眼科

小児眼科領域における診断と治療 最近の進歩

2025年10月臨時増刊号(67巻 10号)

企 画
定 価 9,350円
(本体8,500円+税)
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小児眼科領域における診断と治療 最近の進歩
巻頭言
I 角結膜
1 先天性角膜混濁の診断と治療
辻川 元一
2 角結膜腫瘍の診断と治療
高比良 雅之
3 感染性結膜炎の診断と治療
松本 佳保里
4 小児に対するアレルギー性結膜炎の診断と治療
福島 敦樹
II 白内障・屈折矯正
1 小眼球児への対応
野田 英一郎
2 先天白内障の診断と治療
森本 壮
3 水晶体偏位の診断と治療
吉田 朋世
III 近視
1 近視の疫学
川崎 良
2 近視抑制治療における検査と評価方法
松村 沙衣子
3 幼児・小児近視眼への眼鏡処方
長谷部 聡
4 近視進行抑制治療:眼鏡
四倉 絵里沙
5 近視進行抑制治療:オルソケラトロジー
平岡 孝浩
6 近視進行抑制治療:EDOF・多焦点コンタクトレンズ
四倉 絵里沙
7 近視進行抑制治療:薬物治療
稗田 牧
8 近視進行抑制治療:光療法
鳥居 秀成
9 小児の病的近視の診断と管理
五十嵐 多恵
IV 緑内障
1 原発先天緑内障の診断と治療
井上 俊洋
2 若年開放隅角緑内障の診断と治療
大鳥 安正
3 先天眼形成異常、先天全身疾患に関連した緑内障の診断と治療
木内 良明
V 網膜硝子体
1 遺伝性網膜変性疾患の診断と治療
近藤 寛之
2 網膜?離の診断と治療
岩瀬 剛
3 眼底血管病変の診断と治療
馬詰 和比古
4 未熟児網膜症の診断と治療
田中 友理・野々部 典枝
VI ぶどう膜炎
1 小児ぶどう膜炎の疫学
慶野 博
2 小児ぶどう膜炎のステロイド療法
岩橋 千春
3 ステロイド以外の小児ぶどう膜炎の全身性免疫抑制療法
佐田 幾世・原田 陽介
4 薬物療法の副作用
眞下 永
5 小児ぶどう膜炎併発白内障に対する手術
高瀬 博・永原 幸
6 続発緑内障手術のポイントと注意点
楠原 仙太郎
VII 眼瞼・眼窩・腫瘍
1 先天眼瞼下垂の診断と治療
森田 耕輔
2 乳幼児にみられる流涙への対応と治療
松村 望
3 眼付属器腫瘤性病変の内科的治療
大湊 絢
4 眼付属器腫瘤性病変の外科的治療
城野 美保・渡辺 彰英
5 網膜芽細胞腫の診断と治療
鈴木 茂伸
VIII 斜視・弱視・神経眼科
1 視神経疾患の診断と治療
前久保 知行
2 小児科からみた昨今の小児神経眼科疾患の診断と治療の進歩
野々田 豊
3 Spot Vision Screenerを活用した乳幼児健康診断と弱視の評価
板倉 麻理子
4 乳児内斜視のBTX-A治療
伊東 恵美
IX その他
1 ロービジョンケア
清水 朋美
2 ロービジョン児に対する教育
中野 泰志
3 小児眼科領域における病診連携
宇井 牧子
 小児は発達の途上にあり、診断や治療の適切な時期を逃すと、その後の視機能や生活の質に大きな影響を及ぼす可能性がある。したがって、迅速かつ正確な診断、そして個々の発達段階に応じた治療選択がきわめて重要となる。
 本臨時増刊号では、角結膜、白内障・屈折、近視、緑内障、網膜硝子体、ぶどう膜炎、眼瞼・眼窩・腫瘍、斜視・弱視・神経眼科、さらにはロービジョンケアや病診連携に至るまで、小児眼科領域を幅広く網羅し、第一線で活躍されている専門家の先生方に最新の知見をまとめていただいた。取り上げられたテーマはいずれも日常臨床で直面する頻度が高く、また近年急速に進歩した診断や治療が多く含まれている。
 近視の抑制治療や小児緑内障に対する新しいアプローチ、遺伝性網膜疾患に対する診断・治療の進展、未熟児網膜症の管理などは、その代表例である。さらに、小児ぶどう膜炎や小児の腫瘍など、治療選択や副作用管理に専門的知識を要する分野についても詳細に解説されており、若手医師からベテランまで臨床現場で直ちに役立つ内容となっている。
 また、近年注目される小児近視の増加や、ロービジョン児に対する教育・支援体制、病診連携の在り方など、医療のみならず社会的な観点からも重要な課題が取り上げられている点は特筆すべきである。小児眼科は単に眼科医の技術や知識にとどまらず、教育、福祉、家族支援とも密接に関わっており、多職種連携の重要性を改めて感じさせられる。
 本号を通じて、小児眼科領域における診断と治療の「最近の進歩」を俯瞰することで、日常診療の質が向上し、ひいては小児の視機能と生活の質の改善に直結することを期待している。小児期の一人ひとりの視覚体験が、その後の人生を豊かに形づくることを考えると、この分野の責務と意義は極めて大きい。本誌がその一助となれば幸いである。

2025年9月
『眼科』編集委員会
根岸 一乃・記