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産婦人科の実際
CQ & 図解で学ぶ 生殖医療の基礎講座
CQ&図解で学ぶ 生殖医療の基礎講座
I 総論
CQ1 すべての産婦人科医が、生殖医療の知識をもっておくべき意味は?
堀江 昭史
CQ2 検査、治療のフローチャートは?
山本 貴子、村上 幸祐
CQ3 いつ生殖医療の介入を提案するか?治療のステップアップ時期の考え方は?
岩佐 武
II 検査
CQ4 調べるべきホルモンの項目は何か?
谷 洋彦
CQ5 卵巣予備能はどのように評価すればよいか?
北島 道夫
CQ6 MRIは何に注目すればよいか?
八代 憲司、折坂 誠
CQ7 きれいな子宮卵管造影のコツは? 結果をどう評価する?
泉 玄太郎
CQ8 精液検査のやり方の実際は? 結果をどう評価する?
谷口 久哲
III 外科的治療介入のポイント
CQ9 内膜症性嚢胞摘出術の適応は? いつ手術する?
奥宮 明日香
CQ10 子宮筋腫摘出(核出)術の適応とアプローチは? いつ手術する?
北脇 佳美
CQ11 子宮腺筋症病巣除去術の適応と子宮破裂リスクは?
松尾 光徳、廣田 泰
CQ12 帝王切開子宮瘢痕症と不妊の関係は? 子宮瘢痕部修復術の適応は?
辻 俊一郎、賀勢 諒
CQ13 子宮内膜ポリープ切除術の適応は? 小さなものでも取ったほうがよいのか?
齊藤 寿一郎
CQ14 卵管閉塞に対する卵管鏡下卵管形成術の実際は? ARTとどちらがよい?
福田 愛作
CQ15 子宮形態異常の種類と手術適応は?
松田 繁
IV 一般的な生殖医療
CQ16 タイミング指導、排卵時期の推定はどのように行うか?
福原 理恵、横山 良仁
CQ17 人工授精の適応とやり方は?
沖村 浩之
CQ18 排卵誘発法(内服、注射)はどのように選べばよいか?
竹澤 美紀、立花 眞仁
CQ19 PCOSの治療は?
大須賀 智子、仲西 菜月
CQ20 潜在性甲状腺機能低下症は治療したほうがよいのか?
前沢 忠志
CQ21 男性因子に対する治療は?
市岡 健太郎
CQ22 生殖医療中のワクチン接種のタイミングや影響は?
太田 邦明
V 高度生殖医療
CQ23 GnRH アゴニスト法の適応とスケジュールの実例は?
鈴木 達也、室井 美樹、高橋 美紀
CQ24 GnRH アンタゴニスト法の適応とスケジュールの実例は?
小野 政徳
CQ25 PPOS法の適応とスケジュールの実例は?
田村 功
CQ26 低刺激法の適応とスケジュールの実例は?
北島 遼、塩谷 雅英
CQ27 経腟採卵のやり方と注意点は?
吉田 淳
CQ28 通常媒精と顕微授精はどうやって使い分ける?
脇本 裕、脇本 謙
CQ29 受精卵の培養と品質の評価のしかたは?
奥山 紀之、京野 廣一
CQ30 胚移植(新鮮、凍結)のやり方と注意点は?
辰巳 嵩征
CQ31 OHSSへの対策は?
石川 博士
VI 不育症
CQ32 不育症の原因となる疾患にはどのようなものがあるか?
後藤 志信
CQ33 一般外来でできる範囲の不育症のスクリーニングは?
市川 智子
VII 着床前遺伝学的検査(PGT)
CQ34 PGTの種類は?
澤井 英明
CQ35 PGTの適応は? 何がわかるのか?
瀧内 剛
VIII がん生殖
CQ36 がん・生殖医療はどのような疾患で適応になるのか?
源 祥子、高井 泰
CQ37 がん生殖における胚、未受精卵子凍結のスケジュールの実例は?
杉下 陽堂、鈴木 直
CQ38 卵巣組織凍結の適応は? どのように行われるか?
高江 正道、鈴木 直
IX 医療経済
CQ39 保険診療でカバーされる検査や治療は? 費用の概算は?
高橋 望、原田 美由紀
CQ40 先進医療として行われている治療にはどのようなものがあるか?
黒田 恵司
X Column
胚培養士の役割
入江 真奈美、水野 里志
生殖看護認定看護師の役割
徳永 しげみ
生殖医療における基礎研究の意義
寺田 幸弘
難治性着床障害に対する挑戦
川井 清考、小川 達之
生殖医療と周産期リスク
左 勝則
■Mini Tutorial
(1) 不妊治療とは「成熟卵子をいかに取り出すか」
(2) 卵胞=卵母細胞+顆粒膜細胞+莢膜細胞
(3) 卵胞がエストロゲンとプロゲステロンを分泌する
(4) 卵胞の発育開始から排卵までの流れはどうなっている?
(5) 卵母細胞が減数分裂をして卵子になる
(6) 視床下部-下垂体-卵巣系が卵胞発育や排卵を調節している
(7) 不妊治療には「一般不妊治療」と「高度生殖補助医療」がある
(8) 卵胞を1つだけ育ててみよう<一般不妊治療>
(9) 卵胞をたくさん育ててみよう<高度生殖補助医療>
(10) LHとhCG
(11) 排卵現象は「局所の炎症反応」である
(12) 排卵現象から考えるOHSS
(13) 排卵障害についてひも解く:視床下部のGnRHパルス状分泌の抑制
(14) 排卵障害についてひも解く:PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
(15) 女性にとってアンドロゲンは、単なるエストロゲン合成の中間産物ではない!−高アンドロゲン血症と卵胞発育
(16) インスリン抵抗性と高アンドロゲン血症
(17) 女性体内での寿命は排卵卵子が約24時間、精子は約72時間
(18) 着床には正しい向きと時期がある
(執筆協力:奥宮 明日香)
生殖医療は、患者さんやご家族の人生設計に深くかかわる重要な分野です。不妊に悩む人々に寄り添い、妊娠・出産という大きな目標をともに実現していくことは、産婦人科医にとって大きな責務であり、やりがいでもあります。世界で初めて体外受精児が誕生してから40年以上、日本で初めての体外受精児誕生からもすでに数十年が経過しました。その間に顕微授精(intracytoplasmic sperm injection;ICSI)、胚盤胞培養、胚凍結保存といった技術が標準化され、今では年間数万件の体外受精出生が報告されるまでに至っています。少子化や晩婚化が進む社会において、生殖医療は今や欠かせない医療の1つです。
しかし、いざ学ぼうとすると、生殖医療は「難しそう」「とっつきにくい」と感じられることが少なくありません。婦人科腫瘍学や周産期医学に比べ、内分泌学を中心とする知識体系は複雑であり、学習のハードルが高いと感じられます。研修医や若手医師のなかには、生殖医療を敬遠してしまう人も少なくないでしょう。また、生殖医療の専門医であっても、婦人科疾患や周産期合併症の理解が十分でないまま診療にあたる場合があり、患者さんにとって必ずしも最適な医療にならないこともあります。
本来、生殖医療は産婦人科の全分野とかかわりをもつ学問です。子宮筋腫や子宮内膜症といった良性疾患、内分泌代謝異常、高齢妊娠に伴うリスクなど、多くの因子が不妊や妊娠経過に影響します。そのため、生殖医療を理解することは単なる専門技術の習得ではなく、産婦人科医として幅広い診療能力を高めることにもつながります。
本書は、こうした背景を踏まえ、できる限り実践的でわかりやすい形を目指しました。成書のように膨大な理論を網羅するのではなく、日常診療で直面する具体的な疑問や課題を切り口とし、専門家が「明日から使える知識」として解説しています。正常妊娠の基礎メカニズムから不妊症の診断、一般的な婦人科疾患との関連、さらに生殖補助医療(assisted reproductive technology;ART)の実際まで、臨床に直結する内容を1冊に整理しました。
想定読者は、研修医や若手産婦人科医はもちろん、生殖医療を専門としない医師や関連職種の方々です。「生殖医療を学びたいけれどどこから始めればよいかわからない」という方にとって、本書は格好の入り口になることを期待しています。また、すでに臨床に携わっている方にとっても、自身の診療を振り返り幅を広げる契機になるはずです。
本書が、生殖医療の「難しい」イメージを取り払い、多くの医療者にとって親しみやすい知識の架け橋となることを願っています。患者さん一人ひとりに最適な医療を届けるために、本書が日々の診療を支える実践的な道標となれば幸いです。
2025年11月吉日
医学研究所北野病院産婦人科 主任部長 堀江 昭史 Akihito Horie
近畿大学医学部産科婦人科学教室 講師 村上 幸祐 Kosuke Murakami
近畿大学医学部産科婦人科学教室 教授 松村 謙臣 Noriomi Matumura
しかし、いざ学ぼうとすると、生殖医療は「難しそう」「とっつきにくい」と感じられることが少なくありません。婦人科腫瘍学や周産期医学に比べ、内分泌学を中心とする知識体系は複雑であり、学習のハードルが高いと感じられます。研修医や若手医師のなかには、生殖医療を敬遠してしまう人も少なくないでしょう。また、生殖医療の専門医であっても、婦人科疾患や周産期合併症の理解が十分でないまま診療にあたる場合があり、患者さんにとって必ずしも最適な医療にならないこともあります。
本来、生殖医療は産婦人科の全分野とかかわりをもつ学問です。子宮筋腫や子宮内膜症といった良性疾患、内分泌代謝異常、高齢妊娠に伴うリスクなど、多くの因子が不妊や妊娠経過に影響します。そのため、生殖医療を理解することは単なる専門技術の習得ではなく、産婦人科医として幅広い診療能力を高めることにもつながります。
本書は、こうした背景を踏まえ、できる限り実践的でわかりやすい形を目指しました。成書のように膨大な理論を網羅するのではなく、日常診療で直面する具体的な疑問や課題を切り口とし、専門家が「明日から使える知識」として解説しています。正常妊娠の基礎メカニズムから不妊症の診断、一般的な婦人科疾患との関連、さらに生殖補助医療(assisted reproductive technology;ART)の実際まで、臨床に直結する内容を1冊に整理しました。
想定読者は、研修医や若手産婦人科医はもちろん、生殖医療を専門としない医師や関連職種の方々です。「生殖医療を学びたいけれどどこから始めればよいかわからない」という方にとって、本書は格好の入り口になることを期待しています。また、すでに臨床に携わっている方にとっても、自身の診療を振り返り幅を広げる契機になるはずです。
本書が、生殖医療の「難しい」イメージを取り払い、多くの医療者にとって親しみやすい知識の架け橋となることを願っています。患者さん一人ひとりに最適な医療を届けるために、本書が日々の診療を支える実践的な道標となれば幸いです。
2025年11月吉日
医学研究所北野病院産婦人科 主任部長 堀江 昭史 Akihito Horie
近畿大学医学部産科婦人科学教室 講師 村上 幸祐 Kosuke Murakami
近畿大学医学部産科婦人科学教室 教授 松村 謙臣 Noriomi Matumura
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