手術

消化器・一般外科における手術教育の進化と手術手技の継承

2025年04月臨時増刊号(79巻 04号)

企 画 齋浦 明夫
定 価 9,350円
(本体8,500円+税)
在庫状況 あり
  • 定期購読のご案内
  • 次号予告
  • 投稿規定
  • 臨時増刊号一覧
  • 立ち読みする

特集 消化器・一般外科における手術教育の進化と手術手技の継承
I.手術教育の進化
1.手術教育の重要性
鶴丸 昌彦
2.日本内視鏡外科学会技術認定取得を目指した手術教育プログラム
貫井 聖人
3.日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医取得を目指した手術教育プログラム
西尾 太宏
4.医師の働き方改革をふまえた手術教育プログラム
新原 正大
5.反転学習を取り入れたeラーニングを活用した群馬大学での手術教育プログラム
岡田 拓久
6.アメリカのがん専門病院における手術教育プログラム
小西 毅
7.ボックスを用いた縫合・結紮トレーニング
今村 清隆
8.VRシミュレータを用いた手術トレーニング
藤原 道隆
9.カダバーサージカルトレーニング
七戸 俊明
10.ロボット支援手術時代の手術教育
佐川 弘之
11.FUSE理論に基づくエネルギーデバイス教育
真崎 純一
12.手術記録作成における手術イラストの有用性
多田 和裕
II.手術手技の継承
1.食道
1.開胸食道切除術
豊住 武司
2.胸腔鏡下食道切除術−ロボット支援手術時代における胸腔鏡手技の継承
石山 廣志朗
3.ロボット支援食道切除術
北上 英彦
2.胃
1.開腹胃切除術
山形 幸徳
2.腹腔鏡下胃切除術
李 基成
3.Active assistantを活用したロボット支援胃切除術−harmonic robotic surgery
大森 健
3.肝臓
1.開腹肝切除術
楳田 祐三
2.腹腔鏡下肝切除術
岡村 行泰
3.ロボット支援肝切除術
後藤田 直人
4.生体肝移植手術
三原 裕一郎
4.胆道
1.急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術の手術手技教育
高橋 崇真
2.名古屋大学における肝門部領域胆管癌手術の継承
尾上 俊介
5.膵臓・脾臓
1.開腹膵頭十二指腸切除術とTOYAMA Surgery
渡辺 徹
2.ロボット支援膵頭十二指腸切除術における教育
仲田 興平
3.開腹膵体尾部切除術
石田 潤
4.腹腔鏡下膵体尾部切除術の手術手技
伊知地 徹也
5.ロボット支援膵体尾部切除術
三瀬 祥弘
6.脾臓摘出術 − 後進指導における手技上の注意点
三澤 健之
6.大腸・肛門
1.虫垂切除術(開腹・腹腔鏡)
榎本 俊行
2.結腸癌に対する開腹手術
高見澤 康之
3.腹腔鏡下結腸癌手術
三城 弥範
4.開腹直腸癌手術のコツとpitfall
上原 圭
5.腹腔鏡下低位前方切除術
池田 公治
6.ロボット支援直腸癌手術
佐々木 和人
7.痔核・痔瘻手術
紅谷 鮎美
7.鼠径部ヘルニア
1.腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術の基本
川原田 陽
2.鼠径部切開法(Lichtenstein法)
藤崎 洋人
3.組織縫合法
稲葉 毅
 今回の臨時増刊号のテーマは「手術教育の進化」と「手術手技の継承」です。
 これまで外科教育の主流は徒弟制度的なものでしたが、近年ではエビデンスを基にした客観的かつ科学的な手術教育が広く普及してきました。さらに専門誌や書籍だけでなく、YouTubeや各種動画配信サイトなどのオンラインコンテンツの登場により、外科教育の情報量は飛躍的に増加しています。
 一方で、外科手術の専門分化、高難度化、医療安全への意識の高まりによって、若手外科医が各術式に実際に触れる機会は減少傾向にあると考えられます。また、人口減少時代を迎えた日本では、外科医の数自体も減少しており、持続可能な外科医療のあり方についての議論が重要な課題となっています。このため、外科医の待遇改善を含めた働き方改革が求められる時代になっています。
 本臨時増刊号では、国内外の優れた指導者や積極的に手術教育に取り組んでいる施設から、そのコンセプトや具体的な工夫について実践例を交えてご紹介いただきました。I章では、手術哲学や最新の教育手法について、また、II章においては、各臓器別に開腹・腹腔鏡・ロボット支援手術のそれぞれにおける手術教育のポイントを網羅的にご解説いただきました。とくに、最近主流となっているロボット支援手術は、今後の大きな発展が予想され、手術教育にも新たな可能性をもたらすものと期待されています。
 外科医が減少する時代において、安全かつ効率的な手術教育を実践し、次世代への技術継承を行うためのヒントが詰まった 1冊となっています。「教うるは学ぶの半ば」という言葉のように、教えることによって指導者自身も改めて手術の本質に気づくことができます。若手外科医の皆さんには単に技術の習得だけでなく、その背景にある手術哲学にも関心を向けていただきたいと思います。これからの外科医療を担う若い世代の活躍と成長を、大いに期待します。

2025年4月
「手術」編集委員 齋浦 明夫 順天堂大学肝胆膵外科教授