術
松村 望
VIII 斜視・神経眼科
1.斜視手術の術中合併症とその予防と対策
彦谷 明子
2.斜視手術の術後合併症とその予防
龍井 苑子
3.ボツリヌス療法の合併症とその予防と対策
増田 明子
4.視神経炎治療の合併症とその予防と対策 (1)ステロイド・免疫抑制剤・免疫グロブリン
山野井 貴彦
5.視神経炎治療の合併症とその予防と対策 (2)生物学的製剤
中馬越 清隆
6.検査中の迷走神経反射に対する処置
山下 敦・岡本 浩嗣
 眼科は、普段の外来診療においては診察・各種検査・画像診断・薬物療法が中心となりますが、分類上は外科系の診療科です。そのため、患者さんの病状に応じて診察室や処置室、手術室において各種の外科的処置を行い、視力や視野に代表される“見える“という機能の維持または回復を図り、QOL(quality of life)やQOV(quality of vision)の向上を目指すことが重要な役割となります。また、近年眼科においてはさまざまな治療技術が継続的に開発され、外科的手技においていろいろな進歩がみられています。
 しかし、薬物療法には副作用発現の可能性が付き物であるように、人体に外科的介入を行う以上100%確実に避けることはできないのが合併症です。程度の軽重こそあれ、ひとたび合併症が発症すれば患者さんは不安や不満を訴え、場合によっては彼らのQOL やQOV が低下し、薬物療法や再手術といった対処が必要となることもあります。実際にそういった処置が必要となる事態はまれですが、万が一のケースにも対応できるよう備えておくに越したことはありません。
 そこで本年の『眼科』臨時増刊号は「知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防」と題し、眼科の多種多様な処置・手術を角結膜、白内障・屈折矯正、緑内障、ぶどう膜、網膜硝子体、眼瞼・眼窩、涙道、斜視・神経眼科の8つに分類し、眼科医として頭に入れておきたい合併症47項目をピックアップして、それぞれをエキスパートの先生に解説いただきました。
 検査のための前房水採取や涙点プラグの挿入、眼周囲や硝子体への注射といった比較的簡便な手技の合併症や、白内障・緑内障・硝子体手術や眼球摘出といった手術室で行うものの術中ならびに術後合併症はもちろん、近年薬物療法の進歩が著しい視神経炎治療の合併症や検査中の迷走神経反射、硝子体手術機械の不具合といったピットフォール的な事柄も取り上げました。各項目は(1)適応となる疾患や病態、(2)対策の実際と合併症を防ぐコツ、の2つを中心に組み立てられており、本臨時増刊号を一読すれば、術者として術前術後の対策を行う場合にも、他院での処置後の不調を訴える患者さんを診察する場合にも役立つような構成となっています。
 この臨時増刊号が読者の先生方の日々の診療における合併症対策の知識を向上させ、ひいては患者さんへのより良い医療の提供へとつながるよう、編集委員一同祈念しております。

2023年9月
『眼科』編集委員会